異例のアディショナルタイム15分。死闘は痛み分けに終わる

ア式蹴球男子

 今季いまだ無敗の早大は法大との第5節に臨んだ。試合は立ち上がりから両チームにチャンスが生まれるシーソーゲームとなる。早大は連動した守備から好機を生み出すが得点に結び付けることができず、スコアレスのまま前半は終了。迎えた後半、相手選手の負傷により試合が中断するまさかの展開に。再開後、GK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)を中心に法大の攻勢を跳ね返すが試合はここまで。勝ち点を2つ落とす悔しい結果に終わり、関東大学リーグ戦(リーグ戦)首位浮上とはならなかった。

 今節の相手はオレンジの雄・法大。昨年のリーグ戦最終節(〇2-1)では見事に打ち破り関東制覇を決めたものの、数々の苦杯もなめさせられてきたやっかいな相手だ。強風が吹き荒れる中、DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)はコイントスで風上を選択。「前半の最初のところで勝負を決めにいく」(新井主将)という言葉の通り、序盤から早大が攻勢を仕掛ける展開となった。最初の決定機は7分。後方からのロングフィードにFW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)が抜け出すがシュートは相手GKに阻まれる。対する法大はその4分後にCKのこぼれ球からFWディサロ燦シルヴァーノがボレーを放ち応戦。早大は中盤からの連動した守備で相手を押し込むと同時に、風上を利用した組み立てで徐々に試合の主導権を握っていく。41分には右サイドに流れた中山のドリブルからMF平澤俊輔(スポ4=JFAアカデミー福島)がシュートを放つが相手DFがブロック。立て続けに攻め込んだものの、法大の懸命なディフェンスを前に無得点のまま前半は終了した。

攻守に奮闘した平澤

 後半開始からMF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)を投入し相手ゴールを仕留めようとする早大であったが立ち上がりからボールを保持される時間が続いてしまう。状況を打開できないまま迎えた65分、思いも寄らない出来事が起こる。空中のボールを競りにいった法大の選手が味方同士で衝突してしまい頭部を負傷。すぐさま救急車で搬送される事態となり試合は中断を余儀なくされる。騒然とする雰囲気の中、「残りの時間もう一段階ギアを上げていこう」(平澤)と再び集中力を高めていくエンジイレブン。再開後、第4審により表示されたアディショナルタイムは異例の15分。ここからがまさに死闘であった。なんとしてでも勝ち点3を取りたい法大の攻勢を前に早大は防戦一方。90+5分、法大は右サイドから細かくつなぎPA手前から強烈なシュートを放つが守護神・後藤が何とか弾き出す。刻々と時計は進み、迎えたラストプレー。MF秋山陽介(スポ3=千葉・流通経大柏)が反転からミドルシュートを放つがボールは無情にも枠の上へ。試合終了の笛に両チームの選手はただただ肩を落とすことしかできなかった。

空虚な笛のみが鳴り響いた

 勝ち点3を逃す内容となった今節。前期リーグ戦は早くも折り返し地点にきた。早大の持ち味である堅守は今季も健在で、5試合で2失点という数字がその強固さを物語っている。しかし、勝つためには得点が必要不可欠だ。「最後の決め切るところ、結果に結び付けるところが足りていない」(新井主将)。この試合では前半の内にネットを揺らすことができていれば結果は大きく違っていただろう。きょうのような試合を勝ち点3に結び付ける力が求められる。次節は苦手とする専大戦。目指すのはただ一つ、勝利のみだ。

(記事 桝田大暉、写真 佐藤諒、進藤翔太)

スターティングメンバー

関東大学リーグ戦第5節
早大 0-0
0-0
法大
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 飯泉涼矢 スポ3 三菱養和SCユース
DF 12 木下諒 社3 JFAアカデミー福島
MF 平澤俊輔 スポ4 JFAアカデミー福島
MF 11 小林大地 スポ4 千葉・流通経大柏
MF 13 今来俊介 商3 神奈川・桐光学園
→HT 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW 17 岡田優希 スポ2 川崎フロンターレU-18
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
桐蔭横浜大 11 +4
早大 11 +4
駒大 +4
明大 +3
法大 +2
順大 +1
慶大 10 -3
筑波大 -1
専大 11 -3
10 国士舘大 -3
11 流通経大 -3
12 日体大 -5
※第5節暫定※下位2チームは2部上位2チームと自動入れ替え
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――難しい試合となってしまいました。この結果をどのように受け止めていますか

法政には本当に苦しめられてきたと思っていますし、おととしのアミノバイタル杯(●1-2)で負けたり、昨年の(リーグ戦で)最下位に落ちた試合(●0-2)も法政でした。自分たちは勝ちしかないと臨んだ中で引き分けてしまったのは、引き分けで良かったと捉えるのではなくて、負けと同じくらいの重みを受け止めて今後につなげていかないとなと思っています。

――前半は中盤からの連動した守備で高い位置でボールを奪うことができました

高い位置で奪うという今季の強みがある中で、今週1週間積み上げたことがつながったと思います。でも最後の決め切るところ、結果に結び付けるところが足りていないので、まだまだ弱いところだなと思います。

――前半の内に決め切りたかったところでしょうか

そうですね、そのために風上のエンドを取って、前半の最初のところで勝負を決めにいくという思いで選んだんですが、前半で決め切らなきゃいけなかった試合でした。

――やはり風の影響が大きかったのでしょうか

そうですね。(風下となった)後半は押し込まれる時間が長かったです。ただ風とか関係なしに強みを出していかなきゃいけないので、風の影響とかを言い訳にしちゃいけないなと思います。

――中断時間でチームではどのような話をしましたか

「後の20分は走り勝つしかない、押し込んでいくしかない」と。中断してもやることは変わらないので、入りの部分を徹底していこうとしました。

――その後の法大の攻勢に関しては、防ぎ切ったという印象なのか、それとも攻めにいけなかったという印象なのでしょうか

防ぎ切ったというか、0で抑えられたのは良かったことではあります。ただ決定機を多くつくれたかと言ったらまだまだで、足りない部分が多くあったと思います。押し込めなかった、決定機をつくれなかったというのが素直な感想です。

――次節の専大戦に向け抱負をお願いします

現状2位なのは変わってないですし、自分たちは1位に居続けなきゃいけないので、連覇を目指すなら(他大学を)突き放すくらい勝ち続けなきゃいけないと思います。勝ちだけを目指してあしたからまたやっていきたいです。

MF平澤俊輔(スポ4=JFAアカデミー福島)

――きょうの結果について、率直にどう思っていますか

引き分けてしまったっていうのが率直な感想です。自分たちは1位を目指している中できょう絶対に勝たなければいけない試合だったので、前半にチャンスがあったのに決め切れなかった部分が引き分けにつながってしまったのかなと思います。

――昨年の後期(〇2-1)は勝利を収めているものの、法大とは相性があまり良くない印象がありますが、その点については

今まで大事なところで法政に負けているっていうのはありますし、きょねんも前期最下位に落とされる敗戦(●0-2)を喫していますが、逆に法政に対するモチベーションにもなりました。

――きょうは高い位置で連動してボールを奪えていましたね

チームの共有事項としてきょうの法政戦に向けて練習してきましたし、そういった部分では良かったと思いますけど、得点につなげないと意味がないので。自分のところでの精度が足りなかったかなと思います。

――1本惜しいシュートがありましたね

あれも決め切れないっていうのがいまの自分の力だと思いますし、チャンスは誰に来るか分からないですけど、その中で1本決められるか決められないかで勝ち点3か勝ち点1かにつながっていたと思います。ただ闇雲にシュート撃つだけじゃなくて落ち着きだとかも必要だと思うので、練習でやっていきたいと思います。

――相手の守備も身体を張った激しいものでした

相手もハードワークしてきましたし、それを打ち破る力がなかったなっていうのが率直な感想です。

――中断の時間もありましたが、その時間をどのように使いましたか

イレギュラーなかたちで長い時間空きましたけど、その中でチームとしてもう一度残りの時間もう一段階ギアを上げていこうって話していました。ただ、それが出ていたかっていうと出ていなかったと思うので、共有した部分を出していくだけの発信力がなかったかなって自分自身思います。

――きょうのゲームは率直にいって難しかったと思うのですが、いかがでしょうか

相手もしっかりやってくるチームだったので難しい部分もありましたけど、自分のプレーに納得がいっていません。自分のところで失う回数も多かったし、そういった部分で一つ前に運べる力をつけない限り今後も勝っていくのも難しいと思うので、自分自身に突き付けてやっていきたいと思います。

――次週は専大との試合ですが、意気込みをお願いします

去年を除いて過去2年ずっと専修に打ち破られてきて、まだ去年の勝利だけじゃ借りを返せていないと思うので、またトレーニングしていきたいと思います。

DF熊本雄太(スポ3=東福岡)

――試合全体を振り返ってみていかがでしたか

前半のチャンスで決め切れなかったのがこの試合の反省点だと思います。無失点で抑えられたので守備としては大きかったのですが、その中でも課題が多く見つかりましたね。そこは来週に向けて修正していきたいです。

――その課題というのは具体的にはどんなものがありましたか

映像を見ないと具体的にはまだなんとも言えないんですけど、相手に攻め込まれたときに、1.5列目の選手にどうやってついていくかというところですかね。この試合でも、そういったシーンで相手に前を向かれてシュートを打たれてしまうシーンがけっこうあったので、そこは修正するべきだと思いました。

――後半は中断などもあって難しい試合展開となりましたね

そうですね。中断した後、ラスト20分だったので、そこで相手チームを押し込んで優位に立ちたかったんですけど、風向きもあって、逆に相手に押し込まれてしまっていましたね。その中でもチャンスはつくれていましたし、そこで決め切れなかったのが大きかったですね。

――前線からプレスを掛けてボールを奪う場面が目立っていましたが、DFとしてどう感じていましたか

きょうの試合に入るにあたって、前からプレッシャーをかけてボールを高い位置で奪って攻撃につなげていこうという話をしていました。そこは今シーズンのチームとして積み上げてきている部分なので、そこをしっかりと出せたのは良かったと思います。

――引き分けという結果はどのように捉えていますか

勝てた試合でしたし、自分たちが関東リーグを制覇するうえでこの引き分けというのは自分たちにとってダメージになったと思います。この引き分けを機に、来週から勝っていけたらなと思います。

――来週は専大が相手ですが、スカウティングはしていますか

まだしていないです。

――今の段階ではどんな相手だと思っていますか

パスを回してくる相手なんですけど、自分たちの強みである前線からのプレッシャーでボールを奪って、早く攻撃につなげるというところはぶらさずにやっていきたいと思います。

――最後に、次戦に向けて意気込みをお願いします

前からプレスを掛けてボールを奪うという自分たちの強みをしっかり出していきたいです。来週一週間でそこに磨きを掛けていきたいです。