【連載】リーグ戦開幕直前特集『大いなる挑戦者』第3回 登録メンバー紹介

ア式蹴球男子

 4月16日、いよいよ関東大学リーグ戦(リーグ戦)が開幕する。昨シーズンは12チーム中11位と、まさかの苦戦を強いられた早大。今季は戦いの舞台を12年ぶりに2部へと移し、再出発を図る。どのようなメンバーが名を連ねているのか、注目選手をポジションごとに分けて見ていきたい。

 まずはGKから。今季から背番号1を託されたのは、この世代屈指の実力者・小島亨介(スポ3=名古屋グランパスU−18)だ。昨年のU-19アジア選手権では、準決勝を除き全ての試合でスタメン出場を果たし、優勝に大きく貢献。豊富な国際舞台での経験に加え、安定したキーピングで最後方からチームを支える、まさに守護神だ。ライバル候補としては、東京都サッカートーナメント学生系の部予選(天皇杯予選)で、ゴールマウスを守った笠原駿之介(法2=埼玉・早大本庄)に期待したい。続いて、DF陣。新キャプテンの鈴木準弥(スポ4=清水エスパルスユース)は今オフ、全日本大学選抜の一員として、デンソーチャレンジカップに参戦し、ベストイレブンに選出される活躍を見せた。針の穴を通すようなロングフィードと抜群の危機察知能力を武器に、早大でも攻守において支柱を担う。主将としてピッチ内外において強いリーダーシップを発揮してくれるはずだ。同じCBでは、天皇杯予選に出場した大桃海斗(スポ2=新潟・帝京長岡)のブレイクにも期待したい。SBには、安田壱成(スポ4=ベガルタ仙台ユース)、松岡拓郁(商4=大阪・履正社)、木下諒(社4=JFAアカデミー福島)らが名を連ねる。サイドからの攻撃がカギを握る早大のフットボールにおいて、SBが攻めに厚みをもたらすことができるかどうかは、極めて重要なファクターだ。それだけにSBの活躍は、攻守両面において注目ポイントの一つとなる。

国際舞台でも活躍する小島

 MF陣に目を向けてみる。注目は、技巧派レフティーの秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)。特筆すべきは、なんといってもその打開力だ。低く保たれた重心と、柔らかく繊細なタッチ。ボールが足に吸いつくかのような独特なドリブルで、相手の守備網の隙間をするすると抜けていく。個の力で違いを生み出す新10番が、攻撃をけん引するだろう。その他にもMF陣には、個性あふれるメンバーが揃い踏みだ。攻守にタフなプレーを見せる柳沢拓弥(社4=清水エスパルスユース)、スピードと切れ味抜群のフェイントが武器の相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)、しなやかさと力強さを兼ね備える金田拓海(社2=ヴィッセル神戸U-18)、攻守にハードワークを惜しまず、多くのポジションを器用にこなすユーティリティープレイヤー・今来俊介(商4=神奈川・桐光学園)、今季はセットプレーでの勝負強さにも期待がかかる石川大貴(スポ4=名古屋グランパスU-18)。そして、けがからの早期復帰が望まれる鈴木裕也副将(スポ4仝=埼玉・武南)である。し烈なレギュラー争いを制し、スタメンの座をつかみ取るのは誰になるのか注目したい。最後はFW陣。昨年CBからコンバートされた飯泉涼矢(スポ4=三菱養和SCユース)と強靭な体躯が売りの武颯(スポ4=横浜F・マリノスユース)のコンビは、高さとキープ力を生かし、前線でタメをつくる役割を担う。無論、飯泉が「FW陣がもっと得点力を高めていく必要がある」と話したように、本人たちが最も重要視するのは、ゴールという結果そのものであることを忘れてはならない。堅守がベースとなるチームなだけに、より少ないチャンスをものにできるかどうかが、1部昇格の命運を左右するといっても過言ではない。

攻撃の中心を担う秋山

 昇格できるのは、12チーム中たったの2チームのみ。それはまさに、予測不可能のサバイバルレースである。「未知の世界。どういう戦いが待ち受けているのか、本当にわからない」(鈴木裕)。だから面白いと思うのか。それとも怖いと思うのか。一人ひとりがそれぞれ違う思いを持って、開幕の日を迎えることだろう。しかし、チームとしての目標は、決してぶれることはない。『1部昇格』、そして『日本一』。心の底から、本気で成し遂げてみせると誓い、掲げた目標である。だからこそ、古賀聡監督(平4教卒=東京・早実)は、ことしのチームをこう表現した。「私たちは『大いなる挑戦者(チャレンジャー)』です」。挑戦者たちがサッカーを通じて表現するまっすぐな生き様を、ことし一年しかと目に焼きつけたい。

 

(記事、写真=栗村智弘)