遠い1点。最下位・国士舘大に敗戦

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)第18節を終え、勝ち点は20。順位表では下から2番目。そんな危機的状況にある早大は降格圏脱出、そして再浮上を目指し第19節 国士舘大戦に挑んだ。立ち上がりから敵陣に攻め込みチャンスをつくった早大だったが、17分に自陣でのパスミスから先制点を献上してしまい、相手を追い掛ける展開に。後半も必死の思いでゴールを目指すものの、1点が遠かった。最後までスコアをひっくり返すことはできず、このままタイムアップ。残留を争う最下位の国士舘大を相手に痛い敗戦となった。

 「割り切って、全て裏に蹴ってそこから前向きに攻撃ができれば」(DF新井純平主将、スポ4=浦和レッズユース)。プレーが小さくなり、ボールロストから悪い流れを招いた前節 専大戦(●0-1)の反省を生かし、早大はロングボールを相手の背後に供給。そこから攻めの起点をつくることをこの試合のゲームプランニングとして掲げた。このプランニングをピッチでけん引したのがツートップのFW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)とFW飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)の両名だ。裏への動き出しを得意とする中山と競り合い時に強力なターゲットマンになる飯泉を中心に、早大は立ち上がりからチャンスを演出していく。5分、抜け出した中山がドリブルから上げたクロスに飯泉が飛び込むがここは合わず。7分にもクロスを胸で収めた中山が一人を交わしてからシュートを放つなど、得点の気配を感じさせていく。しかし、今の早大はなぜか歯車が噛み合わない――。17分、自陣でのパス交換がもたつき相手にボールを奪われるとショートカウンターからあっさり先制点を献上してしまう。その5分後にも相手FWにポスト強襲のシュートを許してしまい、攻め込む場面をつくる一方で、相手を追い掛ける苦しい前半となる。

前線で躍動した飯泉

 後半も試合を優位に進めたのは早大だった。48分、敵陣で中山がボールを奪うとそのまま単独で左サイドを突破。相手GKとの一対一を迎えるがシュートは枠を捉えられず追い付くことができない。73分にはPA前の絶好の位置で得たFKをMF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)が直接狙う。相手GKとの駆け引きの中で壁のない左側へ強烈なシュートを放ったが横っ飛びではじき出され、同点の機会を逸する。結果的にこのビックセーブが試合の行く末を決めることとなった。早大は交替策でフレッシュな選手を投入するものの流れを変えることができず、試合は終了。最下位の国士舘大を相手に勝利をつかむことはできなかった。

FKだけでなくドリブル突破でも魅せた相馬

 前節からの改善は見られたものの、これで3試合連続ノーゴール。得点数はリーグ最少の18に留まり、決定力不足がこの順位に大きく響いている。さらに失点のかたちも自分たちのミスから生まれたものであり、チームとして苦しい状況が続いている。次節の相手は永遠のライバル、慶大。意識する相手ではあるが、今選手たちはそれ以上にただ一つの勝利を求めている。「どんなに格好悪くても、どんなにみじめな姿でもいいので、最後まで可能性がある限り自分たちは戦わなければいけない」(MF平澤俊輔、スポ4=JFAアカデミー福島)。勝ちに飢えたエンジイレブンの躍動に期待したい。

(記事 桝田大暉、写真 大森葵、篠原希沙)

スターティングイレブン

関東大学リーグ戦第19節
早大 0-1
0-0
国士舘大
【得点者】(国)17林
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 鈴木準弥 スポ3 清水エスパルスユース
DF 12 木下諒 社3 JFAアカデミー福島
MF 平澤俊輔 スポ4 JFAアカデミー福島
MF →72分 蓮川雄大 スポ2 FC東京U-18
MF 14 鈴木裕也 スポ3 埼玉・武南
MF →85分 小林大地 スポ4 千葉・流通経大柏
MF 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW →64分 山内寛史 商4 東京・国学院久我山
FW 飯泉涼矢 スポ3 三菱養和SCユース
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
◎1 明大 45 19 14 43 17 +26
筑波大 30 19 27 17 +10
日体大 30 19 28 30 -2
順大 29 19 32 26 +6
法大 28 19 27 22 +5
慶大 24 19 31 35 -4
専大 24 19 27 31 -4
駒大 24 19 26 31 -5
流通経大 22 19 24 29 -5
10 桐蔭横浜大 21 19 24 26 -2
11 早大 20 19 18 23 -5
12 国士舘大 20 19 11 20 40 -20
※第19節終了時点
※明大の優勝が確定
※下位2チームは2部自動降格
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――5連敗となりました。試合を振り返っていかがでしょうか

失点シーンは自分たちのミスからです。厳しい状況の中でああいうのが出てしまうのがまだまだというか、自分を含めて全員の責任だと思います。失点してからもチャンスを決め切れない、それが全てなんじゃないかと思います。

――前半は相手のディフェンスラインの裏にボールを蹴り込み、そこから起点をつくるという意図が明確に現れていました。試合前からのゲームプランとして意識したことでしょうか

そうですね。前節の専修戦(●0-1)でも近いところでプレーするときに(ボールの)失い方が悪くて相手に主導権を握られるというのがありました。きょうは割り切って、全て裏に蹴ってそこから前向きに攻撃ができればいいなと感じていました。

――前半に風上を選択したのもその点を意識してのことだったということでしょうか

そうですね、前半からいくという意識がありました。(コイントスで)自分たちがエンドを選べて、太陽の位置も見た中で前半からいくという狙いがありました。

――前半はその狙いが徹底できていただけに得点できなかったのが痛かったですね

そうですね。前半はゴール前にいけるシーンが多くありましたし、チャンスがあった中で決め切れないのがチームの現状です。ここ最近ずっと無得点ですし、個の部分で勝負を決め切る力がこれから3試合で問われてくると思います。

――この敗戦でインカレ出場圏が遠のきました

優勝がなくなり、インカレ出場が次の目標になりましたけど。この現状に向き合わないといけないですし、降格しないように自分たち4年が一番やらなきゃいけないです。今は降格圏内にいるのでまずはそこから抜け出すこと、そこから勝つことでインカレも見えてくるので。インカレ出場よりもまずは何が何でも降格を避けるために一試合一試合やっていかなければならないです。

――次節は新井選手にとって、リーグ戦最後の早慶戦となります。どのように戦いたいですか

相手がケイオーと意識するのではなく、何が何でも勝ちたい、勝ちしかないので。早慶戦は特別な試合ですが、勝つことだけを求めて、今からの時間を過ごしていきたいです。

MF平澤俊輔(スポ4=JFAアカデミー福島)

――5連敗という結果となりました。率直な感想を教えてください

自分の力不足というか、自分の実力が伴わなくて負けてしまったと思うので悔しいという思いがあります。

――国士舘大も下位争いをしているチームでしたが相手の印象はいかがでしたか

国士舘大は下位争いをしている中でも、個としては一人一人しっかりとやってくるという印象があります。個で打ち負けてはいけない状況で、自分のところで優位に立つことができなくて、その部分はゲームの流れを左右するところだったと思うので、勝つことができなかったというのは悔しいですね。

――積極的な前半の入りの中で許した先制点でしたが、失点シーンを振り返って

自分が不用意に下げてそこからボールを失ったかたちになったと思うのですが、あそこで前に運べる力がないというのが自分の弱いところですし、そこでチームに貢献することができなかったので、本当に自分の責任かなと感じています。

――平澤選手自身は復帰2戦目となりましたが、ご自身のプレーを全体的に振り返っていかがでしょうか

まだまだ求められるプレーの内容ではありませんでしたし、(自分が)貢献していくことでチームが勝つ確率が高まっていくと思っています。小さな積み重ねを試合中にすることができれば、自分たちの流れにもなると思いますし、そういった役割を担っていると思うので、それができなかったというのは自分の力不足ですし、そこに向き合ってやっていきたいと思います。

――チームとしても厳しい状況となっていますが、残り3試合で勝つために大事になってくることは何だとお考えですか

諦めないという一言に尽きるなと思っています。どんなに格好悪くても、どんなにみじめな姿でもいいので、最後まで可能性がある限り自分たちは戦わなければいけないですし、それを見せることができたら勝つ確率も高まると思うので、そういったところを意識していきたいと思います。

――次節は4年生として最後の早慶戦となる可能性もありますが、意気込みをお願いします

勝ちに飢えていますし、そこに対して絶対にみんなも思うところがあると思います。見に来て下さっている方や、応援してくださる方々に勝利を届けることができるように、一週間を過ごしていきたいと思います。

DF木下諒(社3=JFAアカデミー福島)

――きょうの試合の率直な感想をお願いします

自分たちのありえないミスから失点して、決定機もあったのに決め切れず、本当に力の無さが露呈した試合だったなと思います。

――チーム全体の動きはどうでしたか

自分たちの強みを生かして戦うっていうのを今週割り切ってやってきた中で、どこかまだ迷いがあって。全然だめだったと思います。

――サイドのスペースを狙っての攻撃参加の機会が多くありましたが

サイドハーフがきっちり戻ってきていたのでタイミングをみてという感じだったんですが。受けた時はシンプルにクロスで速さを出そうとは意識していました。

――風向きが変わった影響などはありましたか

自分の方のサイドのクロスは風で流れていくので速いボールは意識したんですけど。特に影響はなかったです。

――次戦は早慶戦となります

MF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)

――試合全体を振り返って

決定機が多かったのに決め切れなかったことが、勝てなかった要因かなと思います。

――決定機が決まらなかった理由は

自分で言えばFKをちょっとコースを読まれていた部分がありました。他のシーンでそれぞれどういう感じだったかは、本人に聞かないと分からないです。

――その場面で相手GKとの駆け引きで意識したことは

近かったので、人を立たせて速いボールを蹴ってそこを越せば入るかなと思ったんですけど。相手は関東選抜でもやらせてもらっていたキーパーで、止められてしまいました。

――結果的に左に蹴っていました

カベがすごく高い人を自分から見て右に置いていたので、そこで当てるよりも左で速いボールを蹴った方が確実かなと思って蹴りました。

――後半はなかなか組み立てが難しかったですね

先に1点取った相手がやっぱり守備を固めている中で、固められた中でもそれを崩し切る力というものがもっと必要になってくると思います。

――サイドのスペースでドリブルを仕掛け攻撃参加する場面が多かったと思いますが

前節、攻撃できなかったため、今節しっかり蹴れたことは良かったかなと思います。

――相手のディフェンスの状況はどのようにご覧になっていましたか

相手は結構サイドバックをセンターバックのカバーに生かしていて、自分たちのサイドハーフを相手のサイドハーフが見ていました。相手は6枚くらいで守ってくるという意識でやっていました。なるべくカウンターで相手が追い付かない前に攻めてサイドバックに仕掛けてそこを突破すればチャンスになると思ってやっていました。

――きょうの一番の課題を挙げるとしたら

やはり決定力です。決めるところで決められなかったことが、きょうの敗因だと思います。

――次節は早慶戦です。意気込みを聞かせてください

ケイオーにだけは負けたくないという思いもそうですけど、客観的に見ても10位で下と勝ち点も一緒で本当に追い込まれている状況なので、なんとしても勝ち点3を取りたいです。ほんとに勝つしかないので。また1週間しっかり取り組んでいきたいと思います。