アミノバイタルカップ2016(アミノバイタル杯)の3回戦、順大戦は壮絶な試合となった。前半、DF熊本雄太(スポ3=東福岡)がCKからヘディングシュートを決めるも後半に失点し、延長戦へ突入。しかし、最後は途中出場のFW山内寛史副将(商4=東京・国学院久我山)が決勝弾を沈め2-1で勝利。準決勝へと駒を進めた。
エースがついに復活ゴールを決めた!
「この3回戦がヤマ場だ」(GK後藤雅明、スポ4=東京・国学院久我山)。試合前、選手たちは自らをこう鼓舞した。ここで終わるのか、それとも近年到達していないベスト4への扉をこじ開けるのか。選手たちの闘志が燃え上がる中、試合はキックオフを迎えた。開始直後、早大は順大に対し、前線から猛烈なプレスを展開。押し込む早大はMF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)を中心にサイド攻撃を仕掛ける。しかし、22分、29分と決定的な場面をつくるがフィニッシュの精度を欠き、得点には至らない。すると33分、順大に決定機。MF米田隼也にドリブルで守備陣が翻弄されたが何とか失点は防いだ。これで流れが順大に傾くかと思われたが、41分、早大はCKを獲得。ここで熊本が魅せた。キッカーの相馬のボールに「要求通り。決めるだけだった」と反応し、ヘディングでゴール右に3試合連続となる先制点を突き刺した。その後は順大の反撃を許さず前半終了。
後半は開始早々から激しい主導権の奪い合いとなる。50分、味方のパスを受けた順大の米田が強烈なシュートを放つもGK後藤がファインセーブ。さらに猛攻を浴びるもゴールは割らせない。なかなか決定機をつくれない早大は60分に山内副将を投入。そこから一気に攻勢に転じる。66分には追加点のチャンス。パスを受けたFW小林大地(スポ4=千葉・流通経済大柏)が華麗な連続フェイントで相手DFのマークを外し、シュート。しかし、これは惜しくもサイドネットへ。早大は再び押し込まれる時間が続くと75分、順大のパス回しに対応できず、ついに今大会初失点となる同点弾を浴びる。しかし、ここで動揺しないのが今の早大だ。「想定できていた」(DF新井純平主将、スポ4=浦和レッズユース)と気持ちを切り替え、山内、相馬らが順大ゴールに襲い掛かる。しかし、強固な順大ゴールを割ることはできず、試合は延長戦へ突入する。
3試合4ゴール、熊本が止まらない
延長戦に入っても早大の足は止まらなかった。全員で真っすぐに勝利を見つめて走り続ける。95分、ついにその思いが結実。パス交換から抜け出したMF秋山陽介(スポ3=千葉・流通経大柏)が中央へグラウンダーのクロスを供給。そのボールを押し込んだのは故障明けで万全でない中、「確率の高いダイレクトプレーに強い気持ちを持っていた」という山内副将。エースの復帰後初ゴールを最後まで守り切った早大が見事ベスト4への扉を開いた。
押されても、追い付かれても諦めず全員でピッチを走り切った早大。選手たちの献身性が生んだ勝利だった。次戦は関東大学リーグ戦(リーグ戦)で完封負け(第10節●0-1)を喫した明大との対戦。エンジイレブンは「自分たちの目標は優勝。リーグ戦の借りは必ず返す」と力強く口を揃えた。体力、メンタル、結束力の三拍子にエースが加わった今の早大に死角はない。
(記事 皆川真仁 写真 進藤翔太)
優勝まであと二つ、この歩みを止めるな。
アミノバイタルカップ2016 3回戦 | ||||
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早大 | 2 | 1-0 0-1 1-0 0-0 |
1 | 順大 |
【得点者】(早)41熊本,94山内 (順)75浮田 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 後藤雅明 | スポ4 | 東京・国学院久我山 |
DF | 2 | ◎新井純平 | スポ4 | 浦和レッズユース |
DF | 3 | 熊本雄太 | スポ3 | 東福岡 |
DF | 5 | 鈴木準弥 | スポ3 | 清水エスパルスユース |
DF | 12 | 木下諒 | 社3 | JFAアカデミー福島 |
MF | 6 | 平澤俊輔 | スポ4 | JFAアカデミー福島 |
MF | 14 | 鈴木裕也 | スポ3 | 埼玉・武南 |
MF | 7 | 相馬勇紀 | スポ2 | 三菱養和SCユース |
MF | 8 | 秋山陽介 | スポ3 | 千葉・流通経大柏 |
FW | 9 | 中山雄希 | スポ4 | 大宮アルディージャユース |
FW | →60分 | 山内寛史 | 商4 | 東京・国学院久我山 |
FW | →98分 | 飯泉涼矢 | スポ3 | 三菱養和SCユース |
FW | 11 | 小林大地 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
◎はゲームキャプテン 監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
コメント
DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)
――苦しい試合を勝ち切ることができました。今のお気持ちをお聞かせください
自分たちの目標はあくまでも優勝、『1st』なので通過点に過ぎないです。
――今大会初失点をした後、どのようなことをチームで話しましたか
前半終わって1-0でしたが、そんな簡単に勝てる試合はないと共通認識をみんなの中で持っていました。失点を想定できていたからこそ、その後に崩れず、立て続けに失点せず、勝ち越すことができたのかなと思います。
――試合を通して、相手左サイドのMF米田隼也選手とマッチアップする機会が多かったですが、守備ではどのようなことを意識しましたか
カットインとか個人の能力で仕掛けてくる相手で、1対1を粘り強くやるのはもちろんのこと、ディフェンスライン全体でスライドの部分を意識しました。カットインされても次がカバーするという話をしました。
――対峙(たいじ)していかがでしたか
やっぱりうまくて、1対1で外されてしまう場面もありましたが、その中でも崩されたシーンはあんまなかったと思います。粘り強くやるところや、距離を詰めるところはもっとできたと思うので、次につなげていけたらなと思います。
――決勝ゴールが山内選手に生まれたことは非常に大きいですね
そうですね。彼自身、ケガをして苦しんできた中で、きょう試合を決めてくれたのは素直にうれしいです。チームにとってもプラスですし、ヒロ(山内)に刺激を受けている選手も多いので、全体をさらに引き上げられるようにやっていきたいです。
――準決勝、明大戦に向け意気込みをお願いします
このタイミングでメイジにリベンジマッチができるのはうれしいです。何が何でも勝たないと次には進めないので、メイジとできることをポジティブに捉えて、エネルギーを出して勝ちたいと思います。
FW山内寛史副将(商4=東京・国学院久我山)
――延長戦までもつれたゲームを制しましたがいかがでしたか
自分が出る前から他の選手たちが献身的に走ってくれていたので何とか自分で試合を決めたいと思ってピッチに入りました。みんなの献身性があって最後あのようなかたちで勝てたと思います。
――試合前の順大への印象は
個々がうまくボールを動かしてくるので厳しい戦いになると思っていました。
――ケガがあった中でもどかしい思いもあったと思うのですが決勝点を決めた時はいかがでしたか?
自分の今のコンディションやプレーはまだまだだと思っているので確率の高いワンタッチプレーに非常に強い気持ちを持っていました。点が取れてよかったです。
――失点のシーンではチームにどのような声をかけたのでしょうか?
リードして引いて守っている中で失点するのはよくあることだったので動揺しないよう声をかけました。1-0で終わるとは思っていませんでした。みんなも同じ気持ちを持っていたと思います。
――次の強豪明大戦に向けて意気込みをお願いします
自分たちの目標は優勝ですし、メイジにはリーグ戦で敗れているので借りを返して決勝にいけるよう頑張ります。
GK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)
――延長戦という苦しい試合を勝ち切ることができました。今のお気持ちをお聞かせください
試合前にこの3回戦がヤマ場だと言ってきました。ここで自分たちが上にいけるかいけないかという正念場で勝てたことは本当によかったと思います。
――入念な準備をしているセットプレーが機能していますね
ケイオー戦(2回戦◯2-0)でもCKから点を取ることができて、きょうも熊本が決めてくれたので、チームの狙いへの意識が高まってきていると思います。それが得点に結び付いているのでよかったです。
――今大会では失点を大幅に減らすことができている点はいかがでしょうか
一人一人がポジショニングや関わり方を強めたからこそ相手に有利な状況を与えない守備につながっていると思います。どんな苦しい状況でもじれずに続けていきたいです。
――後藤選手自身も大会を通して数多くのシュートストップを見せていますね
自分は最後にシュートを止めるのが仕事で、今は集中して臨めています。フィールドの選手が最後まで走ってくれるからこそ自分が止められていますね。
――復調してきたといったところでしょうか
まだまだの部分があるので、自分自身成長していけるようにやっていきたいと思います。
――準決勝の明大戦に向け意気込みをお願いします
前期自分が出れなかった相手ですし、チームとしても負けたので借りを返すという意味で絶対に勝ちたいと思います。
DF熊本雄太(スポ3=東福岡)
――試合全体を振り返ってみていかがでしたか
立ち上がりは相手を押し込めていたのに、点数が取れなかったので、DFとして、絶対に点はやれないなと思っていて、前半を無失点で締め切ろうという話もしていました。そんな中で、セットプレーから点を取れたことは大きかったです。後半は、相手に攻め込まれる場面が多かったんですけど、最後の場面で体を張って守れたのは良かったと思います。
――短いパスをつないでくる相手だったと思いますが、それにに対する対応はいかがでしたか
相手がどうであれ、僕たちはファーストプレッシャーを掛け続けて、相手にとって脅威となるディフェンスをするということは変わらないですね。そこは強みなので、ぶらさずにやっていきました。それでも、前半途中くらいからきつくなってきて、相手に何度かチャンスをつくられてしまったので、そこは課題かなと思います。
――きょうのゴールで3試合連続得点となりました。何か意識していることはありますか
特に変えたりとかはしていないですね。なんというか、当たっちゃってます(笑)。その中でも、蹴る位置は相馬(勇紀、スポ2=三菱養和SCユース)と話し合っていて、それが思い通りにいっているのかなと。
――きょうのゴールシーンを振り返ってみてください
要求したところにボールがきたので、あとは頭に当てて決め切るだけでした。ボールが良かったことが、僕の得点につながったんだと思います。
――この試合での課題はありますか
後半のきつくなってきた時間帯で走り切れなかったということですね。できた部分もあったんですけど、できなかったときに相手にチャンスをつくられるシーンもありましたし、パスをつながれて失点もしてしまったので。そこは、準決勝に向けて改善しなければいけないところだと思います。
――逆に何か収穫はありましたか
3試合連続で先制点を取れているので、そこは収穫と言えるかなと思います。
――次戦は明大との準決勝になります。関東大学リーグ戦では黒星を喫した相手ですが、どんな試合をしていきたいですか
リーグ戦前期で負けているので、その借りは返したいと思います。自分としても、リーグ戦で当たった時に、FWの木戸選手にやられたので、一番負けたくない相手ですし。自分が点を取ってチームを勝たせられるようにやっていきたいと思います。
MF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)
――苦しい展開を制しました。振り返ってみて
相手も本当にうまくて、苦しい時間が多かったんですけど、この近年で突破できていなかった3回戦を突破できて非常に良かったと思います。
――先制点のアシストを振り返って
ケイオー戦でも熊本選手にCKのときアシストして、同じかたちなのですが、きょうも相手の分析で1本目は自分の狙ったところに良いキックを蹴れたし、熊本先輩もしっかり決めてくれたので非常に良い時間帯での良いゴールだったと思います。
――今大会ではセットプレーで得点が取れていますが、感触はいかがですか
セットプレーというのは、レベルが上がってくれば上がるほど重要になってくるっていう話をしていたので、点を取れたことは本当に良かったと思います。
――延長戦ではゴールチャンスがありました
自分がしっかり最後1本アシストちゃんとつなげなければいけないシーンがあったりとか、自分が2メートルくらい前に走って滑り込んでいたらゴールを取れたシーンもあったので、そういうところがまた自分の甘さだと思います。そういうところはまた課題として改善していかなければいけないと思います。
――次の明大戦への意気込みをお願いします
本当にメイジだけには負けたくないというのがあって、早慶戦と同じくらいメイジには負けたくないので、前期リーグでも0-1で完封負けされていますし、なんとしても勝てるようにこの2日間良い準備をしてやっていきたいと思います。