関東大学リーグ戦(リーグ戦)は第5節を迎え、一年での1部リーグ復帰を目指す早大は、東海大と対戦した。試合は、DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)の得点で先制した早大が優位に進める展開となる。3試合連続で一試合2ゴールをマークしていたFW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)がこの日も2得点を奪い記録を伸ばすと、MF柳沢拓弥(社4=清水エスパルスユース)も3戦連発となるゴールを決め完勝。開幕からの戦績を4勝1分けとし、全勝で首位に立つ国士舘大を追走する。
事前の予想通り、東海大はチーム全体の重心を低くし、守りを固めてカウンターを狙う戦法を採用。それに対し早大は、最終ラインの鈴木準とDF大桃海斗(スポ2=新潟・帝京長岡)から最前線の武とFW石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU−18)まで、全員が常に位置取りを変えることでパスを細かくつなぎ、隙を見て相手の裏を突く攻撃を展開した。26分、MF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)のロングボールを相手DFの背後に抜け出したMF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)が左サイドで受けると、切り返しから鋭いクロスを供給。勢いよく武が飛び込んできたが、頭にはわずかに合わず、先制とはならない。その後も何度か惜しい場面を迎えていた早大は37分、ついにゴールをこじ開けることに成功する。相馬の蹴った左CKを「スピードをつけてストーンの手前に入ることを意識していた」鈴木準が、相手DFの手前でうまくボールに触り、狙い通りのヘディングシュートをゴール右に流し込んだ。さらに前半終了間際の45分、勢いそのままに貴重な追加点を奪い取る。大桃からのロングフィードを石川が頭で落とすと、ボールは武のもとへ。開幕から5試合連続ゴール中の点取り屋は、素早いターンで相手DFを振り切り、ゴールの天井に突き刺さる強烈なシュートを決めた。
追加点の起点となった大桃
後半も早大ペースで試合は進んでいく。65分、右サイドからカットインした柳沢が得意なかたちに持ち込み左足でシュート。これはわずかにゴール右に外れたが、その後も追加点を目指し、勇猛果敢に攻め込み続ける。68分、右サイドに流れた武からのパスを受けたのは、この日がリーグ戦初出場となったDF井上純平(商3=東京・早実)。「自信を持ってやろう」という意気込み通り、思い切りよく相手の最終ラインを突破しグラウンダーのクロスを入れると、そこに走りこんできた武が左足でゴールを陥れ、リードを3点に広げた。しかし81分、ミスからボールを奪われカウンターを発動されると、ラインを押し上げ前がかりになったことで生まれた後方のスペースを突かれ、失点を喫してしまう。それでもその4分後にはすぐさまリードを3点に戻すことに成功。85分、途中出場のFW岡田優希(スポ3=川崎フロンターレU−18)がドリブルで相手をかわすと、岡田からのパスを受けた石川が柳沢にうまく落とす。これを柳沢がダイレクトで振り抜き、抑えのきいた見事なシュートを叩き込んだ。
5試合で9ゴール。圧巻のペースでゴールを量産し続ける武
狙い通りのかたちから得点を重ね、試合の主導権を握ることで勝利したエンジイレブン。「前期の最終節にある国士舘との直接対決までは、勝ち点を落とさない」(MF今来俊介、商4=神奈川・桐光学園)という言葉からは、勝ち続けることへの覚悟と気概が強く感じられる。しかし、「失点の場面で自分たちの緩みが出てしまった」(井上)のは反省点の一つ。今後は、ボールを長く保持し押し込むことで生まれてくるリスクにどう対処するかということも、課題となってくるだろう。目標とする1部昇格、そして日本一までは、まだまだ長く険しい道程が続くに違いない。それでも勝利を積み重ねることで、一歩一歩ではあるが確実に、目指す場所へと近づいているはずである。集中応援日となる次節は、4位につける拓大との一戦。ここでも着実に勝ち点3を獲得し、また一歩、その歩みを前へと進めたいところだ。
(記事=栗村智弘 写真=篠原希沙)
★早慶戦の開催日時が決定!
伝統の一戦6連覇達成なるか
ことしで68回目(女子部は16回目)を迎える早慶定期戦の日程が7月15日(土)に決定した。女子部は15時30分、男子部は18時30分にそれぞれキックオフ予定。会場は例年通り川崎フロンターレの本拠地でもある等々力陸上競技場となった。
男子部は現在定期戦を5連覇中。昨年は今季より横浜FCに加入したFW中山雄希(平29スポ卒=大宮アルディージャユース)の決勝ゴールを守り切り、1−0で勝利した。
大学サッカー界最大の規模を誇る伝統の一戦。因縁のライバル同士が繰り広げる白熱の攻防を見届けるべく、スタジアムに足を運んでみてはいかがだろうか。
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関東大学リーグ戦 | ||||
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早大 | 4 | 2-0 2-1 |
1 | 東海大 |
【早大得点者】37鈴木準,45.68武,85柳沢 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 笠原駿之介 | 法2 | 埼玉・早大本庄 |
RB | 24 | 井上純平 | 商3 | 東京・早実 |
CB | 4 | ◎鈴木準弥 | スポ4 | 清水エスパルスユース |
CB | 18 | 大桃海斗 | スポ2 | 新潟・帝京長岡 |
LB | 12 | 木下諒 | 社4 | JFAアカデミー福島 |
CMF | 8 | 今来俊介 | 商4 | 神奈川・桐光学園 |
MF | →88分 | 金田拓海 | 社2 | ヴィッセル神戸U−18 |
CMF | 10 | 秋山陽介 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
RMF | 11 | 柳沢拓弥 | 社4 | 清水エスパルスユース |
LMF | 7 | 相馬勇紀 | スポ3 | 三菱養和SCユース |
CF | 14 | 石川大貴 | スポ4 | 名古屋グランパスU-18 |
FW | →89分 | 飯泉涼矢 | スポ4 | 三菱養和SCユース |
CF | 19 | 武颯 | スポ4 | 横浜F・マリノスユース |
FW | →74分 | 岡田優希 | スポ3 | 川崎フロンターレU−18 |
◎=キャプテン 監督:古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦2部リーグ順位表 | |||||||||
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順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 国士舘大 | 15 | 5 | 5 | 0 | 0 | 11 | 3 | +8 |
2 | 早大 | 13 | 5 | 4 | 1 | 0 | 18 | 5 | +13 |
3 | 中大 | 9 | 5 | 2 | 3 | 0 | 10 | 7 | +3 |
4 | 拓大 | 7 | 5 | 2 | 1 | 2 | 4 | 4 | 0 |
5 | 東農大 | 6 | 5 | 2 | 0 | 3 | 7 | 5 | +2 |
6 | 神奈川大 | 6 | 5 | 1 | 3 | 1 | 10 | 9 | +1 |
7 | 立正大 | 5 | 5 | 1 | 2 | 2 | 8 | 10 | -2 |
8 | 東京学芸大 | 5 | 5 | 1 | 2 | 2 | 8 | 11 | -3 |
9 | 東海大 | 4 | 5 | 1 | 1 | 3 | 7 | 9 | -2 |
10 | 日大 | 4 | 5 | 1 | 1 | 3 | 4 | 7 | -3 |
11 | 青学大 | 4 | 5 | 1 | 1 | 3 | 2 | 10 | -8 |
12 | 朝鮮大 | 4 | 5 | 1 | 1 | 3 | 2 | 11 | -9 |
※第5節終了時点 ※上位2チームが自動昇格 |
DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)
――試合を振り返って
相手があれだけ引いていたので、特に後ろの選手はプレッシャーがなかったですし、そこを起点に攻め込めたと思います。前線の選手もプレッシャーを背負いながらもスイッチになってくれて、そこを追い越すかたちで攻撃ができましたし、得点もしっかりできたので、そこは良かったです。守備に関しては、相手に攻め込まれる場面があまりなかったというのはありますけど、何回か背後で危ないシーンとか、そこから失点してしまったりだとか、そういう隙はあったと思います。全体として相手の戦い方を考えると、最低限の結果だと思います。
――先制ゴールを振り返って
自分は高さがない分スピードをつけてストーンの前に入るというのは常に意識していますし、去年からなかなか得点につなげることができていなかったですけど、きょうはうまく合わせることができてゴールに入ってくれたので良かったです。
――引いてくる相手に対しての対策は
引いてくる相手でもどこかで出ざるを得ないというか、自分たちが持ち込んでいけば相手のFWやボランチといった選手も前に出てくると思いますし、そこで相手の背後を狙うということです。あとは、相手のカウンターに対して、相手が整っていない内にこっちもカウンターを仕掛ける、そういったところを自分たちは狙っていこうと話し合っています。
――絶好調のFW武颯選手(スポ4=横浜F・マリノスユース)に関して
もともと得点感覚は高い選手ですし、今まではけがをしていたというのもあって、高いパフォーマンスをすることができていなかったですけど、最近はいいプレーをしてくれていると思います。でもまだまだ点を取れる部分もありますし、あいつのレベルを考えれば、これぐらいできてもらわないとチームとしても困るというか、これからシーズンが進むにつれてより手強い相手と対戦したときに、そういう試合でもしっかり得点してくれるのを期待したいです。
――失点の場面に関して
最近の失点のパターンとして、自分たちが悪いボールの失い方をしてしまって、スピードのついた相手に対してプレッシャーが定まらないまま、その中で背後を取られて、人数は揃っているけどやられてしまうというのが多いかなと思います。最近の試合はボールを持てている分、全員の攻撃への意識が強くなっているので、それで戻るのが少し遅れてしまっていると思います。
――今季は大桃海斗選手(スポ2=新潟・帝京長岡)とCBでコンビを組む試合が続いています
恵まれた体格を持った選手ですし、プレーの面で心配している部分はないです。まだまだ伸びると思いますし、今シーズンも含めて経験を積んでいけば、もっと上のレベルを目指せる選手になると思います。あとは、自分がチームを引っ張っていくというリーダーシップや自覚は、CBの選手としてもっと発揮していって欲しいですし、今は自分のことで精一杯になるのは仕方ないですけど、疲れているときにチームに対してどれだけ働きかけることができるのかというところを、色々経験していく中でもっとやっていって欲しいと思います。
――次節の拓大戦に向けて
いい流れで連勝できていますし、来週は集中応援ということもあるので、しっかり自分たちの良さを出して、最後まで走り続けて、ゴールを奪いにいって、結果として必ず勝てるように頑張りたいです。
MF今来俊介(商4=神奈川・桐光学園)
――試合を振り返って
前半からいいかたちで試合を進められた中で、後半自分のミスから失点してしまって、それがいらなかったなと思います。
――ご自身のプレーを振り返って
相手が引いてくることは事前に分かっていたので、それをどう崩すかという戦い方になってくると思っていましたし、自分自身も最後まで集中を切らさずに、最後はミスをしてしまいましたけど、焦れずに戦えたのは良かったと思います。
――引いてくる相手に対してはどういった狙いを持ってプレーしていますか
(早大の)CBが運んできたときに、相手の嫌なところというか、相手のボランチの裏を突けるようなポジショニングをすることを意識しています。そこで受けて前を向ければ一気にチャンスまでつなげることができると思うので、少し高めの位置をとるようにしています。
――ボランチでの出場が続いています
自分の強みは守備だと思っていて、相手のチャンスの芽を摘むという意味ではボランチが最適なポジションだとも思いますし、ことしはチームとしてボールをつなぐサッカーをしている中で、奪われたときに自分がボランチの位置で潰せるサッカーが理想だと思うので、これからもそういったプレーができるようにしていきたいです。
――今来選手の持ち味として運動量も挙げられるかと思います
攻守において誰よりも試合中に走るということは意識していますし、そこは出せないと自分の持ち味は消えてしまうと思うので、これからも発揮していきたいです。
――次節の拓大戦に向けて
首位の国士舘はまだ1ゲームも勝ち点を落としていないですし、自分たちの中でも前期の最終節にある国士舘との直接対決までは、勝ち点を落とさないようにという話はしているので、次も勝てるように高め合って頑張っていきたいです。
DF井上 純平(商3=東京・早実)
――試合を振り返って
初めての出場でしたし、連勝することの難しさはあるとは思っていたんですけど、やれることはやろうという感じでした。
――スタメンと決まったのが直前とお聞きしました
2日前に決まりましたね(笑)。
――どんな心境でしたか
結構緊張していたので(笑)。自分たちのトップチーム相手にサブとして戦っていたりしたので、出るからには自信を持ってやろうと思っていました。
――アシストの場面を振り返って
相手がかなりマンマークで来ていましたし、自分が内側をとったときは結構裏を取れるなと思っていたので、そこで攻撃参加しました。ペナも近かったので仕掛けてみました。結果的にうまくいって良かったです。
――ご自身の長所はやはり攻撃参加ですか
自分はパスのところで楔(くさび)を付けたりするのが長所だと思っているので、そこはもう少しできたんじゃないかなと思う部分があります。次に出れたときはもっとやりたいなと思います。
――連勝でチームの雰囲気はいかがですか
悪くはないと思うんですけど、最後の準弥くん(鈴木主将、スポ4=清水エスパルスユース)の話にもあったように、失点の場面で自分たちの緩みが出てしまっていると思います。自分たちが目指す日本一であったり、1部のチームを基準にしてもっと取り組んでいかないといけないなと思います。
――次節の拓大戦に向けて
自分は出れるかどうかはわかりませんが、出れたとしても出れなかったとしてもチームに貢献できるように、今週の練習もしっかりやっていきたいと思います。