負のサイクル抜け出せず。泥沼の3連敗

ア式蹴球男子

 40年ぶりの関東大学リーグ戦(リーグ戦)連覇の夢がついえてからはや一週間。早大はチームの原点であるホーム、東伏見で第17節 流通経大戦を迎えた。降りしきる豪雨の中、試合はキックオフ。早大は立ち上がりから相手に主導権を握られると、前半10分には早くも先制ゴールを許してしまう。その後も相手の勢いに押され続け、終わってみれば3失点の完封負け。またしても負のサイクルから抜け出すことはできなかった。

3失点、これが現実だ

 前節の敗戦(筑波大戦、●1-2)により、6試合を残して連覇への挑戦が絶たれてしまったエンジイレブン。一つでも『1st』に近づくべく、一戦必勝の思いでこの試合に臨んだ。しかし、慣れ親しんだピッチで躍動したのは灰色のユニフォームだった。テンポの速いパス回しから攻撃を組み立て、次々にボールを展開していく流通経大を前に、早大は立ち上がりから守勢に回ってしまう。前線から懸命のプレスを試みるが、連動した緻密なパスワークにいなされてしまい、ボールを奪うことができない。逆に、人数をかけてアプローチした結果生まれた背後のスペースを使われてしまい、前半9分にはボックス内で決定的なシュートを許してしまう。そして、その直後の10分、右からのクロスを一度は跳ね返すがこぼれ球を拾われ、耐え切れず失点。28分にもショートカウンターからヘディングをねじ込まれ、前節同様に苦しい試合運びとなってしまう。39分、右サイドでつないだボールをMF鈴木裕也(スポ3=埼玉・武南)が逆サイドを駆け上がるDF木下諒(社3=JFAアカデミー福島)に展開。木下がドリブルからクロスを上げるとFW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)が抜群のタイミングで合わせる。しかし、ボールはクロスバーをたたいてしまい、追撃の1点は幻に。2点という重いビハインドで前半が終了した。

左サイドで奮闘した木下

 後半最初のチャンスを迎えたのは早大。49分、PA前の絶好の位置でFKを獲得するとMF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)が右足で直接狙う。狙い澄まされたシュートがゴール左に飛ぶが、またしてもポストをたたいてしまい、乾いた音だけがピッチに鳴り響く。運にも見放された早大。1点が、遠い。その後のセットプレーもものにできずにいると64分に痛恨の3失点目。これで試合が決まってしまった。重苦しい雨雲が開け、晴れ間が見えた空とは裏腹に、苦難のどん底にいる早大に光が差すことはなかった。

 これで3連敗。4試合連続で勝ち星から遠ざかっている。まさに泥沼だ。元々得点が多いチームではなく、伝統的な堅守で手堅く勝利をつかむのが早大のサッカーである。しかし、今季は頼みの綱の守備で耐え切ることができず、失点を重ねてしまっている。全日本大学選手権への切符を争う上位陣との差は開き、気付けば降格争いが目前に迫ってきた。しかし、もはや相手どうこうではない。ただ真っ直ぐ前を見て、勝ち点3を取りにいくしかないのだ。「やるしかない」。試合後、DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)は心の声を振りしぼった。残すは5試合、どうかこの正念場を乗り越えてほしい。

(記事 桝田大暉、写真 大森葵、中村ちひろ)

スターティングイレブン

関東大学リーグ戦第17節
早大 0-2
0-1
流通経大
【得点者】(流)10日高,28森田,64渡邊
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 鈴木準弥 スポ3 清水エスパルスユース
DF 12 木下諒 社3 JFAアカデミー福島
MF 13 今来俊介 商3 神奈川・桐光学園
MF →64分 蓮川雄大 スポ2 FC東京U-18
MF 14 鈴木裕也 スポ3 埼玉・武南
MF 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW →65分 飯泉涼矢 スポ3 三菱養和SCユース
FW 10 山内寛史 商4 東京・国学院久我山
FW →86分 武颯 スポ3 横浜F・マリノスユース
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 42 17 13 40 14 +26
筑波大 29 17 27 16 +11
法大 27 17 24 18 +6
日体大 27 17 24 27 -3
順大 23 16 29 25 +4
慶大 23 17 28 31 -3
駒大 21 17 23 27 -4
早大 20 17 18 21 -3
流通経大 19 17 21 25 -4
10 専大 18 17 23 30 -7
11 桐蔭横浜大 17 17 21 26 -5
12 国士舘大 17 17 10 19 37 -18
※第17節終了時点※下位2チームは2部自動降格
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――悪い流れを断ち切ることができませんでした

2連敗していて何が何でも勝ち点3をつかまなければならない試合でした。結果としても、内容としても、何もできずに終わってしまったというのが本当に悔しいです。もう下を向いている暇はないです。

――率直に、どこが悪かったと感じていらっしゃいますか

プレッシャーをかけるにしても、全体がばらばらになってしまったなと。やりたいことがぶれていたわけではないのですが、ボールを奪うためにそれぞれのポジショニングを統一できなかったのがボールを奪えなかった一つの要因です。決め切る部分でも、相手がしっかりものにしてきたのに対し、自分たちは勝負強さに欠けていたと感じます。

――ワセダが悪かったのか、相手が良かったのか、ピッチではどのように感じていましたか

どっちのチームが良かったか、悪かったかはまだわからないですけど、明らかに自分たちの力不足が顕著に表れていました。同じようなチーム状況の中で、危機感が向こうの方が上回っていた、それがこの結果だと思います。

――上を向いてやっていくしかないですね

負けられない状況は何も変わってないです。勝つしかない、本当に全員が危機感を持ってやるしかない・・・。やるしかない、それだけです。今から目の色を変えてやっていく、そのことを一人一人に意識付けして勝ち点3をつかめるようにやっていきたいです。