ここまで公式戦6試合連続ゴールを挙げ、勢いに乗るFW山内寛史(商3=東京・国学院久我山)がこの日も決めた。第14節は中大との一戦。前期の第3節(●1-4)では大敗を喫した相手だ。しかし9分、山内が鮮やかに先制点を決めるとその13分後、再び自ら追加点を奪い2点リードで前半を終える。後半は相手のシンプルな攻撃に苦しめられるもGK後藤雅明(スポ3=東京・国学院久我山)の好セーブもあり、無失点に抑え試合終了。山内は公式戦連続ゴール記録を7に伸ばし、前期の雪辱を果たす結果となった。
最初のチャンスは中大だった。8分、苦手とするセットプレーから押し込まれそうになりあわや1点という場面だったが、クロスバーに救われこのピンチを切り抜ける。そして山内が決めたのはその直後だった。ゴール前で細かくパスをつないでいる中、MF小林大地(スポ3=千葉・流通経大柏)がラストパスを供給。それを左足で豪快に振り抜き貴重な先制点を奪い取った。これで主導権を握ったワセダは、一気に2点目を狙う。「ここで決めないと厳しい状況になるのは目に見えていた」(山内)。そして22分、山内はペナルティエリア内でボールを受けると振り向きざまにシュートを放ち追加点。DF陣も冷静な判断力で失点を抑え、2-0で前半を折り返す。
公式戦連続ゴール記録を7に伸ばした山内
後半は後藤のファインセーブがチームの危機を何度も救う。「集中していたからいいセーブができた」(後藤)と振り返り、ワセダのゴールマウスを守る「守護神」が好調をアピールした。それに応えるように守備陣も奮闘。DF金澤拓真主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)やDF奥山政幸副将(スポ4=名古屋グランパスU-18)が中大のエースストライカーである矢島輝一選手を抑え、攻撃の芽を摘む。前線から中盤に掛けても絶えずハードワークを続けタフに戦い、結果リーグ戦後期初の無失点を記録。ワセダは依然首位の座をキープした。
冷静な判断で安定感を示した奥山副将
これで前期から含めてリーグ戦7連勝となったワセダ。現在のチーム状況について金澤主将は、「いい意味での自信と謙虚な部分があるからこそ一試合一試合に対してエネルギッシュに臨めている」と前向きに捉えている。そして「一試合の捉え方や自分たちの現状に変化はないが、周りは間違いなく上位のワセダとして、プラスアルファのエネルギーを持って試合に臨んでくる」(金澤主将)と加えた。こうした客観的に現状を把握し隙を見せない姿勢こそが、いまのワセダの快進撃を支える要因の一つなのかもしれない。
(記事 佐藤凌輔、写真 桝田大暉)
スターティングメンバー
関東大学リーグ戦第14節 | ||||
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早大 | 2 | 2-0 0-0 |
0 | 中大 |
【得点者】(早)9、22山内 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 後藤雅明 | スポ3 | 東京・国学院久我山 |
DF | 2 | 新井純平 | スポ3 | 浦和レッズユース |
DF | 3 | 奥山政幸 | スポ4 | 名古屋グランパスU-18 |
DF | ◎4 | 金澤拓真 | スポ4 | 横浜F・マリノスユース |
DF | 12 | 八角大智 | 社4 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 6 | 平澤俊輔 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
MF | →81分 | 大丸瞬 | 教4 | 東京・早実 |
MF | 14 | 小林大地 | スポ3 | 千葉・流通経大柏 | MF | 7 | 田中太郎 | 商4 | 静岡・藤枝東 |
MF | →67分 | 相馬勇紀 | スポ1 | 三菱養和SCユース |
MF | 8 | 堀田稜 | 商4 | 浦和レッズユース |
MF | →90分 | 秋山陽介 | スポ2 | 千葉・流通経大柏 |
FW | 9 | 宮本拓弥 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
FW | 10 | 山内寛史 | 商3 | 東京・国学院久我山 |
◎はゲームキャプテン 監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表 | |||||||||
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順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 早大 | 27 | 14 | 8 | 3 | 3 | 16 | 13 | 3 |
2 | 国士舘大 | 24 | 13 | 7 | 3 | 3 | 28 | 15 | 13 |
3 | 慶大 | 23 | 13 | 6 | 5 | 2 | 23 | 15 | 8 |
4 | 法大 | 22 | 14 | 7 | 1 | 6 | 22 | 19 | 3 |
5 | 明大 | 21 | 14 | 6 | 3 | 5 | 21 | 19 | 2 |
6 | 流通経大 | 20 | 13 | 5 | 5 | 3 | 16 | 12 | 4 |
7 | 順大 | 18 | 13 | 5 | 3 | 5 | 17 | 15 | 2 |
8 | 専大 | 17 | 13 | 4 | 5 | 5 | 16 | 14 | 2 |
9 | 駒大 | 17 | 14 | 5 | 2 | 7 | 18 | 21 | -3 |
10 | 桐蔭横浜大 | 12 | 13 | 3 | 3 | 7 | 14 | 26 | -12 |
11 | 中大 | 11 | 14 | 3 | 2 | 9 | 18 | 32 | -14 |
12 | 神奈川大 | 10 | 13 | 1 | 7 | 5 | 9 | 17 | -8 |
※14節終了時点 ※上位5校は全日本大学選手権の出場権獲得 ※6位は北信越大学リーグ2位のチームとプレーオフ ※下位2校は関東大学リーグ戦2部に自動降格 |
コメント
DF金澤拓真主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)
――関東大学リーグ戦(リーグ戦)後期の最初の山場であった3連戦を勝ち抜くことができましたが、この結果についていかがですか
結果を出せたことはすべてかなと思いますしそこに対して前向きに捉えても良いのかなと思います。ただ、きょうに中大戦なんかも後藤(GK後藤雅明、スポ3=東京・国学院久我山)が守ってくれてヒロ(FW山内寛史、商3=東京・国学院久我山)が点を取ってくれただけかなとも思うので、これから一人一人が突き詰めないといけないこともあると思いますし、事実相手の決定機も多かったです。今後一試合の重みがさらに増す中ではそういうところから勝てない試合が出てきてしまうと思うので、そういった意味ではまた課題が見つかった3連戦でした。
――現在のチームの状況というのはいかがですか
自信には満ち溢れてるって感じはしますし、謙虚に自分たちのことを見つめられたうえでの前向きなエネルギーというかそういうものも感じます。下級生の言葉からも、勝ち続けなければいけないとか、安心してられないとか、そういう言葉が出てくるくらい客観的に自分たちを見つめながら一試合一試合に向かっていけているので、いい意味での自信と謙虚な部分があるからこそ一試合一試合に対してエネルギッシュに臨めていると思います。雰囲気としてはいいと思います。
――きょうの試合のポイントはどういったところだったでしょうか
中大が前期同様19番の矢島輝一選手にロングボールを当ててくること、それに対して自分と政幸(DF奥山政幸副将、スポ4=名古屋グランパスU-18)のところで打ち勝つことと、そのセカンドボールをしっかり回収しようと。相手がリスクを犯してこない中で、自分たちも相手のシンプルな攻撃にしっかりと準備をしようと話していました。
――金澤選手自身、きょうは矢島輝一選手をかなり厳しくマークしていましたが、やはりそれだけ注意が必要な選手だったということでしょうか
前期は自分と政幸(奥山副将)のところで打ち負けて3点取られて負けてしまったので、まず今回はここをどれだけ抑えられるかが第一段階だと思っていました。そこはタイトにいけたからこそ、ピンチを抑えられた部分もあるのかなと思います。
――後半になると中大もさらにシンプルにロングボールを蹴り込んできていましたが
セカンドの選手が体を張ってくれたり、後藤がいい準備からこぼれ球に反応してくれたりとか、一人一人がしっかりと準備をし続けたことが勝利につながったと思いますし、守り切ることにつながったのかなと思います。まだまだ甘い部分はありますけど向上している部分も間違いなくあると思うので、そういったところはもっと高めていく必要があると思います。
――これからはさらに勝ち点を取りこぼせない試合が続くと思いますが
自分たちとしては、一試合の捉え方とか自分たちの現状に変化はありませんが、周りからすれば間違いなく1位のワセダとか上位のワセダとして、プラスアルファのエネルギーを持って試合に臨んでくると思います。そういった意味では厳しい試合になると思いますし、自分たちがよりいっそう気を引き締めてやっていかないと間違いなく食われる試合が出てくると思うので、まだまだ自分たちの中でも危機感を高める必要があるのかなと。
――次節に向けて意気込みをお願いします
勝ち続けない限り自分たちに優勝はないので、一試合一試合を大事にしてそれに向けていい準備をして1週間高めてやっていきたいなと思います。
DF新井純平(スポ3=浦和レッズユース)
――得点ランキング首位(第13節終了時点)を走る中大・矢島輝一選手に対する守備に関して、試合前DF陣ではどのような話をされましたか
今週のトレーニング開始から矢島選手を意識した練習をして、前期の対戦でハットトリックを決められているので、注意しなければいけない選手だとチーム全体で共有しました。中大は矢島選手にボールをたくさん供給してくることはわかっていたので、矢島選手へのボールを蹴らせないことや、ボールが入った後のカバーリングをトレーニングの段階から意識してやってきたからこそ、彼にあまり仕事をさせず試合を進めることができました。
――矢島選手との競り合いではDF金澤拓真主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)が主にマッチアップしていましたが、やはり金澤主将の競り合いの強さからの判断だったのでしょうか
そうですね。競り合いの強さが拓真くんの特徴の一つだと思うので、思い切って競ることができるように、他のDF陣で後ろのカバーは大丈夫だというかたちをつくることができました。競り合いにはほとんど勝っていましたし、たとえ負けてもぼくたちのカバーリングで相手に余裕を与えなかったのは良かったことですね。
――お話にもありましたが、矢島選手に仕事をさせなかったのは守備陣全体で評価できる点ではないでしょうか
そこに関してはよかったですが、彼に入ったボールをさばかれて攻めのスピードを与えてしまった部分もあったのでまだまだ隙があるのかなと思います。どんな状況でも対応できるような選手やDFラインにならなければなと思います。
――スコア自体は2-0ですが、失点をしてもおかしくない場面も多々ありました
そうですね、きょうの試合は本当にマサ(GK後藤雅明、スポ3=東京・国学院久我山)に感謝です。
――その中で後期初のクリーンシート(無失点試合)を達成することができましたね
チームとして共有したことが良かったと思います。前期の敗戦を糧に、この試合に生かして無失点でやっていけたのが良かったです。
――このような試合で素晴らしいゴールを決めてくれるFW山内寛史(商3=東京・国学院久我山)選手の頼もしさを後ろから見ていていかがですか
あいつがFWとして得点してくれたから勝った試合がいくつもあります。きょうで言えば、マサ(後藤)とヒロ(山内)の二人がチームを勝たせてくれたと感じています。前節同様に自分はまだ何もできていないので、自分がチームを勝たせるような存在感を出さないといけないなと。個人としては納得できないところがあるのが正直なところです。
――やはり同学年だからこそ「おれもやってやるぞ」という気持ちがあるのでしょうか
そうですね。ポジションがどこであれ二人が仕事をしているのは確かですし、良い仲間として同期がチームを勝たせてくれるのは嬉しい反面、ライバルだという思いもあります。負けている場合ではないので、その中で自分が際立てるように切磋琢磨(せっさたくま)してお互いを高め合える環境をつくっていきたいです。
――これで前期からの連勝を7に伸ばすことができました
連勝していることは良いことだと思います。しかし、関東大学リーグ戦の一試合の重みはどの試合も変わらないですし、次負けたら優勝から遠のくので、勝利の喜びは一日で忘れて、次につながるトレーニングをあしたからやっていきたいです。
――次節に向けて抱負をお願いします
前期から積み上げてきた、時間帯の集中力や得点後にチームを引き締めることをやれば勝ち点を落とすような結果にはならないはずです。ここからの一週間が大事ですし、得点して勝てるようなチームに徐々になってきているので、守備陣が守り切れば勝てると思っています。あしたからまた緊張感のあるトレーニングをしていきたいです。
GK後藤雅明(スポ3=東京・国学院久我山)
――得点ランキング首位(第13節終了時点)を走る中大・矢島輝一選手に対する守備に関して、試合前守備陣ではどのような話をされましたか
矢島選手に簡単に競らせない、ボールを持たせないように拓真くん(DF金澤拓真主将、スポ4=横浜F・マリノスユース)が強く当たって、そのセカンドボールをワセダが早めに処理するのが狙いでした。そこで仕事をさせなかったときは決定機にはならなかったので、一つのキーポイントだったと思います。
――スコア自体は2-0ですが、失点をしてもおかしくない場面も多々ありました
専大戦(○2-1)、明大戦(○2-1)ではいらない時間帯で失点してしまったので、無駄な失点をなくそうとこの試合に臨みました。きょうはチーム全体で守れたのが一つ大きかったかなと思います。
――その中できょうは後藤選手の好守が光りました
自分が最後まで集中力を保ってチームを救わなきゃいけない場面はこれからも出てくると思います。きょうは集中していたからいいセーブができたのかなと思います。
――きょうの活躍でこの試合のMVPにも選出されました
個人的にうれしいですけど、チームが勝ったことが一番なので、これからも気を抜かず一戦一戦やっていきたいと思います。
――このような試合で素晴らしいゴールを決めてくれるFW山内寛史(商3=東京・国学院久我山)選手の頼もしさを後ろから見ていていかがですか
同じ高校からやってきた仲なので、あいつのプレーを見て刺激を受けて「おれもまだまだやれるぞ」という気持ちがわきます。チームのために点を取って、良い働きをしてくれるのですごいと思います。
――前期のリベンジを果たす勝利となりました
同じ相手に2回負けたら優勝はないと強い気持ちをもって戦えたことが勝利につながったと思います。
――その中で後期初のクリーンシート(無失点試合)を達成することができましたね
無失点での勝利は本当に意味のある大きな勝利だと思うので、これからも増やしていけるように、だからと言って無失点にこだわりすぎずチームの勝利に向けて良いプレーをしていきたいと思います。
――次節に向けて抱負をお願いします
次節はホームの東伏見での試合で多くの人が見に来てくれると思うので、日ごろの感謝の思いやチームの一体感を見せて必ず勝利できるようにがんばりたいです。
FW山内寛史(商3=東京・国学院久我山)
――2得点という結果についていかがですか
前期は矢島輝一選手にハットトリックもされているので、自分もハットトリックしたかったという気持ちがありました。2点取れて勝てたことは良かったですけど、3点目を決められればチームももっと楽に勝てたのかなと思います。
――では公式戦7試合連続ゴールという結果についてはいかがでしょうか
一試合一試合こだわってやってきていますし、その結果7試合続いたというのは自分の成果として挙げてもいいと思います。ただリーグ戦後期はまだ始まって3試合なので、リーグ戦での得点をもっと伸ばしていけるようにやっていきたいと思います。
――1点目と2点目の得点シーンをそれぞれ振り返っていかがですか
1点目に関しては、左足をためらいなく振れたので狙ったというよりはしっかり蹴れていいコースに入ったので良かったです。2点目は、自分は背負いながらのプレーを得意としているので、その点でそういうかたちに持っていけて良かったと思います。
――きょうは1点目から早い時間に追加点を奪うことができましたが、これはチームとしても理想のかたちではないでしょうか
1点目を取った後チームとしてチャンスはいくつかありましたし、ここで決めないと厳しい状況になるのは目に見えていました。なので、「ここで取ろう」という声掛けもみんなでしていましたし自分自身も強く思っていたので、あの時間に2点目を取れて良かったと思います。11111
――これからは山内選手へのマークもより厳しくなることが予想されますが
もっと宮くん(FW宮本拓弥、スポ4=千葉・流通経大柏)と話して2人のコンビネーションを高めるであったり、いまは宮くんにチャンスメークをしてもらっているようなかたちだと思うので、自分だけでなく宮くんにもっとチャンスメークをできるようにしていきたいと思います。
――次節に向けて抱負をお願いします
前期引き分けている神奈川大ですし、一戦一戦勝っていかないと自分たちの優勝はないと思うのでまたいい準備をしていきたいと思います。