両国のさらなる発展を願って。日韓4大学がサッカーで交流

ア式蹴球男子

 2015年は日韓国交正常化から節目の50周年にあたる、両国にとって特別な年だ。これを記念して早大と高麗大、慶大と延世大がそれぞれタッグを組み対戦する、『日韓4大学交流サッカー大会』が開催された。試合は早大高麗が息の合ったコンビネーションで前半と後半に1点ずつを奪い、2−0で完封勝利。結果を収めただけでなく、サッカーを通じて異国の大学生たちと親睦を深めるなど、選手たちにとって有意義な1日となった。

密集からシュートを放つ山内

 日韓両国の名門私立大学が一同に会したこの試合。早大と慶大はもちろん、高麗大と延世大も毎年定期戦が行われるほどのライバル関係にある。この日も選手たちは気迫のこもったプレーを披露。相手の激しいタックルに対してエキサイトする場面も見られるなど、白熱した攻防が繰り広げられた。15分、中盤でのスタメン出場となったDF奥山政幸副将(スポ4=名古屋グランパスU—18)がボックス付近でマイナスのクロスを上げると、これをMF田中太郎(商4=静岡・藤枝東)がジャストミート。強烈なシュートは相手GKにセーブされたが、こぼれ球を高麗大MF安 恩山(アン・ウンサン)が押し込み先制に成功した。

 早大の選手たちは、この日も最大の武器であるハードワークを一人一人が遂行した。ピッチではいつも通り、DF金澤拓真主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)が最終ラインから大きな声で統率。他の選手たちもジェスチャーなどを交えて連携を確認するなど、高麗大の選手と積極的なコミュニケーションを図った。終了間際の90分には、カウンターから最後は高麗大MF奘 盛在(チャン・ソンジェ)が決めて追加点を獲得。記念すべき試合を2−0の快勝で終えた。

奘の追加点を喜ぶ選手たち

 滅多にない貴重な機会となった今大会。金澤主将は「工夫しながらコミュニケーションをとることができた。見ていた人に何かを与えられる試合ができたと思う」と振り返った。勝ち負けだけではない、さらに大切なことを我々に教えてくれる。それこそが、スポーツが世界中の人々から愛されるゆえんだろう。これからもより一層、サッカーだけでなく様々なスポーツを通じて、日韓両国が良好な関係を築き上げていくことを願うばかりである。

(記事 栗村智弘、写真 佐藤凌輔)

試合後は全員で喜びを分かち合った

日韓4大学交流サッカー大会
早大・高麗大合同チーム 1-0
1-0
慶大・延世大合同チーム
【得点者】(早・高)15安、90奘
早大・高麗大合同チームメンバー
ポジション 背番号 名前 大学
GK 16 林 珉爀 高麗大学校
GK →HT 後藤雅明 早稲田大学
DF 朴 太賢 高麗大学校
DF →HT 新井純平 早稲田大学
DF 李 多元 高麗大学校
DF ◎4 金澤拓真 早稲田大学
DF 12 八角大智 早稲田大学
MF 奥山政幸 早稲田大学
MF 李 尙旻 高麗大学校
MF 田中太郎 早稲田大学
MF 11 安 恩山 高麗大学校
FW →66分 郭 政勳 高麗大学校
FW 15 鄭 澤勳 高麗大学校
FW →HT 奘 盛在 高麗大学校
FW 10 山内寛史 早稲田大学
FW →HT 宮本拓弥 早稲田大学
◎はゲームキャプテン
監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実)
コメント

DF金澤拓真主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

自分たちも慶大には負けられないですし、高麗大も延世大には負けられないという話をしていたので、勝ちだけを目指して戦った中で2-0で勝利を収められたことは良かったです。内容を見てもすごくアグレッシブに戦えていましたし、見てる人に何かを与えられる試合をできたのではないかなと思います。

――金澤選手自身、延世大と戦ったのはこれが初めてですか

そうですね、自分自身がいる4年間の中では初めてでした。

――実際に戦ってみていかがですか

延世大にはうまい選手がいるというのは高麗大の選手から聞いていて、実際に対峙(たいじ)してみても個の質の高さを感じました。参考になるところがたくさんある試合でしたね。

――きょうは高麗大の選手とCBを組んでいましたが

背がすごく高いので上の強さ、前への強さはすごく感じました。ただ普段政幸(DF奥山副将、スポ4=名古屋グランパスU-18)とやっていて当たり前だったことは当たり前じゃなかったですし、政幸の良さも改めて実感できました。改めて自分たちの強みを感じられたきっかけになりました。

――コミュニケーションはどうやって取られていたのですか

日本語をしゃべれる選手が2人いて通訳の方もいたので、そういった選手や通訳の方を通じてコミュニケーションを取っていました。なのでいままでに比べてコミュニケーションが取れて試合に臨めたかなと思います。

――金澤選手は韓国語は

全くしゃべれませんね(笑)。ただ英語は単語で通じるので、単語だけパッと言っても相手に届いたりしました。そういったところで工夫しながらやりました。

――では試合中もそのようにコミュニケーションを取っていたのでしょうか

そうですね。右左、ラインの上げ下げ、マークの受け渡しなど、基本的なことは英語の単語で伝わったので、案外なんとかなるんだなと。

――きょうの試合は笑顔も見られて楽しそうな雰囲気でしたが

そうですね(笑)。ワセダの中でやるのとは違った楽しさもありましたし、そこで改めて気づかされたことや勉強になる部分もあったので、この3日間高麗大の選手と過ごして「楽しかった」というのが一番の感情です。いい機会を与えてもらったなと思います。