法大との激闘制し、リーグ戦の雪辱を果たす!

ア式蹴球男子

 大東文化大戦(〇1-0)から中1日という厳しいスケジュールの中、ワセダは法大と対戦。関東大学リーグ戦(リーグ戦)では悔しい敗北を喫した(●0-2)相手だ。試合は苦しい立ち上がりとなり、自陣での戦いを強いられる時間が続く。それでも徐々にリズムをつかむと、後半開始直後待望の先制点を奪うことに成功した。そしてこれがそのまま決勝点となり試合は終了。社会人予選進出を果たし、Jへの挑戦権にまた一歩近づいた。

  試合開始直後から押し込まれる展開となったが、なんとか出だしを無失点で切り抜けることに成功。そこからは互いに中盤で主導権争いを繰り広げる。さらにはGK後藤雅明(スポ3=東京・国学院久我山)やDF金澤拓真主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)を中心とした鉄壁な守備で侵入を阻み、ゴールは割らせない。28分にはMF平澤俊輔(スポ3=JFAアカデミー福島)から裏へ抜け出したFW宮本拓弥(スポ4=千葉・流通経済大柏)へ絶妙なスルーパス。しかしこれはうまくかみ合わず、相手DFに阻まれてしまう。それでも防戦一方だった序盤から一転して流れはワセダに傾き始めたが、ここで前半終了。勝負は後半に持ち込まれた。

強気の飛び出しでチームを鼓舞する後藤

 後半が始まってすぐに試合は動く。「太郎くん(MF田中太郎、商4=静岡・藤枝東)からいいボールが上がるというのは分かっていた」(FW山内寛史、商3=東京・国学院久我山)。 47分、田中がニアに絶好のクロスを上げると、これに山内がうまく頭で合わせゴールネットを揺らし貴重な先制点を奪取。これで勢いに乗ったワセダは、立て続けに法大を攻め立てる。69分には宮本が1人でボールを運び自らシュートを放ったが、これは惜しくもキーパー正面。このペースで最後まで押し切りたいワセダだったが、法大も必死に食らい付いた。試合終盤には法大も猛攻を仕掛けるが、一歩も引かず選手全員が体を張ってゴールを死守。そして長いアディショナルタイムに鳴り響く、試合終了を告げるホイッスル。激闘の末、見事勝利をつかんだ。

山内のゴールを喜ぶ選手たち

 「自分たちの成長の証を見せることができた」と金澤主将が話すよう、リーグ戦前期での敗戦も含めこれまで勝てていなかった相手に勝利を挙げることができたことは間違いなく大きな意味を持つ一勝になったはずだ。次に待ち受けるのは、社会人チームの東京23FC。1ケ月後の対戦だが、この一戦でさらに成長した姿を見せられるか。そしてリーグ戦優勝という目標に、どれだけ近づくことできるか。挑戦の夏が待っている。

(記事 佐藤凌輔、写真 豊田光司)

スターティングメンバー

天皇杯東京都予選
早大 0-0
1-0
法大
【得点者】(早)48山内
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ3 東京・国学院久我山
DF 新井純平 スポ3 浦和レッズユース
DF 奥山政幸 スポ4 名古屋グランパスU-18
DF ◎4 金澤拓真 スポ4 横浜F・マリノスユース
DF 12 八角大智 社4 千葉・流通経大柏
MF 平澤俊輔 スポ3 JFAアカデミー福島
MF →83分 大丸瞬 教4 東京・早実
MF 14 小林大地 スポ3 千葉・流通経大柏
MF 田中太郎 商4 静岡・藤枝東
MF 堀田稜 商4 浦和レッズユース
MF →79分 相馬勇紀 スポ1 三菱養和SCユース
FW 宮本拓弥 スポ4 千葉・流通経大柏
FW 10 山内寛史 商3 東京・国学院久我山
◎はゲームキャプテン
監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実)
コメント

DF金澤拓真主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)

――中1日という厳しいスケジュールでしたが、調整などはいかがですか

いままでGWだったりアミノバイタルカップ2015だったり、連戦になった時自分たちは勝率が良くなかったので、そういった意味で危機感を持っていました。きょうは自分たちのフィジカル面での成長が見られる試合だと思っていたので、ハードワークして勝利に結び付けることができたのは自分たちの成長の証を見せることができたのかなと思います。

――法大は長い間勝てていなかったということで、やはり苦手意識などはありましたか

そうですね。自分が入学してから公式戦で法大には一度も勝っていなかったので、大東文化大戦(〇1-0)の後にもきょうの試合に入る前にもそのことは全体に伝えていました。自分たちの目標達成のために越えなければいけないカベの一つだと思っていたので、そういった意味では法大に勝てたことは自信にしていいと思いますし、チームにとっては大きな一勝だったかなと。

――なかなか苦しい立ち上がりとなりましたが

あれは予想していたと言うか。法大はボールを動かすのがうまいですし個々の能力も高く、 そんな中前半は数少ないチャンスをしっかりと得点に結び付けられるかが勝負だったので、ある程度ああなることは想定していました。

――相手DFは高さもあり、ファーストボールの競り合いで苦戦を強いられていた印象もありますが

その分セカンドボールでよく走ってくれたかなと。中盤の両翼やボランチが上下動をしてくれたおかげで、ボールは回収できましたしセカンドボールの攻防が試合を優位に進められた要因の一つかなと思います。

――試合終盤では法大も猛攻を仕掛けてくる中、全員で守り切った印象ですが

セットプレーが法大の強みの一つだと捉えていて、セットプレーは自分たちのウィークとして全員で守り切る意識っていうのは強く持っていましたし、選手間で互いにうながし合っていました。そういった意味では、みんな最後体を張ってくれましたし、最後のプレーでは太郎(MF田中太郎、商4=静岡・藤枝東)がゴールカバーしたりっていうのは、やっぱりチームとしてセットプレーへの意識を高めたからこそ、体を投げ出せたんだと思います。

――ここからしばらく公式戦がありませんが、この夏はどういった点を強化していきたいですか

自分たちとしてはボールをどれだけ奪えるかと、ゴールにどれだけ早く迫れるかっていう抽象的なところですけど、それを個々人の強みに当てはめてやっていくだけだと思います。そのチームのコンセプトにどれだけ個人の強みを当てはめるか。個人の長所をどれだけ色濃くしてチームのコンセプトに落とし込めるかが、チームの完成度につながると思います。自分たちは総理大臣杯に出場できない中、練習試合や紅白戦でどれだけそういったものを突き詰めていけるかが試せるところなので、自分たちの環境の中で成長するための雰囲気というか、自分も含めて個々人の意識っていうのが一番大事だと思います。

――夏には合宿もあるそうですが

大きな丘のランニングも含めて体力面での強化もありますが、合宿の良さはそういう面もそうですけど全員で時間に共有できるところにあると思います。寮外生であれば24時間ア式の選手と一緒にいるっていうことはないと思いますし、そういった意味では共に生活する中で新たな話ができたり、関係性が深まったりそういったところに合宿の魅力があると自分は考えていて。もちろん技術戦術フィジカル面での強化もそうですけど、全員で時間を共有する中でミーティングなども行いながら、全員での関係性を深められるような合宿にしたいと思います。

MF田中太郎(商4=静岡・藤枝東)

――中1日でしたが

特に連戦だからと意識したところはなく、いつも通りの準備をしました。連戦に耐えられるだけの体力は前期のうちに積み重ねてきたと思っているので、そこは特に意識せず。

――疲れなどはなかったですか

試合中ちょっといつもより体重いなと感じる部分はありましたが、そこまできついという感じではなかったです。

――大東文化大戦からチームで話し合ったことはありますか

チームとして何か、だめなところを変えていこうというのはなくて、大東文化大には大東文化大のやり方があって、法大には法大のやり方があって、そこをどれだけ出せないかだったり、どれだけついていけるかという話はしました。

――攻守にわたってチームに貢献されていましたが、調子は良かったですか

アシストできたので、良かったですけど、相手のSBに完全に打ち勝ったという感じはないですし、相手の永戸勝也選手の動きが良かったので、途中頑張って打ち勝とうと思ってたんですけど、もうちょっとやっていかないといけないと感じましたね。

――立ち上がりは苦しい状況がワセダとして続いていたと思いますが

法大は実際に強くて、自分たちは法大のことをリスペクトしていて、法大がうまいという中で、自分がどれだけできるかという前提がありました。自分たちがうまいというのは全く思ってないですし、勝ったほうが強いチームだと思っているので、最後に勝てれば良いかなという気持ちでいましたね。

――ワセダは下手からのスタンスだった

そうですね。自分たちはチャレンジャーで法大のほうがリーグ戦上ですし、前期も法大が勝っているので、リスペクトする部分はして、その上で自分の積み上げてきた、法大に負けてから積み上げてきたものもあったと思うので、その成長を見せられる良い機会だったと思います。

――後半早々にゴールを奪って、アシストで貢献されましたが、その シーンを振り返って

いつもサイドからクロスを上げて、中に入っていくというものをやっているので、自分がボールを持ったときは中の選手も入ってくれてましたし、いつも通りのところに蹴るだけだったので、決めてくれて良かったです。

――狙い通りでしたか

あそこに結構みんな入って来てくれるので、あとは自分の精度で決まるかどうかですね。

――久しぶりの法大戦での勝利ですが、お気持ちはいかがですか

実際にアミノバイタルでは昨年負けて、ことしもリーグ戦負けて、法大には苦い思い出しかないチームでしたが、ここで勝てたのはワセダにとっても良い1勝だったのかなと思います。

――きょう得た収穫また課題はありますか

やっぱり体力ベースで前半にあれだけとばすと後半結構しんどい時間が来るので、前後半の入りの場面でプレッシャーをかけられれば、90分通して自分たちの流れに持っていけると思うので、ここから夏厳しい練習が続くと思うんですけど、そういったところをもっともっと自分たちの強みを高めていきたいです。

――その課題を約1か月空く中で調整していきますか

体力面もそうですし、後期に入ると相手も守備ブロックの面でしっかりしてくるので、そういったチームの連携だったり、個人個人の能力ののびというのはオフシーズンになってからそこは見ていかないといけないなと思います。

――1か月後、社会人が相手となりますが

東京23FCは先週ぐらいに練習試合をやって、勝ちましたけどめちゃめちゃ強いチームだと感じたので、相手も本気でやってきたらわからないですし、そこに対しての準備を一つでも積み重ねられるようにまたやっていきたいと思います。

FW山内寛史(商3=東京・国学院久我山)

――中1日での試合でしたが、コンディションはいかがでしたか

正直厳しいところもありましたが、走らなければ勝てないチームなので、そこに関しては連戦で自分たちが勝てないという課題もありましたしみんなで話し合ったので、きついながらにみんな走って、気持ちを込めてできたと思います。

――今回の相手は前期リーグ戦で敗れた法大(●0―2)でしたが、その点についてはどのように捉えていたのでしょうか

自分たちは法大に負けて最下位を経験して、一度どん底に落ちたのですが、そこから自分たちも成長してきましたし、それを証明するためにもきょうの法大戦に勝つことがすごい重要だと話をしてこの試合に入ったので、厳しい戦いになりましたが勝ち切れて、成長できた部分を出せたのかなと思います。

――立ち上がりは相手のペースで進んでしまいましたが、振り返っていかがでしょうか

立ち上がりは決して良くはなかったですし、あの時間帯でやられていたら終わっていたなと。そこは自分たちでもっともっと声を出して締めていかなければいけなかった時間帯だと思います。

――前半の反省点を挙げるならどの部分でしょうか

いいボール状況ができる回数も少なかったですが、できたときにもっとFWの二人が相手より先手をとって、相手のディフェンスラインを下げる動きだったり、裏で起点をつくる動きをもう少しできましたし、少し受け身になってしまって先手を取れなかったというのが、前半の立ち上がりに自分たちの流れにならなかった(要因)かなと思います。

――逆に後半開始早々に得点を奪いましたが、あのシーンはどんな状況だったのでしょうか

サイドのクロスの練習というのは毎日毎日やっていますし、太郎くん(MF田中太郎、商4=静岡・藤枝東)からいいボールが上がるというのは分かっていました。一瞬自分から見てニアがすっぽり空いていたので、そこに走りこんでいる時に太郎くんと目が合いました。本当にいいボールが来たので決められて良かったと思います。

――一つ前の試合でも得点を決められていますが、得点の感覚といったようなものが高まっているのでしょうか

全体の調子がいいとは決して言えませんけど、FWとしてチームが勝つための得点を取れて、自分たちは総理大臣杯もいけませんし夏の公式戦が少ないですが、こういった公式戦を大切に一戦一戦やっていく中で結果を残せているのは自分にとっていいことだと思います。

――後半は前線の選手間で細かくつなぐシーンも見られましたが

単純に自分たちの方が動けていましたし、相手が逆に足が止まりだしたので、自分たちは相手を見ながら動かしていけば相手はついてこられないという状況をつくれました。そういう部分も自分としてはもっともっとやって有利に進められていければ良かったですが、そういった点もこのオフシーズンに自分たちの課題として高めていければいいと思います。

――今回はフル出場となりましたが、試合を通して走り切る力も上がっているのでしょうか

自分はFWなのである程度休む時間があるんですが、本当にボランチやサイドハーフの選手、ディフェンスラインの選手も、ああいう時間帯の中で全員が声を掛け合って、献身的に走れているというのは、自分たちがこれまでやってきた、負けていた時にはできていなかった部分です。そういうところをやっていかないと勝てていけないと思うので、オフシーズンで高めるとともに、後期もやっていかないと勝てないのでみんなで考えてやっていきたいと思います。

――きょうはアウェーでの戦いでしたが、難しい部分もありましたか

グラウンドが滑りやすかったので、自分も何度か滑りましたし、そういうところでの難しさというものはありましたが、自分もタッチが定まっていませんでした。応援の部分ではアウェーでもウルトラスの方だったり仲間たちが応援してくれたので、その部分は何も感じなかったですが、グラウンドが変わっても変わらない技術、基礎的な技術はまたまだ自分たちは低いチームなので、そういうアウェーの取り組み方だったり、そういった細かいところは詰めていかないと厳しい戦いの中では勝ち切れないと思います。

――夏の合宿では追い込みが中心になるのでしょうか

そうですね。基本的に3部練だったりランというのは毎日あると思うので、ことしは例年に比べて長い期間やりますし、そこでまた高めないといけないかなと思います。

――合宿をはさみ少し時間を空けて、次は社会人との対戦になります

自分たちは総理大臣杯に出られない中で、公式戦の機会というのは少ないので、一戦一戦を大切にしたいです。しかも社会人と対戦できる貴重な試合ですし、勝てばJリーグのチームとできるというのも監督(古賀聡監督、平4教卒=東京・早実)からも言われたりもします。1カ月は長いようで短いと思うので、天皇杯と後期を見据えながらやっていきたいです。