力出し切れず日体大に完敗。三冠の夢叶わず、ベスト8で散る

ア式蹴球男子

 三冠(関東大学リーグ戦、総理大臣杯全日本大学トーナメント、全日本大学選手権)達成に向けて絶対に落とせない総理大臣杯3回戦。前半、パスのつながらない早大から完全に主導権を奪った日体大が左サイドのクロスからヘディングで先制点をあげる。早大は枠内シュートゼロと完全に押し込まれたまま前半終了。後半も立ち上がりこそ決定機をつくったもののその後は終始日体大ペース。58分、60分と立て続けにゴールを許し、万事休す。ベスト8で姿を消すこととなった。

無念の3回戦敗退となった

 試合前、「1、2回戦のような戦いぶりをしていたら絶対勝てない」とFW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)らは調子の出ないチームを引き締めた。しかし、言葉と裏腹にこの試合でもチームの歯車が噛み合うことはなかった。19分、CKからDF熊本雄太(スポ3=東福岡)がスライディングでシュートするもジャストミートならず。その後、「選手間の距離がいつもより遠い」とFW山内寛史副将(商4=東京・国学院久我山)が語ったように連携が取れず、パスミスを連発する早大。動きが重く、前線から統率のとれたプレスをかけることも出来ずに主導権は徐々に日体大へ傾く。25分のPA前右からのFKは壁に当たり、事なきを得るも35分、クロスの応酬から最後は頭で合わせられ、日体大が先制。早大はMF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)のFKからチャンスを作る場面もあったもののシュートは熊本の一本のみで前半を終えた。

 反撃に出たい早大はハーフタイムで前線からのプレスを意識づけ、攻撃の活性化のために後半開始からFW飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)を投入。すると50分、この試合最大のチャンスを迎える。相手DFがブロックしたボールに反応した中山が強烈なミドルシュート。しかし、これに再び相手DFが執念のブロックを見せ、ゴールを奪えない。同50分、左サイドからの中山のクロスに飯泉がヘディングで合わせるもこれもゴールならず。千載一遇のチャンスを立て続けに逃した早大は連携を乱し、流れは再び日体大へ。54分、カウンターから相手FWに抜け出されるもここはGK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)がセーブ。しかし、58分、早大CKのカウンターから日体大が追加点。折り返しに最後はファーで右足のボレーシュートを叩き込まれた。60分にもDF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)が振り切られ、立て続けに3点目を献上。窮地に追いやられた早大は62分にエースの山内副将を投入。それでも一度手放した流れは戻ってこなかった。82分の相馬のFKはポストを直撃、直後の83分の山内副将のヘディングシュートも惜しくも枠を捉えず、最後までゴールは奪えなかった。

戦列復帰した山内副将

 ミスを連発し、「自分たちの力を出し切れなかった」と唇を噛んだエンジイレブン。3点という点差以上に内容に差があった。しかし、落ち込んでばかりはいられない。一週間後には天皇杯東京都予選が控える。三冠を逃し、「もう負けは許されない」と語る山内副将。このまま敗戦を引きずり調子を落とすのか、それとも残る二つのタイトルを獲得するために生まれ変わるのか。今こそ早大の正念場だ。

(記事 皆川真仁 写真 菖蒲貴司)

スターティングイレブン

第40回総理大臣杯全日本大学トーナメント 3回戦
早大 0-1
0-2
日体大
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
FW →81分 武颯 スポ3 横浜F・マリノスユース
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 鈴木準弥 スポ3 清水エスパルスユース
DF 12 木下諒 社3 JFAアカデミー福島
MF 19 須藤駿介 スポ3 静岡学園
FW →HT 飯泉涼矢 スポ3 三菱養和SCユース
MF 14 鈴木裕也 スポ3 埼玉・武南
MF 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW →62分 山内寛史 商4 東京・国学院久我山
FW 13 今来俊介 商3 神奈川・桐光学園
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――3回戦で姿を消すこととなりました。今のお気持ちをお聞かせください

この試合に負けたことで自分たちが掲げている三冠(関東大学リーグ戦、総理大臣杯、全日本大学選手権)を成し遂げることができなくなってしまった、その責任を自分たちに突き付けないといけないですし、行動に移さなければならないと思います。

――やはりショックは大きいでしょうか

はい。

――動きが重く、ゆったりとした戦いになってしまった前半を振り返っていかがでしょうか

自分たちがどこか疲れているというか、出し切れていない感じがすごくありました。そこを前半の内に修正して、強みを出していかないといけないのにそれができなかったのがこの試合の全てだと感じています。

――ビハインドで折り返したハーフタイムにチームでどのようなことを話しましたか

もっと走らないと相手には何もプレッシャーがかからないと思いました。そこをもっと出さないといけないということ、ボールを奪いにいくのが緩いという話を監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)からされました。

――後半の攻めている時間帯での立て続けの失点でした

(点を)取り切れないというのも自分たちの課題ですし、あそこで立て続けに失点してしまうというのが自分の弱さです。それを突き付けられた失点でした。3失点目は自分のところからやられてしまって、本当に自分のせいだなと。3失点目で試合を決定づけさせてしまったのも含めて、この敗戦は自分の責任だと思います。

――来週には天皇杯東京都予選が控えます。どのように立て直していきたいですか

この悔しさを突き付けて、何かを変えないといけないですし、それぞれがこの責任を感じて、行動していかないと何も変わらないです。下を向いている場合ではないので、次の勝利に向けてやっていくだけだなと思います。

FW山内寛史副将(商4=東京・国学院久我山)

――今大会初のベンチ入りでしたがどのような思いで試合に臨みましたか

初戦からいくつもりでしたが出発の前々日ぐらいの練習でまた怪我をしてしまい、1・2回戦はベンチを外させてもらいました。出場時間が限られる中でチームを勝たせるプレーをしなくてはならないと思っていました。2回戦までは苦しい戦いの中で勝ってきたので自分がそういった場面で点を取ってチームを勝たせたいという意気込みで入りました。

――前半、パスのミスが多かったように見えましたがベンチから見ていてどこに問題があると感じていましたか

いつもより攻撃・守備両方において選手同士の距離感が遠かったので詰めなくてはならなかったと思います。

――距離感などの修正のためにハーフタイムでチームでどのような話をしましたか、また監督からどのような指示がありましたか

FWに飯泉をいれたので、そこを起点にしてそこに入った後のセカンドボールをみんなで共有して前を向くように監督から言われ、それを共有して後半に入れました。

――後半入ってみて日体大のディフェンスを崩すのにどういったところで難しさを感じましたか。

正直日体大のディフェンスがそれほど固いとは思っていなかったので点は取れたと思いますが、最後の局面のパス一本や決め切るところを含めて、自分たちの時間で点をとれなかったところ、その反面カウンターから点を取られたのが一番の負けた要因だと思います。

――今大会の収穫と天皇杯予選に向けた課題は

収穫はまだ整理できていないのでわからないですが、自分たちは後がなく、負けることが許されない状況なのでそこを踏まえて後期も天皇杯もやっていきたいと思います。

FW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)

――3回戦で敗退してしまいました

自分たちの強みを出せないままに終わってしまいました。

――試合前はどのようなことを意識されて臨まれましたか

1回戦、2回戦のような戦いぶりをしていたら必ず勝てないと話していた中で、やはり自分自身は(ゴールを)決め切るということは意識していました。結果として決め切れなかったですし、この大会を通じて自分自身がチームのために何もできなかったからこその負けだと感じています。

――前半は全くと言うほどに攻めることができていなかったと思いますが

そうですね。前半は自分も含めて前線がもっと(相手DFに)プレッシャーをかけて相手に嫌な印象を与えないといけなかったと思いますが、そういった状況を作り出せなかったということもあり、その後の攻撃にうまくつなげることができなかったですね。

――ビハインドでハーフタイムを迎えるのは今大会初でしたが、何か指示などはあったのでしょうか

まずは前線のメンバーが(相手に対して)プレッシャーをかけていかないといけないということと、一人一人が状況を変えないといけないと思っていた中で一人一人が誰にも頼らずに自分自身がこのチームを勝たせるプレーをするんだという話をしました。

――後半は積極的に攻めていけていたと思いますが、その時間帯で得点を挙げることができませんでした

自分自身、決定的なチャンスがあった中で決め切れなかったことがチームが勝てなかった原因だと思いますし、そこで決め切れるようではないとこの先のチームの勝利に貢献できないと思っています。きょう勝てなかったのは自分自身の責任が大きいと思います。

――攻めの姿勢で攻め切ることができず、逆にカウンターからの失点を生んでしまったと思いますが、攻撃から守備への切り替えについてはいかがでしたでしょうか

やはり押し込んでいる状況で決め切れなかったからこそあのような失点につながったと思いますし、いかに決め切れる力が必要なのかということを痛感しました。

――ご自身最後の総理大臣杯だったと思いますが、3試合を振り返ってみていかがでしたか

不甲斐ない試合、不甲斐ないプレーしかできなかったなと強く思っていて、4年生で最後の総理大臣杯という立場でこのようなプレーしかできなかったなというのは情けなかったなと感じています。

――最後に、天皇杯予選への意気込みをお願いします

この大会を通じて自分たちが強くないということをあらためて感じましたし、次の天皇杯予選では自分自身がしっかりと決め切ってチームを勝利に導けるほどの貢献ができるようにします。天皇杯予選では勝ち切って天皇杯の本戦にも出場できるようにやっていこうと思います。