勝ち星するり…後半に勝ち越し許し、2-3で敗北

ア式蹴球男子

 第4節日体大戦(〇1-0)以来、勝ち星をつかめずにいるワセダは、この日駒大と対戦した。序盤から激しい打ち合いになったこの試合。開始3分で失点するも、その直後にDF飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)がCKを沈め、すぐに盛り返す。その後はワセダペースで試合を進め、敵陣でプレーする時間が続く。前半終了間際にFW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)の反転シュートで勝ち越しに成功し、良い流れでハーフタイムへ。しかし、74分にゴールを許すと、続く78分にもカウンターから失点。これが決勝点となり、2-3で敗北。4試合連続で勝ち点3を落とし、上位争いからまた一歩後退した。

つかみかけた白星はするりとこぼれ落ちた

 立ち上がりから試合は動いた。3分、CKを献上すると注目のルーキー・星キョーワァン(駒大)に背面シュートを決められいきなり後を追う展開に。しかしその直後にCKから飯泉が力強いヘディングでネットを揺らし、すぐさまスコアをイーブンに戻す。そこから徐々に落ち着きを取り戻すと、ワセダは相手を押し込み、多彩な攻撃で敵陣を攻め立てる。MF平澤俊輔(スポ4=JFAアカデミー福島)のクロスから中山を経由してボールを受けたMF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)が、相手DFを1人かわしてPA内でシュート。これはGK正面だったが、その後何度も決定機を演出。すると44分、待望の勝ち越しゴールが生まれる。相馬のロングスローをニアで受けた平澤がボールを中山に流すと、頼れる4年生は「迷わず振れた」と反転シュートを突き刺し、駒大を突き放す。2-1とリードして前半を終えた。

 後半に入っても、流れは依然としてワセダだった。54分、DF鈴木準弥(スポ3=清水エスパルスユース)のパスを中央で受けたFW岡田優希(スポ2=川﨑フロンターレU-18)がシュート。67分には、サイドを突破したMF秋山陽介(スポ3=千葉・流通経大柏)からクロスを受けた岡田がゴール左隅を狙う。どちらもGKの好セーブに阻まれたが、相手守備陣に大きな負荷を掛けた。しかし、攻勢に出ていられたのもここまで。74分にクロスのこぼれ球を拾われるとPA内でシュートを許し、同点とされる。その4分後にはカウンターから失点。瞬く間に勝ち越しを許し、再び背中を追う展開に。ワセダは必死に前へボールを放り、圧力を強める。だが相手の決死の守備に苦しみシュートを放つことができず、ただ時間だけが経過。交替カードを全て使い切るなど可能な限りの手を尽くしたものの最後までゴールラインを破ることはかなわず、2-3で試合終了。つかみかけていた勝ち点3は、するりとこぼれ落ちていった。

慣れないサイドバックで奮闘した鈴木準

 前半を2-1で折り返し、後半も失点するまではワセダのペースで試合を運ぶことができていた。それだけにきょうの敗北は悔しさもひとしおだ。「本当に悔しさしかない」(DF新井純平主将、スポ4=浦和レッズユース)。今節で4試合連続勝ち星から遠ざかっており、長いトンネルから抜け出せずにいる。次戦の相手は強豪・慶大。昨季、一時最下位から7連勝を果たして首位にまで上り詰めた快進撃は、早慶戦を勝利で飾る(第8節 〇1-0)ことから始まった。ことしもその再現となるか。次節、エンジイレブンの真価が試される。

(記事 佐藤諒 写真 橘高安津子、田中佑茉)

スターティングメンバー

関東大学リーグ戦第8節
早大 2-1
0-2
駒大
【得点者】(早)5飯泉,44中山(駒)3星,74大村,78吉岡
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 飯泉涼矢 スポ3 三菱養和SCユース
DF 鈴木準弥 スポ3 清水エスパルスユース
MF 平澤俊輔 スポ4 JFAアカデミー福島
→77min. 14 鈴木裕也 スポ3 埼玉・武南
MF 11 小林大地 スポ4 千葉・流通経大柏
MF 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
→87min. 28 石川大貴 スポ3 名古屋グランパスU-18
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW 17 岡田優希 スポ2 川崎フロンターレU-18
→80min. 18 柳沢拓弥 社3 清水エスパルスユース
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 15 15 +6
法大 13 +3
桐蔭横浜大 12 10 +3
早大 12 10 +1
慶大 12 13 15 -2
筑波大 11 13 +6
駒大 11 12 10 +2
順大 10 13 16 -3
日体大 10 10 -3
10 流通経大 10 -4
11 専大 12 13 -1
12 国士舘大 15 -8
※第8節暫定※下位2チームは2部自動降格
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――悔しい逆転負けとなりました。いまの心境をお聞かせください

これが(いまの)チーム力だなというか、この現状から目を背けずしっかり受け止めてやっていかないといけないかなと。本当に悔しさしかないです。

――とても苦しい現状です

チームとして苦しい状況ですけど、下を向いていても仕方ないです。ここから全体で次の早慶戦に向けてやるべきことをやっていくだけだなと思います。

――昨年と同じような状況で慶大戦を迎えます

そうですね。去年と今年は別のチームなので、そこは別のものとして考えて、次の勝利に向けてやっていくだけだと思います。

――意気込みをお願いします

まだまだ強みとしてワセダらしさが確立していないというか、球際や切り替えの部分(の意識)が薄れてきてしまっているところがあると思います。そこにもう一回立ち返ることと、ぶれずに積み上げていくだけなので、次の早慶戦に勝てるようにきょうから全ての時間を勝利にそそぐ気持ちで全員がやっていけるように働き掛けをしてやっていきたいです。

FW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)

――逆転され今節も勝利を挙げることができませんでしたが、試合を振り返っていかがですか

前半が終わるうちに逆転することができて、後半でもっとチームとしてノっていきたかったですが、相手に同点弾を許してしまった段階で気を許してしまっていました。同点ゴールを与えてしまった時のチームの雰囲気を変えることができなかったのが敗因かなと思います。

――この4試合勝ちなしということで、きょうは勝ち切りたかったですね

そうですね。ここ4試合で勝てていなくて、この1週間は本当に駒大戦の勝利だけを目指してチームとしてトレーニングを積んできました。なので勝ちたかったのですが、今節はチームとしての力不足を感じた試合でした。

――勝ちなしの中で、ここ4試合を通しての課題は何でしょうか

自分自身まだまだ勝利に結びつけるだけの仕事を果たせていないのも事実ですし、チームとしてもまだまだクロス対応の課題が明確です。それを克服できていないことが勝利に結びつかないですし、そういったところを本当に意識してトレーニングしていかないと同じことを繰り返すだけだと思います。きょう帰ってからそういったところを意識して、自分自身も点を決めるための準備をやっていきたいです。

――本日の得点シーンを振り返っていかがですか

正直あまり覚えていなくて、自分の目の前にボールが転がってきて足を振るだけだったというか。迷わず振れたことが点に結びついたので、決められて良かったと思います。

――2試合連続の得点ですね

FWとして試合で点を決めることが当たり前ですし、ここ2節は点を決められていますがそれ以前は全く点を決められずチームに迷惑を掛けていました。ここからは点を決めてもっとチームの勝利に貢献していかないとという思いがあるので、積み重ねていきたいと思います。

――次戦は早慶戦となりますが、どんな意気込みで臨みたいですか

早慶戦ということで負けられない戦いですし、ここが本当に勝てるか負けるか重要な一戦だと思います。勝つための準備を1週間全員でつくりあげていきたいです。

MF秋山陽介(スポ3=千葉・流通経大柏)

――まずは前半を振り返っていかがですか

セットプレーには気をつけようと言っていた中で、早い時間帯で最初のCKで失点してしまいました。失点したのは良くなかったんですけど、その後すぐにセットプレーで取り返せたのは良かったと思いますし、雄希くん(中山)が決めてリードして折り返せたのはよかったと思います。

――2失点目と3失点目が立て続けに起こってしまいましたが、振り返って

失点したシーンでもう1回集中し直さなきゃいけなかったんですけど、失点したことで気持ちが切れてしまって、そこで立て直せなかったがよくなかったと思います。

――ご自身の課題は

もっと自分一人で点を取れるようにならないとだめだなと思います。

――慶大戦に向けて意気込みをお願いします

次の試合で勝って、もう1度勝ち点を積み上げられるようにやっていきたいと思います。

DF飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)

――勝ち試合を逃してしまいました。いまのお気持ちは

悔しいですね、相当。勝ち越していたっていう状況もあって、あそこで勝ち切れないのが現状かなって感じています。

――開始早々失点してしまいました

ここ最近の試合でも、立ち上がりに先制されているっていうのがずっとあって、チームの中で立ち上がりは自分たちのリズムでやっていこうっていう話をずっとしていたんですけど、その中でもやられてしまいました。やられたっていう気持ちはあったんですけど、でも幸いにもその直後に点が入ったということで飲まれるっていうのはなかったかなって思います。

――おっしゃったように、すぐに飯泉選手自身のヘッドで取り返しました

あの瞬間はうれしかったんですけど、試合に負けてしまったということで実感がないというか。勝っていれば自分のゴールでっていうのはあったんですけど、負けてしまったのでそういう気持ちはあんまりないです。

――リーグ戦初得点ですね

やっと取れたなっていうのと、みんなをここまで待たせてしまったというのがあって、ことしのチームではセットプレーを1つの強みでやってるんですけど、点を取れてなかったので、やっと取れたなっていう感じです。

――2失点目はクロスを弾いたのを拾われて撃たれてしまいました

あのかたちっていうのはこの試合だけでなく、他の試合でもやられていますし、クロスへの対応っていうのは自分たちのチームの課題だったんですけど、またそこで失点してしまったということで練習から見直してやっていかないといけないなって思います。

――3点目はカウンターからの失点でした

自分たちが得点を取りにいかないといけない状況で自分も上がってましたし、そこで跳ね返されたところを拾われて、1本入ったところで弾けなかったっていうのがあの失点の要因だと思うので、そこのケアはチームとしてやっていかないといけないなって感じています。

――これで4戦連続白星なしと、去年と同じような状況になってきました

(リーグ戦の)立ち上がりが良くて、でもいまは勝てていないということで、チームとしてそこに対して危機感を持ってやっているんですけど。でもやっぱり勝てないのは嫌ですね。勝ちたいなっていうのは率直な感想です。去年も西が丘の早慶戦(第8節 〇1-0)でリズムをつかんだということで、そこから7連勝したっていうのがチームの実績としてあるわけですけど、去年と同じようなことをやらないと、優勝はないかなっていうのは感じてます。

――以前は、点を取られないけれど、点を取ることができない。いまは、点を取れるけれど、点を取られてしまう、と攻守がかみ合っていない印象を受けます

それに関しては、取れてる試合は取れていますけど、そのときの守備が守り切れていないっていうのは守備の責任ですし、0で抑えられているときに自分たちが点を取れてないっていうのもあると思います。その部分で点も取れるし守備も抑えられるっていうのが理想ですけど、きょうみたいな拮抗した試合で勝ち切れないのは守備の責任だなって感じているので、守備を見直さないといけないなっていうのが率直な感想です。

DF鈴木準弥(スポ3=清水エスパルスユース)

――木下(諒、社3=JFAアカデミー福島)選手のアクシデントがあって、急きょ出場することになりましたが準備はできていましたか

(木下選手が)きのうの練習で脳震盪を起こして病院に行って、夜の時点では大丈夫という話だったんですけど、今朝いきなり電話で「きょうスタメンでいくよ」と言われました。多少びっくりした面もありますけど、きちんと想定して準備していたので大丈夫でした。

――本職ではないサイドバックでしたが、出来栄えとしてはいかがでしたか

悪くなかったとは思います。でも攻守にわたってもう少し攻撃参加をしたりとか、守備では球際やヘディングのところで、まだまだ改善していかなければならないと思いました。慣れないサイドバックとは言え、しっかりやっていかなければならないと思います。

――チームとしてもきょうは負けられない試合だったと思いますが

前期優勝のためにも残り4試合で全勝するとチームでまとまった中で、きょう負けてしまったのは本当に悔しいですし、もったいないです。でも監督(古賀聡監督、平4教卒=東京・早実)も言っていたんですけど、過去を振り返ることは意味がないし、結果というのは変わらないものなので、その反省を生かして次の早慶戦に臨みたいです。去年は早慶戦を機にリーグ優勝までいけたと思うので、一丸となって戦いたいと思います。

――後半、同点に追いつかれた直後の失点シーンを振り返っていかがですか

自分と純平くん(新井主将)のところで、セットプレーのときに後ろで相手のマークについていたんですけど、そこで起点を作られてしまって、カウンターのチャンスを与えてしまったので、本当に責任を感じています。あそこで少しでも遅らせたりできていたら失点しなかっただろうし、自分たちの得点にもつながったかもしれないので、絶対に防がなければならなかったと思っています。

――次節の早慶戦に向けて意気込みをお願いします

自分自身出られるか分からないですけど、どんな状況でも出られる準備はしたいです。チームとしてもここから3試合は絶対に負けられないので、早慶戦という特別な思いもありますし、前期優勝に向けてもリーグ優勝に向けても、まず1試合勝って勢いをつけたいと思います。