攻撃面の低調響き、開幕8戦目で初黒星

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)第8節が行われ、東農大と対戦した。5連勝でこの試合を迎えた早大だったが、前半に不用意なボールロストから2失点を喫し、追う展開となる。後半に入り、65分にMF柳沢拓弥(社4=清水エスパルスユース)の得点で1点を返したが、85分に再びミスから失点して万事休す。今季リーグ戦で初黒星となり、順位も2位に後退した。

 序盤は両チームともにロングボールを多用するものの、シュートまで持ち込めずに時間が過ぎ去った。守備時に重心を下げ、5-4のブロックを形成する東農大を前に、早大はなかなか攻撃の糸口をつかめずにいた。それでも、19分にMF今来俊介(商4=神奈川・桐光学園)の高い位置でのボール奪取を、MF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)のシュートまでつなげるなど、じわじわとゴールに迫る。しかし、好機をモノにできずにいると、東農大がワンチャンスで均衡を破った。36分に中盤でボールを奪われると、シンプルにサイドに展開され、中央で折り返しを受けたFW影森宇京(2年)に決められる。さらに、42分にも左サイドを起点に決定機をつくられると、43分には不用意なパスミスからあっさりと追加点を許した。

名古屋グランパス入りが発表された秋山はこの日もボランチで出場

 後半の立ち上がりは、東農大が勢いそのままに何度か好機を演出したが、60分を過ぎたあたりから早大が反撃。左サイドから何度か相手陣内深くに侵入してリズムをつくると、65分に中央での崩しから追撃弾が生まれる。最終ラインのDF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)の縦パスを起点に、FW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)、FW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU-18)が小気味よくつないで、相手守備陣の裏に抜け出した柳沢が、GKとの1対1を制した。これがきっかけとなり、東農大がやや受け身となると、攻勢を強める早大。74分には、右サイドの柳沢が中央にボールを送ると、走り込んだ秋山に決定機が訪れたが、シュートはGK正面。その後もサイドから盛んにクロスボールを供給したものの、中央でのあとひと押しができずに、もどかしい展開が続く。すると、焦りもある中で、85分に待っていたのは落とし穴だった。ピッチ中央付近での短いパスでのリスタートを狙われて簡単にボールを失うと、相手FWに独走を許して、3失点目を喫する。追い上げムードの中、再びミス絡みで失った1点は、東農大イレブンに心理的にも余裕を与える、決定的なゴールとなった。

柳沢の一撃で詰め寄るも及ばなかった

 「今まで自分たちがやってきたところが少し薄まってしまった」(秋山)。攻撃時にボールを持っていない選手の動きが少なく、人数をかけて守る相手を前に効果的な攻撃には至らなかった。3つの失点シーンについても、全てつなぎの中で生じたミスが起点となっており、試合後に選手たちが揃って課題に挙げた「アクション」の少なさが、攻守にわたって影響してしまったといえるだろう。この敗戦を機に、「攻守においてアグレッシブに挑戦していく」(古賀聡監督、平4教卒=東京・早実)という基本を徹底し、よりしたたかな集団へと進化したいところだ。

スターティングイレブン

 

(記事=守屋郁宏 写真=栗村智弘/山下夢未)

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関東大学リーグ戦
早大 0-2
1-1
東農大
【早大得点者】65柳沢
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 笠原駿之介 法2 埼玉・早大本庄
RB 安田壱成 スポ4 ベガルタ仙台ユース
CB ◎鈴木準弥 スポ4 清水エスパルスユース
CB 18 大桃海斗 スポ2 新潟・帝京長岡
LB 12 木下諒 社4 JFAアカデミー福島
MF →82分 冨田康平 スポ3 埼玉・浦和
CMF 今来俊介 商4 神奈川・桐光学園
CMF 10 秋山陽介 スポ4 千葉・流通経大柏
RMF 11 柳沢拓弥 社4 清水エスパルスユース
LMF 相馬勇紀 スポ3 三菱養和SCユース
CF 14 石川大貴 スポ4 名古屋グランパスU-18
CF 19 武颯 スポ4 横浜F・マリノスユース
FW →73分 飯泉涼矢 スポ4 三菱養和SCユース
◎=キャプテン
監督:古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦2部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
国士舘大 20 15 +9
早大 19 25 +16
拓大 13 11 +5
中大 12 16 14 +2
東京学芸大 11 13 14 −1
神奈川大 10 16 14 +2
東農大 10 13 11 +2
東海大 10 13 14 -1
日大 13 -4
10 青学大 17 -6
11 立正大 11 20 -9
12 朝鮮大 17 -13
※第8節終了時点
※上位2チームが自動昇格
コメント

DF木下諒(社4=JFAアカデミー福島)

――きょうの試合はいかがでしたか

率直に攻守において全然うまくいかなかったというのが感想です。具体的には攻撃のところで、相手がブロックを敷いて後ろに人数をかけてくる中で、一人ひとりが自分のポジションで勝負をし過ぎたというか、もっと流動性を持って余分にアクションを起こす、そこから相手のスペースを突いていく、そういう攻撃ができなくて、最後は相手に前でスライドされた状態で仕掛けてしまうという場面が多くなりました。結局相手を崩すことができなかったというのが印象としてあるので、もっとボールに関わるアクションを増やしていかないと、こうやってブロックをつくってくる相手に対しては難しくなると感じました。

――攻撃面で特に苦戦したという印象が強いということでしょうか

そうですね。ただ守備に関しても、前半に二つのチャンスを決められてしまったり、もう一つ危ないシーンをつくられてしまったり、攻撃に少し比重を置いている分、ポジショニングが少し広めになってしまって、失ったところでカウンターを食らうという場面がきょうだけでなくこれまでにもあったので、もう一度攻守のバランスを考えながら、攻撃に入ったときには自分たちから流動的にアクションを起こしていくという意識は、もっと共有した方がいいかなと思いました。

――2点を追う展開になったのはリーグ戦では初めてでした。チーム全体に焦りはありましたか

前半のうちに2点を取られたので、まだ焦る必要はないという意識はありましたし、焦りは特になかったです。ただ、前半のうちに1点取れなかったことと、2点目を取られた時間が悪かったことが、試合を難しくしてしまったかなと思いますし、後半は少し攻撃が単調になってしまったかなとも思います。

――1点返してさらにチャンスをつくれていた中で、痛恨の3失点目を喫してしまいました

真ん中でのボールの失い方が悪くて、それを後ろで処理し切れずに簡単にカウンターを受けてしまったというかたちでしたけど、あれをやってしまうと自分たちの攻撃のかたち、アグレッシブに攻めていくというのをなかなか出せなくなってしまうので、ビルドアップの部分でのミスはチームとして絶対になくさなければいけないと思います。前がかりになっている中でもリスク管理を考えなければいけなくて、きょうの2失点目もプレッシャーが全然かかっていないところからシンプルにやられてしまったという感じだったと思うんですけど、ああいう失点はなくしたいですし、攻撃に少し比重を置いている分もう一度守備のところを見直す必要があるかなと思います。

――リーグ戦初の黒星となりましたが、チームとして次節までにどういった準備をしていきたいですか

ことしのチームは一人ひとりが主体的にできる部分が強みだと思うので、引きずる選手はいないと思いますし、あしたのオフを挟んでしっかりリフレッシュして、一人ひとりが何をするのか頭の中を整理した状態で火曜日の練習を迎えられれば問題ないと思います。

MF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)

――きょうの試合を振り返って

今まで自分たちがやってきたところが少し薄まってしまったゲームだったと思うので、そこに対してもう一回一人ひとりが考えることと、チャンスで決め切れないというところと少ないチャンスをものにされたというところで、勝負弱さというのが見えた試合だったと思うので、もう一回、一から一人ひとりが見直してやっていきたいと思います。

――きょうの敗戦は、自分たちから崩れてしまったことが大きいのか、それとも相手の戦い方を前に苦労してしまったことが大きいのか、どちらだと思われますか

相手が引いてきてしっかりブロックをつくってきたということもあるんですけど、結局自分たちの攻撃に関わる意識だったり、連続して動くというところであるとか、基本的な部分が自分たちの中で薄まってしまったのが原因だったと思っています。

――秋山選手のところに東農大のボランチの選手がマンマークでついてきていました

それに関しては準弥(DF鈴木主将、スポ4=清水エスパルスユース)とモモ(DF大桃海斗、スポ2=新潟・帝京長岡)と連携をうまく取って、誰かがフリーになるように動いていたので、特にプレッシャーを感じることはなかったです。

――相手が構えたことでロングボールを使うことも増える中、セカンドボールの回収に苦労されていたように感じました

もう少しロングボールを入れたところでの全員のセカンドボールへの意識というものをもっと強めないといけないと思いましたし、ブロックをつくられていた中でもしっかりボールを受けることであったり、攻め切ることっていうのはまだまだできると思うので、そこに対しての質というのはもっと上げないといけないなと思います。

――失点3つはミスが絡んでのものでしたが

そこは自分たちの弱さであるところだと思うので、もう一回自分たちのやるサッカーというものに自信と誇りを持って、自分たちがボールを持っても攻めるという覚悟がまだまだ足りないと思うので、そこに対してみんなでやっていきたいと思います。

――今後に向けて一言お願いします

今回負けたということをしっかり生かして、何が悪かったのかということを自分たちで考えて、次の試合でしっかり勝ち切れるようにやっていきたいと思います。

FW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU-18)

――試合を振り返っていかがですか

絶対に勝たなければいけない試合だったのですが、入りの部分で相手が勝ちたいという気持ちをチームで表現してきたのに対して、こちらは迫力が足りませんでした。それでゲームの主導権を握られてしまったと思います。

――相手ディフェンスの印象を聞かせてください

今までは引いてくるチームが多かったのですが、きょうは前からプレッシャーをかけてきて、いつもと違うかたちになる場面が多かったです。変化してくる相手に対して自分たちが柔軟に対応できなかったと感じています。

――前からプレスをかけてくる相手に対して、どのように攻めることを意識していましたか

相手が3-4-3だったのでサイドまでいければ決定機をつくれるかなと思っていました。ただ、途中で相手が4-4-2にシステムを変えてきて、事前の対策を修正し切れずに失点してしまったのが大きな敗因かなと思います。

――アシストのシーンを振り返っていかがですか

もうワンテンポ早いタイミングでボールを出そうと思っていたのですが、自分への相手のプレッシャーがあまりなかったので、そのまま拓弥(MF柳沢、社4=清水エスパルスユース)がダイレクトでシュートを打てるようなボールを出せるようにと思ってタイミングを見ました。合わないかなと思ったんですけど、キーパーも出てこなくて、うまくいって良かったです。

――一方で、試合中なかなかシュートまで持ち込めませんでした

颯(FW武、スポ4=横浜F・マリノスユース)との関係もあって、自分が一歩引いて受ける分、なかなかシュートを打つ機会というのは今シーズンの試合で少なくなっているので、個人的な課題かなと思っています。

――次戦への意気込みをお願いします

今回の負けを無駄にせず次回に生かして、この負けがあったからこそ強くなれたと言えるように、トレーニングから気を引き締めてやっていきたいと思います。