見せた、勝利への執念!劇的勝利で2連勝

ア式蹴球男子

 前節で9試合ぶりの勝利を挙げ、長いトンネルを抜けたエンジイレブン。連勝を目指し、第13節ではホームの東伏見グラウンドで明海大を迎え撃った。試合は再三の決定機がありながらも得点につなげられないもどかしい展開に。後半に入り先制を許すが、FW臼倉宏(文構2=東京・暁星)の技ありゴールですぐさま同点に追い付くと、終了間際のラストプレーでこぼれ球に反応したMF渋谷勇太郎(社3=神奈川・桐蔭学園)がゴールを決め、2-1で勝利を収めた。

 序盤からペースを握り、攻撃のかたちをつくるワセダだが、決定的な場面で相手のゴールネットを揺らすことができない。11分、MF須藤駿介(スポ2=静岡学園)の絶妙なスルーパスを受けたFW石神佑基(スポ1=埼玉・市浦和)が相手GKとの1対1に持ち込むもゴールならず。36分にも、MF小長谷勇太(人4=静岡・清水東)がPA内からシュートを放つが、またしても相手GKのファインセーブに阻まれてしまう。すると45分、ディフェンスへの切り替えが遅れ、カウンターからピンチを迎えるが、相手のシュートミスにも助けられ前半を無失点で切り抜ける。両チーム無得点のまま前半が終了し、勝負の行方は後半に持ち越される。

中盤の底で舵を取った須藤

 前半こそ、9本のシュートを放ち相手ゴールに迫ったワセダだが、62分に先制したのは明海大だった。DFの裏に抜け出した相手FWが左サイドからのクロスを受け、シュート。待望の先制点を相手に奪われ思わず天を仰いだエンジイレブンだったが、ピッチ上にはGK斉藤康平(法3=静岡・清水東)を中心とした前向きな声が響き渡る。逆転勝利に向けて再びエンジンを入れ直すエンジイレブン。するとそのわずか5分後、献身的なディフェンスでチームを支えてきたDF小笠原学(社1=青森山田)が果敢に仕掛ける。右サイドからクロスを上げると、このボールをトラップした臼倉が相手DFをかわし冷静にゴールを決め、ゲームを振り出しに戻す。その後は両チーム好機がありながらも勝ち越し点が奪えないまま90分が経過し、アディショナルタイム(AT)へ突入。残り時間がわずかとなり、誰もが引き分けを意識し始めた96分、ワセダはFKを獲得する。終了間際のラストプレーを前に会場のボルテージも最高潮に達する中、須藤が送り込んだFKはこぼれ球となって途中出場の渋谷の前に。「ワンチャンスで決めてやる」(渋谷)。そう誓っていた渋谷のシュートはゴール左に突き刺さり、ワセダが劇的な勝利を収めた。

途中出場の渋谷が激闘に終止符を打った

 前節では失点を許さない堅実な守備から攻撃につなげ、ようやく自分たちの理想とするサッカーで勝利を収めたエンジイレブン。この日も先制されながらも粘り強く戦い、見事に逆転勝利を飾った。「チームは自信を持ってプレーできている」(渋谷)と語るように、前節の勝利が大きな自信となっている。また、「勝ちたいという気持ちが強かったから勝てた」(臼倉)という言葉は長い間勝てない時期が続いたからこそ強固になった勝利への執念を感じさせた。堅守速攻――。これからもエンジイレブンは自分たちのサッカーを貫き、勝利をつかみ続ける。

(記事 郡司幸耀 写真 栗村智弘)

☆BEST SCENE

渋谷の劇的なゴールに歓喜するAチームのメンバー

 共に声を張り上げ、共に悔しがり、共に歓喜する――。ピッチに立つ者・立たない者の区別なく、チーム一丸となり戦うエンジの戦士たち。早大・東伏見グラウンドにて行われるIリーグの試合には応援に駆け付けるAチームの姿がある。関東大学リーグ戦(リーグ戦)で首位争いを演じるワセダの中盤の要・MF小林大地(スポ3=千葉・流通経大柏)が昨年度のIリーグで活躍していたように、ここでの戦いはリーグ戦での戦いと密接に関わり合う。この日、後半AT6分に渋谷の劇的なゴールでネットが揺れると、その激闘を見守っていたAチームのメンバーは喜びを大爆発させた(写真)。お互いの活躍に刺激を受け、また一つ、ワセダは進化を遂げる。ア式蹴球部が大学サッカー界の強豪校たる所以(ゆえん)はチーム一丸となって「戦う」、この強固な結束力にあるのかもしれない。

(記事 桝田大暉)

Iリーグ第13節
早大U-22 0-0
2-1
明海大U-22B
【得点者】(早)67臼倉 90+6渋谷
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 斉藤康平 法3 静岡・清水東
DF 小笠原学 社1 青森山田
DF 山本新太郎 スポ2 ジュビロ磐田U-18
DF →66分 山本有一 人4 神奈川・桐蔭学園
DF 高岡大翼 社1 広島皆実
DF 恩田雄基 スポ4 埼玉・西武台
MF 10 須藤駿介 スポ2 静岡学園
MF 14 石川大貴 スポ2 名古屋グランパスU-18
MF →70分 多田八起 商3 神奈川・桐光学園
MF 秋葉遼太 文1 東京・駒場
FW →81分 西本八博 スポ3 岐阜・多治見北
MF 小長谷勇太 人4 静岡・清水東
MF →63分 渋谷勇太郎 社3 神奈川・桐蔭学園
FW 臼倉宏 文構2 東京・暁星
FW 11 石神佑基 スポ1 埼玉・市浦和
FW →73分 直江健太郎 商1 東京・早実
監督は竹谷昂祐(平26スポ卒=ガンバ大阪ユース)
コメント

MF渋谷勇太郎(社3=神奈川・桐蔭学園)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

前節と変わらず負けられない状況だったので勝つことができて良かったです。

――途中出場でしたが、ベンチからの指示はありましたか

中に集結していたので外に開いて幅をとって攻撃するようにという指示がありました。

――その指示を受けてどのような気持ちでピッチに立ちましたか

1点ビハインドの状況だったのでまずは同点に追い付こうと思っていました。すぐに同点に追い付くことができてよかったです。

――何度も好機がありながらも得点につなげられず、苦しい展開でした

きょうの試合は前半から決定機がありました。前節も前半から決め切れずに難しい展開になってしまったので、決定力を上げていかなければいけないと思います。

――今日の試合は先制を許しても士気が下がらず、ピッチ上に声が響き渡っていて、雰囲気が良く見えました

以前は失点したらチーム全体が暗くなってしまったのですが、最近は点を取られても自分たちで盛り上がって良い雰囲気を作り出せていると思います。

――終了間際のラストプレーでご自身のゴールで勝利を収めましたね

何度か好機がありロスタイムも5分と長かったので、絶対にワンチャンスで決めてやろうと思っていたところにボールがこぼれてきて、決めることができました。

――前節から2連勝になり、チーム全体が盛り上がっていますね

1点取られても取り返したり、無失点で勝ったりする中でチームは自信を持ってプレーできていると思います。ただ、次戦の日体大はかなり技術がある選手がいるので、勝てるようにまた一週間トレーニングしていきたいと思います。

FW臼倉宏(文構2=東京・暁星)

――劇的な勝利となりましたが、いまのお気持ちは

率直に嬉しいです。

――きょうの試合内容を振り返っていかがですか

決め切れるシーンがたくさんあって、それをものにできずに、苦しい時間帯が続いたのですが、やはり勝てたことが一番です。

――同点ゴールを決めた場面を振り返っていかがですか

負けられない中で、とにかく1点取りたいと思っていて、あの場面はガク(DF小笠原学、社1=青森山田)としっかり息を合わせて動き出すことができて、良い得点だったと思います。

――最後は劇的なゴールで勝負が決まりましたが、あの場面に関しては

ぼくのところにボールが転がってきて、シュートを打ったボールが、うまく渋谷くん(MF渋谷勇太郎、社3=神奈川・桐蔭学園)のところに転がって、やはり勝ちたいという気持ちがあったことが良かったのだと思います。

――決定的なシーンを何度もつくれたあたり、手応えもあるのではないですか

そうですね、いいサッカーができたと思います。

――これからの意気込みをお願いします

順位のことを考えても、勝ち点を積み重ねていくしかないので、次も勝ちたいと思います。