「勝ちたい」。そう思えば思うほどに、重くのしかかる勝利をつかむことの難しさ。大学サッカー界の名門として常に上位を争ってきたこのチームに初めての残留争いを乗り越えるだけの力はなかった。迎えたホーム東伏見での今季最終戦。降格が決まれどもなお朽ちることのない信念を胸に、選手は力の限り走り続けた。エンジをまとう者の生き様、その全てを注ぎこみ、手にした9試合ぶりの勝利。歓喜のピッチに響き渡る最後の笛。しかし、これは「終わり」ではなく、「始まり」なのだ。ア式蹴球部の未来への歩みはまさにきょう、ここから始まるのだ。
4年生が最後の意地を見せた
前節の敗戦(桐蔭横浜大戦●2-3)から一週間。厳しいトレーニングの末に迎えたこの試合、早大はDF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)やGK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)、MF平澤俊輔(スポ4=JFAアカデミー福島)らがスタメンを外れ、フレッシュな顔ぶれを並べる。一方の駒大も全日本大学選手権出場へ向け、何としても勝ち点3をつかみたいところ。勝利を欲する両チームの戦いは立ち上がりから緊迫したものとなった。駒大のロングボール攻勢に対し、早大はDF鈴木準弥(スポ3=清水エスパルスユース)とDF熊本雄太(スポ3=東福岡)が中心となりはね返す。競り合いで生まれた接触からMF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)がヒートアップする場面も見られ、ピッチ上で両校の思いが激しくぶつかり合った。早大はチャンスが少なく、守備機会が多い我慢の前半となったものの、ゴールを許すことなくスコアレスのまま前半が終了。結果的に前半を0で終えたことが大きな意味を持つこととなる。
後半に入ると早大が攻勢を仕掛け、立て続けにチャンスを得る。その流れのまま61分、ついに先制点をつかんだ。MF柳沢拓弥(社3=清水エスパルスユース)のスルーパスにFW山内寛史副将(商4=東京・国学院久我山)が反応し抜け出す。すると相手GKが目測を誤り、ゴールはがら空きに。この絶好機を山内副将は逃さなかった。「信じて走ることは自分がここで学んだことの一つ」。今季思うような活躍を残せずにいた眠れるエースが試合の均衡を破ると63分には早くも追加点。MF小林大地(スポ4=千葉・流通経大柏)とのパス交換で左サイドを崩した山内副将が中央へ折り返すと、最後は待ち受けていたFW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)が仕留めた。これまで苦楽を共にしてきた4年生の力で奪ったこのゴール。そこに最上級生としての意地を見た。チームを引っ張ることができず、降格の窮地から救うこともできなかったこの一年。「何かを残さなければ」。計り知れない悔しさが4年生を突き動かした。小林にもゴールが生まれ、圧巻の6得点。最後は長年チームを陰から支えてきたGK岸浪卓志副将(社4=東京・早実)がピッチに立つ。「先輩方の血と汗と涙が染みついている地面」(岸浪副将)。歴史と伝統が刻み込まれた東伏見のピッチで見せたこの日の勇姿。そこにはア式の全てが詰まっていた。最終節でようやくつかんだ待望の一勝。その輝きはこれからも決して色あせることなく未来のエンジイレブンを照らしていくのだろう。
ベンチから見守る新井主将や岸浪副将ら
「みんながこうして喜んでいる姿を見れたのが本当にうれしい」。試合後、この一年チームの先頭に立ち続けた新井主将はあふれる涙を頬に光らせ、部員に語りかける。そしてこう続けた。「この勝利で降格の現実を変えることはできない、この現実に向き合わなければいけないんだ」。ア式蹴球部は今、間違いなく変革のときを迎えている。奇跡の逆転優勝を見せた昨季から一転、今季は日を追うごとにチームは低迷。最終節こそ大量得点したものの、攻め手に欠け得点を奪うことができなかった実情がこの順位に直結している。さらに早大の代名詞である堅守は跡形もなく崩壊。シーズンを通して守備の課題を克服することができなかった。難敵揃いの2部を勝ち抜き、再び1部の晴れ舞台に立つためには確かな改革が求められる。この試合の勝利を未来へつなぎ、再出発の第一歩にしなければならない。いつだって今がスタートラインなのだから。
(記事 桝田大暉、写真 高橋弘樹、守屋郁宏)
いつだって今がスタートラインだ
関東大学リーグ戦第22節 | ||||
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早大 | 6 | 0-0 6-1 |
1 | 駒大 |
【得点者】(早)61山内,63.75中山,85石川,88.89小林 (駒)78鈴木 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 21 | 小島亨介 | スポ2 | 名古屋グランパスU-18 |
GK | →89分 | 岸浪卓志 | 社4 | 東京・早実 |
DF | 20 | 安田壱成 | スポ3 | ベガルタ仙台ユース |
DF | 5 | 鈴木準弥 | スポ3 | 清水エスパルスユース |
DF | 3 | 熊本雄太 | スポ3 | 東福岡 |
DF | 17 | 松岡拓郁 | 商3 | 大阪・履正社 |
MF | 11 | 小林大地 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 8 | 秋山陽介 | スポ3 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 18 | 柳沢拓弥 | 社3 | 清水エスパルスユース |
MF | 7 | 相馬勇紀 | スポ2 | 三菱養和SCユース |
MF | →86分 | 蓮川雄大 | スポ2 | FC東京U-18 |
FW | 9 | 中山雄希 | スポ4 | 大宮アルディージャユース |
FW | →79分 | 石川大貴 | スポ3 | 名古屋グランパスU-18 |
FW | 10 | ◎山内寛史 | 商4 | 東京・国学院久我山 |
◎はゲームキャプテン 監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表 | |||||||||
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順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
◎1 | 明大 | 46 | 21 | 14 | 4 | 3 | 44 | 21 | +23 |
2 | 筑波大 | 36 | 21 | 10 | 6 | 5 | 33 | 20 | +13 |
3 | 日体大 | 36 | 22 | 11 | 3 | 8 | 34 | 34 | 0 |
4 | 順大 | 32 | 22 | 10 | 2 | 10 | 37 | 32 | +5 |
5 | 法大 | 31 | 22 | 9 | 4 | 9 | 34 | 29 | +5 |
6 | 慶大 | 30 | 22 | 8 | 6 | 8 | 37 | 40 | -3 |
7 | 専大 | 30 | 22 | 8 | 6 | 8 | 32 | 35 | -3 |
8 | 流通経大 | 28 | 22 | 8 | 4 | 10 | 27 | 31 | -4 |
9 | 駒大 | 28 | 22 | 8 | 4 | 10 | 29 | 38 | -9 |
10 | 桐蔭横浜大 | 25 | 22 | 6 | 7 | 9 | 27 | 29 | -2 |
11 | 早大 | 23 | 22 | 6 | 5 | 11 | 27 | 30 | -3 |
12 | 国士舘大 | 21 | 22 | 6 | 3 | 13 | 22 | 44 | -22 |
※第22節暫定 ※明大、筑波大、日体大、順大、法大、慶大の全日本大学選手権出場が確定 ※専大は北信越第2代表とのプレーオフへ ※早大、国士舘大は2部自動降格 |
コメント
DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)
――最後の試合が終わりました。今のお気持ちをお聞かせください
最後このような結果で終わったとは言え、現実はもう変えられないです。降格させてしまった事実に一人一人が向き合わないといけないし、自分自身が一番そこに向き合わなきゃいけないなと思います。
――この試合では先発を外れ、複雑な思いもあったのではないでしょうか
そうですね・・・。ただ、この試合に臨むにあたってのベストメンバーなので。自分のところに入った壱成(DF安田壱成、スポ3=ベガルタ仙台ユース)が高いパフォーマンスを示し続けてきたからこそ、自分がスタメンを外れたと思います。それは壱成が良かったということだけなので。自分が主将だから試合に出ていたとかではなくて、勝負の世界の中で外れたと思っていますし、そこを突き付けなきゃいけないです。きょうは勝つためにやっていましたし、もちろん悔しい思いもありますが、そこよりもチームが勝ったことが何よりもうれしいです。
――ピッチに立った4年生にはどのような言葉を掛けられましたか
降格というかたちにはなりましたけど、何かを後輩伝えなきゃいけない試合でした。なので、出ているメンバーには勝利に導いてくれと話しました。
――その4年生がピッチで躍動してくれました。思うものがあったのではないでしょうか
そうですね、出ていた4年生が勝利に導いてくれました。そこに関して、特別な思いがわいてきました。
――後輩に何かを残したいということを話してこられました。何かを残せたでしょうか
・・・。一番大事なものを残せなくて、非常に申し訳ないです。自分が一年間主将としてやってきた中で、何を感じてもらえたかは正直わからないところです。一人一人に伝わっていなければ何も意味はないですし、後輩たちがこの主将に何かを残してもらったという思いをどれだけ抱いているか、それが全てです。自分が何を残せたかは今はわからないです。
――終盤、共に支え合ってきた岸浪副将がピッチに立ちました。どのような言葉を掛けられましたか
チームが勝つために引き締めてくれと伝えました。
――主将として難しいシーズンを過ごしてこられたと思います。この一年間を振り返っていかがでしょうか
うれしい思いもしましたし、降格という悔しい思いもしました。この降格が自分の中に強く残りました。この1年間を振り返って、降格というプレッシャーが掛かった状況の中で自分は何もできなかった、それが全てなのかなと感じています。こういった結果になったその過程で自分が勝利、残留に導くことができなかった、それをしっかり突き付けていきたいです。
――この四年間は新井選手にとって大きな四年間だったのではないでしょうか
そうですね、優勝も経験しましたし降格も経験しました。それだけでなく、先輩や同期から成長させてもらった、非常に大きな四年間でした。ただ、ここで終わりではなくて今後の行動に生かさなければ何も意味ないです。自分が降格させてしまった現状を突き付けて、その後の行動に責任をもってやっていかないといけないです。そこを考えながらやっていきたいです。
――新井選手のサッカー人生はまだまだ続くと思います。この経験をつなげていきたいですね
そうですね。この組織で人間的な部分が絶対成長したと思います。ここで得たものを継続していき、また、違った環境の中で必要なこともいろいろあると思います。そこで常に考えること、日々成長していくことが大事だと思います。
――最後に、ここまで支えてくださった皆様へメッセージをお願いします
どんな状況でも自分の力になったことが多くありました。時には厳しい言葉を掛けてくださる方がいて、自分の成長のためにというのをすごく感じた四年間でした。そういった人たちには感謝していますし、そういった人たちがいたからこそ成長した今の自分がいます。感謝とこの悔しさを忘れずに、次の舞台の新井純平を応援して頂きたいと思います。
GK岸浪卓志副将(社4=東京・早実)
――ア式蹴球部での最後の試合が終わりました。今のお気持ちをお聞かせください
引退試合というよりかは、次の昇格に向けての一試合でした。最後自分たちの代が終わるなというよりつなげなきゃいけないという思いで、目の前の一瞬一瞬を集中してできたなと思います。
――これまで4年生の多くが後輩に何かを残したいと話されていましたが、この試合で何かを残せたでしょうか
最後に4年生が点を決めた姿は目に焼き付いたと思いますし、逆に自分たちが悪かったことは改善点として残ったと思います。今後の活動に関わって、何を残せるか。正直、残せなかったものの方が多いと思うので、これが終わりじゃないからこそ引き続き何かを残していきたいです。
――お話にもあった通り、4年生がピッチで躍動しました。どのような思いで見ていましたか
ことしチームを背負ってくれた山内や大地(小林)、中山のゴールはしびれるものがありました。4年生はどんなことがあっても最高の同期だし、大切にいていきたいです。
――新井主将と共にベンチから声を張り上げている姿が印象的でした
目の前の一瞬一瞬を大事にすると言っていたので、そこへのこだわりがあの姿になったと思います。
――最後に出番が来ました。どのような思いでピッチに入りましたか
目の前のことに集中しようと思って試合に入りました。すんなり入れたと思います。ずっと試合に出れなくて、最後は監督に出させてもらったかたちでしたけど、試合終わった時にこみあげるものがありました。でも降格させた事実は変わらないので。自分のやってきたことが結果につながったと思うと同時に、勝たせられなかったという複雑な思いがぐちゃぐちゃとしていました。
――最後のリーグ戦となった東伏見のピッチはいかがでしたか
そうですね、やっぱり伏見でやれたことが大きかったですね。見慣れている景色で、先輩方の血と汗と涙が染みついている地面から力が伝わる、そんな感じがありました。
――控えGKという難しい立場が続いた四年間だったと思います。振り返っていかがでしょうか
上を目指したからこその控えの姿でした。控えに満足しちゃいけない中で、後藤(GK後藤雅明、スポ4=東京・国学院久我山)というカベや小島という新たなライバルが来て、ことし一年は自分の内面に問いかける場面が増えました。最後に自分の力で試合に出ることがこのチームに残せることでしたが、このかたちになったのはこれから頑張るための糧になったと振り返って思いますね。
――これからワセダのゴールマウスを守る小島選手にどのような選手になってほしいですか
本当に人としてしっかりしているなと最近思います。他の下級生に比べても感受性が豊かですし、本当に期待しています。何も不安がなく、安心して任せられるので結果で示し続けてほしいなと思います。
――最後にここまで応援してくださった皆様へメッセージをお願いします
このような結果になっても温かい声援を送ってくれたのは自分たちの力になりました。そういう支えがあるからこそワセダの強さがあります。自分たちの姿で少しでもその人たちに力を与えて、温かい声援をまた送ってもらえればなと思います。
FW山内寛史副将(商4=東京・国学院久我山)
――快勝となりました
7連敗して最後まで負けて終わるのかっていうことをチームとして意識していました。ただ、きょうの試合はプレッシャーから解放されてできたことだと思うので、終わった瞬間、なんで7試合負け続けてできなかったんだろうって自分の中で悔いとして残っています。最後勝って終われたことは良かったと思いますけど、降格したことは事実だし、いい感じに終わるわけにもいかないので、そこら辺はしっかり考えて今後やっていきたいと思います。
――前節から一週間、激しいトレーニングをしていたとうかがいました
前節で降格が決まった中で、メンバーが変わるのは当然ですし、一つ下のカテゴリー(Jr.リーグ)においては無敗優勝しているので、そういった選手がチャンスをつかんできょう出たと思います。その上で3日間連続で紅白戦をやって、前日もやったので、いつもより激しかったと思います。
――では、きょうのメンバー変更は実力によるものだということですか
これまで力を示し続けていた柳沢とかは出ればやれるだけの実力を持っていたと思うので、最後の最後になってしまったんですけど、それは来年につながる部分だと思います。
――後輩に何かを残したいとおっしゃっていましたが、何かを残すことができましたか
ことし一年何もできなかったし、プレーや結果でチームを引っ張って、後輩たちに何かを見せて伝統を継承することが自分のやるべきことだったと思っていました。それができなくて、口だけになってしまった部分はあると思います。本当にプレーで示したかったし、何を感じていたかはわからないですけど、見ていた後輩たちに何かを示したかったという思いです。あとは一人の選手として、このまま終わっていいのかっていうプライドをもって試合に入りました。
――何かを示したかったということでしたが、何を示すことができたと思いますか
ことし一年、降格の可能性が出てきた中で、一瞬一瞬でプレーできなかったっていうのが大きいと思っています。自分がここで学んだことはそういうことでしたし、去年何で結果が出たかといったら、そういうことをしっかり見直してぶれずにやれたからだ思っていて、それを去年理解したと思っていたけど、プレッシャーや責任に押しつぶされて前が見えなくなってしまって。3年生もことし出続けていた選手はそういうところがあったと思うし、それを4年生が背負い切ってプレーをさせることができなかったので、最後にそれをやりたかったのと、観ていた、試合に関わっていない選手はこういうプレーがワセダのプレーなんだっていうのを、自分が攻撃でも守備でも模範となるようなプレーをして、それを示して最後残せたらなと思っていました。/p>
――前半は点が動きませんでした
駒沢との試合は毎回こうなりますし、ある程度覚悟していたので。競り合いや球際一つが大事になると。焦れずにやれていたと思うので、前半は点が動かなくても問題はなかったと思います。
――1点目は山内選手が決めました。一対一となった得点シーンを振り返って
相手のミスだと思うんですけど、信じて走ることは自分がここで学んだことの一つだし、仲間や自分を信じてプレーするのも重要なことだと思うので、それが得点につながったということは良かったと思います。
――久しぶりのゴールとなりました
久しぶりの得点だったってことが自分がことし何もしていなかったっていうことを証明していると思うし、毎試合点を取り続けて勝たせ続けることが自分の仕事だったと思うので。後期の最初と最後に取って、それだけなので、本当にだめだったなと思います。
――前半、イエローカードをもらって退場となった慶大戦のことはよぎりましたか
多少はよぎりましたけど、一瞬一瞬集中してやるべきではないプレーをやらなければいいだけだと思いました。実際、あのプレーはイエローだったし、冷静さを欠いていたと思うので。そのあと冷静になってプレーできたのはよかったです。
――2点目は4年生3人で取りました
大地(小林)がもう一回出してくれると信じて走ったし、雄希(中山)は見えていたわけではないけど声が聞こえていたから出したので、信じ合っていました。あの三人で点が取れたことは本当にうれしかったです。
――中山選手と二人で先発して、二人とも点を取るというのは最初で最後です
去年から二人で切磋琢磨していました。俺が出ている中であいつがケガを抱えている状況で。ことしは何度かありましたけど、何もできずに終わってチームも負けていて。二人で点を取って引っ張ってっていうのをやらなければいけなかったんですけど。最後にできたことはうれしかったんですけど、雄希も自分も何も満足していないし悔いしか残っていないと思うので。一緒にプレーすることはもうないと思うんですけどお互い次のステージがあると思うので、そこで生かしていきたいと思います。
――6-1というスコアを叩き出した原動力は何ですか
今まで出ていなかった選手が出て結果を残したっていうのもありますし、相手が点を取りに前に来た分、後ろが薄くなっていたっていうのがサッカー的な要因だったと思います。あとは気持ちの部分で、責任やプレッシャーに解放されてああいうプレーができたっていうところだと思います。自分たちは本当に弱いんだっていうのをしっかり受け止めないと、きょうの結果で、本当はできたよねとかではなくて、自分たちができなかったことは事実なのでそこを受け止めてやっていきたいと思います。
――ア式での4年間を振り返って
成長させてもらった身なのに後輩に何も残せず、最低限の舞台も残せずに終わってしまったので、これから何ができるかだし、全体に話す機会もあると思うので残りの期間で何か残せればいいなと思います。
MF小林大地(スポ4=千葉・流通経大柏)
――きょうが公式戦のラストゲームでしたが、この試合にどんな思いを持って入りましたか
降格が決まっている中で、来シーズンへ向けてのスタートの第1戦という捉え方できょうの試合に臨んで、後輩たちに何かを残すためには本当にこの一戦しかないと思っていたので、この試合の90分の中での自分の戦いぶりで、後輩に何かを感じ取ってもらえればなという思いで臨んでいました。
――先週までと比べて少しメンバーの入れ替わりがあって、今までと勝手が違う所などはありましたか
きょうのスタメンの11人のうち、4年生が3人しかいないということで、やっぱり引っ張っていかなきゃいけない立場ということでもありました。でも、替わりに出た選手も1年間を通してパフォーマンスは高いものをずっと示していたので、みんな自信を持って臨んでくれていましたし、見てわかる通りほんとうに素晴らしい戦いをしてくれたなと思っています。
――スタメンを外れた同学年の選手と、試合前に何か話をしましたか
純平(新井主将)からはメッセージが個人的に来て、「俺がベンチから一番声を出すから、きょうは大地任せたぞ」と。純平は2年からずっとスタメンで出続けて、この最後の最後でベンチになってしまった悔しさっていうのは本当に多くあると思います。後藤に関してもずっとゴールマウス守り続けてきて、去年の優勝も後藤がいたからって言っても過言ではないくらいの活躍をしてくれて、その上での最後の最後のメンバー外ということで、自分が想像しているよりも悔しい気持ちを持っているだろうなということを感じていたので、自分がピッチでスタメンで出られる以上はそいつらの分まで結果として残したいなというふうに思っていました。
――きょうの2点目は4年生のコンビネーションで奪った得点でした
リーグが終わるにつれて、やっぱり試合を勝たせるのは最上級生の4年生の力だと思っていましたし、チャンスっていうのは4年生のもとにこぼれてくるというふうにはずっと思っていたので、大事な2点目というのを出ている3人の4年生のコンビネーションで取れたのは大きいかなと思います。
――きょうの結果をどう捉えていますか
次の2017シーズンに向けての第一歩が切れたかなというふうに思いますし、自分自身このチームに対して公式戦で示せるのはきょうが最後でしたし、きょうの自分の戦いぶりで後輩たちが何かを感じ取ってもらえれば、それが自分の役割と言うか責任、義務だと思っているんで、最低限今シーズン最後の公式戦に勝てたということは、未来への第一歩につながったかなというように思います。
――「下級生に何かを感じてもらえるプレーをしたい」といつもおっしゃっていましたが、いかがですか
後期リーグに関しては最後の2試合しかスタメンで出ることはできなかったんですけど、自分の中ではこの2試合に自分のすべてを注いだつもりだし、それを後輩がどう思ってくれてるかっていうのはわかってないですけど、自分としてはやれることはやったかなという感じです。
――ア式蹴球部での4年間はいかがでしたか
自分を成長させてくれた場所だなというのは大きく感じていて、自分がここに入部した当初は本当に人間的に甘くて、未熟で、だけどそれを変えてくれたのは先輩だったり、コーチングスタッフだったり、同期だったり。そういった人たちが自分に深く踏み込んでくれて、関わってくれたからこそですし、だからこそ3年生の時から試合にも関われるようになったというふうに思っているんで、人間的なところで本当に大きく成長させてもらったなという感謝の思いでいっぱいです。
FW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)
――快勝となりました。今のお気持ちは
素直にうれしいです。
――前節からどのような準備をしてきたのですか
4年生としてこのまま終われないっていう思いが強くあったので、点を決めてチームを勝利に導きたいっていう思いでやってきました。
――本日の試合は引退試合という側面もありました
そういうのは特に考えていなくて、この目の前の一試合を勝つためだけにやっていました。
――大幅にメンバーを変更して臨みました
きょう出たメンバーはシーズンを通して高いパフォーマンスを示していたからこそチャンスを勝ち得たと思います。いい選手が出る、それだけだと思うので。スタメンを勝ち取った選手だったので何の心配もなく、絶対に勝てるという思いしかありませんでした。
――ワセダの2点目は中山選手が決めましたが、他にも4年生が二人絡んだゴールでした
ヒロ(山内)が自分で撃つこともできる状況だったんですけど、自分に出してくれました。あいつからのパスは絶対に決めたいっていう思いがあったので、それはヒロに感謝しています。
――山内選手と二人で先発して、二人とも点を取るというのは最初で最後でした
シーズンを通して俺らで取りたいと話していた中で、今シーズンはチームに迷惑をかけた分、最後の最後でヒロと一緒に得点できたことはうれしく思います。
――PKを拾った場面を振り返って
あそこに溢れてくるだろうなっていう予測で生まれたものでした。正直微妙な判定だったと思うんですけど、信じていたからこそのものだったので、PKに関してはいつも通り強い思いをもって蹴ることができてよかったです。
――6-1というスコアを叩き出した原動力は何ですか
最後監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)がおっしゃっていたように、降格のプレッシャーから解き放たれた中でこその勝ちだったのかなと思うところはあります。まだまだ自分たちは弱いんだなという思いもあったし、こういうゲームができるなら、もっと違った結果になっていたんじゃないかなって思うし、きょうの結果を踏まえて悔しいなっていう思いはあります。そこに関しては4年生の責任ですし、力を出せなかった自分の責任でもあるので、一生の財産として、行動に移していけたらと思います。
――後輩に何かを残したいとおっしゃっていましたが、何かを残すことはできましたか
何かを残せたかっていうのは、自分で決めることではなくて後輩が感じ取ってくれる、それだけのことだと思うので。何かを残せたかはわからないですけど、ア式に関わる活動は終わることはないと思うので、まだまだ後輩たちに何か残していけたらなと思います。
――具体的に何を残そうと思って行動していましたか
ワセダとしての伝統や、戦いぶり、支えて下さる方々の思いを背負うっていうことを後輩たちに残していけたらなと。絶対に勝たなければいけないという伝統を継承できたらなと思います。
――ア式での四年間を振り返って
正直ア式での四年間はつらいことの方が多かったので、この四年間を財産として次のステージに生かしていきたいなと思います。
MF秋山陽介(スポ3=千葉・流通経大柏)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
きょうは最後の試合ということで、次の1部昇格に向けてつながる試合というふうに意味付けていたので、絶対に勝たなければいけない試合でした。勝てて良かったです。
――きょうはどのような気持ちで試合に入りましたか
次につながる試合ということで、自分たちが今できることというのを見てくださる方達に見せないといけない試合だったので、そういう面でワセダらしさと自分たちのできることを十分に意識して入りました。
――きょうの試合の4年生の姿を見てどのように感じましたか
やっぱり4年生は頼もしかったし、4年生を見て学ぶ部分というのは自分的にとても多かったので、その部分を改めて見せてもらいました。もっと4年生と試合をしたかったですけど、自分の力不足でチームを勝たせることができなかったので、次に生かせるように頑張っていきたいです。
――きょうは4年生のためにどのようなプレーをしたいと思いましたか
試合に出ている4年生だったり、出ていない4年生だったりと多くいた中で、自分がその人達にも恥じないプレーを見せたり、体張ったり、走ったりというところで、気持ちの部分を見せたいなと思っていました。
――この1年間Aチームで戦ってどのような1年でしたか
ずっとスタメンで出させてもらっていて、その意味でチームを勝たせられなかったのは自分の責任でしたし、もっと期待に応えたプレーというのをどんどんやれれば良かったんですけど、やれなかったので。これからは自分が引っ張っていかなければいけない立場になるので、引っ張れるように頑張っていきたいです。
――来年はどのようなプレーをしたいですか
来年は自分がチームを勝たせるようなプレーというのを多くやって、絶対に一部に昇格できるように頑張ります。
DF鈴木準弥(スポ3=清水エスパルスユース)
――きょうの試合を迎えるにあたって、いろいろな思いがあったと思います
先週の試合(第21節桐蔭横浜大戦、●2-3)で2部に落ちることが決まって、きょうに対するモチベーションとかいろいろ難しいところはありました。ですが、2部に落ちた現実というのをしっかり受け止めて、来シーズン1年で1部に復帰する、昇格するというところを意識して、2017シーズンはもう始まっているんだという位置付けで日曜日からやってきましたし、2017シーズンに上がるための一戦ということでやってきました。
――試合を簡単に振り返ってください
相手がFWの大谷(大谷真史)という選手に対してシンプルに入れてくる中で、そこのボールをDFライン含めてはじけたところ、そこが相手にペースを握らせずに試合を運べた理由なのかなと思います。逆に自分たちは、いままでの試合よりもボールを持てる時間が多くて、そこで相手に対してうまく攻撃できたことが結果的に大量得点というところにつながってきたのかなと思います。
――駒大が多用したロングボールへの対応で、センターバックとして心掛けていたことを教えてください
相手の前線は2トップというか縦型になって、前に大谷、後ろに10番(FW吉岡雅和)の選手がいて、まず大谷に当ててきて、すらしたところを10番の選手が関わってくるっていうところがあったので、まずは大谷に負けないというところと、チャレンジアンドカバーというところを意識して試合には臨みました。
――きょうは4年生の公式戦ラストゲームでしたが、その姿を見て何か感じた事はありますか
雄希くん(中山)だったり、ヒロくん(山内副将)だったり、大地くん(小林)だったり、そういった選手は本当に戦ってくれたし、後ろから見ていて本当に最後までやり続けてくれたなと思いました。
――来年は最高学年としてチームを引っ張る立場になります。ことしのチームの課題はどんなところにあったと考えていますか
勝たなきゃいけない試合だったり、残留が懸かった試合だったり、プレッシャーがかかったときに、なかなか自分たちの力が発揮できない、プレッシャーに弱いということがことしの課題だったと思うんですけど、降格が決まって気持ち的な余裕というか、良い意味で普段と何も変わらないというところがきょうはあって、少し気が楽にできたというところで、きょうの試合は今までの試合より良かったのかなと思います。今年のチームは特に3年生以下が多かった中で、4年生じゃなくてその3年生以下のメンタル的な部分が弱かったのかなと思うので、来年はそこをほんとうに一人一人が自立してやっていかなければならないのかなと思います。
――来季に向けて、こうしていきたいというイメージはありますか
まだわからないんですけど、自分が主将という立場になるかもしれないんですけど、そうなった時に自分が一番ピッチの中で戦い続けたいですし、それを言葉で味方に伝えるのもそうですけど、自分の行動や戦いぶりをチームの人に見せて、そういったところを感じてもらって、ことしその課題になったプレッシャーに弱いというところに対して、自分がまず最初に向き合って強くなって、それを仲間に伝えていければいいと思います。サッカー自体はそんなに下手な選手がいるわけではないんで、メンタル的なところが備わればいいと思うんで、そういうことを中心にやっていけたらいいと思います。
DF安田壱成(スポ3=仙台ベガルタユース)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
2部降格が決まった中で来シーズンに向けてどういう戦いをして次につなげていくのかということを自分は意識していました。
――新井主将に替わっての初スタメンでした、どういったプレーを心掛けましたか
今シーズンが始まる前から純平くんのポジションは狙っていましたが、自分の力不足で超せなくて、でもこのようなチャンスが与えられたなかで、純平くん以上のパフォーマンスをしてやろうと思いましたし、来シーズンにつなげてやろうという思いでやっていました。
――相手のロングボールを多用してくる攻撃の対応をどうDF陣と話していましたか
自分たちは割り切ってはっきり跳ね返してオフェンス陣にパスを出すこと、徹底的に跳ね返してオフェンス陣を信じて戦うだけでした。
――試合が終わった瞬間、倒れながら喜んでいる姿が印象的でした
自分は公式戦初出場ということもあって色々なプレッシャーがありましたし、2部降格していろいろな方々に申し訳ない気持ちがありましたが、最後勝利というものを届けることができてホッとしたので、自然と涙が出ました。
――きょうの4年生の姿をみてどう思いましたか
純粋に心動かされましたし、来年は自分らが4年生になるわけでああいうプレーをしなければならないと思います。
――これから最上級生としてチームを引っ張る立場になると思います、その覚悟はどうですか
来年はまず1部復帰を第一に目標にして、2部優勝、アミノバイタル杯、総理大臣杯、インカレと全部のタイトルを獲る覚悟でいきたいと思います。
――2年生の時に比べ、Aチームに関わる機会が多く、安田選手自身が成長を感じた一年だったと思います、この一年間どうでしたか
3年生になってポジションをボランチから右サイドバックに転向して新たな気持ちで臨んで、それにどれだけ合わせることができるかが勝負だと思っていたなかで、それに対応できてそのポジションで成長することができたからこそAチームに関わることができました。また自分の強み、持ち味をAチームにいたからこそ見つけることができました。
――最後に、来シーズンに向けて意気込みをお願いします
来シーズンもスタメンで出れるようパフォーマンスを上げて成長していきたいと思います。
GK小島亨介(スポ2=名古屋グランパスU-18)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
前半なかなかお互いチャンスがつくれず固い展開になりましたが、前半我慢して守ることができたからこそ、後半1つのチャンスをモノにして勢いに乗ることができたと思います。
――正GKの後藤選手に替わっての出場でした
今週のかたちとして来季に向けたチーム作りをしていたので自分のなかでこの試合は出なければならないと思って練習に取り組んできましたし、実際スタメンでチームの勝利に貢献できましたし、来季に向けていいスタートになったと思います。
――小島選手がU-19日本代表に選ばれチームを離れている期間、チームの状態が悪くなり力になれない葛藤があったと思います
そうですね、チームを離れて、チームが連敗しているということも聞いていましたし、帰ってきたらチームの勝利に貢献したいと思っていたので、それがきょうできて良かったです。
――後ろから見た4年生の姿はどうでしたか
このチームを本当に引っ張っていた存在だなと思いましたし最初から最後まで攻守にわたって走り続けてくれたので、その姿を見て自分たちももっと頑張らなければならないと思いましたし、来年は1部昇格をしたいです。
――同じGKの4年生、後藤選手、岸浪選手への思いはどうですか
2年間後藤くん、キシくんを見て自分の足りないところを持っているなと思っていました。後藤くんならシュートストップであったり、キシくんは力強さです。2年間成長することができたので、2人を超えられるように頑張っていきたいです。
――来季は守護神としてチームを支える立場になると思いますが、その覚悟について聞かせてください
上の学年にGKがいないという状況で、自分は3年生ですが、4年生という気持ちをもってチームを引っ張っていけるようにリーダーシップをもってやっていきたいです。