1カ月半の中断期間を経て、迎えたインディペンデンスリーグ(Iリーグ)第7節青学大戦。長野県・菅平での合宿を越え、連敗を止めるべく再び戦いのピッチに立ったエンジイレブン。だが今節も先制点を許し後手に回る展開に。決定機をつくれぬまま時間が経過すると、守備陣が耐え切れずさらに2失点。泥沼の4連敗となってしまった。
ここ3試合勝ちがなく、もがき苦しんでいるワセダにとって何よりも重要なのが先制点。喉から手が出るほど欲しいその1点を奪えるかどうかがこの試合のカギとなった。前半3分、早くもワセダに決定機が訪れる。FW直江健太郎(商1=東京・早実)がFW牟田翼(基理4=佐賀・鹿島)とのパス交換でバイタルエリアを突くと、右足を豪快に振り抜く。しかしハーフボレーで放たれた一撃は無情にもクロスバーへ。『勝利』が簡単ではないことをエンジイレブンに突き付けるがごとく、1点が遠い。パスコースが少なく、良いかたちでFW陣が前を向けずにいると、試合は相手のペースに。すると前半29分、ついにCKから失点。是が非でも欲しかった先制点を相手に奪われ、この日の空模様と同じく、試合の雲行きが怪しくなる。終盤になりようやくボールを保持し始めるも決定機はなし。またしても苦しい展開で前半が終了した。
ゴールへの意欲を見せた牟田
迎えた後半、つかみかけた流れを離さないうちに同点弾を決めたいワセダであったが、58分に再び失点してしまう。前半からピンチを招いていたサイドの攻防で突破を許すとマイナスのクロスに誰も反応できない。冷静に流し込まれその差は2点に。10分後には一瞬の気の緩みか、相手FKの処理が中途半端になったところを決められてしまう。先制点を許し、失点を重ね、ゴールが奪えないという悪循環。またしても勝てないのか――。MF川井健吾(創理4=東京都市大付)を中心に運動量の落ちた相手を走力で上回り、勝利への意欲を再点火させていくも時すでに遅し。試合終了のホイッスルに選手たちは立ち尽くすしかなかった。
精力的に動き回った川井
「エンジのユニフォームを着て戦っている限り1試合の負けも許されない」(DF多田八起、商3=神奈川・桐光学園)。胸に刻むその思いを現実にかたちとすることの難しさにエンジイレブンは直面している。『勝つ』ために何が必要なのか。試練の夏が幕を開けた。
(記事 桝田大暉、写真 渡部歩美、栗村智弘)
スターティングメンバ―
Iリーグ第7節 | ||||
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早大U-22 | 0 | 0-1 0-2 |
3 | 青学大U-22A |
【得点者】 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 小島亨介 | スポ1 | 名古屋グランパスU-18 |
DF | 2 | 小笠原学 | 社1 | 青森山田 |
DF | 4 | 井上純平 | 商1 | 東京・早実 |
DF | 12 | 山本新太郎 | スポ2 | ジュビロ磐田U-18 |
DF | 5 | 多田八起 | 商3 | 神奈川・桐光学園 |
DF | →77分 | 鈴木崇文 | 文構3 | 東京・早実 |
MF | 13 | 川井健吾 | 創理4 | 東京都市大付 |
MF | 6 | 宮城雄斗 | 文2 | 奈良・香芝 |
MF | →66分 | 山本隼平 | スポ1 | 新潟・北越 |
MF | 8 | 石神佑基 | スポ1 | 埼玉・浦和 |
MF | 9 | 小長谷勇太 | 人科4 | 静岡・清水東 |
FW | 10 | 牟田翼 | 基理4 | 佐賀・鹿島 |
FW | 11 | 直江健太郎 | 商1 | 東京・早実 |
監督は竹谷昂祐(平26スポ卒=ガンバ大阪ユース) |
コメント
MF川井健吾(創理4=東京都市大付)
ーーきょうの試合を振り返っていかがですか
夏場に厳しいトレーニングをしてきた中で完敗してしまったことは非常に悔しいですし、自分たちがやってきたことが正しかったということを証明するために是が非でも勝ちたかったのですが、こういう結果になってしまって残念です。
ーー攻撃面に関してはいかがですか
相手のゴール前に行けるチャンスは何度もありましたし、自分たちが夏の合宿で取り組んできた相手をしっかり見て判断してサッカーをするということを徐々に出来ているとは思うのですが、相手が体を張ってくる場面でもっとエネルギーを出してゴール前に入っていくことであったり、相手の裏をかくことであったりということができなかったと思います。
ーー3失点してしまった原因は何だとお考えですか
ゴールを決めることも守ることも、最後は個人の力だと思いますし、きょうはその点で負けてしまっていたと思います。あとはセットプレーからの2発、押し込まれたところでの1発とありましたが、そういった場面でチーム全体の集中力を切らさないような声かけをやっていかなければ失点は防げないと思います。
ーー夏の合宿を振り返って、ご自身としてはいかがですか
これまで2年間、怪我で夏の合宿に参加できていなかった中で、今回はしっかり参加して厳しいトレーニングを乗り切ることができましたし、勝つためだけにチームとして努力することが出来たと思うのですが、きょうの試合を終えて、まだまだ取り組みが甘かったのかなとも思います。
ーーこれからの目標、意気込みをお願いします
まずIリーグ(インディペンデンスリーグ)で勝利を収めて、関東リーグ(関東大学リーグ戦)のピッチに立つということを目標にやっていきたいと思いますし、Bチームが結果を残してAチームを刺激できれば、関東リーグ制覇やインカレ(全日本大学選手権)日本一が達成できると思うので、自分たちに残された少ない時間の中で死ぬ気でやっていくだけです。
FW牟田翼(基理4=佐賀・鹿島)
――合宿明けでの試合となりましたが、合宿ではどのような強化をしましたか
Bチームとして取り組んできたことは、Aチームを超える圧倒的走力をつけることと、合宿の後半からは守備のときの受け渡しにおける相手に対する責任を誰が持つか、ということに特化してきました。
――きょうの試合ではそれを生かすことはできましたか
合宿が終わってからも早大東伏見グラウンドでずっと取り組んできたのですが、試合を通して守備の部分や責任の受け渡しをしっかりできていたのではないかなと思います。
――前半はFWとして前を向いてプレーできる時間が少なかったように思われましたが
相手のセンターバックが引いていて、相手のボランチとセンターバックの間にスペースがあったので自分としては裏にアクションを起こしつつそこを狙ってなるべく仕掛けられたらいいと思っていました。けど、それをうまく共有できなかったので、結果的に攻撃につながらなかったと感じました。
――後半になってから、ボールを保持するも攻撃のテンポが遅かったように思われましたが
自分たちとしてはボールが出たあとに、リスタートでテンポを上げていこうとはしていましたがそれをかたちにすることはできなかったのかなと思います。ミーティングでもどこで攻めるか、というのがチーム全体として共通意識がなかったということを感じていて、漠然と攻める、みたいな感じが多かったのでそれがテンポを遅めた要因かなと思います。
――試合終盤にかけて積極的にシュートを打っていた中で決め切れずに追いつけなかった要因とは
自分で決め切る力がなかったというのがありますし、プレーしていて感じたことの一つとしてはチーム全体的にゴールに向かうことができていなかったんじゃないかなというのがあります。例えばサイドハーフの選手が前にアクションを起こしてゴールに迫るシーンもあっていいんじゃないか、と感じましたし、アクションを起こしたあとのセカンドボールへの意識も、全体として運動量が落ちていたというのもあって押し上げといった面でまだまだだなと感じました。それができれば点を取れる確率が上がったと感じます。
――厳しい戦いが強いられているIリーグですが、次に迎える試合ではどのような試合をしたいですか
自分が点を決めて勝つためにしっかりと調整したいです。
DF多田八起(商3=神奈川・桐光学園)
――失点の場面を含め、試合を通してサイドで突破を許すことが目立ちましたがその点を振り返っていかがですか
サイドでやられてしまったのはシンプルに一対一の部分です。これからどう改善していくかといったところでは、相手にスピードを持たれないようにより寄せていくということ、DFラインで連携して守備時にスライドするといったことを早くして、相手に対応できればなと思いました。
――その対人の守備に関してはいかがでしょうか
特別に相手がうまかったとか速かったとかということはないです。僕が抜かれたかたちになった2失点目の場面では、サイドハーフの小長谷選手(MF小長谷勇太、人科4=静岡・清水東)から「カバー入ったよ」と声が掛かり、相手(の選択肢)は僕に(ボールを)当ててCKにするか股を抜いて入れ替わるかの二つだと思ったので、強く当たりにいき体を抑えて小長谷選手にカバーしてもらおうとしたのですが、意思疎通ができなくてそのまま抜かれてしまいました。そういった連携面で守備の質を高めていきたいです。
――試合ごとにメンバーが替わる中、守備陣の連携に関してどのような意識を持っていますか
きょうで言えば相手はボールを動かしながら(ワセダの出方を)うかがっていて、ボールホルダーの状況や受け手に対する守備の付き方についていかに細かくコミュニケーションをとるかというのが改善点だと思います。その点は試合を重なれば深まることですが、練習の中からでも高められる部分なので意識してやっていきたいです。
――4連敗となり、しばらく勝ちがない状況が続いています
ワセダのエンジのユニフォームを着て戦っている限り1試合の負けも許されないのですが、それが4試合も続いているのは全員が深く考えなきゃいけない部分だと思います。きょう3失点したことで守備の課題が浮き彫りになりますが、悪い流れを断ち切るために攻撃の質を高めるといったことや、攻撃がうまくいかないために流れが悪くなることもあると思います。誰がどのような判断で攻撃を引っ張るのかあいまいな部分がまだあり、ゴールへのプロセスが見えなかったので、個人的には攻撃を高めていくことが勝利への近道だと思います。試合で感じたことを練習で発信して、引っ張っていきたいです。
――先日の合宿ではどのようなことがテーマだったのでしょうか
合宿では三部練習や山を走って、技術面よりも走力・体力を身につけることがテーマでした。きつい時でも自分と戦って向き合うことをテーマにやっていて、皆成長できたのですが、それを試合につなげることができていないので、試合の中で使える走力を身につけていかなければいけないと思います。
――次節に向けて抱負をお願いします
時間はあまりないですし、修正する時間も限られますが、その中でどれだけ修正して勝ちにつなげられるかだと思うので、全員で高められるようにやって行きたいです。