インカレの借りを返せず。1-1の痛み分けに終わる

ア式蹴球男子

 悪夢の敗戦(●1-4)からおよそ4ヶ月。ワセダは全日本大学選手権(インカレ)での雪辱を果たすべく、国士舘大と矛を交えた。「立ち上がりをしっかりやろうってみんなで意識していた」(MF小林大地、スポ4=千葉・流通経大柏)と共通認識を持って臨んだこの試合だったが、開始早々から失点すると、その後も流れを引き寄せることができずにハーフタイムへ。後半、MF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)を投入し攻撃の活性化を図る。すると、70分、相馬のクロスに小林が頭で合わせ、同点。終盤はテンポ良くパスを回し、相手を敵陣に押し込むも、フィニッシュで精彩を欠き追加点は奪えず。1―1とドローに終わり、連勝は2でストップした。

 厳しい幕開けだった。開始1分、スローインを受けた相手MFがミドルレンジからドライブシュートを放つ。すると、ボールはGK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)の腕をすり抜けゴール右隅に吸い込まれた。ビハインドを背負ってのスタートとなったワセダは、得意のロングフィードで反撃を試みる。だが、向かい風にボールを押し戻され、「パスがずれてしまった」(DF飯泉涼矢、スポ3=三菱養和SCユース)とうまく前線に放ることができない。早くボールを動かす国士館大に対し、中盤のプレスがうまく機能せず、中に外に振られてしまい、防戦一方に。嫌な流れを断ち切ることができずに前半を終えた。

精力的に動き、得点も決めた小林

 攻勢に転じたいワセダは、後半開始から相馬を投入。ベンチの期待を一身に背負う背番号7は、持ち前のスピードを生かしサイドを駆け上がると、70分、ゴール前に絶妙なクロスを供給。それを「良いボールが上がってきた」と小林が力強くヘディング。待望の同点ゴールを挙げ、1-1とスコアをイーブンに戻す。すると国士館大はエース・松本孝平を投入し、圧力を強める。しかし、長身の飯泉やDF熊本雄太(スポ3=東福岡)がクロスが上がるたびに競り合い、PA外にはじき出す。後藤の好セーブも光り、得点は許さなかった。終盤、小林を中心に攻撃を組み立て、次々に好機を量産。だが、最後まで決め切ることができずに、試合終了のホイッスル。インカレの借りを返すのはお預けとなった。

途中出場から流れを変える相馬の活躍が光る

 「勝ちしか求められていない中では引き分けの現状を重く受け止めなきゃいけない」(DF新井純平主将、スポ4=浦和レッズユース)。優勝を目指すチームに妥協は許されない。今回の試合で見られた、球際の甘さやパスの粗さは、今後の上位対決を見据える上で修正が必要不可欠だ。1週間という短い準備期間の中でもしっかりと課題と向き合っていきたい。次節の相手は今季から1部昇格を果たした日体大。しかし、「チャレンジ精神を忘れないでやっていきたい」(飯泉)と選手に慢心はない。どんなチームが相手だろうと、エンジイレブンは全力を尽くす。

(記事 佐藤諒、写真 梶井夏葉)

スターティングメンバー

関東大学リーグ戦第3節
早大 0-1
1-0
国士舘大
【得点者】(早)70 小林 (国)1 平野
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 飯泉涼矢 スポ3 三菱養和SCユース
DF 12 木下諒 社3 JFAアカデミー福島
MF 平澤俊輔 スポ4 JFAアカデミー福島
MF 11 小林大地 スポ4 千葉・流通経大柏
MF 13 今来俊介 商3 神奈川・桐光学園
→HT 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW 17 岡田優希 スポ2 川崎フロンターレU-18
→90+3min. 18 柳沢拓弥 社3 清水エスパルスユース
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
早大 +3
桐蔭横浜大 +3
明大 +3
駒大 +2
国士舘大 +1
順大
専大 -1
筑波大 -1
法大
10 流通経大 -3
10 慶大 -3
12 日体大 -4
※第3節終了時点※下位2チームは2部上位2チームと自動入れ替え
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――1-1の引き分けに終わりました。この結果をどう受け止めていますか

インカレであれだけやられていた相手だったので、きょうの試合は勝つしかないという意識の下で入りました。ですが、引き分けという結果に終わったのは自分たちの力のなさというか、部員みんなの思いを背負って出たので責任を感じています。

――この一週間相当な熱量をもって練習に取り組んできたかと思いますが、準備のアプローチを振り返っていかがでしょうか

開幕3連勝することは難しいということをみんなに投げ掛けてきましたが、こういう均衡した試合の中で勝てないというのは一週間のトレーニングでの一人一人の積み上げが足りないからこそこういう結果につながったと思います。まだまだ自分たちのトレーニングを見直していかなければならないと感じています。

――開始早々の失点で苦しい前半となってしまいました

ああいったかたちで失点してしまうこともあります。そうしたときに、いかに自分たちが動じずに自分たちの強み、ゴールに向かうことをやめずにできるかが大事だと思いました。前半はあの失点から自分たちが弱くなってしまったというか、前の強みであるエネルギー量やアグレッシブさが弱くなってしまったからこそ押し込まれる時間が多かったです。風の環境もありましたけど、その中で自分たちがどれだけ前に行けるかであったり、ゴールに向かえるかというところで自分たちに足りない部分があったと感じています。

――向かい風で後方からの組み立てに苦戦した印象がありましたが

自分たちのFW2枚(中山、岡田)が裏にアクションを起こしてそこに配給できたときは相手が嫌がっていたので、もっと早く裏をつくというか、風が強い中で後ろでつなぐ意識が強くなってしまったので相手が嫌がる選択を前半はなかなかできませんでした。全体で共通認識を持ち、もっと前にいくような働き掛けを全体に促して、どれだけ相手の背後をつけるかが大事だと前半終わった後に感じたので、修正力のなさが課題として挙がったのではないでしょうか。

――前節(順大戦、◯2-1)に引き続き後手に回る前半となった点に関してはいかがでしょうか

入りの部分に関しては自分でも意識して、「最初の5~10分のところで試合を決めにいこう」と伝えたんですけど、早い時間帯で失点してしまって自分たち(の勢い)が落ちてしまいました。相手がプレスをうまくはがしてきて、そこに押し出していくことができなかったのは課題です。

――長いシーズンを見た上でも勝ち切れなかったのが悔やまれますね

引き分けじゃ意味がなくて、勝ちしか求められていない中では引き分けの現状を重く受け止めなきゃいけないと思います。この悔しさをどれだけ次にぶつけられるかが重要だと思うので、インカレの借りも全く返せていないですし、この結果を次につなげていかないといけないと思います。

――開幕3試合で見えてきた手応えと課題はそれぞれいかがでしょうか

手応えとして、この力でゴールに向かう力はきょねんにはなかった部分だと思いますし、個で向かう姿勢や前でボールを奪う部分は成長できているというか、成果が見られてると思います。課題としては失点した後に一人一人が状況を感じ取って修正していく力がまだまだ足りないと思うので、成果の部分は伸ばして、個々人に課題があると思うのでそこに向き合っていかないと連覇はないと思っています。

――昇格組の日体大との次節に向け抱負をお願いします

日体大という推進力をもったチームに対してどれだけ自分たちが上回れるかだと思うので、きょうの悔しさを日体大戦につなげてることをチーム全体に意識させてやっていきたいです。

MF小林大地(スポ4=千葉・流通経大柏)

――インカレで大敗を喫した国士館大が相手ということで、前節から1週間、きょうの試合に向けて熱の込もった準備をしてきたということでしたが

今週1週間始まるときに、監督(古賀聡監督、平4教卒=東京・早実)の方からもプレッシャーを受けて、インカレ終わった後に個人的に名前を出されてものすごく悔しい思いをしたので、国士館大だけには負けないという思いで1週間やってきたんですけど、勝ち切れなくて悔しいです。

――名前を出されたとは

途中で交代させられたんですけど、その後の自分の振る舞いがワセダとしての振る舞いじゃないと言われて、名前を出されて怒られました。俺とヒロ(FW山内寛史副将、商4=東京・国学院久我山)が名前出されて怒られたんですけど、一緒にふて腐れて(笑)諦めてたんですよ、二人で。それを怒られました。

――ビハインドからのスタートとなりました

立ち上がりしっかりやろうってみんなで意識してたんですけど、風や雨で位置取りが自分たちの思うように進まなくて。最後自分のマークでやられたので、ずっと責任感じながらやってたんですけど、同点ゴール取れたので最低限のことはできたかなというふうに思っています。

――前半、中盤の守備が機能しない場面がありました

相手の前の4人とボランチの選手は自分でマークをはがす能力も、展開できる能力も持っていて、単純にやられてしまったなというふうに思います。

――ゴールの場面を振り返って

ビハインドで時間が経った中で、リスクを犯して攻めていくしかなかったので、攻撃的に前にいこうとしました。たまたま良いボールが上がってきたので、しっかり相手の上から叩けてゴールすることができました。

――リーグ戦初ゴールですか

そうです。

――以前、得点を取りたいとおっしゃっていましたが、今季3試合目という早いタイミングで結果を出すことができましたね

もう遅いぐらいです。チームにずっと迷惑掛けてきたので。きょうは負け試合を勝ち点1取ることに貢献できたので、それは良かったと思いますけど、これからが大事なので、もっと点を取れるように頑張りたいと思います。

――試合中締まらない時間帯もありました

なかなか90分の中で自分たちの時間もあれば相手の時間もあるので、締まらない時間っていうのはある程度仕方ないかなって思っています。その中でいかに集中を途切れさせることなく守り切れるかていうのがポイントになっていて、いずれかは自分たちの流れが来るので、そこは失点しないように集中して守っていました。

――幻のゴールがありましたね

あれは多分クマ(DF熊本雄太、スポ3=東福岡)が相手のこと引っ張っててファールになっちゃったと思うんですけど、悔しいです。

――次週の日体大との試合へ向けての意気込みをお願いします

下向いている暇はないので、2部から上がってきてエネルギー持って戦ってくる相手だと思うので、それ以上のエネルギーをぶつけて勝ちたいと思います。

DF飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)

――試合を終えて率直な感想は

勝ちたかったんですけど、引き分けでいけたということは良かったかなと思います。勝てる試合だったので悔しいなという気持ちです。

――インカレでの雪辱を果たすという思いで臨んだ一戦だったと思うのですが

本当にインカレの借りを返せという思いがチーム全体にあったんで、絶対に勝つという気持ちをみんなで持ってたんですけど、そこで引き分けたということで、みんな悔しい気持ちでいっぱいだと思います。

――飯泉選手自身は何かこの試合で意識して臨んだところはありましたか

相手のFWに絶対やられないというところは意識していました。あとは、入りのところで、自分たちは絶対点を取るっていう気持ちでやってたんですけど、そこは失点してしまいました。相手もコーナーキックだったりセットプレーに強みを持っていたので、自分たちが逆に点を取ってやろうという気持ちはありました。

――前半早々に点を決められ厳しい立ち上がりだったが

でもあの失点はすごいスーパーゴールだなという感じだったので、落ちるというよりは、みんな楽しんで、全然いけるだろうという感じでした。落ちるというよりはむしろ、火をつけられたという感じだったと思います

――前半は向かい風でロングボールも繋がりにくかったりしたと思うのですが、後方からの組み立てという面ではいかがでしたか

相手も結構前から来てたので裏を返そうという気持ちはありました。でも相手もそれに対していい準備をしていたので、逆に裏じゃなくて表ということを意識してやったんですけど、パスがずれてしまったりで、上手く組み立てられなくて、悔しいなと思っています

――後半は昨年の得点王である松本孝平選手(国士館大)も入ってきましたが、何か意識した点はありましたか

松本選手の強みが、抑えることであったり、高さっていうところだと思うんですけど、自分の強みも同じところにあるんで、そこは絶対負けたくないなという思いがありました。

――リーグ3戦を終えて、2勝1分という結果についてどう受け止めていますか

チームとして6年間くらい、開幕から3連勝ということがなかった状態で、自分たち自身3連勝というのをすごく意識してやっていたんですけど、3連勝できなくて残念な反面、負けなかっただけ良かったなと思っています

――3戦を終えて何か見えてきたものなどはありますか

正直、オフシーズンで全然勝てなくて、リーグ戦始まって2連勝しましたけど、チーム全体では、リアリティーがあまりなかったよね、という話をしていました。そこで今日は国士舘大という良い相手で、リアリティーある中でも、実際自分たちのディフェンスラインの強みとかは通用するし、今までのワセダと違って、結構動かすサッカーというのを意識してやっていると思うんですけど、そういうところも通用するという自信につながったので、これからそこを意識してやっていけたらなと思います

――次節、日体大戦に向けて

日体大も圧倒的な強さで1部に上がってきている相手だと思うので、そこで、自分たちがきょねん優勝していますけど、受けるというよりはチャレンジ精神を忘れないでやっていきたいなと思っています