第67回早慶サッカー定期戦(早慶サッカー)の勝利(◯1-0)から約二週間。ワセダの次なる挑戦が始まった。天皇杯東京都予選を兼ねる第21回東京都サッカートーナメント学生系の部への出場権を懸けたこの試合。対戦機会の少ない東洋大と相見えた。両チーム無得点のまま迎えた75分、投入直後のFW飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)がヘディングをねじ込み先制する。終盤は相手の猛攻にさらされるが、最後までこの1点を守り切り勝利。慶大の待つ次戦へと駒を進めた。
ワセダに飯泉あり
試合は長いボールで相手守備陣の裏を狙う早大に対し、東洋大は短いパスをつなぎながら隙をうかがうという構図になった。共にシュートが少ない静かな展開で前半は進む。25分、MF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)のCKにMF鈴木裕也(スポ3=埼玉・武南)が頭で合わせるがシュートはGK正面。早大がチャンスらしいチャンスをつくれずにいると、試合の主導権は徐々に東洋大へと移る。ポゼッションを高めながら、中盤を支配する相手を前に早大は自陣でのプレー時間が長くなる。43分、バイタルエリアに侵入を許しシュートを打たれるが、ここはMF平澤俊輔(スポ4=JFAアカデミー福島)が懸命のブロック。無失点で折り返したものの、苦しい展開のまま最初の45分間は終了した。
右サイドを果敢に攻め上がった相馬
後半も立ち上がりからしばらくは東洋大ペース。パスを回され、持ち味のプレッシングがうまく機能しない。しかし、ここで焦らないのが今の早大だ。「想定内」とDF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)が話すように、水際で相手の攻勢をはね返し続け、得点を許さない。65分、ボックス内でパスを受けたFW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)のシュートは相手GKの好セーブに阻まれたものの、地力で勝る早大が試合の主導権を奪い返していく。迎えた75分、ついに東洋大ゴールをこじ開けた。飯泉が抜群のポストプレーで好機をつくると、相馬がクロス。相手のクリアが中途半端になったところを飯泉は見逃さなかった。「(ピッチに)出たら点を取るしかない」と意気込んでいたジョーカーのヘディングにより、待望の1点がスコアボードに刻まれる。こうなれば試合はワセダのもの。ギアを上げ、自陣に迫り来る東洋大の攻めを最後まで耐えしのぎ、無失点でシャットアウト。最後まで集中を切らさなかった早大に試合の軍配は上がった。
アミノバイタルカップ2016、そして早慶サッカーを経て、本来の姿を取り戻したエンジイレブン。この日見せた1-0のクリーンシートは理想の勝ち方と言っていいだろう。次なる相手はまたしても慶大。今季の対戦はこれで4度目。まさに因縁の相手だ。「勝たないと意味がない」(飯泉)と話すように、選手の気合は十分。天皇杯本戦出場へ、エンジイレブンは歩みを止めることなく突き進む。
(記事 桝田大暉 写真 田中佑茉)
スターティングイレブン
第21回東京都サッカートーナメント(第96回天皇杯東京都予選) 学生系の部 予備予選 | ||||
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早大 | 1 | 0-0 1-0 |
0 | 東洋大 |
【得点者】(早)75飯泉 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 後藤雅明 | スポ4 | 東京・国学院久我山 |
DF | 2 | ◎新井純平 | スポ4 | 浦和レッズユース |
DF | 3 | 熊本雄太 | スポ3 | 東福岡 |
DF | 5 | 鈴木準弥 | スポ3 | 清水エスパルスユース |
DF | 12 | 木下諒 | 社3 | JFAアカデミー福島 |
MF | 6 | 平澤俊輔 | スポ4 | JFAアカデミー福島 |
MF | 14 | 鈴木裕也 | スポ3 | 埼玉・武南 |
MF | 7 | 相馬勇紀 | スポ2 | 三菱養和SCユース |
MF | 8 | 秋山陽介 | スポ3 | 千葉・流通経大柏 |
FW | 9 | 中山雄希 | スポ4 | 大宮アルディージャユース |
FW | →87分 | 柳沢拓弥 | 社3 | 清水エスパルスユース |
FW | 13 | 今来俊介 | 商3 | 神奈川・桐光学園 |
FW | →74分 | 飯泉涼矢 | スポ3 | 三菱養和SCユース |
◎はゲームキャプテン 監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
コメント
DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)
――天皇杯本戦へ向け、まず一勝となりました。試合を振り返っていかがでしょうか
厳しい状況というか、点が入らない状況が続いた中で、交替で入った飯泉が点を決めてくれました。最後危ない場面もありましたが、全体で集中を切らさず守り切って勝てたのは良かった点だと思います。
――東洋大は普段なかなか戦うことのない相手でしたが、スカウティングの段階ではどのようなことを意識しましたか
東洋大は練習試合で勝てていない相手で、個々がうまくて(パスを)回されると想定されました。そこに対してじれずに、ファーストディフェンスを押し出し続けて戦い続けることに尽きるのかなと感じていました。それを試合前に伝えて、全体に意識付けしました。
――回される展開が続きましたが、想定内ということだったのですね
そこは想定内でした。最後を締めれば恐くないというのはわかっていたので、ファーストディフェンスを押し出し続けることは徹底してできたのかなと感じています。
――苦しい試合の中で飯泉選手が試合を決めてくれました
涼矢は本職のポジションではないですが、彼の強みであるヘディングで点を取れたのは涼矢にとっても、チームにとってもプラスです。周りの選手にとっても、自分の強みに磨きをかけてチームを勝たせるという意味で良い刺激になりました。
――試合後のミーティングでまだまだという話をされていましたが、この試合の改善点はいかがでしょうか
簡単にバイタルエリアに入られて仕掛けられた場面が何度もありましたし、相手のサイドハーフに決定的なシーンをつくられたのも多かったので、まだ自分たちの隙は消えていないですね。甘さもあるので、そこは次に向けて改善していきたいです。
――次戦は今季4度目の慶大との試合になります。この巡り合わせに対してどのような思いでしょうか
最高ですね、それに関しては(笑)。最終学年でこんなに多くケイオーとできるのはうれしいです。ケイオーに負けられないのは変わらないので、何が何でも勝つだけだと思います。
――早慶戦に向け意気込みをお願いします
アミノバイタルカップで1stを逃した中で、天皇杯本戦出場を成し遂げない限り、支えてくださる方へ感謝を伝えることにはつながらないです。そのために、1試合1試合を全力で戦うようにあしたから促していきたいです。
FW飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)
――決勝ゴールおめでとうございます!今のお気持ちは
気持ちよかったですね。出たら点を取るしかないなと思ってたので。しかもシーズン開幕前の東洋大戦で自分が不甲斐ない姿をチームのみんなに見せてしまったので、自分が絶対にやってやろうという気持ちで試合に臨んで、出てすぐに点が取れたというのはすごくハッピーなことでした。
――以前、自分のプレーでチームを勝利に導きたいとおっしゃっていました
リーグ戦では、駒大戦(●2-3)で1本ヘディングで点を取ったんですけど、その試合はチームとしては負けてしまったので、自分がチームを勝たせたというかたちにはならなかったんですけど、今回やっと自分の1点でチームを勝利に導くことができたので、すごくうれしいことだなと思います。
――前線でボールを収められている部分が多かった印象を受けましたが、いかがですか
出たらターゲットになるのは自分の役割だと思っていたので、そこで収めることができたというのはよかったんですけど、まだ収めた後の処理というところで課題があると思うので、そこは練習の中でもっと向き合ってやっていかないといけないなと感じます。
――試合前はどのようなことをチーム内で話し合いましたか
シーズン開幕前に東洋大と練習試合をしたときには1-3で負けていたので、自分たちの中にも苦手意識がありました。そういう苦手意識があるっていう話は試合前のミーティングではしなかったですけど。その中で自分たちはチャレンジャーであって、自分たちがやることは変わらないっていう話をしながら試合に臨みました。やっぱり苦しい状況というのがあった中で、自分が出たときにチームを少しでも楽にさせてあげようっていうのはあったので、絶対走り勝つっていうのは意識してました。
――ベンチから見ていたときの相手の印象はいかがでしたか
みんなきつそうだなっていうのは思ってたんですけど、その中でも前線のみんながボールを追いかけて、相手のミスを誘って、後ろがそれを回収するということができていたので、自分が出たときにはそこは意識しないといけないですし、尚且つ後ろから前にきたボールは自分が収めないといけないと思っていたので、役割をしっかり自分の中で明確にしながらプレーしました。
――次戦の相手はケイオーということで、今季4戦目となります
今対戦成績が2勝1敗で、後期もリーグ戦あると思うんですけど、本当に勝たないと意味がないと思いますし、天皇杯自分たちが本戦出場するっていうのは、チームの伝統の中でも1つ重きを置いている部分なので、相手はケイオーですけど、相手は関係なく本当に勝つだけだなと思っています。
――最後に意気込みをお願いします
スタメンで出れるかとかは全然分かりませんけど、途中から出たらまた絶対に自分がチームを勝利に導きたいなと思うので、応援よろしくお願いします。