前節を終え今季初めて首位の座についた早大。関東大学リーグ戦(リーグ戦)第7節となったこの日は、青学大と対戦した。前半終了間際にDF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)のゴールで先制した早大は、後半に4点を追加し青学大を圧倒。5−1の快勝を収めた。
この日最初のビッグチャンスは8分に訪れた。FW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU-18)が細かいタッチで相手をかわし右でフリーになっていたFW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)に展開。しかし、武の放ったシュートは相手GKのファインセーブに阻まれ、惜しくも左ポストに弾かれた。その後も連勝中の勢いそのままに再三にわたりチャンスをつかむ。13分、MF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)の絶妙なスルーパスに抜け出した武が相手GKをかわしシュート。しかし、これも左ポストに直撃し、ゴールネットを揺らすことはできない。30分には石川が相手GKと1対1、35分にはCKをDF大桃海斗(スポ2=新潟・帝京長岡)がフリーでヘディングと、続けざまに絶好機を迎えるも、いずれも決め切ることができない。流れを断ち切らないためにも前半のうちにリードを奪いたい早大。迎えた前半アディショナルタイム、スコアを動かしたのは頼れるキャプテンだった。MF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)の蹴ったCKをニアサイドに走り込んだ鈴木準が相手GKの目の前でヘディング。コースの変わったボールは、GKの面上を貫きゴールネットに吸い込まれた。
腰の負傷から復帰したDF安田壱成(スポ4=ベガルタ仙台ユース)
後半に入ると好調の攻撃陣が爆発。圧巻のゴールラッシュで青学大を突き放した。まずは54分、石川のパスを受けた相馬が左サイドからカットインでボックス内に侵入。「毎日練習してきた」というかたちからゴール右隅に正確なシュートを決めた。続いて60分、石川の鋭いスルーパスに抜け出したのは得点ランクトップを独走する武。この日は前半から決定機を決め切れずにいたが、この場面ではしっかりとゴールを陥れ、今季10点目をマークした。その後一点を返された早大だったが、ひるむことなく貪欲に追加点を狙い続ける。81分、相馬からの縦パスを受け前を向いたのは、途中出場のFW岡田優希(スポ3=川崎フロンターレU-18)。得意のドリブルでみるみるうちにシュートレンジまでボールを運ぶと、ゴールほぼ正面から素早く右足を振り抜き、今季3点目となるゴールを決めた。さらにアディショナルタイムには、相馬がこの日2点目を挙げる。見事な切り返しで相手GKを翻弄(ほんろう)したチーム随一のドリブラーは、90分に渡るハードワークの疲れを微塵も感じさせない冷静なシュートをネットに突き刺し、怒涛(どとう)のゴールラッシュを締めくくった。
2得点を挙げた相馬
これで破竹の5連勝。今季の成績を6勝1分とし、首位をキープした。前節と同様、この試合も先制まで我慢の展開を強いられたエンジイレブン。それでも、堅牢な守備でゴールを与えず、リードするそのときがくるまで辛抱強く耐え抜くだけの力を、この試合でも発揮することができた。「(FW陣が)攻撃だけではなくて、守備でも前からアグレッシブにいってくれて、チームとしても本当に攻守でいいスイッチになってくれている」という言葉通り、全員が猛然とボールに襲いかかり、球際の攻防で一歩も引かない。堅実かつダイナミックな守備のスタイルは、たとえ2部であっても健在だ。それに加えて、今季は攻撃面でも好調を維持しており、さらなる連勝にも期待がかかる。リーグ戦前期は残り1ヶ月。神奈川大や国士舘大といった、難敵との対戦も控えている。7月からは日本一へとつながるアミノバイタルカップが開幕。さらには早慶定期戦も控えており、これから1部の精鋭と矛を交える機会も増えてくるだろう。「一戦一戦とにかく勝つ」。立ちはだかるライバルたちを跳ね除け、この好調ぶりが決して偶然ではないことを証明して欲しい。
スターティングイレブン
(記事=栗村智弘 写真=吉澤奈生)
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関東大学リーグ戦 | ||||
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早大 | 5 | 1-0 4-1 |
1 | 青学大 |
【早大得点者】45+2鈴木準,54.90+2相馬,60武,81岡田 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 笠原駿之介 | 法2 | 埼玉・早大本庄 |
RB | 2 | 安田壱成 | スポ4 | ベガルタ仙台ユース |
CB | 4 | ◎鈴木準弥 | スポ4 | 清水エスパルスユース |
CB | 18 | 大桃海斗 | スポ2 | 新潟・帝京長岡 |
LB | 12 | 木下諒 | 社4 | JFAアカデミー福島 |
CMF | 8 | 今来俊介 | 商4 | 神奈川・桐光学園 |
CMF | 10 | 秋山陽介 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
RMF | 11 | 柳沢拓弥 | 社4 | 清水エスパルスユース |
MF | →89分 | 冨田康平 | スポ3 | 埼玉・浦和 |
LMF | 7 | 相馬勇紀 | スポ3 | 三菱養和SCユース |
CF | 14 | 石川大貴 | スポ4 | 名古屋グランパスU-18 |
FW | →86分 | 飯泉涼矢 | スポ4 | 三菱養和SCユース |
CF | 19 | 武颯 | スポ4 | 横浜F・マリノスユース |
FW | →74分 | 岡田優希 | スポ3 | 川崎フロンターレU−18 |
◎=キャプテン 監督:古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
コメント
DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)
――きょうの試合はいかがでしたか
前半からなかなか得点ができなくて、できていればもっと楽な試合運びになったと思いますし、自分たちで自分たちの首を絞めてしまったと思います。失い方も自分たちに中盤のところで前向きに奪われてカウンターを食らうかたちだったので、そういったところの精度はもっと高めていかなければいけないですし、ある程度自分たちがボールを持っている以上は決められるところでしっかり決めていけるようにしたいです。
――前半はチャンスをつくっても得点が奪えない時間帯が続きました
前線の選手もいつも以上に仕掛ける回数が多かったと思うんですけど、それがなかなか点につながらなくて、味方とプレーが合わないときは少しイライラしているところも見えました。その辺りはもう一度しっかり合わせていきたいです。
――その中で準弥選手が奪った先制点は大きかったですね
キーパーも出れなくて、1枚目のポストの選手を超えるボールが来てくれて、シュートに関しては入ってくれたという感じですけど、本当にいいボールを蹴ってくれたと思います。
――東海大戦でも同じパターンから得点を奪いました
自分は身長がない分競り勝って得点というのはなかなかできないので、ああいう隙を突くようなプレーでチャンスをつくっていかなければいけないですし、そこは工夫しているところでもあります。
――FW陣が好調をキープしています
決めれるところでしっかり決めてくれています。もちろんまだまだ課題もありますけど、そうやって点を取ってくれるのはチームとしても助かっていますし、前で体を張ってくれるので、そこから得点につなげることができていると思います。攻撃だけではなくて、守備でも前からアグレッシブにいってくれて、チームとしても本当に攻守でいいスイッチになってくれていると思います。
――前線からの守備は効いていると思いますか
そうですね。チームとしてもそういったところはやっていきたいことですし、苦しい中でも本当によくやってくれていると思います。
――首位に立ったことで追われる立場になります
あくまで自分たちが目指しているところは、1部昇格や日本一というところであって、現状としてはこうでなければいけない状態にあると思いますし、今までは国士舘っていう首位を見ながら戦ってきたわけですけど、ここから先は自分たちも勝ち点を落とさないように戦わなければと思います。でも、首位を守るっていう戦い方をするのではなくて、一戦一戦とにかく勝って、シーズンが終わったところで首位に立っていられるようにしたいですし、2部の首位であったとしても、上の1部にさらに12チームいるわけですから、まだまだ低いところですし、アミノバイタルとかも始まってくる中でそういったチームにも勝てるようにしていきたいです。
MF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
攻撃でも守備でも全体的に自分たちのやりたいことができたかなと思います。
――先制点のアシストについて振り返って
あのかたちは東海大戦でも入れているかたちでした。キーパーが出られないけど、触ったらゴールになるという狙ったところに蹴ることができました。
――ご自身も2得点されましたが振り返って
ことしはゴールを取りにいくということを目標にしているので、毎日練習後にきょう成功したかたちのシュート練習をしていました。それが結果につながって良かったです。
――チームは5連勝しています、チームの状態はいかがですか
結果としては勝って首位に立てたのは良かったのですが、きょうも1失点しているのでまだまだ足りないところがあると思いますね。
――具体的に足りないところとは
前半はいいんですけど、後半の中盤から終盤にかけての25〜30分くらいの時間帯にプレッシャーがいけなくなって押し込まれてしまいます。そういう時間帯に走り切ること、パスをつないでカウンターでしっかりと仕留めることに関してはもう少し改善できると思いました。きょうは比較的できていたかなと思います。
――次節への意気込みをお願いします
首位に立って追われる立場にはなるんですけど、そういうことは関係なく勝ち続けるしかないので、次も一生懸命頑張ります。