遠かった『日本一』。アミノ杯はベスト16で敗退

ア式蹴球男子

 試合終了を告げるホイッスルが鳴り響く。その瞬間、歓喜の雄叫びを上げたのは流通経大の選手たちだった。4年生を中心に、それぞれが並々ならぬ決意を抱き臨んだアミノバイタルカップ2017(アミノ杯)2回戦。しかし、その結末はあまりにも残酷だった。0-2とリードされた65分に1点を返し、その後もチャンスをつくり続けた早大だったが、最後まで追い付くことはできず。日本一への挑戦は、早すぎる終幕を迎えることとなった。

 先制点が欲しい早大は17分、MF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)が直接FKでゴールを狙う。ボールは縦に割れる軌道を描き枠内へと向かったが、このシュートは相手GKオビ・パウエルオビンナ(2年)にセーブされた。するとその6分後、一瞬の隙を突かれ先制を許してしまう。自陣右サイドからのスローインで相手DF小池裕太(3年)に抜け出されると、小池の横パスを受けた新垣貴之(3年)にダイレクトで蹴り込まれ失点。ビハインドを背負った早大だったが、その後はなかなか効果的な攻めを展開することができず。前半は0-1のまま折り返した。

3試合ぶりにスタメンに復帰したMF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)

 後半もなかなかペースをつかむことができない。すると60分、FKからゴール前で混戦となったところを、最後は相手MF渡邊新太(4年)に豪快に決められてしまった。逆転に向けあとがない早大は64分、DF安田壱成(スポ4=ベガルタ仙台ユース)からのロングボールをMF今来俊介(商4=神奈川・桐光学園)が折り返したところに、走り込んだFW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU-18)が頭で押し込み1点を返す。さらにその1分後、高い位置でボールを奪ったMF鈴木裕也副将(スポ4=埼玉・武南)からのスルーパスに抜け出した相馬が右足を一閃。しかし、シュートはDFにブロックされ同点とはならない。その後もFW岡田優希(スポ3=川崎フロンターレU−18)やMF冨田康平(スポ3=埼玉・市浦和)を投入するなど攻撃的なカードを切り、懸命に同点ゴールを目指した。80分、冨田がドリブルで相手のギャップを突き持ち上がると、自ら左足を振り抜きミドルシュートを放つ。ボールは枠内を捉えたものの、またもオビに阻まれ得点には至らない。それでも諦めない早大は90分、「カギになる」(石川)と話していたセットプレーからビッグチャンスをつかむ。相馬の左CKに安田がフリーで飛び込みヘディングシュート。しかし、強く叩き付けられたボールはワンバウンドしたあと無情にもゴール上へと外れ、好機を生かすことはできず。このまま1−2で敗れ、今大会はベスト16敗退となった。この結果、7位以内に与えられる総理大臣杯出場への切符を逃すと同時に、今季最大の目標の一つであった日本一の可能性も完全に消滅した。

日本一の夢はここでついえた

 「日本一に導けなくて申し訳ない」。試合後、チームメイトに向けDF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)は言葉を振り絞った。チーム一丸となって大学サッカー界の頂点を目指してきたエンジイレブン。しかし志半ばで夢はついえた。「今は気持ちの整理がつかない」(鈴木裕)という言葉からも、大きな目標を失ってしまったことへの悔しさがひしひしと伝わってくる。特にチームを引っ張ってきた4年生たちは、この現実をありのまま受け入れるまでに時間を要するかもしれない。ダメージは決して小さくないはずだ。それでも、「また一歩ずつ進んでいくしかない」(鈴木裕)。まだ目標の全てが失われたわけではない。残された目標に向け、歩みを止めてはいけない。「まだ全てが終わったわけじゃない。一部昇格という大きな目標がある。来年のためにも、このままじゃ絶対終われない。全員が今やるしかない」(鈴木準)。一年での一部昇格、絶対に成し遂げて欲しい。そして7月15日に行われる早慶定期戦、何が何でも6連覇を達成して欲しい。応援する誰もが、次こそは歓喜の瞬間が訪れると信じているはずだ。

スターティングイレブン

 

(記事・写真=栗村智弘)

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アミノバイタルカップ2017
早大 0-1
1-1
流通経大
【早大得点者】65石川
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 小島亨介 スポ3 名古屋グランパスU−18
RB 安田壱成 スポ4 ベガルタ仙台ユース
CB ◎鈴木準弥 スポ4 清水エスパルスユース
CB 大桃海斗 スポ2 新潟・帝京長岡
LB 木下諒 社4 JFAアカデミー福島
MF →78分 冨田康平 スポ3 埼玉・市浦和
CMF 今来俊介 商4 神奈川・桐光学園
MF →84分 金田拓海 社2 ヴィッセル神戸U−18
CMF 10 秋山陽介 スポ4 千葉・流通経大柏
RMF 11 柳沢拓弥 社4 清水エスパルスユース
MF →57分 鈴木裕也 スポ4 埼玉・武南
LMF 相馬勇紀 スポ3 三菱養和SCユース
CF 14 石川大貴 スポ4 名古屋グランパスU-18
CF 飯泉涼矢 スポ4 三菱養和SCユース
FW →71分 岡田優希 スポ3 川崎フロンターレU−18
◎=キャプテン
監督:古賀聡(平4教卒=東京・早実)
コメント

DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)

――率直な今の気持ちをお願いします

本当に悔しいです。

――日本一の可能性はついえてしまいました。そのことについては

自分たち4年生がその目標を立てて、チームに伝えて、覚悟を決めてみんなでやっていこうと言っていた中でこれを逃して、もうインカレにも出れないですし、自分たちの引退する日はこれで決まってしまったわけで、少しでもこのチームで長くやりたかったし、まだまだワセダでやらなきゃいけないことだったり、残したいものがある中で、結果としてそれを逃してしまいました。一年生も入ってきて、自分たちが最上級生として背負う立場になりましたけど、俺も含めまだまだ全然背負えてなかった、覚悟が足りなかった、その結果だと思うし……。色々な面を含めて、まだまだ弱いってことだと思います。

――もっと背負っていかなければならないという話がありました。シーズンはまだ続いていく中で、どういった意識で取り組んでいきたいですか

早慶戦もありますけど、そういうところで4年生が戦いぶりを見せていかなければいけないですし、後期のリーグ戦もある中で、それに向けてこれから2ヶ月間オフシーズンがあるわけなので。そこでの取り組み方というか、取り組む姿勢、それは抽象的なものではあるけど、がむしゃらさっていうのは伝わると思うので、それをやっていかなければいけないと思います。