前節終了時点で5位までの勝ち点差が5と、優勝争いが激化している関東大学リーグ戦(リーグ戦)。現在3位につけているワセダは勝ち点1差の4位・流通経大と対戦した。負けられない一戦は、前半から攻守が目まぐるしく入れ替わるスピーディーな展開になる。試合は緊迫したまま後半に突入すると、80分にFW宮本拓弥(スポ4=千葉・流通経大柏)が決勝弾をたたき込む。得点後もハードワークの手を緩めず、上位相手に貴重な勝ち点3をもぎ取った。
何度もチャンスを演出した田中
「優勝するためにはもう1試合も落とせない」(MF田中太郎、商4=静岡・藤枝東)。先週のドロー(桐蔭横浜大戦、△0―0)を受け、エンジイレブンの誰もが緊張感を持って試合に臨んだ。前半はワセダボールでキックオフすると、立ち上がりから熱量のある攻撃を仕掛ける。7、8分にチャンスをつくると、16分にはスローインからMF平澤俊輔(スポ3=JFAアカデミー福島)を経由し、最後はFW宮本拓弥(スポ4=千葉・流通経大柏)がシュート。これはキーパーに阻まれるが、前節よりも中盤でボールを保持できたことでバリエーションのある攻撃を展開する。ディフェンスではGK後藤雅明(スポ3=東京・国学院久我山)が、前節に引き続きビッグセーブを連発。出場停止となっていたDF金澤拓真主将(スポ4=横浜・Fマリノスユース)もスタメンに復帰すると、体を投げ出したディフェンスで相手の決定機を防いだ。得点を奪うことはできなかったが互いに一歩も譲らぬまま、0―0で前半を折り返す。
後半、試合はより激しさを増す。49分には田中がカットインからのクロスを送ると、堀田が落として宮本が早々にシュートを放つ。ベンチは62分にMF相馬勇紀(スポ1=三菱養和SCユース)を投入し、さらに攻撃の活性化を図る。一方の流通経大もワンツーやカウンターの速い攻撃からワセダのゴールに迫ってくるが、最終ラインが必死に耐えしのぐ。すると80分、その攻守に攻撃陣が応えた。金澤主将がカットしたボールを受けた堀田が一人でPA付近まで持ち込み、ディフェンスラインの裏へ絶妙なクロスを供給。「一人抜いた時に中に来る」(宮本)と信じていた宮本がキーパーの動きを見極め、技ありのループシュートを決めた。得点後もワセダは守備の手を緩めず、ボールを追い続ける。85分には相手CKのピンチをまねくが、ベンチや観客席の部員達も声を張り、まさにチーム一丸で攻撃をしのぐ。2分のアディショナルタイムを終え、ホイッスルと同時に感極まってピッチに倒れ込む金澤主将の姿が、この試合の激しさを物語っていた。
劇的ゴールを決めた宮本へ駆け寄る選手たち
「過去3年間こうした勝負の懸かった重要な試合で勝てなかった」(金澤主将)。主将がこう語るように、リーグ戦後期に弱いと言われ続けていたワセダ。しかし今節の上位対決でそのイメージを見事に払拭(ふっしょく)してみせた。次節は永遠のライバル・慶大戦。今季2度の対戦と同様に白熱した展開になることは間違いない。この先に見える景色は未知数だ。しかし優勝はもう、夢ではない。
(記事 高柳龍太郎、写真 大森葵)
スターティングメンバー
関東大学リーグ戦第18節 | ||||
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早大 | 1 | 0-0 1-0 |
0 | 流通経大 |
【得点者】(早)80宮本 |
早大メンバー | ||||
---|---|---|---|---|
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 後藤雅明 | スポ3 | 東京・国学院久我山 |
DF | 2 | 新井純平 | スポ3 | 浦和レッズユース |
DF | 3 | 奥山政幸 | スポ4 | 名古屋グランパスU-18 |
DF | ◎4 | 金澤拓真 | スポ4 | 横浜F・マリノスユース |
DF | 12 | 八角大智 | 社4 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 6 | 平澤俊輔 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
MF | 14 | 小林大地 | スポ3 | 千葉・流通経大柏 | MF | 7 | 田中太郎 | 商4 | 静岡・藤枝東 |
MF | →62分 | 相馬勇紀 | スポ1 | 三菱養和SCユース |
MF | 8 | 堀田稜 | 商4 | 浦和レッズユース |
FW | 9 | 宮本拓弥 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
FW | 10 | 山内寛史 | 商3 | 東京・国学院久我山 |
◎はゲームキャプテン 監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表 | |||||||||
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順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 早大 | 34 | 18 | 10 | 4 | 4 | 20 | 15 | 5 |
2 | 国士舘大 | 33 | 18 | 10 | 3 | 5 | 44 | 22 | 22 |
3 | 慶大 | 33 | 17 | 9 | 6 | 2 | 31 | 16 | 15 |
4 | 明大 | 31 | 18 | 9 | 4 | 5 | 31 | 21 | 10 |
5 | 流通経大 | 30 | 18 | 8 | 6 | 4 | 25 | 17 | 8 |
6 | 専大 | 23 | 17 | 6 | 5 | 6 | 22 | 17 | 5 |
7 | 法大 | 23 | 18 | 7 | 2 | 9 | 24 | 27 | -3 |
8 | 順大 | 22 | 17 | 6 | 4 | 7 | 21 | 24 | -3 |
9 | 駒大 | 20 | 18 | 6 | 2 | 10 | 21 | 31 | -10 |
10 | 桐蔭横浜大 | 19 | 18 | 5 | 4 | 9 | 22 | 39 | -17 |
11 | 神奈川大 | 14 | 17 | 2 | 8 | 7 | 11 | 22 | -11 |
12 | 中大 | 11 | 18 | 3 | 2 | 13 | 25 | 46 | -21 |
※18節終了時点 ※上位5校は全日本大学選手権の出場権獲得 ※6位は北信越大学リーグ2位のチームとプレーオフ ※下位2校は関東大学リーグ戦2部に自動降格 |
コメント
DF金澤拓真主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)
――試合終了直後には涙を流す場面も見られましたが、この試合に懸ける思いというのはいかがでしたか
勝たなければ終わりという試合で、引き分けも許されない状況だったので何が何でも勝ちたかったですし、それだけのために戦っていました。得点シーンも堀田(MF堀田稜、商4=浦和レッズユース)と宮本(FW宮本拓弥、スポ4=千葉・流通経大柏)っていう4年生が活躍してくれて勝利に結び付いたのがすごくうれしかったですし、それで涙が出てきたっていう感じでしたね。
――試合終了のホイッスルがなった瞬間のお気持ちは
過去3年間こうした勝負の懸かった重要な試合で勝てなかったので純粋にうれしかったですし、また次節優勝争いができるっていうのは誇らしいことだと思うので、そういった喜びというのが素直な感想かなと思います。
――先ほど少しありましたが、こういった緊迫した試合で勝てるチームになったことについてはいかがですか
我慢強いチームになれたかなと思います。いくらでも失点しそうな場面はありましたけど、後藤(GK後藤雅明、スポ3=東京・国学院久我山)やボランチの選手を含めみんながタフに戦ってくれたので、そういう精神的な強さからこういった最後のチャンスを決め切れるような成長があるのかなと。
――両チームが強いエネルギーを持ってプレーをしていた中で、ワセダも一歩も引いていなかった印象がありますが
1週間トレーニング中もそうですし、きょうの試合前のミーティングでもそうですし、一人一人からそういう強い意志を感じました。そういった意味では局所での一人一人のプレーからは気持ちは伝わってきたのかなと思います。ただもっと声だったり、そういった振る舞いで上をいけるんじゃないかなと思ったので、試合後のミーティングでは伝えました。そういった意味ではまだまだ表現の仕方というか、持っている思いを表に出すことはできるんじゃないかなと思います。
――実際に試合をしていて、流通経大の気持ちの強さを感じる場面はありましたか
そうですね。特に守備時での個々人のプレーの強さは感じましたし、後ろから見ていてもあれだけヒロ(FW山内寛史、商3=東京・国学院久我山)とミヤ(宮本)をつぶすことだったり、中盤の選手の攻防であったり、そういったところでは相手も気持ちの乗ったプレーをしていました。個の強さを感じ取れるような相手のプレーぶりだったかなと思います。
――金澤選手自身、体を張ったブロックでかなりチームに勢いをもたらしていたと思うのですが、こちらについていかがですか
自分自身それが自分の生きる道、存在意義だと思っているので。もともとうまい選手でもなんでもないですし、そういった声であったり体を張るところだったり、そういうのがあって初めて自分が試合に出ている意味が出てくると思います。ある意味ではそれが自分の中でのベースというか、その中でどれだけ勝利に導くだけの働きができるかなので、もっとセットプレーで自分が点を取ることだったりで明確なかたちにしていきたいです。
――この1勝で優勝に首の皮一枚つながりましたが、こうした状況についていかがですか
こうやって勝つことができれば自力で優勝するっていう可能性はありますし、自分たちの力で優勝を手繰り寄せるために一試合一試合戦っていくべきかなと思います。
――次節は集中応援日の慶大戦ですが、こちらに来てくださる方々へ一言お願いします
早慶戦というのは特別な試合ですし、特別なエネルギーのぶつかり合いになると思います。リーグ戦(関東大学リーグ戦)の一試合ですけど、それ以上の価値のある試合になると思うので、ぜひ会場まで足を運んで自分たちの試合を見に来ていただければなと思います。
DF奥山政幸副将(スポ4=名古屋グランパスU-18)
――絶対に負けられない試合でしたが、どんな意気込みで臨まれましたか
もちろん優勝に向けて絶対に負けられない一戦でしたし、前期負けている相手ということでみんなの気持ちが入っていた試合でした。この試合で負けたら終わりという危機感のもとトレーニングを積んでいたので、絶対に勝つという気持ちが全面に出た試合だったと思います。
――互いに息を飲む展開が続きましたが、相手の印象はいかがでしたか
前期の戦いでもミスの突き合いでしたし、今節も堅い試合になるとは思っていました。押し込まれる時間も多くはなりましたが、集中を切らさずに守り抜いたからこそカウンターから1点を取れました。そのあとも全員で集中して守り抜くことができましたし、流通経大のエネルギーというのもすごかったのですがそこに対して自分たちが受け身になるのではなく、しっかりと前に出し続けられたのが大きな勝因なのかなと思います。
――DF最終ラインの判断力や好セーブも目立ちましたが振り返って
上位対決になるにつれて、相手の質というのも上がってくると思いますし、ピンチの数というのも増えてしまいます。そこでいかに守り切れるかというところで、きょうの試合であれば後藤(GK雅明、スポ3=東京・国学院久我山)や拓真(DF金澤主将、スポ4=横浜F・マリノスユース)が中心に守り切ることができました。事前に食い止めることが一番ではありますが、そこに運ばれた時にいかに守りきれるかというのが自分たち最終ラインに求められていることだと思うので、これからも意識してやっていきたいと思います。
――相手チームFWトップの選手の個人技に苦戦されたと思いますが
前線の2選手はスピードもあり、足元の技術も高いというところで離されるシーンもありました。しかし、それもDFラインの横の関係であったり、DFとGKとの関係というところでうまくカバーしあいながら守り切れました。そういう連携面という意味ではうまくやれたのかなと思っています。
――攻撃について、ボランチの機能が目立ちましたが
もちろん攻撃面でも守備面でもいつもより前からプレッシャーを掛けていくという意識を持ってプレーしてくれたと思います。それが攻撃においても相手のゴールに近い位置でプレーするということにつながったと思うので、本当にハードワークしたと思いますしそういった姿勢というのがボランチにいれば自分たちの負担も減りますし、チーム全体としてもっとエネルギーを持てるのかなと試合を通して感じました。
――1点を渇望していた中での得点でした
堀田は自分の強みであるスピードで突破してくれましたし、そこを信じて宮本も一番危険なゴール前のところにしっかりと顔を出せたからこその得点だったと思います。勝負が懸かった試合で最後に決めるのはやっぱり4年生の力だと思うので、今後も自分を含めて試合を決められるだけの働きというのを続けていきたいと思います。
――次節、慶大戦への意気込みをお願いします
現在の立場もありますし、対慶大ということで間違いなく気持ちが入る試合だと思います。自分にとっては最後の早慶戦になるかもしれないので、勝たなければいけないという状況に変わりはありません。重みとしては普段の試合と変わりはないと思うので、今週1週間は次の勝利に向けて意識を高めたいと思います。
MF田中太郎(商4=静岡・藤枝東)
――見事な勝利おめでとうございます。いまのお気持ちをお聞かせください
これからの5試合は全て上位陣との戦いという中で迎えた一戦だったので、率直に勝ち点3を取れたことが嬉しいです。
――全員が連動した素晴らしいディフェンスでした
そうですね。ただ、特に何かを変えようとしたということはなくて、練習通りというか、前から全員でプレッシャーを掛けて高い位置でボールを奪ってゴールへ向かうという姿勢を示せたと思います。
――チームの攻撃面に関しては
思ったより相手の左サイドのプレイヤーが守備をしてこなくて、自分がボールを持った瞬間にフリーになれる場面が何度かありましたし、周りからも仕掛けろという声を掛けられていたので、そこを意識してプレーしました。
――田中選手ご自身の出来に関しては
前節に比べれば自分のプレーができたと思いますが、やはり前線の選手が結果を残せていないというのがいまのチーム状況ですし、もっと得点に絡まなければいけないと思うので、まだまだ物足りないですね。
――前節から今節までの1週間、どういった取り組みをしてきましたか
何かを具体的に変えるということはしていないのですが、優勝するためにはもう1試合も落とせないという意識や、上位陣との戦いに勝つことが本当に大きな意味を持つという意識も含めて、この1週間は気持ちの部分での変化は大きかったと思います。
――きょうの勝利で優勝へまた一歩近づいたといえると思いますが
優勝という目標はありますが、自分たちは一戦一戦勝つということだけを意識してプレーしているので、そこはブレることなく次の試合も勝ちたいです。
――次節は慶大とのビッグマッチとなりますが、意気込みをお願いします
2チームともこれだけ上位にいる状態での早慶戦というのは珍しいと思いますし、自分にとっても4年間で最後の早慶戦になるかもしれないので、モチベーションはすごく高いです。絶対勝ちます。
MF堀田稜(商4=浦和レッズユース)
――優勝に向けて重要な一戦となったと思いますがどのような意気込みで臨みましたか
ミーティングの中では、自分たちが苦しい中でも色々な方に支えられていているからこそ優勝に向かって戦うことができているということをみんなで共有しました。やはり感謝の気持ちを伝えるためには勝利という結果しかないということを意識して、一人一人が目の前の勝負に打ち勝とうという気持ちを持って臨みました。
――1―0での勝利となりましたが試合を振り返ってみていかがですか
チャンスの数を考えると1―0では物足りないゲームだったかなと思います。0に抑えてくれた守備陣の頑張りに対して、前線はもっと応えないといけないと感じていて、前半でもっとスコアを動かすような働きができたのではないかなと思っています。
――流通経大の印象は
一人一人技術もしっかりしていますし能力が高い選手も揃っているので、個でゴールに向かってくるパワーは他の大学とは違ったものがありました。なので、一対一の場面で打ち負けないということを意識していました。
――チャンスの場面も多くありましたが攻撃面はいかがでしたか
前半の立ち上がりから前向きで良いかたちでボールを奪うことができて、それがうまく攻撃のスイッチになって相手が整う前に攻め切るシーンがあったと思います。ですが、もっと奪ったあとの一つ目のパスや、それをフィニッシュにつなげる質という部分では物足りなさは感じました。よりそういった部分を高めていかなければなと思います。
――ご自身のアシストシーンを振り返って
最近の試合の中では立ち上がりからガンガン行こうというところを意識してる中で、どこか雑になってしまった部分があったかなと自分自身考えていました。もっとより力の使いどころというのを意識して、走るべき部分で走って、スペースを閉じるところではしっかり閉じるという良い準備をしようと意識していました。あのシーンも、あの場面になったら100パーセント自分のスピードを生かして仕掛けていこうと思っていたので、それがかたちになったかなと思います。
――シュートを狙う惜しいシーンも何度かありましたが
前半もシュートを打つシーンがあったのですが、角度がない中でもう一つ工夫が必要だったかなというか、力でねじ込もうという気持ちが出てしまって、もう少し冷静にプレーできていれば確実にゴールにつなげられたなと思っています。
――ここ数試合無失点が続いていますが守備の連携面などはいかがでしょうか
バイタルエリアとか相手に危険なスペースを与えないということや、大きいボールで背後を狙ってくるようなシーンもありますけど、自分たちとしては相手に優位を与えないようにするということで、中盤のプレスバックや自分の背中に置いている選手を察知することなど、そういった一つ一つのオフの準備という部分ではすごく意識できているかなと思います。
――次の相手の慶大は好調のチームかつ順位的にも上位ですがどのように戦っていきたいですか
リーグ戦の状況もありますけど、何よりも自分としては慶大という相手はワセダとして負けてはいけないですし勝たなければいけない相手だと思っています。慶大も縦へのパワーも強いので、序盤の入りの強度でどちらが上回れるかで決まると思っています。拮抗(きっこう)した堅い試合になることが予想される中で、どっちがじれずにチャンスを決め切ることができるかにかかってくると思います。心身共にタフな戦いになるとは思いますけど、そういった部分を妥協せずに突き詰めていきたいです。
――ご自身としても最後の早慶戦となる可能性も高いですが、意気込みをお願いします
前期のリーグ戦と定期戦(早慶サッカー定期戦)は連勝していますし、自分自身きょねんの最終節で慶大に敗れた時はスタンドから見ていて、その悔しさというのは本当に昨日のことのように思い出されますし、後輩たちに一つ歴史を残すということを考えると、早慶戦を全勝で卒業していくことも自分たちの使命だと思っています。そういった意味でも、目の前の一つの勝利を勝ち取るために、決定的な働きができるようにしたいです。
FW宮本拓弥(スポ4=千葉・流通経大柏)
――貴重な1勝となりましたが、振り返っていかがですか
苦しみましたが、勝てて良かったと思います。
――拮抗(きっこう)した得点シーンを振り返っていかがですか
あれは堀田が自分の個の力で打開して、一人抜いた時に自分は中に来ると信じて本当にいいボールが来て、僕自身あそこで冷静になれたのが良かったと思います。キーパーが出てきたところをちょっと浮かせて技ありシュートみたいな感じになりました。
――前半は相手のCB2枚にやや苦しみましたが
強かったですし本当に力があったので、そこでいかに駆け引きして点を取るかというところだったので、1点取れて勝てた事は良かったと思います。
――今回は前節出場停止だった金澤主将が戻ってきましたが、やはりチームへの影響は大きかったですか
やはりキャプテンの拓真がグラウンドにいるのといないのとであれば、本当にがらっと変わりますし、彼がもたらす影響や安心感があるというか、頼りがいがあると思いますね。
――GK後藤選手をはじめ、最終ラインの選手達が体を張ったディフェンスを見せていましたが、前線も刺激されたのではないでしょうか
前半も相手のシュートを体を張って防いでいて、ああいうものを見ればやはりチームとして力になると思うので、ああいうプレーをしてくれるディフェンダーやGKがいるというのは本当に頼りがいがあると思います。
――今回はチームとして中盤で前を向いてボールを受ける事ができ、攻撃にバリエーションが生まれていたのでは
やはり中盤というのはサッカーにおいて心臓部分なので、心臓が働かなければうまく機能しないです。うちはサイド攻撃が売りですが、そこで中盤が使えればより組み立てのところで相手を置き去りにできるんじゃないかと思います。
――前節からの修正というよりも、調子はキープできていると捉えていいのでしょうか
そうですね。引き分けて痛み分けだったのは本当に情けなかったと思うんですが、自分たちでポジティブに戦い続けていたからこのような結果になったと思います。
――宮本選手自身も果敢にスライディングするなど、最後までハードワークしていましたが、流通経大相手ということも意識していましたか
まあ特別な思いもありますし、相手には高校時代にしのぎを削ってきた仲間もいるので気合いは入りました。FWというのは得点を取るのが仕事ですが、前線からああいうかたちで守備ができれば、守備でも鼓舞することができると思ったので、ああいうプレーを続けていきたいです。
――次節は早慶戦となりますが、意気込みをお願いします
早慶戦はチームとしても盛り上がる対決だと思うので、負ければきょうの勝ち点がちゃらになってしまうので、勝てるようにまた1週間やっていきたいと思います。
GK後藤雅明(スポ3=東京・国学院久我山)
――優勝争いに残るためにも大事な一戦になりましたが、振り返ってみて
負けたら終わりという考えで臨みました。どうしても勝ちたかったので1-0で終えたことを嬉しく思います。
――自身のナイスセーブも目立ちましたが
自分がチームに流れを持っていくためにも、一つセーブをしたりハイボールに出たりという意識がありました。そこの部分で止められたことはチームの勢いにつながったのかなと思います。
――ここ3試合連続で無失点ということで、自身の調子も上がってきていると考えられますか
自分自身のコンディションもそんなに悪くありません。集中していればシュートストップに関しては自信を持って取り組めていると思います。DFラインと声を掛け合って最後まで無失点でいくことを示していきたいです。
――第1節から今節までを振り返って、DFラインとのコミュニケーション面での成長について
試合を重ねるうちに信頼関係であったり時間帯のコントロールなど良い関係があるからこそ、きょうの勝ちにもつながったと思います。そこはプラスに捉えていきたいです。
――次節、慶大戦は上位対決となりますが意気込みをお願いします
慶大だけにはどうしても負けられないので無失点で抑えて勝ちたいと思います。
MF小林大地(スポ3=千葉・流通経大柏)
――勝利おめでとうございます!試合全体を振り返っていかがですか
個人的に流通経大には強い思いがありました。立ち上がりから球際を強くいこうという意識を持っていけたので、結果的に立ち上がりも押し込むことができていましたし、そういったことを含めて良い試合になったと思います。
――強い思いがあったというのは、相手に同じ高校出身の選手が多くいらしたからでしょうか
はい。俺らの代は出ていなかったのですが、先輩や後輩に多くの選手が出場していて高校のときに一緒に高め合った仲間だったので、そこは絶対に負けられないライバルとして戦いました。
――試合はスタートから緊迫した展開で進みましたね
みんな一人一人が負けられない状況というのは理解していたので一つ一つのプレーにこだわってやっていたからこそ緊張感が生まれてきて良い方向に向かったと思います。
――チームとして意識していたことはありましたか
試合前のミーティングでこれまでの流通経大戦の得点シーンを見て、3大得点源の部分を意識して入れば必ずチャンスは来ると話していたので、そこは意識していました。
――後半に入る直前に小林選手がコーチと何かお話をしている場面がありましたが何を話されていたのですか
前半はバイタルエリアを使われるシーンが多かったので、そこは自分と俊輔(MF平澤俊輔、スポ3=JFAアカデミー福島)のところで連携を取りながらスペースを埋めて、前のボランチに対して強くプレッシャーにいけるようにということを話していました。
――バイタルエリアの守備に関しては前節でも課題に挙がっていましたが、きょうの試合はいかがでしたか
前半にはうまくエリアを使われてしまうシーンが多かったのですが、ハーフタイムを挟んでしっかりと話し合ったので後半はそういったシーンはあまりなかったかなと思います。
――後半の序盤には堀田選手からのパスを小林選手が受けて、そこから裏に抜けるパスを供給しシュートするという惜しい場面もありましたが振り返っていかがですか
あれはカウンターのシーンだったと思うのですが、まずスプリントを起こすことを意識していました。堀田くんのドリブルを信じて前にスプリントを起こしたことでしっかりとパスが来てそこで落ち着いて1人はがしてスルーパスという自分の強みである攻撃の部分が出せたシーンかなと思います。
――前節ではうまくいかなかったというラストパスでしたが、今節ではパスで多くのチャンスをつくりだすことができていたと思います。それに関してはいかがですか
自分も常にラストパスを狙っています。でも結果的には自分のパスから得点にはつながっていないので、そこの質はもっと追求していかなければならないのかなと思います。
――きょうの勝利は優勝に向けて大きな価値のあるものとなったと思いますが
そうですね。上位対決の第1戦で勝てたことは大きいと思いますし、次の慶大に向けて良い弾みのつく試合ができたかなと思います。
――次節はライバルの慶大との戦いですが、どのような意気込みで挑みたいですか
もちろん慶大には絶対に負けられないですし、慶大も自分たちより上に位置しているので、必ずここで勝って慶大をたたき落としたいと思います。
FW山内寛史(商3=東京・国学院久我山)
――きょうは理想的なかたちでの勝利となりました
チームとしては0失点で最後1点取って勝つっていう自分たちの勝つスタイルだったと思いますけど、細かいところを見ていけばまだまだ甘いですし、自分個人としてもまったく機能していなかったと思うので、勝てたことを良しとしているのではなく、細かいところの課題を詰めていきたいと思います。
――細かい課題とは具体的にはどのようなものですか
0-0の状況で自分たちのカウンターチャンスがありながら決め切れない状況が続いていましたし、自分自身前線で起点になることができなかったので、もっともっと自分たちの流れにもっていくっていうのをやらないと。点を取れて勝てたから良かったですけど、(どちらが勝つか)分からない試合だったので、それをできるように次からやっていきたいと思います。
――先週よりも気持ちが入っていたように見えました
個人としても点を取らないといけないので、きょうも結果取れなかったんですけど、つくりに入るというよりはゴール前にいて点を取ることだけを意識してやりました。
――後半の終盤、チームメイトから声援が飛びましたが、そういった声援はやはり力になるのでしょうか
自分は前線の選手ですし、(前に)いったときに声が掛かるのはエネルギーにはなりますけど、それを(ピッチの)中から出していかないと意味がないというか、外的な要素で頑張るようではまだまだかなと思います。
――この一勝は首位争いをする上で大きな意味を持つのではないでしょうか
全勝すれば優勝っていうのがあるので一戦一戦大切に勝って優勝したいと思います。
――次戦は早慶戦ですね
何としても自分が点を取って勝つっていう強い気持ちを持って1週間準備していきたいと思います。
MF相馬勇紀(スポ1=三菱養和SCユース)
――見事な勝利でした。いまの率直なお気持ちをお聞かせください
嬉しいというより、ほっとしました。ただ、試合終了後に金澤くんが「浮かれていてはいけない」という言葉でチームを引き締めてくれたので、今は次の試合に向けて頑張らなければという気持ちです。
――きょうのチームディフェンスに関しては
やられそうになった場面もあったのですが、自分がプレーしたサイドハーフであれば、しっかり絞ってボランチを助けることであったり、そういった粘り強い守備ができていたと思います。
――チームの攻撃面に関しては
相手は攻め残りが多く、サイドのスペースが大きく空くということを事前にミーティングで確認していましたし、自分が前半ベンチで見ていて思ったことは、左サイドでボールを奪った時に逆側の右サイドが大きく空いていて、逆に右で奪ったときは左が空くということだったので、そこを積極的についていこうと意識しました。
――途中出場する際には、古賀聡監督(平4教卒=東京・早実)からはどういった指示を受けましたか
監督が前節自分が決定機を何度も外してしまったことをすごく気にしてくれていて、落ち着いて自分ができるプレーをすればいいという言葉を掛けてもらいました。
――前節終了後のインタビューの際は、とても悔しそうにされていました。そこからの1週間、どういった気持ちで練習に励みましたか
終わったことは仕方ない、変えることもできないと自分の中で切り替えて、1週間スタメンを取るためのできる限りの努力をしていこうという気持ちで練習しました。
――次節は伝統の早慶戦です。意気込みをお願いします
やはり早慶戦なので、意識せずともいつも以上に気合は入りますが、逆に入りすぎないように気をつけながら、気持ちや体の面を調整していきたいです。残りの4試合全てで勝てば優勝できると思うので、本当に一つ一つの勝利を目指していきたいですし、個人的にはまだ得点を決めることができていないので、ゴールはもちろん、アシストでも得点に絡んでいきたいです。