武が2ゴールも引き分けに終わる

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)第2節、対中大戦が行われた。早大は前半、FW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)が10分、43分とゴールを奪い、2点リードで折り返す。しかし後半になると相手に押し込まれる時間が増え、72分、83分と立て続けに失点。中大との2季ぶりの対戦は、痛み分けに終わった。

 開幕戦で日大を圧倒したエンジイレブン。この試合でも勢いそのままに先手を取ることに成功する。10分、MF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)が蹴ったインスイングの右CK。相手がクリアしたボールが武の体に当たり、そのままゴールに吸い込まれた。運も味方に先制点を奪った早大は、その後も優位に試合を進めた。陣形をコンパクトに維持したまま連動してプレスをかけ、中大に付け入る隙を与えない。23分にはサイドから中央に絞ってボールを受けた相馬が、相手FWのイエローカードを誘発。その2分後には逆にMF今来俊介(商4=神奈川・桐光学園)がイエローカードを受けるなど、球際で激しいせめぎ合いが繰り広げられた。このまま折り返すかと思われた43分、またしてもこの男がゴールを陥れる。DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)からの絶妙な縦パスを相手DFラインのギャップで受けた武が、そのまま反転しゴールへ独走。「練習していた」と話すかたちから放たれたシュートがゴール左隅に突き刺さると、手応えを噛みしめるように喜びの表情を浮かべた。

開幕2試合で早くも3ゴールの武

 雷雨による中断を挟み迎えた後半。捨て身の覚悟で攻め込んでくる中大に対し押し込まれる時間帯が続いた。「引いてしまってファーストプレッシャーを定められず、強く当たることができなかった」(GK笠原駿之介、法2=埼玉・早大本庄)と振り返るように、自陣深くで跳ね返しながらなんとか耐えしのぐ展開を強いられる。すると72分、相手右サイドからのクロスを頭で決められ、1点差まで詰め寄られてしまう。さらにその6分後には、中盤の底で守備に奔走していた今来が2枚目のイエローカードを受け退場。ダイナモを失い、戦況はさらに厳しくなった。全員が自陣に引いてブロックをつくる早大に対し、中大は容赦なく襲い掛かる。そして83分、ついにスコアを振り出しに戻されてしまった。相手左サイドからのクロスをニアで合わせられ同点。ゴールが決まった瞬間、選手たちは一斉に肩を落とし、天を仰いだ。それでも、残りの時間はMF高岡大翼(社3=広島皆実)を投入するなどし、辛抱強く守り抜いたエンジイレブン。なんとか引き分けに持ち込み、勝ち点1を獲得した。

退場したものの、守備で存在感を示した今来

 前半は、相手のシュートをわずか2本に抑え込んだ早大だったが、後半は打って変わって、2本しかシュートを放つことができなかった。「後半もボールを奪いにいく守備ができれば、もっといい流れになったと思う」(DF安田壱成、スポ4=ベガルタ仙台ユース)という言葉通り、受け身に回ったときの戦い方は今後に向けた課題のひとつとなるだろう。次節は中3日での朝鮮大戦と、通常に比べ修正に当てられる時間は短い。だが、隙のないチームをつくり上げていくためには、素早い改善が必要不可欠だ。連休を挟んでの3連戦は残り2試合。チーム一丸となって勝ち点6をしっかりとつかみ取ってほしい。

 

(記事=栗村智弘 写真=山下夢未/新開滉倫)

 

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関東大学リーグ戦
早大 2-0
0-2
中大
【早大得点者】10,43武
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 笠原駿之介 法2 埼玉・早大本庄
RB 安田壱成 スポ4 ベガルタ仙台ユース
CB ◎鈴木準弥 スポ4 清水エスパルスユース
CB 18 大桃海斗 スポ2 新潟・帝京長岡
LB 12 木下諒 社4 JFAアカデミー福島
CMF 今来俊介 商4 神奈川・桐光学園
CMF 10 秋山陽介 スポ4 千葉・流通経大柏
RMF 11 柳沢拓弥 社4 清水エスパルスユース
LMF 相馬勇紀 スポ3 三菱養和SCユース
MF →86分 高岡大翼 社3 広島皆実
CF 14 石川大貴 スポ4 名古屋グランパスU-18
CF 19 武颯 スポ4 横浜F・マリノスユース
FW →75分 岡田優希 スポ3 川崎フロンターレU−18
◎=ゲームキャプテン
監督:古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦2部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
国士舘大 +3
中大 +2
早大 +2
神奈川大 +1
日大 +1
東農大 +1
拓大 +1
立正大 -1
東京学芸大 -2
10 青学大 -1
11 朝鮮大 -2
12 東海大 -4
※第2節終了時点
※順位は暫定
※上位2チームが自動昇格

古賀聡監督(平4教卒=東京・早実)

――試合を振り返って

前半は自分たちのペースで試合を進めていたと思います。後半は相手にプレッシャーをかけられず、広げられてしまうシーンが数多くあり、そこで勝負をされて後手に回ってしまいました。

――ハーフタイムにはどういった指示をされましたか

きょうは選手たちに委ねていて、選手たちもことしは自分たちで立ち返りながら戦っていこうという気持ちを持っていますし、きょうのハーフタイムも自分たちで課題を見つけてそれを修正しようという話し合いをしていましたので、個別には指示をしましたが、チーム全体への指示というのは、大きくは伝えませんでした。

――10人になってからの戦い方について

押し込まれている状況なので、しっかりとコンパクトにして、ポジションの修正を繰り返しながら守り続け、ボールを奪ってワンチャンスを狙うしかないと。実際10人になる前からそういう状況は続いていましたし、勝ち点1という結果は、後半の戦いぶりからすれば妥当な結果ではないかと思います。

――前節の後、中大戦はリーグ戦におけるひとつの山場と表現した選手もいました。改めて引き分けという結果については

どこが相手であっても一試合一試合すべてが重要ですし、現時点で相手を圧倒して勝ち続けるだけの力はまだ全くないと思いますので、挑戦し続ける中で成長しながら、最終的には頂点に立つにふさわしいチームになっていければと考えています。

――次節までに改善したい点は

守備のベースというところで、きょうの後半良くなかったところをしっかりと振り返って修正したいです。そのうえでボールを奪った後の攻撃で、しっかりと全員が正確なポジションを取ってボールに関わりながら、相手のスペースを突いていけるような修正を、いつもより時間は短いですけどしっかりとしていきたいと思います。

DF安田壱成(スポ4=ベガルタ仙台ユース)

――試合を振り返って

前半はいいかたちで点を取れたんですけど、後半悪い流れになったときに、チームとしてどういったことを共有していくかというのが明確になっていませんでした。それで相手に押し込まれることになってしまったのかなと思います。

――流れが悪くなったときに、チーム全体で何か話すということはなかったということですか

ある程度の共有事項はあるんですけど、それが(しっかりと共有)できていなかったので、2失点につながったのだと思います。

――チームの守備を振り返って

前半は比較的、自分たちから能動的に前に押し出した守備ができていたんですけど、後半は攻められて受け身になってしまいました。後半もボールを奪いにいく守備ができれば、もっといい流れになったと思います。

――中断でコンディションに影響はありましたか

それは特にないですね。

――後半、数的不利になってからどういう指示がありましたか

監督からの指示はなく、自分たちでどうするかというところで、前からボールを奪いにいくことはせず、なるべく失点しないようにということを意識していました。

――引き分けという結果については

勝ち点2は落としてしまったんですけど、この勝ち点1はどこかで必ず大きなものになってくると思うので、(3連戦の内の)あと2戦、コンディションを整えて頑張っていきたいです。

――次戦への意気込みをお願いします

来週は2連戦なので、勝ち点6を積み上げられるように頑張りたいです。

FW武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)

――きょうの試合について前の試合後、天王山だと話している選手もいましたが、どのようなことを意識して臨みましたか

自分はFWなので結果が求められると思いますし、まずは点を取ってやろうというのと、中大はボール回しが上手いので、ボランチを消すために守備の部分を意識してやろうと臨みました。

―結果にこだわりたいという話でしたが、先制点を決めました

あれはゴール前にいたら、たまたま入ったっていう感じですね。相手が触ってその弾いたボールが自分に当たって入りました。

――2点目はしっかり振り切ってのゴールとなりました

練習の中から準弥(鈴木主将、スポ4=清水エスパルスユース)だったり、秋山(陽介、スポ4=千葉・流通経大柏)だったり、そういった人たちから縦パスを受けて、ツータッチ目で打つっていうパターンは練習していたので、練習通りできたかなと思います。

――前半は2-0で終わりましたが、後半に追いつかれて引き分けになりました。この結果については

前半2点取ってる分、中大も後半は絶対来るだろうと思っていましたし、前半とやることを変えずに徹底してやろうと思っていました。回されて自分たちが動揺したとかはないんですけど、隙を突かれた感じですね。

――退場者が出て数的不利になったことも影響はありましたか

やっぱり回されているのに加えて、人数が少なくなったので、どうしても穴が空いたりだとか、自分たちがFW1枚に対して後ろが2枚や3枚だったりでボールを回されるので、優位な状況はつくられたかなという感じはします。

――前半終了から後半開始までに試合が中断した時間がありましたが、その間に話し合ったことなどはありますか

雨が降って気温が下がったので、体が冷えないようにして、控え室で休んでいました。

――前回の試合ではボールポゼッションで圧倒していましたが、この試合では相手に持たれる時間も多かった印象です

前半は早い時間帯に自分たちが点を取れたので、メンタル面でも上回ってボールを保持できたんですけど、後半は相手も失うものはない、仕掛けるしかないと思って、それで相手の吹っ切れた感じが出てきて、回された感じはあります。

――今季目指すサッカーを考えた上でも、課題の残る後半となりましたね

前半はできていたんですけど、後半はできなかったというのは課題ですし、きょうの映像も見ながらどうしていくかというのを、次につなげていきたいと思います。

GK笠原駿之介(法2=埼玉・早大本庄)

――試合を振り返って

前半いい流れでしたけど、後半は自分たちの流れではない中でひとつ失点してしまって、その中で自分も含めて後ろの選手が踏ん張れなくて追いつかれてしまったということを考えると、自分たち守備陣に責任があるのではないかと思います。

――この試合の守備を振り返って

特に後半は、相手の攻撃陣がディフェンスの間に流れ込んできて、それに対して自分たちは引いてしまって、ファーストプレッシャーを定められないまま強く当たれず、最終的に前を向かれて勝負されてしまったというところが、反省点だと思います。

――苦しい時間帯、最後方でプレーする笠原選手にはチーム全体はどう映りましたか

みんながきつくなってきているというのはわかったんですけど、その中で自分が鼓舞する声や動かす声をうまくかけることができなくて。後ろにいてみんなが安心できるような存在にならなければいけないと、改めて感じました。

――天皇杯予選も含めスタメン出場が続いています

もちろん自分の上に小島選手(小島亨介、スポ3=名古屋グランパスU−18)という存在があるのはわかっていますし、実力ではまだまだ劣っているとも自分自身感じています。だけど、試合に出る以上は、本当に自信を持ってやるだけだと思って臨むようにしています。

――次節に向けて意気込みをお願いします

この3連戦のチームの目標として、3連勝というのがありましたけど、1試合目は引き分けで終わってしまったので、残りの2試合は勝たなければいけないと思います。あとは個人的な話ですけど、次の会場が地元になるので、応援に来てくださる方々のためにも次戦は必ず勝ちたいです。