5得点の圧勝劇にて終幕。勝利のバトンは託された!

ア式蹴球男子

 今季のインディペンデンスリーグ(Iリーグ)もついに終幕。Aブロックを14位で終えた早大は同じくBブロック14位の平成国際大との順位決定戦に臨んだ。MF安田壱成(スポ2=ベガルタ仙台ユース)のボレーで幸先良く先制すると、同点で迎えた後半は怒涛(どとう)のゴールラッシュ。6分間で3得点を奪う猛攻を見せた早大が最終戦を見事な快勝で締めくくり、優勝を懸けた大一番に臨むAチームを最高のかたちで後押しする結果となった。

 勝つことの難しさを知り、敗ける悔しさを噛み締めてきた今季のIリーグ。最終戦となったこの日、ピッチに立つ全ての選手が成長した確かな証を刻み込んでいく。前半開始から連動した動きで相手を制圧すると、ワセダは早い時間帯でリードを奪う。14分、右サイドを崩しPA内に攻め込むと、中途半端になった相手のクリアボールに対し安田が迷うことなく右足を振り抜く。ハーフボレーから放たれた美しい球筋がネットに届き、重要な1点をつかみ取るワセダ。勢いそのままに試合を進めたいところであったが、26分に一瞬の隙を突かれ早くも同点に追い付かれてしまう。悪いときならこのまま後手に回っていただろう、しかしこの日は違った――。中央に集まり、修正点を確認しあうエンジイレブン。それは今までには見られなかった光景である。「選手主体でトレーニングやゲームをつくってきたからこその行動だった」(FW牟田翼、基理4=佐賀・鹿島)。再びギアを入れ直したワセダはここからしっかりと立て直し、前半を1-1で折り返す。

得点を決めた安田(7)に駆け寄るチームメイト

 迎えた後半、ホームチームが試合の行方を左右する1点を奪うことに成功する。53分、右サイドでFKを獲得するとDF曽我巧(社2=東京・早実)が供給したボールに頭で合わせたのはMF榎本大輝(社1=東京・早実)。ルーキーの2試合連続ゴールが呼び水となると、ここからワセダの圧巻のゴールラッシュが始まる。75分~81分の6分間で驚異の3得点。チャンスを確実に決め切る力に成長の片鱗(へんりん)が顔を覗かせる。降りしきる雨を払いのけるかのような猛攻を前に、相手は1点を返すのが精一杯。終わってみれば5得点の圧勝劇。たくましく進化したエンジイレブンに軍配が上がり、今季のIリーグはここに笑顔溢れる素晴らしい終幕を迎えることとなった。

4年生の牟田が攻撃を牽引した

 今季のIリーグラストマッチとなったこの日、選手たちは並々ならぬ決意を胸にピッチに立っていた。「Aチームが19年ぶりの関東優勝するためにも絶対に勝たなきゃいけない」(牟田)。15日に控えるのは悲願の優勝が懸かった関東大学リーグ戦最終節。ア式蹴球部全員の願いである関東制覇を達成するためにも、なんとしてでもこの試合に勝って良い流れをチームにもたらしたかった。だからこそ勝ち切れたことに大きな意味がある。「ぼくたちがいいエネルギーを与えることができた」(FW直江健太郎、商1=東京・早実)。立つピッチは違えども、気持ちは一つにある。思い描くは真の『覇者』。さあ、いこう。勝利のバトンは託された――。

(記事 桝田大暉 写真 栗村智弘)

スターティングメンバー

Iリーグ順位決定戦
早大U-22 1-1
4-1
平成国際大U-22
【得点者】(早)14安田 53,77榎本 75,81直江
Iリーグ1部Aブロック順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
東海大U-22A 34 15 11 37 20 17
専大U-22 33 15 10 56 38 18
日体大U-22A 32 15 10 36 22 14
流通経大U-22A 30 15 45 29 16
神奈川大U-22A 24 15 27 30 -3
国士舘大U-22A 21 15 31 22
慶大U-22A 21 15 33 30
城西国際大U-22A 21 15 30 36 -6
青学大U-22A 19 15 29 32 -3
10 関東学院大U-22 19 15 22 32 -10
11 尚美学園大U-22B 18 15 22 32 -10
12 中大U-22A 16 15 35 34
13 東洋大U-22 15 15 19 24 -5
14 早大U-22 14 15 24 39 -15
15 東京国際大U-22A 13 15 10 26 39 -13
16 明海大U-22A 10 15 11 18 31 -13
※全日程終了
※下位3校はIリーグ2部に自動降格
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 斉藤康平 法3 静岡・清水東
GK →78分 岩井稜 文4 静岡・藤枝東
DF 小笠原学 社1 青森山田
DF 山本新太郎 スポ2 ジュビロ磐田U-18
DF 高岡大翼 社1 広島皆実
DF 曽我巧 社2 東京・早実
DF →78分 山本有一 人4 神奈川・桐蔭学園
MF 榎本大輝 社1 東京・早実
MF 安田壱成 スポ2 ベガルタ仙台ユース
MF →78分 川井健吾 創理4 東京都市大付
MF 多田八起 商3 神奈川・桐光学園
MF 秋葉遼太 文1 東京・駒場
FW 10 牟田翼 基理4 佐賀・鹿島
FW 11 直江健太郎 商1 東京・早実
監督は竹谷昂祐(平26スポ卒=ガンバ大阪ユース)
コメント

FW牟田翼(基理4=佐賀・鹿島)

――最終戦を勝利で締めくくることができた今のお気持ちをお聞かせください

率直にうれしいです!

――この勝利により、あした大一番を迎えるAチームへ良い流れをつくることができたのではないでしょうか

(関東大学リーグ戦の)前日にIリーグがあるということで、Aチームが19年ぶりの関東優勝するためにも絶対に勝たなきゃいけないという話を今週ずっとしてきました。なのであしたにつなげることができて本当に良かったです。

――1失点目の後にチームで集まって話をされていましたがどのようなことを話したのですか

ファーストディフェンスが決まらない時間帯に失点してしまったので、ファーストディフェンスにいくこととやるべきことを共有して、はっきりプレーしようということを話しました。

――今までになかったような光景でしたね

そうですね、八起(MF多田八起、商3=神奈川・桐光学園)が促してやってくれました。今季は選手主体でトレーニングやゲームをつくってきたからこその行動だったんじゃないかと思います。

――5得点となった攻撃を振り返っていかがでしょうか

特に後半はみんながエネルギーをもって前に出ることができたと思います。勝てなかった時期は最後の場面で決め切ることができず苦しんだのですが、徐々にチャンスをものにできる力を付けてきたと思います。Aチームは決め切るところを決めて勝ち続けたというのを見てきて、勝負にこだわることをずっと話してきたので良かったとお思います。

――4年生として特別な思いもあったのではないでしょうか

そうですね、やっぱり。Iリーグ、Bチームの公式戦は最後ということで、自分自身なかなかコンディションが上がらず苦しんだ時期もありましたが、最後にスタートから出ることができて絶対に決めてやろうという気持ちがありました。チームが勝てたのが本当に良かったです。

――あした大一番を迎えるAチームへメッセージをお願いします

部員全員みんなで勝って、19年ぶりの関東制覇を喜びましょう!

FW直江健太郎(商1=東京・早実)

――きょうの試合はいかがでしたか

きょうは4年生にとって最後の試合でしたし、翌日にAチームが重要な試合を控えているので、内容以上にしっかり勝ち切れたことがよかったと思います。

――見事2ゴールを決められましたが、それぞれ振り返っていかがですか

1点目の場面は、ベンチの先輩方からも思い切って打てという言葉を掛けてもらっていて、普段なら切り返すところを、しっかり打つことができました。たまたまポストに当たってくれてよかったですし、打つっていう判断をできたことが、ゴールにつながったと思います。2点目は、どんどん前に人数をかけていくというのが、ことしのBチームのコンセプトだったのですが、あの場面は自分がボールを持っている選手を追い越していくことができて、相手が気を取られた隙に、うまくパスを受けられたと思います。下がスリッピーだったので、キーパーの反応も遅れたのかなと思いますし、こっちも思い切って打つ判断をできたことがよかったのだと思います。

――1失点目を喫した際、全員で集まって話をされていましたが、どういったことを確認したのですか

前半は相手のボールホルダーに対してあまり寄せることができていなくて、相手にフリーでプレイをさせてしまっていた中での失点だったので、そのあたりを無くしていこうという確認をしました。

――今季のIリーグでのご自身の出来を振り返っていかがですか

夏前まではずっとスタメンで出ていたのですが、夏を超えてなかなかスタメンでも出られなくなってしまっていたので、この2、3ヶ月はしっかりスタートから出て勝利に貢献することを考えて練習してきました。

――あすはAチームの優勝が懸った大一番です。Bチームがきょうの勝利で背中を押せたのではないですか

Aチームの選手たちがいつもIリーグを見に来てくれて、その中できょうは僕たちがいいエネルギーを与えることができたと思います。優勝するには勝つしかない状況なのですが、きょうはベンチを含めて本当にいい雰囲気で終えることができましたし、自分はまだ1年生なのですが、きょうやれることはしっかりやれたと思うので、あとは待つだけといった感じです。