【連載】リーグ戦開幕前特集『The New Era~新時代の始まり~』 第1回後藤雅明x小林大地x平澤俊輔

ア式蹴球男子

 昨年、ア式蹴球部の19年ぶりの栄光に貢献し、大きく飛躍した男たちがいる。中盤の底で攻守に奮闘しチームを支えるワセダのダブルボランチMF小林大地(スポ4=千葉・流通経大柏)、MF平澤俊輔(スポ4=JFAアカデミー福島)、そして抜群のシュートストップでゴールマウスに君臨するGK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)の3人だ。チームに不可欠な存在へと成長した彼らもついにラストイヤーを迎える。その目にはいったい何が写っているのか――。関東大学リーグ戦(リーグ戦)開幕を控えた3人にいまの心境を伺った。

※この取材は3月25日に行われたものです。

「開幕を迎えるのが楽しみ」(小林)

新シーズンへの期待を語る小林

――新チームが始動してから約2カ月が経ちましたが、現在のチームの様子はいかがでしょうか

小林 スタメンの半分以上を占めていた前の4年生がごっそり抜けて、きょねん出ていた選手と全く異なった選手が出ています。きょねんにはなかったことがことしはできている状態なので、始まってみなきゃわからないですけど、開幕を迎えるのが楽しみです。

平澤 雰囲気という面ではきょねんにはなかった3年生のにぎやかさだったり、4年生もそれに応えて和気あいあいとした雰囲気があります。ですがその中でもきょねんの4年生が担っていた締めるという部分はいまの4年生には足りない部分だと思います。和気あいあいとやっているのは良い部分だと思いますが、まだまだチームとして未熟なところがあるのかなと思います。

後藤 2カ月経ってみて、チームの雰囲気は良くも悪くもないという感じです。大地が言っていたみたいに、新しく入った選手の特徴を生かした自分たちのサッカーを始めて、それに全員が挑戦して、日々成長しようとしている姿は良いと思いますが、きょねんの4年生の大きさというのも感じていて、苦しいときに自分たちには何ができるのだろうということを考えるとまだまだなのかなと感じます。良さも悪さもあって、リーグ戦までの時間は少ないですが、そこに対してもっと向き合ってやっていきたいですね。

――昨年の4年生が抜けてからどのような変化がありましたか

小林 さっき俊輔が言っていたように、きょねんの4年生がチームを締めていた部分が少し緩くなっているのかなとは思います。プラスな面では、きょねんとは全然違うタイプの選手が入っていて練習試合でもうまくいっていますね。

平澤 この時期に特有のことなのかもしれませんが、きょねんから代わって出てきた選手にチャレンジする姿勢がよく見られるので、きょねんから出ていた僕とか大地からするとそういうのは刺激になります。そういった部分で高め合えていて、互いに成長するための教材が練習や試合からあるので、そこは良い部分だなと思います。

後藤 大体言ってくれました(笑)。

一同 (笑)。

――新主将のDF新井純平(スポ4=浦和レッズユース)選手、新副将のFW山内寛史(商4=東京・国学院久我山)選手の姿はどのように映っていますか

小林 純平は練習の中で人一倍声を出して、引っ張ろうという意識がきょねんより増して感じられます。実際にプレーの中でも自分が引っ張ってやるんだというプレーが見られて、頼もしいキャプテンだなと思っています。ヒロ(山内)に関しては、このチームで一番経験がある選手なのでその経験を具体的に言葉にして後輩に伝えてくれています。その経験が本当に大事になってくると思うので、そういった意味でヒロの存在は大きいかなと思います。

平澤 純平は学年リーダーをやってきてリーダーシップがとれる人なので、ことしに入ってから間違いなくそれは強くなっていますし、チームを背負うという部分は彼が一番やってくれていると思います。そういった部分に自分たちは付いていかなければいけないですし、純平を支えていかないといけないと強く感じています。ヒロはピッチ内外で感じていることをAチーム、Bチーム関係なく伝えてくれているのはすごく大切だと思いますし、副将として欠かせないことだと思うので、この2人はチームとして一番重要な存在だと実感しています。

後藤 二人が言っていたように、純平はリーダーシップをもってチームのために働いてくれているとすごく感じています。学年リーダーから主将に変わるというのはすごく大きな変化で、チーム全体を見なきゃいけない中で、あいつのリーダーシップを最近強く感じています。きょねんの拓真くん(金澤前主将、平28スポ卒=横浜F・マリノスユース)とは違ったタイプの主将ですが、あいつなりに言葉であったりプレーで熱い思いを表現してくれているので頼りになります。ヒロは違う視点から「気づき」を提示してチームに働き掛けてくれていて、あいつなりのチームへの関わり方をこの2カ月で示してくれていて、副将として良い働きをしているなと感じます。

――先日の早稲田大学WMWクラブ・ア式蹴球部総会・納会にて新井主将が「誰よりも熱い男になる」というお話をしていましたが、いまのところいかがですが

小林 あいつは熱い男です(笑)。一番熱いんじゃないんですか。

平澤 ピッチ内外で負けず嫌いなんですよね。

後藤 うん。

平澤 普通の遊びでも負けず嫌いだよね。

小林 最近ウイニングイレブンというサッカーゲームを純平とやってるんですけど、あいつが負けず嫌いだからおれが3連勝してもあいつが勝つまでやらされるんです(笑)。

――最後まで付き合ってあげるのですね(笑)

小林 はい(笑)。

後藤 やりすぎだろ。

一同 (笑)。

――もう一人の副将であるGK岸浪卓志(社4=東京・早実)選手の姿はいかがですか

小林 岸浪は山内とは全く違うタイプの副将で、チームに少しでも隙があれば強く喝を入れてくれるというか、厳しい言葉をチームに対して投げ掛けてくれるのでそれで自分たちのはっと気付きます。チームの雰囲気をピリつかせてくれるすごく重要な選手です。

――3人でうまくバランスをとってやっているのですね

平澤 一人一人が自分の色を出しているという感じです。それぞれのリーダーシップがチームに還元されていて、みんながそれぞれに付いていこうという姿勢が3人から感じられますね。

――先ほどお話にも挙がりましたが、新3年生の代のここまでの印象はいかがですか

後藤 入学した当初から良い選手が集まっていて、その中でもいまAチームに絡んでいる人はこれから成長してもっとワセダの勝利に貢献してほしいと感じています。いままでに試合に出たことのある陽介(MF秋山、スポ3=千葉・流通経大柏)、涼矢(DF飯泉、スポ3=三菱養和SCユース)、準弥(DF鈴木、スポ3=清水エスパルスユース)とかの数人以外にも良い選手がいるので、これから新3年生がリーグ戦に多く関わってくる中で、「自分がことし1年で成長して、チームを勝たせよう」という気持ちをもってやってほしいなと思っています。

小林 学年が一つ上がって、あいつらの中にも責任感が芽生えてきたのかなと感じています。いままでだったら自分のためにプレーしていた部分がことしはチームを代表して戦う責任とか、チームの重みを感じながらプレーしているなと感じています。Aサブにいる選手もチームが勝つために自分がどうすればいいか考えてプレーしている印象があります。きょねんよりもたくましいですね。

平澤 サッカーにおける強みを持った選手がすごくいて、素晴らしいものを持っていますね。ことし3年生の口からよく聞くのが4年生以上のエネルギーを出すとか、4年生を越えていくという言葉なので、本当にそういう部分を出していってほしいですし、それを見て4年生も負けていられないと相乗効果が生まれればいいなと思います。3年生には人としてまだまだな部分なところもあるので、そういった部分が成長すればチームの成長にもつながるとすごく感じます。

――中盤のポジション争いの現状はいかがでしょうか

小林 中盤には良い選手がいっぱいいて全然安心できない状況が続いています。それがチームにとっても良い影響がでているので、このポジション争いをシーズンが終わるまで続けていきたいですね。

平澤 ポジション争いはプレイヤーとしての成長にもつながるので、その面の要素は増していると思います。ことし出ている選手は運動量や切り替えの部分で圧倒的な強みがあるので、リーグ戦で一緒にプレーするのが楽しみですね。どうなるかはわからないですが、そういった部分が出せればワセダの新たな強みが出てくると思うので、期待しています。

――ディフェンスラインの顔ぶれも大きく変わりますが、飯泉選手、DF熊本雄太(スポ3=東福岡)選手、鈴木準選手のそれぞれの印象はいかがですか

後藤 全員一人の選手として能力も高いです。クマ(熊本)と涼矢はヘディングが強くて、高さもあるというきょねんにはなかった部分があります。準弥も含めて3人ともキックの質が高いので、1本のパスで一気にゴール前のチャンスにつながるところも新たな武器かなと思います。3人で高い競争をして試合で結果を出してくれるとうれしいです。

――後藤選手は新井主将、山内副将とオランダへサッカー研修に行かれていましたがいかがでしたか

後藤 非常に良い経験ができました。初めて海外でサッカーをしたんですけど、選手のサイズの違いやスピード感、球際の強さなどは大学レベルでは感じられないレベルでした。そこを生で感じられたのは選手としての成長において大きなものになったので今後生かしていきたいです。

――お二人は国内でのプレシーズンを送っていましたが

小林 うらやましいですよね(笑)。

平澤 ア式日記とか(笑)。観光とかもしてたし。オランダの街並みとかもきれいでそういった部分は自分も味わいたいなと思いました。オランダから帰ってきた3人の意識や伝えてくれるものから日本のサッカーがサッカー先進国とは違うというのが伝わってきて、自分もサッカーをやっている以上そういうレベルに追い付きたいという思いも芽生えました。まだまだ自分がやっているものじゃ足りないというのを痛感させられたので、体験することはできませんでしたが、3人から得られるものは多くありました。

小林 3人の話から日本とオランダではサッカーの基準が違うというのを聞いただけでも想像できましたが、それを体で直接実感したいと思うようになりました。やっぱり実際に現場で実感した方が感じることは多いと思いますし、よりうらやましいなと思いましたね。

「ワセダとして戦う素晴らしさ、幸せをすごく感じた1年」(平澤)

飛躍の一年を回顧する平澤

――それでは昨シーズンの振り返りに話を移すのですが、全日本大学選手権(インカレ)の国士館大戦を振り返っていかがですか

小林 あの試合は自分たちの強みが一切出せずに、本当にスコアから見ても大敗を喫しました。あの試合が終わった後に、監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)に名指しで怒られて、その怒られた時に、やっぱり1人のサッカー選手としての未熟さや、全然まだまだ上で通用する選手ではないなというのを改めて感じました。あのときに味わった悔しさっていうのはいまでも忘れてないですし、その悔しさを日頃の練習のエネルギーに変えて、いままでやってきたつもりなので、この敗戦を無駄にすることがないように、この後のリーグ戦開幕や総理大臣杯、インカレにつなげていきたいと思っています。

平澤 自分自身、ことしグラウンドマネージャーという役職をやっていて、その中で試合を振り返らないといけない仕事もあって、試合の映像とかを見るのですが、最近までその試合の映像を振り返ることができませんでした。人生で一番っていうぐらい本当に悔しい試合で、相手の国士館大のエネルギーに対してうちが何もできずに、なすすべなく終わった、ただただ終わった試合だったなっていうのを、映像とかを見ながら改めて思いました。自分が試合に出場していて、拓真くんだったりマサくん(奥山政幸前副将、平28スポ卒=現J2レノファ山口FC)だったりが、後ろから0-4で負けている中でも「チームのために」というプレーをしていたのが、いま自分の中で思い出されるというか目に焼き付いています。そういった部分を自分はことし出していかないといけないと思いますし、あの二人の先輩から学んだ部分っていうのは自分自身きょねん一年間やってて、すごく大きなものがあったので、それを後輩に還元してチームの結果につなげなければあの敗戦の意味は何もないと思うので、自分自身あの敗戦を糧にして、ことし1年1試合1試合戦っていきたいっていう強い覚悟になる試合だったといま改めて感じています。

後藤 振り返ってみると、率直にただただ悔しかったなっていうのを感じました。きょねん公式戦で4失点したのが前期の中大戦(●1-4)と、そのインカレの国士館大戦で、「1年で2回も4失点するんだ」って、そういったことを感じて、非常に悔しかったです。相手の思う通りのやりたいようなサッカーをやられて、自分たちはしたいサッカーができなくて。本当にその言葉の通りなんですけど、国士館大の人に聞いても、「自分たちは1年の中でベストゲームをした」と言っていて、そんな相手に対して自分たちは何もできなかったんだなっていうのを強く感じました。そういった状況でも、勝たなくてはいけなくて、苦しい状況に対する自分自身の力のなさっていうのも感じましたし、大事な場面で止められないというか、自分のチームを勝利に引き寄せる力っていうのが、まだまだ足りないなっていうのをすごく感じました。

――ベスト8という結果はどのように捉えていますか

小林 関東王者として挑んだインカレだったので、優勝しなきゃ意味ないですし、関東の代表として戦っているので、ベスト8という結果には全く満足していないです。情けない、恥ずかしいという感情が芽生えましたね。

平澤 ベスト8という結果に対しては、きょねんの課題を象徴するような結果だったのかなと思っています。アミノバイタルカップも含めて、トーナメント戦で弱いっていうのがうちの現状で、そういう一発勝負で相手がその一試合に対して強い思いで挑んできているのに対して、うちもそれ以上の思いでやってるはずだったんですけど、それを上回ることができないという、一年間を通しての課題が、最後ああいったかたちで表れてしまいました。ワセダは一番じゃないといけないと思いますし、そういった中で勝ち切れなかったっていうのが本当に率直に悔しかったなっていうのはあります。

後藤 大地も言ってた通り、リーグ戦で優勝したのに、すぐ負けてしまったっていうのが一番悔しくて、関東の代表として出たのに、決勝まで行けなかったのが本当に情けないなっていうのをすごく感じました。決勝の舞台で関学大とワセダがもう1回試合をして、そういった試合が行われることに、大学サッカーを引っ張る立場にあるワセダがいなきゃいけないのに、いれなかったことに対して本当に悔しい気持ちになりました。

――試合後、引退する4年生からはどのような話がありましたか

小林 4年生は、サッカーだけじゃなくて、人間としてとか、私生活でもっとこうした方がいいとか、いろんな幅のある話をしてくれて、すごくためになりました。

平澤 試合直後に監督が、きょねんの4年生に対して、「これで引退ではなくて、この負けも含めてことし1年やってきたことを自分たち3年生以下にも伝えていかないといけない」ってことをおっしゃっていて、大地からもありましたけど、その数日後に4年生一人一人から、このア式でやってきた四年間の話をしていただきました。改めてア式の偉大さとか素晴らしさっていうものを、4年生の経験から感じることができたんですけど、何人かの口からは最後の試合においての悔いだったり、虚しさだったりっていうのが出たので、そういった思いも自分たちは背負っていかなきゃいけないと思います。そういった部分をことしの結果できょねんの4年生に対して恩返ししていかないといけないと思うので、きょねんのあの負けが本当に無駄にならないように自分たちはやっていかないといけないなと思います。

後藤 一人一人、四年間で感じたことや自分たちに対してのいろんなメッセージを残してくれました。そういったことを聞いて、やっぱりことし自分たちが目標達成をしないとなっていう強い責任というか、強い思いを持ちました。毎年ワセダは下の学年の選手の教育をすることなどが伝統として残っていて、それが代々継承されていまのワセダがあると思うし、そういったことも含めて4年生が最後に残したメッセージを、自分たちの下の代の選手たちにも残していかないとなって思いました。そういったことも含めて、ことしは最後の年で自分たちにはやることがいっぱいあるし、やっぱり結果を求めながら、いろんなアプローチをして何かを残していきたいなと感じました。

――4年生は皆さんにとってどのような存在でしたか

小林 「お手本」じゃないですかね。きょねんの4年生は、本当に人間として素晴らしい人がいっぱいいて、本当にお手本になる行動とか言動とかを示してくれていたので、4年生はお手本でした。

平澤 自分はきょねんの4年生とは特に仲良くさせてもらったというか、すごくお世話になったので、馴れ馴れしいですけど「親友」っていう感覚がすごくあります。日頃一緒にいてくれる中でも学ぶことが多かったですし、サッカー以外のプライベートな面でもよくしてくださったので、偉大な先輩ですけど、仲良くしてくれた親友って感覚が自分はすごくありますね。

後藤 きょねんの4年生は一人一人が人として素晴らしいものを持っていて、多くの場面で助けられたのがすごく印象的です。自分が苦しかったときや、チームが苦しかったときに、そこに4年生がいたからチームが勝てた部分もあったし、それだけ人としてすごみのある人がいたから優勝できたと思うので、そういった部分を尊敬して、自分も人としてもっと成長したいなっていう感じにはなりました。

――主力としてシーズンを通して試合に出た一年間はどのようなものでしたか

小林 自分は1、2年生のときはほとんどスタンドで試合を見てたんですけど、きょねんから出始めるようになって。ピッチに立ってみると、やっぱりワセダっていうチームの偉大さ、そういうのをすごく感じました。いままでだったらただ試合に出てがんばればいいとか、そういうふうに思ってたんですけど、このワセダは本当に多くの方、OBの方が支えてくださって成り立っているチームなので、そこに軽いプレーとかはできないですし、ピッチに立って、チームを勝たせるために、自分が献身的にプレーしなければいけないなっていうのを、本当に強く感じましたね。これは多分他の大学とか他のチームでは感じることができないことだと思ってます。

平澤 きょねん一年間を通じて出させてもらいましたけど、自分の感覚では、プレイヤーとしての成長は自分が一番できなかったかなっていうのがすごくあって、だからこそインカレの結果にもつながってしまったと思ってます。そういった中ですけど、OBの方から「今季お前ががんばってくれたから勝てたよ」とかそういった言葉もあったり、学校の友達や同じゼミの人たちが早慶戦とか見に来てくれて、その中でワセダとして戦う素晴らしさだったり、幸せっていうのをすごく感じた1年でした。きょねん成長ができなかった、成長が少なかったっていう悔しさはあるので、ことしはそれをぶつけていけるような1年にしたいなってすごく思っています。

後藤 初めて一年間リーグ戦に出て、一年間試合に出続けてみると、いろんな経験ができたなっていうのがすごくあります。自分自身最初は調子が良くなくて、なかなかチームに貢献できることもなく過ごしていたのですが、だんだん自分も試合に慣れてきたのもあって、リーグ戦の舞台で味わえる緊張感であったり、試合に勝つ喜びであったり、そういったいろんなことが経験できた1年だったなっていうのを感じています。選手としても、自分自身成長できた部分や、実感している部分があるので、ことしもさらに良い年にできるようにこれからやっていきたいと思います。

――昨シーズンを振り返って、自分たちに足りないと感じたものや、今後に生かしていきたいと思ったことはありますか

小林 試合の90分の中で、自分たちが攻める時間っていうのが相手より少なくて、きょねんの戦い方だったら、守ってカウンターで点取って、また守ってみたいな感じだったんですけど、やっぱりそれでは絶対に失点のリスクは大きくなりますし、それがきょねんの課題だと思っているので、ことしは自分たちが攻撃する回数や時間を増やしたいです。そのことで失点するリスクも減りますし、逆に得点する確率も上がってくると思うので、そこはきょねんの課題としてことし取り組んでいきたいなと思っています。

平澤 まあ課題の部分は大地が言ってくれたので、その通りだと思うんですけど、自分は逆に、きょねん優勝を経験したからこそ、ことし絶対生かさなきゃなって思っています。先程、4年生が引退するときの話がありましたけど、そのときに太郎くんが言っていたことがいまよみがえってきて、優勝したからこそ1つ上の次元からチームの状況などが見えると思うし、ピッチ内での出来事やピッチ外での出来事っていうのが、また1つ上のレベルで捉えることができると思っているので、その基準を落とさないで一年間継続していくことが大事だと思います。逆に優勝したっていう自信や、そういったプライドっていうのも出していければいいんじゃないかなっていうのはすごく思います。

後藤 足りないと感じた…得点力ですかね(笑)。

平澤 得点力?

後藤 うん。やっぱりリーグ戦、きょねんを振り返ってみても、なかなか点が取れない時期もあったりして、勝ってたときのことを考えると、2点を取れていた試合だったり、1点じゃ足りなかった試合もあったと思うので、ことしは本当に攻守に関わるってことを意識してやってると思うので、ゴール前のところの最後の質を、こだわりを持って得点力につなげていってほしいなと思います。

「感謝の気持ちを持って」(後藤)

ラストイヤーへの思いを語る後藤

――それではいよいよ間近に迫ったリーグ戦についてお聞きするのですが、前年度王者ということで周囲からのマークも厳しくなるではないでしょうか

小林 他大学はそういう目で見てくると思いますが、自分たちの中では王者という感覚はなくて、チャレンジャーという感覚ですし、いつもそうですけど、変わらない気持ちで開幕から一戦一戦、重みを持って戦っていきたいと思います。

平澤 昨年優勝したというのはただの事実でしかなくて、先ほどプライドとか誇りっていうことを話しましたけど、客観的にみるといまの自分たちのチーム力ではまだまだ優勝には程遠いと思いますし、このままでは優勝できないっていうのが自分の中にあるので、だからこそ、その優勝という目標に向かって一人一人が成長しないといけないと思うし、他大学は絶対ワセダを意識してくるとは思いますけど、それに負けないくらいのプレーを日頃のトレーニングで出していけたりしたら自ずと結果はついてくると思うので、そういった部分を意識してやっていきたいと思います。

後藤 他の大学から見たら、昨年のチャンピオンを食ってやるとか強い気持ちでくると思うのでそこに対してのエネルギーで負けないようにして、一試合一試合取り組んでいきたいと思います。リーグ戦は長い期間やると思うので、その期間の中で自分たちがどれだけ成長し続けられるかが最後の優勝というところに関わってくると思うんで、毎試合大事に戦って大事に試合をしていきたいと思います。

――初戦は流経大となっていますが

小林 自分は高校が流通経大柏ということもあって、早慶戦のように特別な思いがある相手なんですけど、昨年のリーグ戦を振り返ってみたら一勝一敗で、決定機をなかなか作れなかった相手ですし、ほんとに選手のレベルが高くて、チームのために献身的にプレーできる選手が多いので、手強い相手になることは間違いないですけど、それ以上に自分たちは献身性とかで負けちゃいけないと思います。開幕戦勝てるか勝てないかでことしのチームがどうなるかっていうのが決まると思っているので、何が何でも勝って、次につなげていきたいと思っています。

平澤 昨年の対戦を振り返っても厳しい戦いが予想されるなとは思っていますが、僕自身の率直ないまの感想で、そういった中でも決定機の少ない中でもいかに決め切れるかということが大事になってくると思っています。大地からもありましたけど、開幕戦に勝てなかったらことしが終わるくらいの気持ちで臨みたいと思います。

後藤 流通経大との試合はいつも硬い試合で、どちらがチャンスをものにできるかっていう試合だと思うので、一瞬の隙も与えず、自分たちが一つのチャンスを決め切れるというようなこだわりを持って、最初のゲームで見せたいなっていうのはあります。開幕戦ということもあって他の大学の選手も見てくると思うので、ことしのワセダはこんなチームだぞっていうのもアピールできるようにやっていきたいと思います。

――第3戦は国士舘大戦、そして慶大、明大戦は連戦となっていますが、注目している大学などはありますか

小林 慶大と国士舘大は昨年とあまり戦力が変わらないのではないかと思っていて、選抜の方にもかなり人がいたり、手強い選手も多くいたりと、両チームとも昨年よりも完成度の高いチームになっているのではないかなと思っています。

平澤 慶大ですかね、ほんと。選抜の方にも選ばれている選手もいますし、昨年から慶大のサッカーのスタイルっていうのが後期になるにつれて強まっている印象があるので、間違いなくことし一番難しい相手なんじゃないかなというのはすごく思っています。熱い早慶戦になるのは間違いないですし、お客さんもたくさん入ってくれると思うので、自分たちの燃える早慶戦になると思います。

後藤 自分も慶大が手強いんじゃないかなと強く感じています。ほとんどの選手が残っていて、選抜や代表の選手もいますし、一人一人の能力が高い選手ばかりですが、慶大だけには自分たちは負けられないので、ことしも早慶戦全勝できるように頑張っていきたいと思います。

――最後に、皆さん4年生ということでラストシーズンになりますが、意気込みの方をお願いします

小林 まずはリーグ戦連覇を目標に頑張っていきたいです。このワセダに入って選手としても人としても成長できたと思うのですが、それは周りの人たちや、先輩や後輩や監督のおかげだと思っているので、恩返しになるようにリーグ戦連覇という結果を出したいと思います。

平澤 学生最後の年ということで、ワセダに入ってから、ワセダを応援してくれる人であったり、自分を応援してくれる人がいるなかで、そういった人たちが自分を成長させてくれたと思っていますし、まだまだ成長していかなきゃだと思っていますし、そういった人たちへの感謝をプレーで示したり、関東リーグ連覇や、総理大臣杯やインカレを取れるように結果で恩返しできるようにしたいです。

後藤 大地も言っていましたけど、ワセダに入って考え方の部分など、選手としても人としても大きく成長できたということを自分でも感じています。まだまだ成長もしていかないといけないと思いますけど、そこに対して関わってくれた人たちに感謝の気持ちを持って、プレーや結果で伝えたいと思っています。チームにおいても3冠というのを目標に掲げているなかで、そこに対してぶらさず、一試合一試合戦って、目標達成をしたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 稲満美也、篠原希沙、田中佑茉、桝田大暉)

今季の意気込みを書いていただきました!

◆後藤雅明(ごとう・まさあき)(※写真右)

1994年(平6)5月24日生まれ。身長190センチ、体重84キロ。東京・国学院久我山高出身。スポーツ科学部4年。ゲームはまったくしないという後藤選手はアプリも全然入ってないそう。“ウイイレ”で新井主将と熱戦を繰り広げる小林選手にあきれ顔をしていました。

◆小林大地(こばやし・だいち)(※写真左)

1995年(平7)3月19日生まれ。身長172センチ、体重66キロ。千葉・流通経大柏高出身。スポーツ科学部4年。「ウイニングイレブン」ではバイエルン・ミュンヘンとバルセロナを使用するという小林選手。ア式が誇る技巧派MFはゲームでも技巧派のようです。

◆平澤俊輔(ひらさわ・しゅんすけ)(※写真中央)

1994年(平6)4月11日生まれ。身長176センチ、体重69キロ。福島・富岡高出身。前所属・JFAアカデミー福島。スポーツ科学部4年。対戦ゲームを好まないという平澤選手の最近のお気に入りゲームは「リズム天国」。ひたすらに己を磨き続けます!