【連載】早慶サッカー直前特集『Challenge to the 1ST』最終回 早慶サッカー展望

ア式蹴球男子

 勝利を収め凱歌をあげるのは、エンジイレブンか、それとも荒鷲軍団か。いよいよきょう、68回目を迎える早慶サッカー定期戦(早慶サッカー)が等々力陸上競技場にて開催される。土曜開催となり、例年以上の熱気に包まれるであろうこの試合。通算成績35勝18分14敗と大きく勝ち越すエンジイレブンは、粒ぞろいの布陣で栄光の6連覇を目指す。

 GKを含む守備陣では、代表招集により守護神・小島亨介(スポ3=名古屋グランパスU−18)と、これまでチーム唯一の全試合フルタイム出場を続けてきたDF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)の欠場が確定。代わってリーグ戦でもピッチに立ったGK笠原駿之介(法2=埼玉・早大本庄)とDF井上純平(商3=東京・早実)の起用が予想される。最終ラインの一列前、中盤中央で安定感抜群のダブルボランチを形成するのは、MF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)とMF今来俊介(商4=神奈川・桐光学園)だ。名古屋グランパス入りが内定した秋山は、確かな判断力と戦術眼、そして華麗なドリブルを武器に攻撃を組み立てる。その秋山とコンビを組む今来は、無尽蔵のスタミナを武器に次々にピンチの芽を摘み取る守備力が最大の持ち味。チーム一の汗かき役の活躍は、早慶サッカー6年連続無失点勝利に不可欠なファクターとなるだろう。

堅実なプレーでディフェンスを支える今来

 前線にも多彩な顔ぶれがそろう。注目はなんといってもエースFW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)だ。リーグ戦11試合で12得点と圧巻のペースでゴールを量産する点取り屋は、自身初となる早慶サッカーでも真価を発揮することができるか。リーグトップの7アシストを記録している韋駄天・MF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)、クリエイティブなプレーで攻撃を引っ張るFW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU−18)、リーグ戦でチーム2位の5得点を挙げているMF柳沢拓弥(社4=清水エスパルスユース)らとともに慶大守備陣の牙城を崩してみせる。

「MVPを狙う」と意気込むエース・武

 加えて控えにも実力者がひしめく今季のエンジイレブン。それだけに、ベンチワークも見逃せないポイントの一つになるだろう。FW岡田優希(スポ3=川崎フロンターレU−18)はリーグ戦前期、シュート7本で4得点と潜在能力の高さを見せつけた。伝統の一戦でも非凡な決定力を発揮し、チームを救うヒーローとなれるか。力強いドリブル突破が武器のMF鈴木裕也副将(スポ4=埼玉・武南)、コンタクトプレーで強さを見せるFW飯泉涼矢(スポ4=三菱養和SCユース)ら、最後の早慶サッカーとなる最上級生の活躍にも期待したい。

 「出ている出ていないに関係なく、全員がチームの一員であるという意識を持つこと、全員が目標を成し遂げるんだという思いを持っていなければならない」。キャプテンとしてチームをけん引する鈴木準は今季、チームが一丸となることの重要性を繰り返し強調してきた。早慶サッカーは運営面も含め、両校の学生が一枚岩となってつくり出す一大イベントでもある。「主務や副務といった自分たちの仲間が努力する姿を近くで見続けてきた。この試合は恩返しできる最高の舞台です」(柳沢)。支えてくれる全ての人への感謝を胸に、エンジイレブンは最後の最後まで全力で走り抜くことを誓ってくれた。今宵、等々力の夜空にこだまするのは、早大の勝利を告げる『紺碧の空』で間違いなしだ。

 

(記事=栗村智弘 写真=篠原希沙/大山遼佳)

 

★熱い応援で選手を後押し

情熱あふれる応援で試合を盛り上げるウルトラスワセダ

 早慶サッカーといえば、両校の白熱する応援合戦も醍醐味の一つ。早大の応援をけん引するのは、ア式の試合全てで会場に足を運び、情熱的な応援で選手を後押しするサポーターグループ・ULTRAS WASEDA(ウルトラスワセダ)だ。代表の杣木篤史氏は「早慶サッカーはいつも以上に力が入る。一万人の応援を引っ張れるのは本当に楽しみです」と、普段とは桁違いの規模となる一戦に向けて意気込みを語った。そんなウルトラスワセダが最も注目して欲しい選手にあげたのが、FW飯泉涼矢(スポ4=三菱養和SCユース)だ。「いつも気さくに話してくれる優しい選手。気迫あふれるプレーに期待したいです」と声を弾ませた。