小柄ながらクレバーなプレーでチームに貢献するDF木下諒(社4=JFAアカデミー福島)と、魂のこもったハードワークが売りの闘犬・DF安田壱成(スポ4=ベガルタ仙台ユース)。サイドバックとして攻守に重要な役割を担う二人がチームの現状、そして最後となる早慶サッカーに向けた熱い思いを語る。
※この取材は6月28日に行われたものです。
「1年での昇格は絶対条件」(木下)
積極的な攻撃参加も特徴の木下
――まず、今季を戦う中で、昨季の悔しさをぶつけているという部分はあるのでしょうか
安田 僕はことしから試合に出られるようになったので、すごく新鮮な気持ちというか、自分の中では新たな気持ちで1年間取り組んでいるという感じですね。でも諒はずっと出ているからね。
木下 きょねんはふがいない結果だったので、ことしはオフシーズンの自分自身の取り組みから見直して、シーズンに入ったつもりですし、オフシーズンはチームとしてもちょっと変わった取り組みというか、今までになかったようなことにも取り組んできたので、そういう意味では開幕から楽しみなシーズンではありました。
――安田選手は昨季の最終戦に出場されましたが、あの試合のことは印象に残っていますか
安田 いや、あの試合はもう緊張していて、正直なところ何も覚えていなくて(笑)。途中からたくさん点が入って、もうJrリーグみたいな感覚で、6-1で勝っちゃって。気づいたら勝って終わっていたという感じなので、正直なところあまり覚えていないです。
――今季はたくさんの変化があるシーズンと言えるのではないかと思います。まずカテゴリーの違いという部分ではいかがですか
木下 自分たちが4年の代では、1部で戦いたかったというのが正直なところですけど、それができなくしてしまったのも自分たちの責任であって、与えられた舞台で何をするかというのが大事ですし、1年で1部昇格させるというのは絶対条件だと思うので、環境というよりは、自分たちの取り組みや自分たちの戦いの変化だと思います。
安田 ことしは監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)がある程度権限を自分たち4年生に任せてくれているので、自立というものを掲げている中で、4年生がどういう立ち振舞いをするかとか、どういうふうにチームを引っ張っていくかというのが重要だと自分は思っていて、ここまで前期の関東リーグが終わりましたけど、まだまだできることはあるので、目標を4年生が背中を見せて成し遂げていきたいというのは、すごく強く思っています。
――最上級生になった中で、ご自身の変化についてはいかがですか
安田 自分の中では、そのまま4年生に来たなという感じで、でも今までと比べれば自覚とか責任とかは生まれていますし、4年生がチームを引っ張っていくんだという思いは、過去の4年生の先輩の姿を見ているので、その偉大な先輩の背中を追いかけながら、自分たちも背中を見せながらという感じで、後輩に何か伝えていければなと思っています。
木下 過去の4年生をなぞるんじゃなくて、自分たちには自分たちの色があるというか、一人ひとりの個性が強くて、全員が(それぞれの)考えを持っているという部分があると思うので、伝統を引き継いだ上で新たな自分たちのかたちをつくっていくというのが、シーズンオフからミーティングを重ねて考えてきた部分ですかね。そういうところを発揮できたらいいと思います。
――3つ目の変化としては、新しい戦い方への挑戦というものもあると思います
木下 きょねんの戦い方はとにかく縦に速くというか、ロングボールが主体の戦い方だったんですけど、もちろんそれがうまくいけば一番速く相手ゴールに迫ることができる方法だと思うんですけど、それが相手に封じられたときに、手段がなくなってしまったというのがきょねんの反省でした。それにプラスして、自分たちでボールを支配しながら試合を進めていくというのは、絶対にできなければいけないので、そういうところはオフシーズンからトレーニングマッチとかを重ねる中で、各々のポジショニングの確認であったりとか、そういうことをこまめにやってきてシーズンを迎えたという感じですかね。ただ本質的にはゴールに一番速く迫るというのが、自分たちの中で常に持っているものなので、そこはぶらさずに色を加えるという感じです。
――以前よりも視野を広げたということですか
木下 そうですね。実はちょっと横にずらした方が縦への速さは出るんじゃないかとか。試合に勝つためっていうのを前提として、そしたらゴールを奪わなくちゃいけないので、じゃあ一番速くゴールを奪うためにはどうしたらいいかって言うと、一回横を経由して縦に行ったほうが速い、と。
安田 速さを出すための手段が増えたよね。追求だよね。
木下 そうだね。引き出しが多くなったよね、ことしは。
――その中でサイドバックの役割に変化はありましたか
安田 僕と諒は結構キックを蹴れるので、サイドバックからのフィードでチャンスをつくるということは、多くなったのかなと感じています。
木下 自分は身体能力があるわけじゃないので、ボールをつないだりとか、確実にボールを前に進めるという部分は常に意識してやっています。その中でゴールに直結するプレー、アシストだったりゴールだったりというのが少ないというのは、自分の課題だと思っています。
――チームとしての新しい取り組みが、試合の中で成果として現れている実感はありますか
安田 開幕戦(対日大:◯2−0)とかは結構良かったんですけど、上位陣との戦いになるにつれて、自分たちがやってきたことが通用していない部分もあったんで、まだまだここから高めていく必要があるのかなというのは感じました。特に国士戦(●1-2)とかは、相手が前からプレッシャーをかけてきて、その勢いに負けて自分たちが引いてしまう時間とかもあったので、そこをかいくぐれるだけのパス回しとか、速さの追求とかを、またやっていく必要があるなと。
木下 相手に寄っていた部分があって、相手がいるスポーツなので、相手の嫌なところを突いていけるようなチャレンジとかがまだまだ足りないなと。そういうところって相手を見る部分であって、判断とかそういうものが求められるところなので、自分たちが縦一辺倒でロングボールを放ってというサッカーをしていたときに失われていた『判断』という部分を求めるサッカーをことしやっていくことによって、判断の部分がついてくると思っていて。そういうのが相手の嫌なところを突くというところにつながってくると思うんですけど、それがまだ相手によって、できたりできなかったりというところがあって、強い相手になってくるとできないというのは、まだ自分たちの力ではないのかなというふうに思います。
――カテゴリーが下がってしまった今だからこそチャレンジできるという部分はあったんでしょうか
木下 さっき引き出しという話があったんですけど、どんなカテゴリーの相手とやるにしろ、相手の嫌なところを突ける自分たちの引き出しの多さだったりとか、自分たちのサッカーの質だったりとか、そういった部分はどのカテゴリーにいても必要なことであって、きょねんはその部分が1部で強い相手と試合をした時に、プレッシャーに負けてしまって蹴るしかなかったということで。もう一度自分たちのサッカーを見つめ直すという部分で、カテゴリーとか関係なしに、きょねんの反省を踏まえて、自分たちで取り組んでいきたいなって考えた部分ですね。
「怖いものなしに全部いける」(安田)
競り合いの強さもピカイチの安田
――ここからは時系列に沿って前期の総括をしていただきたいと思います。まずは天皇杯予選を戦いましたが、シーズンのスタートとしてはいかがでしたか
安田 正直法政戦(◯2−1)は勝てる自信しか無くて。というのも、オフシーズンの間に合宿とか練習試合とかを通じて、自分たちが新しいことに取り組んできて、まだまだ積み上げは浅かったんですけど、やってきたことへの自信というのがあって、みんなが自信を持ったままあの一戦に臨めました。僕のミスで先制されてはしまったんですけど、逆転できて、そこはチームとしてすごく大きかったのかなと感じているんですけど、次の国士戦(●1−3)に積み上げの浅さが露呈したというか、まだまだプレッシャーをかいくぐれなかったということをすごく感じて。その後3カ月間リーグ戦で他のチームとやって、また国士とやったんですけど、そこはまだ自分たちの取り組みが足りなかったなというのがあると思うんですよ。自分としてはまだ後期に11節ありますし、最終的に1位になっていればいいと思っているので、正直これからかなと思います。
――1部のチームに勝った直後に、同じカテゴリーのチームに敗れましたが、ショックはありましたか
木下 そんなにだったよね。
安田 切り替えてやっていこうと。
木下 ちょっとあっさり終わっちゃった感はあったけどね。でも、ことしは(天皇杯予選の実施が)3月終わりで、きょねんとかは7月にやっていたので。
安田 自分たちが獲得できるタイトルを1個失ったということはあるんですけど、そこで負けたからどうこうという話ではなかったので。
木下 リーグ戦も2週後くらいに控えていたからね。
――続けてリーグ戦の話に入りますが、序盤は順調に勝ち点を積み重ねました
木下 中大戦(△2−2)の後半とかはぼろぼろにやられたんですけど、相手のレベルに違いはあったかもしれないですけど、自分たちが基本的に主導権を握ってやれてたのかなというのはあります。
安田 逆に東農戦(●1−3)で初めて負けて、それまでの相手は全然プレッシャーをかけてこなくて、逆に東農戦は相手がすごく前線からプレッシャーをかけてきて、それに自分たちが柔軟に対応できなくてというところで、そこでも課題が見つかったんで。あの負けはあの負けでまた気付かされる部分があったので、自分的には良くはないですけど、良かったのかなと。
――その東農大戦を境に、終盤は思うように勝ち点が伸びませんでしたが、戦い方などで変化はありましたか
安田 戦い方はまったくぶれていないです。
木下 そこは単純に実力不足だったと思いますね。
安田 2分2敗なので、個人的にはそんなに良くはないと思っています。関東リーグ1部で優勝したときは、後期に1敗くらいしかしていなくて、1部でもそのレベルで戦っていたという過去があるので、自分たちが2部の舞台で戦っていると考えると、それは全然満足できるものではないと思います。いい部分と悪い部分というのが両方あったので、そこを夏に磨き続けるだけだと思います。
――その中でお二人の個人としての出来を振り返ってみていかがですか
安田 いやー、全然ダメですね。
木下 ダメですね。
安田 天皇杯の法政戦で点を決めることができて、自分はことしの目標として、公式戦で1年間で15ゴールして、ほぼ毎試合アシストをするっていうのを掲げていて、でも到底及ばなくて(笑)。その1得点だけで、アシストも全然できていないですし、だからもう自分の評価としては全然ダメですね。ただ後期あるので、そこはしっかり巻き返したいと思っています。
――15点の目標は変わらないということですね
安田 そうですね、あと14点ですね(笑)。14点と、後期毎試合アシストということで、頑張りたいと思います。
木下 自分も関東リーグで5アシスト以上、公式戦で年間10アシスト以上というのを掲げていたんですけど、まだ1アシストしかできていないし、試合によって波があるので、安定して常にいいプレーができるようにならないとダメだなと思います。自分は攻撃が好きなんですけど、得点に絡むプレーをしていきたいなといつも思っています。
――チーム全体の話に戻ります。現状大きな課題はありますか
木下 この前の国士戦の中で、やっぱり国士の勢いであったりとか、戦う姿勢だったりというのは、学ぶべきものがあるなと。自分たちもあれだけの強度というかインテンシティと言われる部分をもっと練習から出していかないといけないと思います。この前の国士戦で自分たちが感じて、(その意識が)熱いまま、トレーニングをし続けるというのが大事なのかなと思います。チームの練習メニューが大きく変わるということはあまりないので、一つ一つの練習の中で、ボゼッションのトレーニングがあるんですけど、守備側の強度を上げるのって自分たちの意識次第でどうにでもなるし、周りからの働き掛けとか声掛けでどうにでもなるので。試合に出たメンバーが厳しさや強さのことを一番よく分かっていると思うので、働き掛けであったりとか背中で見せるというところで、チームの質というのはいくらでも高められるのかなと思っています。
――国士舘大がいい目安になっている部分があるのですね
木下 そうですね。きょうの練習終わりに監督の話もあったんですけど、「この間の試合の敗戦というのを、ネガティブに捉えるのではなくてポジティブに捉えて、自分たちが足りなかったものについて取り組みをしていけばいい」という感じで。
――逆にここまでの戦いでポジティブな点はどこですか
木下 まあ得点力はついてるよね。
安田 そうだね。まあそう考えると、自分たちがことしから始めた速さの追求っていう部分では、得点が取れているので、そこは一つの自分たちが今シーズンに積み上げてきた成果が出ているのかなと思います。
――お二人のことについても伺っていこうと思います。お互いの今シーズンのプレーの印象はどうですか
木下 壱成は気持ちキャラで売っているんですけど、それだけじゃないです。攻撃においても守備においても全体的に能力が高いです。プレーに安定感があるというか、うまいです。気持ちだけじゃなく、それに裏付けされた技術があります。
安田 いやでも試合の時には気持ちはやはり高ぶりますね。普段はおとなしくしています(笑)。
――安田選手から見た木下選手の印象は
安田 僕のイメージはずっと頭脳派プレーヤーで、身長が小さいながらも裏が取られることもないですし、基本的なプレーもうまいです。攻撃が好きと言っていましたが、しっかりアシストも決めてきますし、チームになくてはならない存在ですね 。あと1対1の守備も強いんですよ。僕は股抜かれたりしてしまうことがありますが、全然ないので、小さいながらも考えてプレーしている印象です。
――木下選手は攻撃の部分に強いこだわりがあるように感じます。いつ頃からですか
木下 ずっとですね。
安田 昔FWだったよね?
木下 そうそう。元々はFWやってて。小学校の頃はチームを全国大会に導くストライカーだったんですよ(笑)。めっちゃ攻撃好きです。サイドバックになったのは中学三年生の時に監督から「プロを目指すならFWでは厳しんじゃないか」と言われて、自分の中ですごい葛藤があったのですが、ポジションを下げることは逃げではないので、そのポジションで目指したという経緯はあります。
安田 中一の時はサイドバックで出てた?
木下 いやサイドハーフ。3トップみたいな感じで。
――安田選手はアンケートに空中戦が得意と書いてありました。身長が176cmながらも強みとなった要因はありますか
木下 いや、壱成の競り合いは相当強いですよ。
安田 相手を殺しにいってます(笑)。それこそ気持ちです。ボールが来たらほんとに相手を殺すつもりで当たりにいきます。僕は大学一年の時にぶつかって救急車で運ばれているのですが、その時も突っ込んで脳震盪になってるんです。そこから怖いものがなくなって全部いけるようになりました(笑)。別に落ちても少し痛いぐらいなんで。
木下 クレージーファイターなんですよ(笑)。
安田 怖いものがなくなって自信ができたので勝てるようになったと思います。一回やると相手も躊躇すると思うんですよね。僕はしないので(笑)。それが秘訣かなと思います。
――1発やれば相手も来づらいですよね
安田 そうですね。1発目が大事ですね。
――安田選手にはもう一つ、アンケートの50m走のところに、ほとんどの方が6.5秒、6.7秒のように書いていましたが、安田選手だけは6.99秒と書いてありました(笑)。
一同(笑)
木下 壱成切ってんの?(笑)
安田 いや、俺ギリ切ってる!(笑)。本当に99なんです(笑)。
木下 でも実際あれおかしいよね、大学生にもなって遅すぎじゃん(笑)。
安田 でも僕は本当に6.99です!(笑)。足は遅いんですよ。逆に7秒台ではないぞっていうアピールです(笑)。
――次にルーティンについてですが、木下選手はピッチに左足から入るということですがきっかけは
木下 何もないですね。ピッチに一礼して、左足から入るっていう自然な流れですね。ちょっと願掛けありますけど。あとは試合前日に爪を切るとかですかね。そうなると俺めっちゃあるなー。試合前日に飲むサプリメントも決めてますし。
安田 唯一思いついたのがあれだったんだよな〜 。
――そうですね。安田選手は「試合当日の朝、準備する」ですね(笑)
安田 小さい頃から遠征の準備とかバタバタしてて、もう朝やろってなりました。忘れ物とか多かったんですけど、それできてしまってからは夜準備できないです。夜はゆっくりしていたいですね。当日に慌てて準備するっていうのが流れですね。
木下 僕は逆です。前日の夜にすべて準備して、朝はスパイクを入れるだけにしています 。
安田 僕何も準備してないですね。普通に朝、ユニホームがかかったまんまです(笑)。朝起きてご飯食べて準備してって感じです。
木下 いや俺は全然ないわ。
――憧れの選手という欄もありました。安田選手は…
安田 もちろん、ダビド・ルイス。理由は言わなくても。僕のDNAです。
――一応理由にはクレージーファイターだからとあります
一同(笑)。
安田 彼はすごいです。僕の師匠です。ルックス、髪型、プレースタイル、全てが好きです。
――ポジションが違っても好きですか
安田 やっぱり好きですね。
――同じポジションの選手はいないのですか
安田 僕は転向して右サイドバックになりましたが、やはりボランチで出たかったという思いが強いので、いないですね。
――逆に木下選手は同じポジションの…
木下 アラバですね。あの選手はとりあえずうまいです。外でも中でも遜色なくプレーできるというか、うまいです。
――アンケートにことしのチームは「我が強い」とありました。それはプレー面、私生活においてということですか
木下 両方すごいですね。個性があふれてますね。面白い代です。
――喧嘩したりはしませんか
安田 ピッチ上では熱く言い合いますけど、寮に戻ったら普通です 。いい関係が築けていると思います。
――先ほど面白いと言っていましたが具体的に誰が面白いとかはありますか
木下 曽我君(DF曽我巧、社4=東京・早実)とか、野田君(FW野田紘暉、スポ4=東京・早実)とかですね。
安田 この対談では言えないような事してきます(笑)。特に曽我巧君は本当にチームを盛り上げてくれます。関東リーグ前の決起会に出し物とかをしてくれて士気を高めてくれます(笑)。去年の早慶戦もしてくれてました。僕たちの中でのハードルを毎回超えてくるので。
――同じ最終ラインのDF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)についてはどうですか
木下 キャプテンて感じですね。
安田 (アンケートに)書いてあると思うんですけど、俺らの代はあいつしかいないと思ってます。
木下 それは一緒ですね。
安田 キャプテンの風格もありますしチームを引っ張ってくれてますし。
木下 全日本に行っても信頼されてますし。人間性、存在感が際立ってると思います。
――イチオシの選手という欄がありまして、木下選手は自分、安田選手はMF柳沢拓弥選手(社4=清水エスパルスユース)ということでしたが
木下 我を出しました(笑)。見てくださいということで。
安田 僕の理由としては、やはりきょねんのジュニアリーグで二人で雑草魂をもって試合に出るぞと思いながらやっていたので、やってくれるんじゃないかなと思います。昔は出るために攻撃面にフォーカスしてやっていたと思うんですけど、今はチームに貢献するために守備にも力を入れているのですごく助かっていますし、なんとか強みを出してもらえるように僕もプレーしたいです。
「4年生の力で勝ちたい」(安田)
最後の早慶サッカーに向けた意気込みを話す二人
――早慶サッカーについてもお伺いしたいと思います。思いはどうですか
木下 すごいですよね本当に。プレッシャーもすごいですし。試合に入ったときから鳥肌が止まらないので、本当に素晴らしい舞台だなと思います。1試合の重みとよく言われますが、どの試合も大事なのですが、早慶戦だけは特別だなと感じます。
安田 きょねんはバックアップでアップまで一緒にやりましたがベンチには入れず、ずっと後ろから見てて、勝ったときに一緒に肩組んで紺碧の空を歌いましたが、あれを試合に出て勝って歌うことができたら、言葉にできないうれしさというか、自分の人生において大きなものになると感じています。早慶戦は4年生ということで最後なので、何が何でも出て、なおかつ勝てたら素晴らしいものになると思います。なんかプロみたいなので。あんなに観客が入ることもないですし。
――毎回お互いの意地とプライドがぶつかり合う試合になっていると思います
安田 最初は慶応のこと嫌いじゃなかったのに、いつの間にか嫌いになってました。
木下 最初は本当に「早慶戦って何」って感じだったんですけど、一度見たら、これはすごいなと。それはバチバチするなと思いましたね。
――6連覇が懸かる試合ですが、ここまで勝ってきた5戦全てが無失点です
木下 すごいプレッシャーですよね(笑)。そこにはこだわりたいですけど、これまでがすごいですよね。去年は最初から危ないやつあったしな。
安田 それだよね。逆に後輩にプレッシャーを与えたいですね 。無失点で勝ってね。
――ことしはリーグ戦での対戦がありません
安田 逆にそこしかないので人生であと1回ということで最後の早慶戦ですね。思い入れは強いです。
――MVP候補にはお二人とも自分を挙げています
安田 やっぱりね、もし出れたときにはチームが勝ってね、自分も活躍してMVP欲しいよね。
木下 チームが勝つために自分が活躍する。そういう感じです。
――個人的な目標は
安田1ゴール1アシストで。できればヘディングで決めたいですね。それがMVPへの近道かなと思います。
木下 僕もいつも出た時は得点とアシストを狙ってるのでそれで。
――お互いの活躍が拮抗した場合はどうしますか
木下 観てる人に委ねます(笑)。なんか細かいここを見てるか!みたいなところですね。僕はSBなんでオーバーラップのタイミングとか。すごくいいタイミングで上がってるときとかあるんですよ。上から見てるとわかりやすいことだと思います。あとはどれだけ効果的な縦パス出してるとか。そういう細かいプレーの正確性を見てほしいですね。
安田 僕はキックですね。僕いいキックしたときにベンチの方をチラッと見る癖があるんですよ(笑)。そこに注目してください(笑)。
――最後に早慶サッカーへの意気込みをお願いします
木下 勝ちます。きょねん4年生が「責任は俺たちが取るから、のびのびプレーしてほしい」と言ってくれました。そういう4年生の姿勢が大事だと思いますし、ことしは僕たちがそういう姿勢で後輩に伸び伸びやってもらって、なおかつ自分が得点に絡んで勝利に導けるように頑張りたいです。
安田 僕も4年生の力が重要だと思っています。2年生のときの合宿で監督から「お前らは史上最弱の代だ」と言われました。それがすごく頭に残ってて、やっぱりそれを見返したいですし、僕たち4年生の力で勝ちたいですね。
――ありがとうございました!
(取材・編集=高橋弘樹/守屋郁宏 写真=大島実咲/柴田侑佳)
二人の気迫あふれるプレーに注目です!
◆木下諒(きのした・りょう)(※写真左)
1995(平7)年9月30日生まれ。163センチ/63キロ。福島・富岡高出身。前所属・JFAアカデミー福島。社会科学部4年。大切にしている言葉は『平常心是道』だという木下選手。昨年の早慶サッカーでは意表を突くキックフェイントで先制点をもたらしました。ことしはどんな頭脳プレーを見せてくれるのでしょうか!
◆安田壱成(やすだ・いっせい)(※写真右)
1995(平7)年4月12日生まれ。176センチ/68キロ。宮城・宮城野高出身。前所属・ベガルタ仙台ユース。スポーツ科学部4年。柳沢選手と特に仲がいいという安田選手。正確なロングフィードと迫力満点の競り合いで等々力の大観衆を沸かせてくれるはずです!