【連載】早慶サッカー直前特集『Challenge to the 1ST』第4回 鈴木準弥×大桃海斗

ア式蹴球男子

 主将として、圧倒的なリーダシップを発揮しチームを引っ張るDF鈴木準弥(スポ4=清水エスパルスユース)。その鈴木とCBでコンビを組むのがア式の将来を担う一人DF大桃海斗(スポ2=新潟・帝京長岡)だ。堅牢な守備を支える二人の素顔に迫る。

 

※この取材は6月29日に行われたものです。

 

「チームを常に動かせる存在でありたい」(鈴木)

主将としてチームをけん引する鈴木

――まずは関東大学リーグ戦(リーグ戦)前期の振り返りからお願いしたいと思います。大桃選手にとってはいかがでしたか

大桃 きょねんは全く出場できなかったですけど、ことしは最初から出ることができたというのと、試合としては東農戦(●1−3)とか国士戦(●1−2)は自分たちのいいところが出せなくて結果もついてこなくて負けてしまいました。他の試合に関しては分析通りやれたかなという感じです。

――先発出場が続いてることに関しては

大桃 熊くん(DF熊本雄太、スポ4=東福岡)がけがしてなければ自分は出れていないというのもありますし、スタメンではありますけど(自分自身の)プレーに満足しているわけでもないので、これまでと変わらずといった感じです。

――CBでコンビを組むのがキャプテンの鈴木選手ですが、それについてはいかがですか

大桃 いつもカバーしてくれるので、自分はいつも通りの感じで思い切ってやれています。声掛けもすごくしてくれるので助けられますし、頼りにしています。

――鈴木選手から見た大桃選手の印象を教えてください

鈴木 プレー自体は悪くなかったと思いますし、試合を通じて成長していくというか、やっぱり最初の方は堅さとかもあって自分のプレーを90分間するというのはできなかったと思うんですけど、徐々にそれができるようになってきたんじゃないかと思います。チームを背負って戦う責任感というのも、試合を重ねる中で増えてきたと思いますし、最初より頼もしくなったと思います。

――鈴木選手は前期を振り返っていかがですか

鈴木 勝ち点からすれば悪くないのかもしれないですけど、もっと点も取れたしもっと失点も減らせたと思います。中大戦(△2−2)、東農戦、国士戦といったあたりは勝ち切れなかったですけど、ああいう相手に勝ち切れないと昇格というのは難しい。そこに対してはまだまだ課題の残る前期だったと強く感じていますし、もっと圧倒した戦いをしていかなければいけないと思っています。

――キャプテンとして意識していたことはありますか

鈴木 もちろんキャプテンとしてチームを常に動かせる存在でありたいし、自分自身の戦いぶりとか声を出す姿勢といったところで、チームが辛くなったときに体張って声も張れるような存在になろうと常に意識しています。まだまだ足りない部分もあると思いますけど、そういうチームを動かすというところは意識し続けています。

――ことしのチームの特徴はどういったところにあると思いますか

鈴木主将 一人ひとりが自分をすごく強く持っていて、一つの目標に向かってまとまって進んでいくという強い気持ちはみんなあると思うんですけど、サッカー勘とかに関してはある意味まとまりがないというか、特に自分たちの代とかはサッカーに関しても本当に個性が強いので、小さくまとまっているというわけではないかなと思います。

――4年生は個性が強いということですが、大桃さんの2年生は学年としての特徴はありますか

大桃 自分たちの代はそんなに個性は強くないと思います。特徴もないですね。

鈴木 (笑)

大桃 まあ以外と真面目というのはありますけど、それぐらいですかね(笑)。

鈴木 真面目……

大桃 性格いいですよ(笑)。

鈴木 まだなんとなく自分を出していない感じがあるんですよね。

大桃 そうですかね?

鈴木 Aチームで戦ってる選手とかはそんなことないかもしれないけど、学年全体としてみたときにあまり主張がない。自分たちが2年生のときは「もっとこうだろう」とか自分の思いをたくさん言っていたし、「先輩でも削りにいってやろう」とかそういう気持ちもありましたからね。

大桃 確かにその辺はまだ出せてないですね。

――古賀聡監督(平4教卒=東京・早実)も今の4年生を「かなりやんちゃだったし個性が強い」と表現されていました

鈴木 いつかのミーティングで、自分たちが2年生に上がるときだったかな、監督が「(自分が)お前たちが1年生のときに野放しにしていたせいでこの学年は緩い」と言われて、監督がそんなことを直々に言うのも珍しいので印象に残っていますね(笑)。一方でサッカーの能力の部分は認め続けてくれていると思います。ただ入ってきたときは全員変な自信ばっかり持って、適当だったので…。人間的な部分に関しては本当にクソだったなと(笑)。

――チームの特徴としてこれまでとは違う戦い方に挑戦しているというのもあると思いますがそれに関してはいかがですか

大桃 ことしは個人の長所や特徴を生かすというか、お互いがそれを引き出していこうという感じです。最初よりは良くなってきていると思いますけど、しっくりきているのかというと、そういうわけでもないですね。

鈴木 特徴というか、自分たちが特徴にしたいと思っているのは、攻守においてアグレッシブにいくということで、例えば守備でも高い位置で奪って速く攻める、そこは特徴にしていきたいところですけど、まだまだできていない。確かに前よりもボールは動かせますけど、それが特徴と言えるほどできているのかというと、そうでもない。まだまだチームとしての軸がないのかなと思います。アグレッシブにいくというのを追い求める中で、そこに対しての手応えはまだ足りないですし、前からくる相手にはボールを回せず、結局長いボールを蹴って拾われてきつくなるという試合もあったので、そう考えるとまだまだ課題の方が多いと思います。つなぐだけになると相手に奪われて前を向かれてっていうこともありますし、つないでいった方がいいのか(相手DFラインの)後ろに放り込んだ方がいいのか、そこの判断の質を高めていく必要があると思います。

――大桃選手は今季プレーする中で特に意識していることはありますか

大桃 きょねんはある程度前に大きく蹴ることが多かったですけど、ことしは自分たちのボールになったときに選択肢を多くして、その中からどれだけいい選択ができるかが重要だと思います。はっきり前に蹴るのかつなぐのかっていう判断はできないと自分たちから崩れてしまうと思うので、そこは意識しています。

「めちゃくちゃいい先輩です!」(大桃)

今季から主力として活躍する大桃

――事前のアンケートで、前期のMVPはお二人ともFW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)をあげています。理由を教えてください

鈴木 まあ妥当というか、たくさん点を取って結果を残したというところでMVPにしたというのはあります。ただ、2部という舞台で自分たちが掲げている目標だとか、あいつのレベルを考えたときに、本当に妥当というか、なんならもっと取れるとも思います。でも、その中でもあれだけ点を取ってくれているので颯にしました。

大桃 後ろからすれば点を取ってくれるっていうのは楽になりますし、本当にありがたいですね。

――イチオシの選手に関してですが、大桃選手はMF金田拓海選手(社2=ヴィッセル神戸U−18)をあげています

大桃 拓海はシンプルに技術が高くて、表面上には感情をあまり出さないですけど、すごくチームのことを思ってプレーしてくれるというところで拓海にしました。

――鈴木選手は金田選手の印象はいかがですか

鈴木 技術も高いですけど、一番は戦えるっていうところがいいなと思っていて、適当にやっているように見えていくとこはいけるし、いい選手だなと思います。

――鈴木選手のイチオシはFW石川大貴選手(スポ4=名古屋グランパスU−18)ということですが、理由を教えてください

鈴木 本当に攻撃の中心になっているというか、アイディアもあるし攻撃の第一歩としてすごく光っているっと思います。守備でも献身的にチームのために走れるところも大きいですね。

――大桃選手から見て石川選手はどういうところに特徴があると思いますか

大桃 もともとボランチということもありますけど、技術がすごく高くてボールも散らせて、動き出しもうまいので、攻撃の起点になっていますし、準弥くんが言ったように献身的に守備もしてくれるという印象です。

――アンケートの中では主将である鈴木選手の印象についてもお答えいただきました

大桃 俺なんて書きましたっけ?(笑)

鈴木 お前どうせ適当だろ!(笑)

――「技術が高くよく声を掛けてくれて、チームをまとめてくれる」とお答えいただきました

大桃 ほら、ちゃんと書いてますよ(笑)。

鈴木 あざっす!うれしいっす!(笑)

大桃 書いてある通りですよ。

――一方で怖いといった回答もいくつか見られましたが…

鈴木 いやー俺超優しいよね?(笑)

大桃 自分は入部したとき準弥くんと同部屋だったんですよ。俺が一年生のときですけど。すごく優しかったですよ。めっちゃ話しかけてくれて、めちゃくちゃいい先輩だなーって(笑)。

鈴木 俺あんまり下(の学年)とコミュニケーション取らないからなー。で、見た目がこんな感じだから怖いと思われるだけで…。

――見た目が怖いと言われることに関しては、自分でもそう思うことがありますか

鈴木 いや、そんなに…。

大桃 怖いですよ。自覚してください!(笑)

鈴木 チッ。

大桃 ほら、こういうとこっすよ(笑)。舌打ちとかは良くないっす!(笑)

――鈴木主将は1年生とも話をしたりしますか

鈴木 一年生の方から声を掛けてくることはないですね(笑)。

大桃 それは難しいですよ(笑)。

鈴木 そもそも1年生の方から4年生に話しかけてくることがほとんどないんじゃないかな(笑)。

大桃 ないです。2年生からでも……うん、あんまないです(笑)。

鈴木 Aチームで一緒にやっている選手とか以外は、下級生から話し掛けてくることはないですね(笑)。

大桃 いや、でも僕は大丈夫です。優しいっていうのもわかってるんで。

鈴木 こいつはもう舐めてきてる(笑)。

大桃 いやいやいや!

鈴木 同学年とか俺のことすごいイジってくるからね。

――鈴木選手の髪型に触れている方も何人かいましたが…

鈴木 これパンチパーマじゃなくて天然だから!(笑)まあ仕方ない、癖っ毛だからね。ちゃんと地毛だから。

――試合前のルーティンについてですが、大桃選手は「すね毛を剃る」とお答えいただきました

大桃 剃りますね。あした剃るので、今は生えてますけど。

鈴木 岡田(優希、スポ3=川崎フロンターレU−18)も剃ってた気がする。テーピング巻くときとか痛いので。

――鈴木選手は「決まったドリンクを飲む」というのをあげていただきました

鈴木 そうですね。あとギリギリまで寝ていたいっていうのもあります、試合当日でも。最近試合が(午後)2時開始が多くて、みんなは8時半に起きて少しゆっくりしてから移動って感じで、補食を買ったりとかもしてると思うんですけど、俺そういうのめんどくさいからなあ。10時ぐらいに起きてシャワー浴びて、(東伏見の)セブンイレブンでレッドブルとポカリとオロナミンCを買う、で(東伏見の)松屋に行って飯食って電車に乗る。補食は食べません。ちょうどいい感じですよ。

大桃 俺は補食もしっかり食べます。もう真逆なんで(笑)。

鈴木 そういうのに頼ってるからなお前は!(笑)。

大桃 いや、頼ってるわけではないですよ(笑)。普通に寮飯食べて、準備して、補食買って会場まで行きます。

――大桃選手は体格もかなりがっちりしていますよね

鈴木 筋トレばかだからな。

大桃 違います。もとからです。

鈴木 筋トレも好きだし、プロテインも好きなんですよ。しっかりしてるといえばそうですよね。でも頼りすぎな部分がある。俺とは逆だよね。

大桃 ほんとに準弥くんとは真逆なんですよ。僕はずっと寝てたりしないですし。僕は朝飯食いに行きますけど、準弥くんは食べないし。

――同部屋だったとき大変だったのではないですか

鈴木 ずーっと寝てるからね。

大桃 僕は早く起きてベッドも片付けます。でも準弥くんのは出っぱなし。でも気にしないです。

鈴木 何もこだわりがないので(笑)。

「サッカーの良さが伝わる試合になると思う」(鈴木)

早慶戦への思いを話す二人

――早慶サッカーについてお伺いしていきたいと思います。大桃選手はキーマンにMF秋山陽介選手(スポ4=千葉・流通経大柏)をあげています。理由を教えてください

大桃 (秋山選手は)攻撃でも守備でもチームの中心ですし、特に攻撃ではリズムをつくってくれて、何かやってくれるという感じがしますね。

――鈴木選手は秋山選手に関してはいかがですか

鈴木 技術が高いし、自分で局面を打開しようという意識が強いし、ボランチをやっていながらもドリブルとかで勝負につながるプレーをしてくれるので、攻撃のいいアクセントになっています。

――鈴木選手があげるキーマンは武選手です

鈴木 早慶戦のバチバチした戦いの中で、いつも以上に力が入りますし、そこで一つチャンスが来たときに決めてくれる存在だと思います。

――早慶サッカーはやはりいつも以上に力が入りますか

鈴木 やっぱりあれだけの数の観衆の前でやるわけですし、勝たなきゃいけないっていう意識は強いですからね。

――キャプテンとして迎える早慶サッカーは特別なものになるのではないですか

鈴木 もちろんトロフィーを掲げたいし、早慶サッカーでキャプテンマークを巻きたいからキャプテンやってると言っても過言ではないですからね。

――大桃選手は早慶サッカーについていかがですか

大桃 きょねんは(1年生の)仕事をしていて見てもいないので、出たら緊張するとは思いますけど、自分のプレーがどうかとかよりも、とりあえず勝ちたいという感じです。

――最後に早慶サッカーに向けて意気込みをお願いします

大桃 早慶サッカーは初めてで、出れたらいいプレーをして。まずはチームが勝つために何をしなければいけないのかという事を意識しながら臨みたいです。

鈴木 いつもよりたくさんの人が見に来てくれますし、面白い、サッカーの良さっていうのも伝わる試合になると思います。その中で勝利という結果だけを求めていきたいです。

――ありがとうございました!

 

 

(取材・編集=栗村智弘 写真=皆川真仁)

 

 

6年連続無失点勝利に期待しましょう!

◆鈴木準弥(すずき・じゅんや)(※写真右)

1996(平8)年1月7日生まれ。174センチ/72キロ。静岡・清水西高出身。前所属・清水エスパルスユース。スポーツ科学部4年。正確なパスを武器としており、攻撃においても不可欠な存在である鈴木選手。しかし、残念ながら早慶サッカーはユニバーシアード日本代表合宿のため欠場することが決まりました。誰からも愛される主将のため、何としても6連覇を達成してほしいです!

◆大桃海斗(おおもも・かいと)(※写真左)

1997(平9)年10月28日生まれ。181センチ/82キロ。新潟・帝京長岡高出身。スポーツ科学部2年。高校1年生の夏までFWをやっていたという大桃選手。「ボールを奪ったときが快感」とDFのやりがいを語ってくれました。屈強なフィジカルを生かし、荒鷲軍団を封殺してくれるはずです!