【連載】リーグ戦開幕前特集『The New Era~新時代の始まり~』 第2回新井純平主将x山内寛史副将

ア式蹴球男子

 2年時から主力として活躍してきたDF新井純平(スポ4=浦和レッズユース)とFW山内寛史(商4=東京・国学院久我山)。幾多の歴戦に身を投じ、抜群の経験値を誇る二人はことし主将、副将として新たにチームを引っ張っていく。名門・ア式蹴球部の柱としてラストイヤーへと臨む彼らの胸にはどのような思いが秘められているのか――。次の1歩を踏み出す二人にその心意気を伺った。

※この取材は3月25日に行われたものです。

「プレッシャーを感じつつ楽しんでやれている」(新井)

主将という大役を担う新井

――新チームが始動してから約2カ月が経ちましたが、現在のチームの様子はいかがでしょうか

新井 ここまで遠征や合宿をやっている中で、だんだんとチームとしてやるべきことがはっきりしてきました。だからといっていままで先輩方が築き上げてきたものは変えないのですが、ことしのメンバーだからできることの色ははっきりしてきたと感じます。この前の早関定期戦(○3-0)や島原遠征は勝つことができましたけど、まだまだ結果として勝てていないのがチームの現状なので、そこに対しては一人一人がもっと危機感を持って(リーグ戦までの)残りの約1週間で成長していかない限り開幕戦の勝利はないと率直に感じます。

山内 純平も言ったようにことしはチームのかたちが徐々にできてきていて、きょねんにはない得点を奪うかたちができて良い部分は多くあります。ですがそれがリーグ戦のピッチでできるかであったり、強いチームとのトレーニングマッチが組めなかった中で個々人がリアリティを持っているかは課題です。ことしから初めて出る選手が多い中で自分たちがきょねんのように一回底辺まで落ちてからの優勝はないと考えていて、そこに関しては試合をやりながら成長するようでは遅いので、そこのまだまだ足りない部分は自分や純平といういままで出てきた選手がもっと伝えてやっていかないとなと思っています。

――お二人はことしから主将・副将という立場ですが、いまのところの感触はいかがでしょうか

新井 主将は自分のマネジメントや決断でチームをつくっていくという立場の中でそこは楽しまなきゃいけないと思っていますし、プレッシャーもいろいろありますけど、どうすればチームが良くなるかであったり、どういった投げ掛けをすれば一人一人が成長できるかという部分はこの短い期間の中でも考える機会がありました。そういった部分は楽しいという思いが自分の中でもあるので、いろんなプレッシャーを感じつつ楽しんでやれているのかなと、自分自身も成長できると思うし。これからそれをどう結果につなげていけるかだと思うので、自分がもっと成長しなきゃいけない部分とチームを成長させていかないと、という二つの部分があると感じています。

山内 副将という役職はやることが明確にはっきりしていない分、自分はもっともっとできるなと感じていて、ケガしてからであったらBチームへの関わりなど、ピッチ内外で個々人の力を最大限発揮させてチームの総和としてこの組織がもっと活発にうごける強固な組織にするためにはやれることはたくさんあると感じています。難しさはあると思うんですが、誰かが殻を破ってもっと追及していかないといまのままでは苦しくなったときにきょねんの金澤拓真くん(前主将、平28スポ卒=横浜F・マリノスユース)のような常に言い続けられる存在はいないと思うので、そういう部分を自分がすこしでも補っていけるようにやっていきたいといま思っています。

――新3年生の代のここまでの印象はいかがですか

新井 きょねんの4年生がいなくなった分新3年生が出ている中で、Aチームのトップとして出るという自覚がだんだんと芽生えてきていると思います。自分たち新4年生もコミュニケーションをとってやっていかないといけないと思いますし、成長しているなと。「自分がトップチームで出るんだ」という自覚があるからこそ成長につながっていると思うので、本当にいまは大きな存在だなと感じています。

山内 プレー面においては本当に頼りになりますし、彼らの強みがチームの強さになってきていると感じています。その中でまだまだ結果につなげられる選手が少ないと感じていて、自ら得点を取ったりアシストするというプレーはまだ少ないですし、チャンスが多くある中でまだ決められていなかったり、うまくはいっていても最終的に誰かが結果を出さなきゃいけないので、チームとしても3年生としてもまだ課題なのかなと思ってます。

――昨年の4年生が抜け、ディフェンスラインの顔ぶれが大きく変わりますね

新井 飯泉(涼矢、スポ3=三菱養和SCユース)、熊本(雄太、スポ3=東福岡)、準弥(鈴木、スポ3=清水エスパルスユース)のセンターバック3人は前に強くいけるのが彼らの強みであると思うし、大学サッカーの中でもその強みは飛び抜けたものがあると強く感じます。木下(諒、社3=JFAアカデミー福島)に関しては的確な判断やアカデミーで磨いてきた技術面は強みとして大きなものがあるので大学サッカーでも通用すると思います。その中でも弱みというのがあって、昨年(リーグ戦で)最少失点で抑えた程の力が自分を含めた後ろの4人にあるのかといったらまだ足らない部分だと思うので、ゴール前で体を張ったり最後のところでやらせないという部分は4人で課題意識を持ってやっていかないとなと感じます。

――両サイドバックの攻撃参加が今季の大きな強みになりそうですが

新井 そうですね。このプレシーズンの試合の中で昨年よりサイドバックのオーバーラップの量や回数は上がっていると自分自身実感しています。それが多くなった中で自分やサイドバック陣に何ができるのかという部分で、自分はクロスや最後点に結び付けるのが課題と話してきましたけど、そこに向き合って得点に結び付けなきゃいけないですし自分の役割の重要性も増すので、突き詰めていかないとなと思います。

――FW陣では中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)選手や岡田優希(スポ2=川崎フロンターレU-18)選手がいますが、二人の印象はいかがですか

山内 岡田に関しては急成長していて、やっとチームに溶け込めたというか、自分の強みをチームの強みとして発揮できるようになってきたなと思っています。運動量に関してはかねてから持っていた部分で、守備面で90分間前からプレッシャーを掛け続けることであったり、攻撃の強みだったりが(実戦で)出せてきているので、結果という部分でまだあまり得点は取れていないですけど、期待できるのかなと思います。中山に関してはコンディション的にもパフォーマンス的にもまだ100%ではないという印象がありますが、2年時、3年時とコンスタントに出続けることができなかった分気持ちを込めて毎日やっているので、この2人が点を取るイメージはできます。そんなに心配はしていないというか、頼りになるので大丈夫だと思っています。

――お二人は後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)選手とオランダへサッカー研修に行かれてましたがいかがでしたか

新井 やっぱり体格の違いを感じました。シュート力や1本のパスの強さが日本の同年代の選手とは差があるなと感じましたね。自分は体の線が細いと言われている中で、すごい大きな選手に吹っ飛ばされるシーンもありましたし、1対1に関して大学サッカーでは簡単にはかわされない自信が結構あったんですけど、海外の選手と対峙(たいじ)したときに簡単にスピードでやられてしまうところもあったので、自分自身の基準が低いというか力のなさを感じました。

山内 技術的に通用しないとはそんなに感じなかったんですけど、一緒にやっていく中で、コミュニケーション能力であったり自己主張能力は日本人と全然違って、例えばボールを受けたいときには本気で呼び込みますし、自分がゴールを決めるためには絶対にパスを出さないでひたすらにドリブルするとか。チームの序列が下の選手でもそういうのは徹底的にやって、上の選手に気を遣うというのが全くなくて、そういうのは日本では当たり前じゃないなって思いました。(日本では)試合に出ていない選手が気負ってやっていて、「自分を出す」というのが日本人と海外の選手では決定的に違いました。

――試合観戦などにも行かれていましたが、文化面での違いはありましたか

新井 観客が熱いっすね(笑)。海外の観客はほとんどみんなワンプレーワンプレーに対する罵声がすごくて、自分たちは静かに見てましたが、そこの違いは感じましたね。

山内 良いプレーか悪いプレーかは観客を見ていればわかるというか、相手チームのファールに対しての罵声を飛ばしたりとか、ふがいないプレーをして負けたチームのサポーターが試合後に選手に対して罵声を飛ばしたりとか。日本でもあると思うんですがその熱はすごかったですし、スタジアムの大きさやサッカー市場の大きさや金銭面が日本と海外では違うなと感じました。

「まだまだ『1ST』でいつづける集団ではなかった」(山内)

昨年のラストマッチを振り返る山内副将

――では次に、全日本大学選手権(インカレ)の国士舘大戦についてお聞きしたいと思います。1-4という敗戦でしたが、時間が経ってから振り返っていかがですか

新井 自分はあの時、目のケガでスタンドから応援していたんですけど、あの試合を外から見ていて、ワセダの選手から感じるものが何もなかったし、ああいった試合はしてはいけないというか。どんなに点差が開かれていても、自分は見ている人の心を動かすことができると思いますし、得点差が開いてしまっている中でワセダの選手に何ができたのかを考えていかなきゃいけないし、そういった意味では一人一人が「本気で勝ちたい」だったり、「1点でも多く取りたい」という気持ちがあの試合では見られなかったので、あの試合は絶対に忘れてはいけない、あの試合を繰り返してはいけないと思います。自分はそれまで試合に出ていた中であの試合に出られなかった悔しさだったり、あの試合を見て感じたことを、ケガなく試合に出ているいま、忘れずに1試合1試合戦っていかなきゃいけないと思うので。あの試合は負けたからこそ得るものが絶対あったと思うし、そういった意味で今シーズンにつなげていけたらと思います。

山内 表には出さないようにみんな張り詰めてやっていたと思うんですけど、試合が始まる前、リーグ戦を獲ったってことでどこか緩さがあったから、ああいうかたちで失点が多かったのかなと。自分たちがまだまだ『1ST』でいつづける集団ではなかったというか、19年ぶりという大きなものを手にした瞬間に気が緩んでしまっていたのは多分事実だと思うので、そこは組織の弱さがあったのかなと思っています。試合に関しては、単純に嫌な時間に失点して相手が完全に(波に)乗ってしまったというのがあると思います。前半の終わりだったり、(後半の)入りだったり、締めなきゃいけない時間帯に失点したという部分と、その後に完全に(相手に)飲まれてしまうっていう出てたメンバーのメンタルの弱さや意志の弱さが出たと思っていて、そこに関しては自分もリーグ戦と同じようなプレーでチームを引っ張れたかというとそうではないですし、そういった部分でいろいろ考えた上で、純平も言ってましたけど、ああいった戦いをしたら誰の心も動かせないですし、勝つこともできないと思うので、あの悔しさだったりあのピッチでの思いは常に忘れずにやっていきたいと思います。

――お話にもありましたが、大会前のアクシデントで新井選手は国士舘大戦のピッチに立つことはできませんでしたが、どんな思いでスタンドから試合を見ていましたか

新井 「勝ってほしい」という気持ちだけでした。長期離脱のケガではなかったので、勝ち進んでくれれば、自分も出る機会があるとわかっていたので、本当に勝ってほしいという気持ちだけでしたね。

――インカレの国士舘大戦を経て、新たに意識するようになったことはありますか

新井 ヒロも言っていたんですけど、あの試合は負けてる状況でただ相手に飲まれて、何もできずに終わってしまったなという思いがあるので。本当に大事なのは負けているときに一人一人に何ができるのかであって、ことしに入ってからも失点してしまう場面もやっぱりあると思うので、そういう厳しい状況でも出るメンバーだったり、サブのメンバーの一人一人が勝つために何をしなきゃいけないのかは、常に考えていかないと、きょねんから変化できないと思うので、それは自分もやらなきゃいけないし、全体に促していかなきゃいけないのかなと強く感じています。

山内 あのインカレ前に、リーグ戦で国士舘大はワセダに2敗しているわけで、そういう話を自分たちの中でしたり、監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)からも話はありました。でも、実際の国士舘大のエネルギーとこっちが予想していたエネルギーの差がものすごかったです。後から聞いた話だと、国士舘大はあの試合の前から本当にみんな滾(たぎ)ってやっていたらしくて、自分たちはそこまで準備ができていなかったり、危機感が持てていなかったという部分があったと思います。ことしリーグ戦をきょねんの王者として迎える中で、他のチームは自分たちの予想以上のモチベーションでやってくると思うので、そういう部分に関してはあの試合で得られたものは大きいと思うし、きょねん優勝したからこそ、ことし苦しむ部分っていうのは絶対にあると思うので、得たものをことしにつなげていかなきゃいけないなと思っています。

――お二人にとって、昨年はどんな1年間でしたか

新井 個人としてはチームにまだまだ何ももたらせなかったなとすごく感じています。結果としてもリーグ戦1アシストしかしてないですし、点も決めてないですし、4年生や結果を残したヒロや後藤に頼っていた部分が大きかったと思います。ことしは4年生が抜けて前期はヒロもいない中で、自分がどれだけ存在感を示せるかだったり、結果にこだわれるかが重要になってくると感じています。そこで自分がいままでと同じように周りの選手に助けられるだけで何も結果が残せなかったらこのチームが終わってしまうくらいの責任感を持ってやらなきゃいけないと思います。本当にきょねんに関しては、周りの選手に助けられてばかりで自分の成長度合いもまだまだだったなと率直に感じています。

山内 個人としてはある程度結果が出せたので、そこに関しては自信を持ってというか。関東リーグにおいて自分自身がことしやらなきゃいけないことは、きょねんの結果からしても明確ですし、それに関して周りの基準が上がっているのも分かっているので、きょねんの結果はある程度自信になっていると思います。その中でも毎年前期(点を)取れなくて、後期に取るというかたちが多くて、なのでことしは前期から続けて得点を狙いたいという意志はあります。昨シーズンと今シーズン始まってからの監督の自分に対する要求だったり、チームに対して何をすべきかというのは変わらないし、きょねん結果を出した分やらなきゃいけないことは多いと思うので、それを再認識してやっていかないとなと思っています。きょねんも実際にもっと点を取るチャンスはあったし、前期は苦しい時に何ができたかという部分だったり課題は多くあるんですけど、それよりもことしやらなきゃいけないなという部分が大きいです。

1STになるために

新井主将、山内副将を中心にチームは40年ぶりのリーグ戦連覇に挑む

――ここからは新シーズンについて、お話を伺いたいと思います。リーグ戦の開幕が目前となっていますが、いまのお気持ちを教えてください

新井 危機感の方が強いです。危機感を持ってやっていかないと。さっきも言いましたけど、島原から帰ってきてから勝てていないので。短い期間でどれだけ成長できるのかっていうことが重要ですし、ワセダとしていままで大事にしてきた部分が最近は少し薄れてしまっていると感じているので、切り替えや球際、運動量の部分では、ワセダが重要視してきたというか、そこで勝ってきたと言ってもいいぐらいのものがあると思うので、その部分に関しては、ぶらさずにもっともっと引き締めていかないと開幕迎えるにあたって勝つことができないと感じています。まだまだ足りない部分があると思うので、もっと危機感持ってやらないとっていうのは感じています。

山内 オフシーズン、チームとしての成果はありましたけど、課題も多くて、きょねんと違う部分も多くある中で、最終的に上手くいかなかったときに何ができるのかが重要だと思うので、その部分に関しては、まだまだいまのチームで苦しい状況や上手くいかない状況から這い上がるだけの力がないなって感じていて、その部分が自分としては危機感につながっていますし、そういう部分を伝えていかなければいけないなって感じています。

――リーグ戦の日程について伺います。大事な初戦、相手は強豪の流通経大ですが、その点についていかがですか

新井 流通経大は選抜に選ばれているメンバーが多いと思うし、いままで苦戦してきた相手で、流通経大の力っていうのは本当に高いものはあると思うので、それに打ち勝つくらいのものっていうのを確固たるものにしていかない限り、勝てないっていうのはみんな分かっていると思います。そこで流通経大に勝てるか勝てないかっていうのは重要なところだと思うので、まずはそこで勝つことが大事になってくると思います。

山内 きょねんとか流通経大と試合した中で、やはり固い試合になるのはわかり切っていて、センターバックがFWへタイトにガチガチに来たりとか、そういう部分が予想される中で、自分たちのペースをつかめればうまくいくかもしれないですけど、さっきも言いましたけど苦しい状況の中でどうなるかっていうのはまだまだ分からないので、苦しい状況を想定した共通事項や、みんなで声掛けっていうのを開幕までに詰めていきたいと思っています。

――明大戦と慶大戦というビックマッチが連戦となっていますね

新井 ケイオー、メイジに勝てなければ優勝はないなって感じていますし、昨年だったら優勝争いしているチームですし、絶対に1回も負けられないなっていう思いはあります。ケイオーであれば特別な思いもありますし、メイジに対しても毎年毎年優勝争いしていますし、ライバルチームとしての意識が自分たちにもあるので、そこに1敗でもしたら勝てないっていう思いは、部員の中でつくって臨んでいかないといけないのかなと感じています。

――前年度関東王者ということで、チームに対するマークも厳しくなると思うのですが、そのことについてはいかがでしょうか

新井 やることは変えないっていうのは大事だと思います。昨年勝てなかった時期っていうのは、自分たちの中でぶれてしまっていたというか、どこかうまくやろうとか、戦術的な面が強くなってしまっていたなと自分としては感じていました。連勝できたときに、じゃあ何を見つめ直したかっていったらワセダとして大事にしてきた部分であったり、ワセダらしさっていう部分を見つめ直して、徹底して戦って、全員が試合終わって笛が鳴った後ぶっ倒れるくらい走ってっていうそういった思いだったり、そういった一人一人の意識があったからこそ、勝ち続けることができたっていうのはあるので、相手がどんなやり方をしてきても、ワセダに対してどれだけ研究しきても、ヒロも言ってましたけど、相手のエネルギーに負けないくらいのエネルギーを出すことと、自分たちの積み上げてきたものを徹底してぶらさずにやることっていうのは大事だと思ってます。

――山内選手はきょねん圧倒的な得点力でチームを関東王者に導いたということで、昨年以上にマークが厳しくなるかと思います。どのようなことを考えていきますか

山内 自分が前向きに仕掛けられる状況ならいくら厳しくきてもある程度(相手ディフェンスを)剥がせたり、プレーできるっていう自信はあるんですけど、ボールを持たせてもらえなかったり、マンマークで来られたりとか、そういった状況になったときに、いまの動き出しやポジショニングの質だと付き切られて何もできないみたいな試合はきょねんもありましたし、そこに関しては自分がもう一個上のレベルに行くにしても課題だと思っています。このオフシーズンいろんなところでサッカーできたっていうところでも感じられましたし、リーグ戦だったり、公式戦だったりでもそういったことが予想できるので、もう一度サッカーを勉強し直してというか、そういう部分に対して向き合って良い準備をしていきたいです。

――「謙虚さと王者としてのプライドを持ち合わせて欲しい」と金澤前主将がおっしゃっていましたが、そのことについていかが思われますか

新井 謙虚さっていうのは自分自身も座右の銘なので、結構そこは意識しているところで、謙虚さは大事だと思っています。昨年王者っていうのはありますけど、変なプライドを持つとかではなくて、昨年王者だから勝たないといけないとかそういうプレッシャーはありますけど、そこはことしはことしで、1回取っ払ってというか、別としてことし関東1位を取るためにっていうのを考えてやっていかないといけないので、昨年優勝できたからといってことし優勝できるっていう保証は絶対にないですし、謙虚さを持って戦うことだったり、自分たちがピッチに立って戦えることへの感謝の気持ちっていうのは変わらず持たないといけないものだと思っているので、ます。昨年優勝できたとかは意識せずにことしはことしで絶対に取らないといけないっていう意識でやっていかないと、優勝は絶対にないなって感じるところではあります。

山内 プライドを持つっていうことに関しては、昨年度優勝校ってことよりもワセダとしてのプライドを持って個人がやっていけばおのずと持ち合わせられるのかなと思っています。昨年優勝できたのは4年生の力が大きいのは常々話されてますけど、そういった部分を出ているメンバーが感じているのと、きょねん出ていなかったメンバーが初めてリーグ戦に出て戦うということを考えたら、そこまで優勝に対しての謙虚さを失うことはないと思うので、そこに関してそんなにみんな思ってないというか、自分も気にしてないと思うので、プライドっていう部分に関しては常に個々人持ち続けてやれれば謙虚さを見失うことはそんなにないのかなって思います。

――ここからは主将、副将についてのお話に移りたいと思います。まず、主将、副将に決まった経緯を教えて下さい

新井 自分はいままで学年リーダーという立場で1年生のときから学年をまとめるというか、リーダーとしてやってきた中で、主将をやりたいって思っていました。学年リーダーになるって決断したときにはもう自分はそこまで考えていたというか。学年リーダーってそういう流れがあるんですけど、そこは関係なしにリーダーになるにあたって、主将は考えていました。

山内 勝手な自分の考えですけど、自分のキャラ的に副将っていう立場がいいんじゃないかって常に思っていました。その中で決めるにあたって、みんなに「チームのためを思って行動できているのか」、「いままでの行動を振り返ってどうなの」って話はされましたし、その部分に関してチームの上に立つにあたって、まだまだ足りていないって認識した中で(副将に)なれたので、その部分は良かったと思います。

――立候補して、部員から意見を聞いて就任するというかたちなのですね

山内 そうですね。

――学年リーダーになった経緯を教えて下さい

新井 伝統あるワセダの主将になるっていうことで本当に自分がやっていいのかと迷う部分はあったんですけど、自分はいままで中学や高校でキャプテンをやってきているということもあって、周りの仲間から純平に任せたいっていう声もありました。自分は高校のときに、リーグを1つ落としてしまったという苦い思い出があって、大学であんまり最初乗り気じゃなかったというか、そこから逃げていた部分があって、最初は学年リーダーに立候補しなかったんですけど、その中で「お前やってたんじゃないの」とか、「逃げてるだけなんじゃないの」っていう声を聞いて、このままじゃダメだなっていう思いや、そこでもう一歩成長できるなっていう思いもあって、自分が決断するっていうところにつながりました。

――山内選手は主将や副将に就いた経験はありますか

山内 小学校のときに(笑)。

新井 そうなんだ(笑)。

一同 (笑)。

山内 まとめていたというか単純に、地元の小さい弱いとこだったんで、自分が一番上手かったっていうので主将というかキャプテンになりました。

――人の上に立つのは難しいことだと思うのですが、そのことに対する不安はありますか

新井 チームの状況を常に考えて、何を発言しないといけないのかとか、そういったところでいま自分がこの言葉を言って間違った方向にいかないのかっていう不安はありますけど、「その中でいろんな失敗を繰り返していけばいい」っていう金澤主将のアドバイスを聞いたりして、そういう不安は少なくなったというか。やる前には、引っ張っていけるかなとか不安はありましたけど、その中でも失敗を繰り返しながらやってます。

山内 自分は思ったこととか、結構厳しいことを言い過ぎて、それがチームのためだったり言ってる人のことを考えられているのかっていうと、いままではそんなになかったと思うので、不安というか、懸念は常にして発言や行動をするようにしています。

――このような主将、副将になりたいという理想像はありますか

新井 自分らしさを出す主将になれればいいなって思っていて。熱さっていう部分で誰にも負けないっていうのはあるので、組織に染まるところは染まって、そこで自分らしさを失わないように自分らしい主将にはなりたいなと感じています。

山内 まず第一にチームの中で絶対的な存在、選手としてあり続けることが自分の理想としている副将像に近いなっていう部分があって、その上で自分がいままで試合に出てきた中で関わってこなかった部分にも関わって、プレーしてるだけじゃなくて、チームがどう前に進んでいるかとか、もっとエネルギーを注いでチーム全体のことを考えられるようにやりたいなと思っています。

――金澤前主将、奥山政幸前副将(平28スポ卒=現J2レノファ山口FC)から見習いたいところや引き継ぎたいところはありますか

新井 拓真くんは俯瞰(ふかん)する力があったと思うし、拓真くんの言葉ってすごく響くというか、そこは感じるところではありますし、チームがどういう状況であるのか、チームにいま、自分が何を言わないといけないのかっていうところがしっかりしていてずれがなくて。自分が印象に残っているのは、勝った試合の後みんなで集まっているときに締める言葉を言っていたときがあって、こういうことも大事なんだって感じたことがありました。常にチームがどういう状況で、いま何をしなければいけないのかっていうのは感じられる力がありましたし、そこで拓真くんが何を言っていたかっていうのは見習う部分があったので、チームに厳しくする部分は厳しくして、褒める部分は褒めるっていうはっきりするところ、全員に対する伝え方っていうのは見習っていきたいなっていうのは思っています。マサくん(奥山)はあまりチームに対して厳しいことをあまり言っている人ではなかったんですけど、コミュニケーションはすごく取っていましたし、先頭に立って何かをするっていう人間ではなかったけど、チームに対する気の配り方っていう部分ではやっていたっていう印象があります。いろんなところにコミュニケーションを取るっていうところや、チーム全体に対する関わり方は良かったというか、見習うところではあったと思うので、そこはどういった立場であろうと大事なのかなと思います。

山内 拓真くんに関しては具体的なリーダーシップというか、状況を考えて伝えるっていう部分で周りの目を気にせずに伝えるっていう部分は見習いたいです。チームの雰囲気とか周りの目とか気にして伝え切れない部分がまだまだあるので、そこは本当にすごいなと思っていたし、見習いたいなと思っています。マサくんに関してはまずプレーの面においてチームで最も模範となる選手だったし、試合に出始めたときから常に示し続けていたということに関して、ボールを奪うことであったり、走るっていう部分の基準だったというのは大きかったかなと思いますし、自分もチームの基準、見本となる選手であり続けなければいけないなっていうのはマサくんのプレーとか振る舞いを見て思いました。

――お二人からどんな言葉を掛けられましたか

新井 拓真くんからは「自分らしくやれ」って常に言われていました。「背負い込み過ぎんなよ」とか言われましたけど、「とにかくお前らしい主将であればいいんだよ」ってことを言ってくれて、そういったことが自分にとってプラスになっているというか、まあそうだなというか。そういった言葉も含めた中で自分らしい主将であろうっていうのは常に思ってやっていきます。マサくんに関しては、プロに行って、自分もプロを目指してやっている中で、ことしが勝負だなっていうところと、「お前が中心となって2連覇達成してくれ」ということを言われました。まず、そのサッカー面に関しては見習うところはありましたし、いろんなアドバイスを受けましたし、自分がマサくんのいない分やっていかないとなっていうのは感じました。

山内 そんなに何か直接言われたことはないんですけど、拓真くんはきょねんから試合に出るたびに「お前がやってくれ」というふうに言われていたので、その部分に関しては、拓真くんに言われた思いっていうのはそのときも感じていましたし、いまも感じてやらなきゃいけないというふうに思ってやっています。マサくんに関しては、副将になったときに少し話したんですけど、「そんなに考えすぎないでお前は普通にやれば大丈夫でしょ」みたいなこと言ってくれたので、マサくん自身もそんなに気負わずやってたっていうのを聞いて自分も自分ができることをやろうっていうふうに感じました。

――最後に主将、副将として新シーズンに向けて一言お願いします

新井 まず、40年ぶりの2連覇っていうのを目標として掲げてやっている中で、そこに対して掲げた責任っていうのは持ってやらないといけないと思っています。ことしいろんなチームがワセダに対してエネルギーを持ってやってくる中で、自分たちが掲げた目標はぶらさずにそこに対して一人ひとりがやっていかないといけないと思いますし、ワセダにあって他にはないものってやっぱりあると思うので、そこは色濃く出していきたいなと思っています。部員一人一人の成長を大事にしてやってますけど、そこはぶらさずにやっていきます。『WASEDA THE 1ST』っていう結果に対して1STにこだわり続けるっていうのはワセダだからこそできることだと思っているので、1STを取るために、人間的に成長し続けるために、挑戦し続けるっていうところを意識させて主将としてやっていきたいと思います。自分が挑戦を示し続けて結果に結び付けて、連覇であったり、3冠であったり、日本一を達成できるようにやっていきたいなと思います。

山内 始動のときのミーティングでも言わせてもらったんですけど、やっぱり勝つべくして勝つチームになりたいと思っていて、昨シーズンはある意味奇跡のようなかたちで連勝したり最後勝てましたけど、圧倒的な強さだったわけではないですし、他のチームが圧倒的な強さになってたら優勝できたかって言われるとそうではなかったっていう部分を考えて、圧倒的な強さで勝つべくして勝つっていうチームをつくることは副将として一番やらないといけない部分だなって思っていて、昨シーズン関東優勝した上でもう一度あの優勝を味わいたいっていうのと、大学の中で一番になりたい、日本一になりたいっていう気持ちはあるので、総理大臣杯、インカレで日本一になれるようにやっていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 稲満美也、佐藤諒、桝田大暉)

今季の意気込みを書いていただきました!

◆新井純平(あらい・じゅんぺい)(※写真右)

1994年(平6)11月12日生まれ。身長173センチ、体重64キロ。埼玉・大宮南出身。前所属・浦和レッズユース。スポーツ科学部4年。お話にもあった通り、今季から得意の攻撃参加の機会が増え、「自分の持ち味が出せる」と声を弾ませていた新井選手。ピッチを駆け抜ける新井選手の躍動がいまから楽しみです!

◆山内寛史(やまうち・ひろふみ)(※写真左)

1995年(平7)2月9日生まれ。身長182センチ、体重74キロ。東京・国学院久我山高出身。商学部4年。対談の様子から、ストイックな一面が垣間見えた山内選手。今季もゴールハンターとしての役割が期待される中で、昨年以上の活躍を誓います!