天皇杯本戦を目指す戦い、東京都サッカートーナメント学生系の部予選。前の試合で法大を下した(◯2-1)早大はこの日、関東大学リーグ戦(リーグ戦)のライバルでもある国士舘大と相見えた。早大はMF金田拓海(社2=ヴィッセル神戸Uー18)の公式戦初ゴールで先制。このまま試合を優位に進めるかと思われたが、その後3失点を喫し悔しい逆転負け。天皇杯本戦への挑戦は、道半ばで終わりを迎えた。
先制ゴールを決めた金田
先手を取ったのは早大だった。前半8分、ボックス内左からFW飯泉涼矢(スポ4=三菱養和SCユース)がシュートを放つ。相手GKが弾いたボールを詰めていた金田が冷静に押し込んだ。しかし、喜びもつかの間。15分、ボックス内に侵入した相手選手とGK笠原駿之介(法2=埼玉・早大本庄)が激しく交錯。そのこぼれ球を無人のゴールに沈められ、同点とされてしまう。さらにその4分後、相手CKの場面。クリアボールを拾われると、ボックス手前から強烈なミドルシュートを放たれる。これには笠原も一歩も動けず。早くも逆転を許してしまった。前半はこのまま1-2で折り返す。
先発に名を連ねたDF大桃海斗(スポ2=新潟・帝京長岡)
降りしきる雨が激しさを増す中、後半開始のホイッスルが吹かれた。するとそのわずか2分後、自陣左サイドをドリブルで切り崩されそのままシュートまで持ち込まれてしまう。これがゴール左隅に突き刺り、痛恨の3失点目となった。2点を追う展開となった早大は、一人ひとりがボールホルダーへの圧力をさらに高め、懸命に巻き返しを図る。「どんどん仕掛けろ!自信を持て!」。DF鈴木準弥主将(スポ4=清水エスパルスユース)が必死に声を張り上げ、チームを鼓舞し続けた。終盤には、ともに交代で入ったMF相馬勇紀(スポ3=三菱養和SCユース)とDF木下諒(社4=JFAアカデミー福島)のいる左サイドを中心に押し込む場面もあったが、結局得点には至らず。1-3で敗れた。
「ほんとに日本一になるんだ。そのためには、チーム全員で勝ち続けるしかない。成長し続けるしかない」。試合終了後、チームメイトに対し鈴木準は力を込めてこう話した。「自分たちの目標をぶらさずやり続けていかなくてはならない」(MF秋山陽介、スポ4=千葉・流通経大柏)、「きょう負けたからといって、日本一を諦めるということはない」(飯泉)という言葉の通り、チームとして強い信念を持ち、一歩一歩駆け上がっていくことが重要になるはずだ。これから先、どんな未来が待ち受けているのか。ア式が描く成長曲線から目が離せない。
スターティングイレブン
※記事中の学年は新年度のものです
(記事=栗村智弘 写真=守屋郁宏)
東京都サッカートーナメント学生系の部予選 | ||||
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早大 | 1 | 1-2 0-1 |
3 | 国士舘大 |
【早大得点者】8金田 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 笠原駿之介 | 法2 | 埼玉・早大本庄 |
RB | 2 | 安田壱成 | スポ4 | ベガルタ仙台ユース |
CB | 4 | ◎鈴木準弥 | スポ4 | 清水エスパルスユース |
CB | 18 | 大桃海斗 | スポ2 | 新潟・帝京長岡 |
LB | 6 | 松岡拓郁 | 商4 | 大阪・履正社 | DF | →70分 | 木下諒 | 社4 | JFAアカデミー福島 |
CMF | 13 | 金田拓海 | 社2 | ヴィッセル神戸U−18 |
CMF | 5 | 鈴木裕也 | スポ4 | 埼玉・武南 | MF | →67分 | 相馬勇紀 | スポ3 | 三菱養和SCユース |
RMF | 11 | 柳沢拓弥 | 社4 | 清水エスパルスユース |
LMF | 10 | 秋山陽介 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
FW | 9 | 飯泉涼矢 | スポ4 | 三菱養和SCユース |
FW | 19 | 武颯 | スポ4 | 横浜F・マリノスユース |
MF | →75分 | 石川大貴 | スポ4 | 名古屋グランパスU−18 |
◎はゲームキャプテン 監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
FW飯泉涼矢(スポ4=三菱養和SCユース)
――試合を振り返って
自分たちが先制したのですが、そのあとは相手の勢いにのまれてしまったと思います。試合を通じて立て直せるシーンはいくつかあったと思うのですが、そういう局面で失点してしまって、流れを持ってくることができなかったと思います。
――チームとして、個人として意識したことは
オフシーズンから今までのワセダとは違うスタイルを目指そうとしてきている中で、ここまで自分たちのやってきたことをいかに公式戦で出せるか、ということを意識しました。個人としては、最前線で体を張ってポストプレーをしたり裏に抜け出したりして、攻撃の起点になろうということを考えていました。あとは、グラウンドがスリッピーな状態だったので、より前を向いてシュートを打つ機会を増やそうという意識もあったのですが、うまくかたちに持っていけなかったと思います。
――敗因としては他にどういったことが挙げられると思いますか
自分がFWととしてもっとボールをしっかり納めて時間をつくることができていれば、(自分より)後ろの選手も楽にプレーできたと思いますし、そういう場面で自分が相手のCBに跳ね返されてしまって、きょうは後ろの選手に迷惑をかけてしまったと思います。
――リーグ戦までに改善していきたい点は
チームとして悪いところもたくさんありますけど、うまくいっている部分もあるので、それを90分の中でより多く発揮できるようにしていきたいです。あとは、守備面で土壌ができていないところがあると思うので、前線からの守備も含めてチーム全体の守備力をもっと高めていきたいです。自分も含めてFWが点を取るシーンがまだまだ少ないので、FW陣が得点力を高めていくというのも、一つの課題だと思っています。
――試合終了後に鈴木準主将が「日本一になるには成長を続けるしかない」という話をしていました
日本一になるという目標がぶれることはないですし、それはシーズンが始まる前からチームで共有していたことなので、きょう負けたからといって目標を諦めるということはありません。それを達成できるだけのチームになれると信じていますし、自分たちがこれからどれだけ成長していけるか次第だと思うので、引き続き頑張っていきたいです。
MF秋山陽介(スポ4=千葉・流通経大柏)
――きょうの試合に向けて準備してきたことや共有したことはありますか
自分たちのやりたいことをぶらさずにやろうという話をしていました。あとは、相手のセットプレーが脅威だと思っていて、そこに対しての準備というのはしていたつもりだったのですが、結果的にセットプレーからの失点してしまったので、一人ひとりの危機意識がまだ足りなかったというのが要因かなと思います。
――試合運びについて
前半も後半もボールが落ち着かない状況というのがずっと続いていて、その中で相手にセカンドボールを拾われたり収められたりしたことで、相手にペースをつかまれていたので、全員がもっと相手が大きくクリアしてきたところに対する関わりだったり、そういったことを意識しなければいけなかったと思います。
――今後に向けて改善していくべき点はどういったところでしょうか
雨が降ってグラウンドがスリッピーな中で、止める蹴るという技術が一人ひとり足りなかったということと、相手に押し込まれたときにどうやって押し返していくのかというところが足りなかったと思います。
――今後に向けて
自分たちの掲げている目標というのは準弥(鈴木主将)が言っていたように、ぶらすことなくやり続けなければいけないところで、それに対する努力というのはまだまだ足りないと思うので、一人ひとりが次の試合に向けて勝てるように準備していきたいと思います。