いよいよ目前に迫ったリーグ開幕戦。新チームを統率するのは鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)と鈴木裕也副将(スポ4=埼玉・武南)の“鈴木コンビ”だ。ピッチ内外でリーダーシップを発揮するふたりに、新シーズンの意気込みを聞いた。
※この取材は4月6日に行われたものです。
「ぶれることなくやっていくしかない」(鈴木裕)
笑顔も混じえながらインタビューに応じたふたり
――リーグ戦まで残り10日となりました。チームの状態はいかがですか
鈴木準 けが人が出てしまったりと、難しい部分もあるんですけど、自分たちの課題と向き合いながら、強みを出して勝てるチームになれるように、日々トレーニングに励んでいます。
――ご自身のコンディションは
鈴木準 ここまではいいコンディションを維持できていると感じています。
鈴木裕 自分は一週間前にけがをしてしまって、開幕には間に合わなくなってしまったのですが、リーグ期間中にはなんとか復帰できるように、これからしっかりと調整していきたいです。
――1月に行われた『始動ミーティング』ではどういった話し合いがされましたか
鈴木準 まずは自分たち4年生がチームに対して『日本一』という目標を提示して、それを達成するためにはチームとしてどういう意識を持っていかなければいけないのかということを話し合いました。
鈴木裕 あとは役職についた4年生がどういう姿勢で臨むのかという決意、責任を背負う覚悟をチームメイトに対して表明しました。
――2月には一週間の合宿を行いました。収穫はありましたか
鈴木裕 学年に関係なく全員がコミュニケーションを密に取ることで、縦のつながりをよりしっかりとしたものにすることができたと思います。あとは同じ学年どうしの横のつながりもより強固にできたと思います。それがチーム力の向上につながっていくと思いますし、そういうつながりの面が良さらに良くなったという手応えはあります。
――3月22日(対法大◯2−1)と26日(対国士舘大●1−3)には新体制初の大会となる東京都サッカートーナメント学生系の部予選を戦いました。振り返っていかがですか
鈴木準 法大戦に関しては、全てではないですけど、90分間を通して、自分たちがオフシーズンから重点的に取り組んできた、『ボールに対して攻守で積極的に関わる』というのが出せたと思いますし、それが結果として勝ちにつながったのかなと思います。国士舘大戦に関しては、法大戦で出た守備の課題、例えばボールサイドで簡単に突破を許してしまうといったことであったりだとか、それも含めてなかなか相手に打ち勝つことができなかったと思います。国士舘大が自分たちの背後にどんどんボールを落としてきて、それは自分たちが嫌なことをされたということですけど、逆に自分たちは相手が嫌がるようなサッカーができなかったと思いますし、それで流れをものにできないまま失点してしまって、結局負けてしまったという感じです。自分たちの課題が浮き彫りになった試合でした。
鈴木裕 法大戦は、自分たちが積み上げてきたことがある程度出せたと思うんですけど、国士舘大との試合では、相手が前からプレッシャーをかけてきたり、ピッチが雨でスリッピーな状態になっていたことで、消極的になってしまった部分があって、それが原因でチームの攻守がかみ合わなかったと感じます。どういう状況でも自分たちのサッカーができるようにならなければ、勝てるチームにはならないと思うので、そこは改善していきたいところです。
――試合後のインタビューでは新しいスタイルを目指しているという声も聞かれましたが、そのスタイルとはどういったものか教えてください
鈴木準 今までは後ろから長いボールを前線に送って攻め込むというスタイルを多用していたということもあって、もちろんそれもひとつのスタイルとして大事なものではあるんですけど、そこにより判断を組み込んでいこうというやり方です。例えば、ボールホルダーの周りの選手が背後を突くのかサイドに流れるのか、あるいは細かくつないでいくのか、常に考えながらサッカーをするという意識を今まで以上に持っていきたいと考えています。
鈴木裕 ピッチ内での話となると今言ってくれたようなことになるんですけど、自分はピッチ外でも変化が必要だと思っています。今まではワセダのア式蹴球部にいるからこうしなきゃいけない、ああしなきゃいけないという意識が強かったと思うんですけど、そこから一人ひとりがより自立した考えを持って、自分の意志でどういう行動ができるかどうか。そういった働きかけを、4年生が中心となってチーム全体にしていくということも一つの新しい取り組みといえると思います。
――最上級生になったことでご自身の意識に変化はありますか
鈴木準 常にチームの中で見られているという意識を持つようになりました。今までであれば先輩たちがいて、自分の好きなように言動や行動をしていて、だめなときは先輩が注意してくれるという気持ちがどこかにあったんですけど、今は自分がそういった指摘をしなければいけない立場ですし、だからこそ常に後輩から見られているということを意識するようにしています。今までは先輩たちが引っ張ってくれていましたけど、今度は自分が主将としてチーム全体のことを考えていかなければいけないですし、本当に色々なものを自分が背負って頑張らなければと思っています。
鈴木裕 一番上の立場になってチームを動かしていかなければいけない立場になったことで、自分たちの立ち振る舞いや言動によってチームが大きく変わってくるので、楽しさもある反面、色々悩むこともあります。その分責任感は増えましたし、チームのことを考える機会も増えたと感じます。
――周りのことを考える機会が増えたということでしょうか
鈴木裕 そうですね。ただ、その分一人ひとりがどういう考えを持っているかとか、いろいろ見えてくることも増えたと思います。
鈴木準 自分は一年生のとき学年リーダーというのをやったということもありますし、学年が上がるにつれて自分より下の学年のメンバーのことを考えることもあったので、意識の中でそこまで大きな変化はない、という感じはします。ただ、主将になったからにはよりチームを勝利の方向へと導くことができる存在になりたいと思っていて、でもそれが難しいと感じているところです。
――4年生になってから監督に言われたことは
鈴木準 自分たち4年生は、サッカーでもそうでないところでも一人ひとりが自分で考えて行動していくというのを大事にしていこうと決めていて、それをチーム全員から引き出せるように、引っ張る立場にいるメンバーが頑張っていこうということは、監督はじめスタッフとも話をしました。
――国士舘大戦の後、チームメイト全員の前で準弥選手が「日本一になるためには勝ち続けるしかない。本当に一人ひとりがそういう気持ちを持って臨んだだろうか」という話をしていました。あのときの心境は
鈴木準 自分たちが目標に掲げている一部昇格や日本一というのは、ピッチで試合に出ている選手だけが目指して達成できるものかというと、決してそうではないです。新チームになって2戦目の公式戦で負けてしまって、なおさら自分たちはこれから結果を残し続けなければいけない。アミノバイタルカップで優勝して、夏の総理大臣杯でも優勝しなければいけない。そのどこかで負けてしまえば、自分たちには日本一になるチャンスはもうないわけです。だからこそ、夏には日本一を達成できるチームになっていなければならない。そういう意識を、みんなが本当に持っているのか。試合に出ているメンバーだけではなくて、日本一を目指しているチームの一員であるという意識を全員が持っていたのかというと、まだまだなかったと思います。(少し沈黙を挟んで)今回負けたことで、それに気づくチャンスを得ることができたと思いますし、ここで気づけなければ負けた意味がないとも思います。去年は優勝できた東京都サッカートーナメントで、ことしは二回戦で敗れてしまったわけですけど、負けたからといって日本一という目標をぶらすつもりはないですし、全員がもう一度、本当に日本一を目指す気があるのかどうかを考え直すきっかけにしてほしい。そういう気持ちであのときは話していました。
――それを聞いて裕也選手はどう思いましたか
鈴木裕 自分も日本一を取りたいと強く思っているので、準弥の言っていたことに対して、本当にその通りだなと思いました。負けてしまいましたけど、自分たちはぶれることなくやっていくしかないと思いますし、あの言葉でまたあしたからやるしかないという気持ちになって、改めて自分の中で覚悟を決めることができました。
アシックスからのサポートについて語る
この日は全身アシックスのウェアに身を包んでの取材となった
――昨年から早大はアシックスと組織的連携を結んでいます。ア式蹴球部はどういったサポートを受けていますか
鈴木準 ユニフォームとか練習着とか、ウェアなどの面でかなりサポートしていただいてます。ことしからは練習試合で使うウェアも提供していただいてます。
――新しいチームウェアの印象は
鈴木裕 アシックスになってから見た目がかっこよくなったと思います。
鈴木準 デザインも新しいものになって、新しいものを着て練習できるのはやっぱりうれしいです。
――アシックスがパートナーとなったことで変化したことはありますか
鈴木準 アシックスからはピステとかジャージとか、チームウェアを全て支給というかたちでサポートしていただいていて、自分たちにとってもそれまでとは違う目に見えるサポートをしていただいているので、より感謝しなければという思いになります。
――大学スポーツと企業が協力関係を築くという取り組みが活発化していくことに関しては
鈴木裕 選手としてはいろいろサポートしていただけるのはすごくうれしいですし、それは決して当たり前のことではないと思うので、本当に恵まれていることだと思います。
「一試合一試合を昇格の懸かった試合と捉える」(鈴木準)
キャプテンとして意気込みを語った鈴木準
――リーグ戦でカギを握ると思う選手をあえて一人あげるとしたら誰ですか
鈴木裕 準弥じゃないですかね。プレーもそうだし、ピッチの中での声出しとか戦っている姿勢を通じて、スタンドにも自分たちの気持ちが伝わると思うので、準弥がカギになると思います。
鈴木準 だいぶ持ち上げるねー(笑)。
一同 (笑)
鈴木準 自分は、陽介(秋山、スポ4=千葉・流通経大柏)だと思います。陽介が自分たちの中で一番公式戦での経験があると思いますし、そういう意味ではすごくプレーにも余裕があるので。常に上を目指してやっている選手ですし、攻撃面では陽介が個人技でどれだけ打開していってくれるかがカギになると思います。
――一部昇格に必要不可欠だと思うものは
鈴木準 さっきも言ったように、チーム全員が一丸となることです。出ている出ていないに関係なく、全員が本当にことし一年で目標を成し遂げるんだという思いが重要で、それがあれば自然と勝ちにつながると思いますし、終了の笛が鳴るまで全員走り続けることができると思います。ただ仲良くやるだけではなくて、ときには厳しいことも言い合って、チーム一丸となって頑張っていきたいです。
鈴木裕 目の前のトレーニングで常にどれだけ一生懸命になれるかどうかが重要だと思っています。リーグ戦を通じて勝ち続けなければいけないですし、一勝するためだけでもすごくエネルギーが必要だからです。勝ったからといって手を抜いているようでは昇格はできないですし、目の前のトレーニング、目の前の試合に全てを注ぎ込むことができるかどうかが、最終的に昇格できるかどうかを左右することになると思います。
――最後にリーグ戦に向けた意気込みをお願いします
鈴木準 まずは開幕戦に勝利して、それが終わったら次の試合というふうに、一試合一試合を昇格が懸かった試合と捉えて戦っていきたいです。2部リーグはまだ誰も知らない世界で、難しいところもありますし、何が何でも目の前の試合で勝つ、先ばかりを見るのではなくて、目の前の試合で勝つことを常に目指していきたいです。
鈴木裕 2部リーグは初めての経験で、どんな戦いが待ち受けているかはわからないですけど、一試合一試合全力で戦って、最終的には一部昇格できるように頑張りたいです。
――ありがとうございました!
(取材=石黒歌奈恵 写真=加藤耀)
それぞれ意気込みを書いてくれました!
◆鈴木準弥(すずき・じゅんや)(※写真右)
1996(平8)年1月7日生まれ。173センチ/71キロ。静岡・清水西高出身。スポーツ科学部4年。2月に行われたデンソーカップ刈谷大会に全日本大学選抜の一員として参加した鈴木準主将。チームの準優勝に大きく貢献し、大会ベストイレブンと刈谷市長賞を獲得しました。リーグ戦でも高い技術力と闘争心でチームを引っ張ってくれるはずです!
◆鈴木裕也(すずき・ゆうや)(※写真左)
1995(平7)年7月14日生まれ。172センチ/72キロ。埼玉・武南高出身。スポーツ科学部4年。プレースキッカーを務める鈴木裕副将は、力強いドリブル突破も持ち味の一つ。今季は副将となったことで、精神面でもチームの支柱となることが期待されます!