関東大学リーグ戦(リーグ戦)第5節を終えた時点で、3勝2分と負けなしのワセダは、今季低迷している専大と対戦した。DF熊本雄太(スポ3=東福岡)を欠いたこの試合、前半は相手の長身FWの勢いを止めることができずに2失点。後半は主導権を握り、楔(くさび)のパスやサイド攻撃で敵陣をかき回す。しかし、フィニッシュで精彩を欠き、最後までゴールを破ることはかなわず。0-2で今季初の敗戦となった。
今季初黒星となる完敗。リーグ戦は混戦模様を帯びてきた。
立ち上がりからMF小林大地(スポ4=千葉・流通経大柏)がミドルシュートを放つなど、前に出るワセダ。しかし、負傷により欠場した熊本に代わってセンターバックを勤めたDF鈴木準弥(スポ3=清水エスパルスユース)と相手FWの体格差を突かれ、そこを起点として徐々に押し込まれてしまう。8分にPA内でシュートを許すと、そこから立て続けにピンチを迎える。守備陣が身体を張り、なんとか水際で跳ね返すも、19分にはついに失点。アーリークロスに反応した相手の長身FWのヘディングシュートをGK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)が触れるが弾き切ることはできなかった。39分にもCKから同じ選手を起点として追加点を献上。2点を追う厳しい状況で前半を終えた。
「点を取るぞという雰囲気を全体でつくって試合に入っていきました」(後藤)。後半攻勢に転じたいワセダは、積極的なパスカットでボールを奪い、攻撃のリズムをつくっていく。すると58分、FW岡田優希(スポ2=川崎フロンターレU-18)が魅せる。中央でパスを受けると、足元の技術に優れる2年生はDFを1人2人とかわし、シュート。相手GKに弾かれるも、こぼれ球にFW中山雄希(スポ4=大宮アルティージャユース)が走り込み、ネットを揺らした。しかし中山がオフサイドの判定を受け、幻のゴールに。その後もボールを支配し、敵陣でプレーする時間が続く。だが、その一方で相手の素早いカウンターに対応が遅れ、ポスト直撃のシュートを浴びる場面も見られた。80分には交代カードを全て使い切り、手を尽くしたワセダだったが、一矢報いることはかなわず。今シーズンで初めて勝ち点を得ることはできず、選手たちはうなだれた。
積極的なドリブルが光ったMF秋山陽介(スポ3=千葉・流通経大柏)
「優勝するチームには到底及んでない」と試合を厳しく振り返るDF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)。今回見られたプレスの甘さや、カウンターへの対応の遅さは修正すべき課題といえる。また、攻撃面でも、ここ2試合で得点は0と決定力不足が目立つ。そして何より、選手層の薄さが最も改善を要する点だ。「誰が出ても勝てるチームになっていかない限り関東リーグ優勝はできない」(新井主将)。控え選手の強化を図り、チーム全体の底上げをしなければ今後続く上位対決で苦戦することは避けられない。次戦の相手は今季好調の桐蔭横浜大。上位を走る強敵だが、勝ち点3を奪取して悪い流れを断ち切りたい。
(記事 佐藤諒、写真 大森葵、郡司幸耀)
スターティングメンバー
関東大学リーグ戦第6節 | ||||
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早大 | 0 | 0-2 0-0 |
2 | 専大 |
【得点者】(専)19柳,39下田 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 後藤雅明 | スポ4 | 東京・国学院久我山 |
DF | 2 | ◎新井純平 | スポ4 | 浦和レッズユース |
DF | 5 | 鈴木準弥 | スポ3 | 清水エスパルスユース |
DF | 4 | 飯泉涼矢 | スポ3 | 三菱養和SCユース |
DF | 12 | 木下諒 | 社3 | JFAアカデミー福島 |
MF | 6 | 平澤俊輔 | スポ4 | JFAアカデミー福島 |
→55min. | 28 | 石川大貴 | スポ3 | 名古屋グランパスU-18 |
MF | 11 | 小林大地 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 13 | 今来俊介 | 商3 | 神奈川・桐光学園 |
→HT | 7 | 相馬勇紀 | スポ2 | 三菱養和SCユース |
MF | 8 | 秋山陽介 | スポ3 | 千葉・流通経大柏 |
FW | 9 | 中山雄希 | スポ4 | 大宮アルディージャユース |
FW | 17 | 岡田優希 | スポ2 | 川崎フロンターレU-18 |
→80min. | 18 | 柳沢拓弥 | 社3 | 清水エスパルスユース |
◎はゲームキャプテン 監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表 | |||||||||
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順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 筑波大 | 11 | 6 | 3 | 2 | 1 | 13 | 6 | +7 |
2 | 桐蔭横浜大 | 11 | 6 | 3 | 2 | 1 | 8 | 5 | +3 |
3 | 早大 | 11 | 6 | 3 | 2 | 1 | 6 | 4 | +2 |
4 | 法大 | 10 | 6 | 3 | 1 | 2 | 6 | 3 | +3 |
5 | 順大 | 10 | 6 | 3 | 1 | 2 | 10 | 11 | -1 |
6 | 駒大 | 8 | 5 | 2 | 2 | 1 | 7 | 3 | +4 |
7 | 明大 | 8 | 5 | 2 | 2 | 1 | 8 | 5 | +3 |
8 | 専大 | 7 | 6 | 2 | 1 | 3 | 10 | 11 | -1 |
9 | 流通経大 | 7 | 6 | 2 | 1 | 3 | 4 | 9 | -5 |
10 | 慶大 | 6 | 6 | 2 | 0 | 4 | 8 | 12 | -4 |
11 | 日体大 | 4 | 6 | 1 | 1 | 4 | 3 | 8 | -5 |
12 | 国士舘大 | 4 | 6 | 1 | 1 | 4 | 5 | 11 | -6 |
※第6節暫定※下位2チームは2部上位2チームと自動入れ替え |
コメント
DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)
――率直ないまのお気持ちをお聞かせください
専修には毎年苦しめられていて、昨年(第12節◯2-1)は勝ちましたけど、ずっと関東リーグ優勝という目標を打ち砕かれてきた相手に対して絶対に負けられないという意識で臨んだ中で完敗してしまったのは非常に悔しいです。
――きょうの試合を振り返っていかがでしょうか
単純に、前半のところでゴールに向かう強さが相手に上回られたのがそのまま結果につながってしまったんじゃないかと感じます。
――失点の場面も含め、熊本選手の不在が響いた印象がありますが
そうですね。でもそれは一切言い訳にできないと思います。誰が出ても勝てるチームになっていかない限り関東リーグ優勝はできないと思うので、層の厚さも含めて、優勝するチームには到底及んでないのかなと感じます。
――相手のワントップの柳育崇選手は本来DF登録ということで、スカウティングができていなかった中でどのような対応を意識しましたか
センターバックのでかい選手で、「絶対起点になってくるな」という話はしていました。そこで潰し切ることを共有して(試合に)入りましたけど、そこに収められた後に周りの選手が出てくる速さに対応できずにやられてしまったと感じています。
――クロスの出し手に対しても潰し切れなかった場面が多かった印象ですが
どフリーで上げさせてしまっているのは課題ですし、ファーストディフェンスを決め切ることができなかったのはいままでの積み上げがまだまだ足りないところだと思うので、そこをもう一回見つめ直してやっていかないといけないんじゃないかと思います。
――今季初黒星となってしまいました
前節(法大戦、△0-0)も引き分けですし、ここから3つ勝たないと借りは返せないので、あしたからのトレーニングで下を向かずに切り替えてやってくしかないと感じます。
――試合後4年生を中心に集まっていましたが、どのようなことを話したのでしょうか
「4年生がもっと引っ張らなきゃいけない」とか、「主将がもっとやらない限りここから崩れていく」という話をOBの中田航平(平26スポ卒=横浜F・マリノスユース)さんからされました。そこは自分自身が受け止めないといけないですし、きょうのプレーには納得してなくて、足らない部分しかないと思っているので、向き合ってやっていくしかないと思います。
――きょうの敗戦を引きずらないためにも何を改善していきますか
後半はアグレッシブさ、ゴールに迫ることはできましたが、それを前半から出せなかったのは課題であると思います。入りの部分を意識している中で改善されていないのが自分たちの現状なので、そこの課題意識を強めていかないといけないと思います。
――次節は好調の桐蔭横浜大が相手となります。次節に向けていかがですか
いままで(の桐蔭横浜大)とは全く違うチームだと思います。首位争いをしている中で絶対に負けられない相手なので、勝つためのトレーニングができるよう1週間積み上げていきたいと思います。
GK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)
――今季初黒星を喫し、2節続けて勝ち点を落とす結果になりました
前節引き分けて重要な一戦だった中で相手がいままで苦しめられてきた専修ということで、きょうこそは勝たなきゃいけなかったですし、負けて終わってしまったことが本当に悔しいです。
――相手の長身FWに対してディフェンス面で気を付けたことは
あそこにボール当ててきてもう1枚の9番のところで関わって攻めてくる感じだったので、そこのセカンドボールの意識を強めて入っていきました。
――その選手にゴールを決められ失点を許しましたが、あの場面を振り返っていかがですか
早い段階でクロスを上げられてディフェンスの準備も遅れた中で、自分自身シュートに対して反応できたんですけど、少し触っただけで弾けなかったですし、細かなところでやられてしまったなという感じです。
――劣勢の展開が続きましたが、チームの雰囲気はいかがでしたか
ハーフタイムは点を取るしかないっていう雰囲気は出てましたし、後半の立ち上がりは点を取るぞという雰囲気を全体で作って試合に入っていきました。
――無得点に終わった攻撃に関してはどう映りましたか
相手よりシュートも少なかったですし、もうちょっと早めにやり切るというか、早めにシュートを決断するシーンもつくっていいと思います。逆に単調になりすぎた分、前での厚みがなかったからうまくゴール前で相手に脅威を与えられなかったのかなとも感じています。
――試合後に何人かの4年生でミーティングをされていましたが、どうようなことを話されたのですか
前節引き分けて、今節負けて、勝ち点を落としてしまったので、次の週から3連勝しなきゃその分は取り返せないぞということを監督(古賀聡監督、平4教卒=東京・早実)の方から全体で話されて、次に向けて準備していかければいけないという感じですね。
――最後に、次節の桐蔭横浜大戦への抱負をお願いします
去年も二戦やって両方とも引き分け(第2節△1-1、第17節△0-0)で勝ててないというのもありますし、これから3連勝していかないと自分たちの目標に近付けないと思うので、絶対に勝利を掲げてやっていきたいと思います。
MF平澤俊輔(スポ4=JFAアカデミー福島)
――0ー2での敗戦ということでいまのお気持ちを教えてください
何もできなかったなというのが正直な感想です。自分たちは全ての力を出し切って勝てるかどうかというチームだと思うので、そういった部分で一人一人のメンタル面や試合に対する準備の面で甘さがあったなと感じています。
――きょうの試合を全体的に振り返っていかがですか
相手の攻撃に対して1週間準備をしてきたつもりでしたが前半に失点をしてしまって、相手に上回れてしまったというところで自分たちのところに問題があったと思います。試合に対する意識や、自分たちが専大に対する意識がまだまだ足りなかったからこそ敗戦をしてしまったのかなと思います。
――専大相手ということで具体的にはどのような対策をしてきましたか
相手の速い攻撃に対して守備はしっかり準備をして、ファーストプレッシャーでボールを奪いに行くということで1週間やってきましたけど、前半においてはそれができなかったですし、そこから攻撃につなげていくというところで自分たちに課題を突きつけられました。なので、1週間のトレーニングはどうだったのか、試合に臨む姿勢はどうだったのかというところを見直していきたいです。
――相手のFWは長身の選手でしたが
競り合いの部分では強みとしてやってきましたし、飯泉(DF飯泉涼矢、スポ3=三菱養和SCユース)やきょう入った鈴木がしっかりと対応してくれたと思います。
――平澤選手は途中交代となりましたがケガはどうされたのでしょうか
自分が悪い体勢で守備をしてしまったことが原因だと思いますし、前段階の準備でしっかり相手と対峙して守備をすることができればケガをすることもなくて、チームに迷惑をかけることもなかったと思うので、そういった部分は本当に自分の甘さだなと感じています。
――次節に向けてどう切り替えていきますか
(ここ2試合)引き分け、負けときていて、去年の前期にあったような流れが予兆としてあると思うので、そういった部分に一人一人が向き合う必要があると思います。次絶対に勝たない限り連覇や自分たちが目標としているところには届かないと思うので、この1週間、危機感や自分たちが目指すべきものをしっかりと捉えてやっていきたいと思います。
MF秋山陽介(スポ3=千葉・流通経大柏)
――きょうの試合を振り返って
前半のうちに失点してセットプレーでやられたので、やられちゃいけないってみんなで共有してたのにやられたっていうのは、もう1回見直さないといけないところだと思います。
――相手の攻めに対してどのような守備を心掛けましたか
相手は早く縦に攻めてくるので、そこを後ろから湧き上がってくる相手に対してしっかり付いていくっていうのと、簡単に1対1で剥がされないっていうのを意識してやってたんですけど、前半のうちは相手の方が全然良いボールが多くて、止められなかったのがいけなかったと思います。
――攻撃面での手応えはいかがですか
攻撃面では、シュートまでいけてるシーンとかチャンスとかはあった中で、決め切れなかったのがきょうの敗因だったので、攻撃陣は反省しないといけないなと思います。
――今期初黒星となってしまったことはどのように受け止めていますか
前節で引き分けて今節で黒星となってしまったので、次からはずっと勝っていかないといけないと思いながらプレーしたいです。もう1回全員引き締めてやっていきたいなと思います。
――リーグ戦ここまで出場してみて、いかがですか
個人的には全然やれるなと思っているので、あとは点だったりアシストだったりをもっと増やしたいです。そういう部分ではまだチームに貢献できていないので、やっぱりそういうところを目指してやっていきたいなと思います。
――ご自身の持ち味のドリブルなどに関してはいかがでしょうか
ドリブルも突破はできてると思うので、どんどんもっと磨きを掛けて、仕掛けていきたいなと思います。
――ことし1年の目標は
チームが連覇するために、少しでも勝利に貢献できるようなプレーをしていきたいです。
――次の試合に向けて意気込みをお願いします
次の試合では絶対に勝たないといけないので、自分がゴール決めて、アシストもして勝てるようにやっていきたいと思います。
DF鈴木準弥(スポ3=清水エスパルスユース)
――きょうの試合を振り返って
失点の部分で自分のところで2失点と絡んでしまいました。熊本に代わって出て、自分のとこでやられてしまったというところで負けてしまったかなって思います。
――マッチアップした選手は長身の選手でした
身体が強かったです。
――専大はDF登録していた選手をわざわざFWに据えて、身長差を狙ってきました
自分自身センターバックというポジションにしては小さいですし、そこの弱みに相手がマッチアップしてきたところに自分が打ち負けてしまったっていうのがきょうの敗因かなと思います。
――専大の速い動き出しに苦戦する場面もありました
専修の強みはそこだと思っていて、カウンターの速さや、後ろから押し出してくる運動量だったり前に出てくる速さっていうのは、やっていて脅威に感じました。スカウティングでもそういう話は聞いていたし、映像を見ても他のチームよりも圧倒的に速かったし、サイドの攻撃は特に脅威に感じました。
――今季初黒星となってしまいました
自分が出た試合がそうなってしまいました。前半やられた2本がもったいなかったです。チームとして専修に負けられないという意気込みでやった中で、0-2で負けてしまって。まだ今季1敗目ですけど、自分たちにとって大きな黒星だったなって思います。
――センターバックのスタメン争いについて
自分はこのシーズンに入る前に全日本選抜に呼んでもらって、日韓戦とかもセンターバックのポジションで出て、そこから帰ってきたら飯泉と熊本がいて。二人ともスポーツ推薦で入った選手で、自分にはない身長や強さという武器がありますし、今季も5試合やってあの二人が出てる試合は負けていないですし、スタメン争いの激しいポジションだなと思います。
――次は今季好調の桐蔭横浜大との試合です
自分が出るかどうかは分かりませんけど、調子が良いっていっても今節まで負けてないですし、力があるチームだと思います。自分たちが負けた中で、来週の試合は連覇に向けて大きな意味を持つと思うので、また1週間勝つためだけに練習に取り組んで、絶対に勝ちたいと思います。