「前哨戦」でよもやの完敗も、最後まで攻めを貫く

ア式蹴球男子

 7月1日(水)に開催される早慶サッカー定期戦(早慶サッカー)を前に、エンジイレブンにとってのもう一つの早慶戦がインディペンデンスリーグ(Iリーグ)の舞台で繰り広げられた。勝って早慶サッカーに弾みをつけたいワセダだったが、19分に慶大にPKを決められ先制を許す。前半終了間際には退場者を出してしまいさらに苦しい展開に。その後も立て続けに失点。90分に1点を返し意地を見せたものの、その直後に4点目を献上し、万事休す。悔やんでも悔やみ切れない敗戦となってしまった。

 「ワセダにいる以上は絶対に勝ちたい」(DF臼倉宏、文構2=東京・暁星)と意気込んで臨んだ、もう一つの早慶戦。だが試合開始から慶大に主導権を握られてしまう。序盤に連続して相手にチャンスを作られると、19分にはエリア内でDF冨田康平(スポ1=埼玉・市浦和)が痛恨のハンド。これにより与えられたPKを慶大に沈められ、先制点を奪われる。その後何度もゴールを脅かされたが、GK中村大志(法4=東京・早大学院)の好守とポストに助けられ、何とか難を逃れた。迎えた39分、慶大のヘディングシュートがネットを揺らすも、これはオフサイドの判定。みたび冷や汗をかかされる。43分は逆にワセダの決定機に。縦パスに抜け出したFW直江健太郎(商1=東京・早実)がエリア内で後ろから倒されたが、笛は鳴らず。前半アディショナルタイム、相手のカウンターを阻止しようとした冨田に2枚目のイエローカードが提示され、退場に。相手に押し込まれる時間帯が続いた上に、退場者を出してしまうなど、不安を抱えたまま前半を終える。

競り合いに勝ちヘディングシュートを放つ秋葉遼太(文1=東京・駒場)

 1人少ない状態での戦いを強いられることになったワセダだが、後半開始から果敢に点を奪いにいく。48分、相手CKのこぼれ球からカウンターを仕掛け、最後は臼倉がシュート。さらに相手陣内に押し込むワセダだったが、53分にミドルシュートを決められ追加点を許してしまう。さらにその4分後には、豪快な一撃を叩き込まれ点差は3点に。このままでは終われないワセダは、79分に左からの速いクロスにMF今来俊介(商2=神奈川・桐光学園)が詰める。だがここも相手GKの壁を破ることは出来ない。万策尽きたかと思われた90分、途中出場のMF小長谷勇太(人科4=静岡・清水東)が意地の一発。エリア内から放たれたシュートは、相手GKに触られながらもゴール右隅に吸い込まれた。だがその直後に屈辱の4失点目。結局試合は1-4という大差での敗北となった。

試合を通して熱の込もったプレーを見せた臼倉

 「早慶戦への思いは確実に相手のほうが上回っていた」(小長谷)。きたる早慶サッカーを前に、何としても勝ちたかった一戦を落としたエンジイレブンは、試合後抑え切れない悔しさをにじませながらピッチを後にした。しかし、1人少なくなった後も、全員が攻守において必死のプレーを見せた。後半はシュート数で相手を上回り、好機を何度も演出。この諦めない姿勢が早慶サッカーにもつながるはずだ。次は笑顔でピッチを後にするエンジイレブンを見られるに違いない。

(記事 栗村智弘、写真 桝田大暉、田中佑茉)

スターティングメンバ―

Iリーグ第5節
早大U-22 0-1
1-3
慶大U-22A
【得点者】(早)90小長谷 (慶)20田中健 52齋藤 57中込 90+3田中悠
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 中村大志 法4 東京・早大学院
DF 小笠原学 社1 青森山田
MF →70分 蓮川雄大 スポ1 FC東京U-18
DF 熊本雄太 スポ2 東福岡
DF 山本新太郎 スポ2 ジュビロ磐田U-18
DF 冨田康平 スポ1 埼玉・市浦和
MF 10 安田壱成 スポ2 ベガルタ仙台ユース
DF →81分 恩田雄基 スポ4 埼玉・西武台
MF 渋谷勇太郎 社3 神奈川・桐蔭学園
MF →88分 小長谷勇太 人科4 静岡・清水東
MF 今来俊介 商2 神奈川・桐光学園
MF 臼倉宏 文構2 東京・暁星
FW 11 秋葉遼太 文1 東京・駒場
FW →70分 西本八博 スポ3 岐阜・多治見北
FW 13 直江健太郎 商1 東京・早実
FW →82分 石神佑基 スポ1 埼玉・市浦和
監督は竹谷昂祐(平26スポ卒=ガンバ大阪ユース)
コメント

MF小長谷勇太(人科4=静岡・清水東)

――率直にいまのお気持ちをお聞かせください

Bチームの早慶戦ということで、こんな結果になってしまったのは自分たちの力不足ですしチームとして非常に不甲斐ない思いでいっぱいです。

――どのような思いでこの早慶戦を迎えましたか

一人一人が特別な思いをもってきょうの試合に臨もうという話をしました。強い意志はみんなあったと思うんですが、それをうまくプレーに出せないというか、このような試合で意気込みがどれだけあってもそれをプレーにつなげられなければこういう結果になってしまうのかなと思います。

――アウェイとなったきょう、判定も含め難しい試合になってしまったのではないでしょうか

そうですね。判定云々というよりは、自分たちのやってきたこと、強みにしている部分がおろそかになってしまいました。判定は嫌なところもありましたが、戦う気持ちや球際、切り替えの部分といった根本的なところが相手に上回られたからこその敗戦だと考えています。

――慶大の戦いぶりや勢いをどのように感じていましたか

早慶戦に対する気持ちは確実に相手のほうが上回っていたと思います。

――数的不利を感じさせない攻めがいくつもありましたが

たぶんそれが自分たちが120%の力を出そうとしたときの力なんだと思います。それを試合開始から出せなかったのが残念です。

――途中出場から一矢を報いるゴールとなりました

早慶戦で0ー3で負けている状況が屈辱的だったので、残り時間は5分程でしたが点を取って勝ちたいっていう思いがありました。4年生としてチームに何かを与えなければいけないと思ってピッチに入ったのでゴールできたことは良かったです。でもそれを勝ちにつなげられなかったのはきょうの反省です。

――7月1日(水)に控える早慶サッカー定期戦に向けての思いをお聞かせください

慶大に1-4で負けるという悪い流れをBチームがつくってしまったことは変えられないので、これから練習でAチームにどうやって影響や刺激を与えていくかが非常に大事になってくると思います。Aチームに直接関われるかはわからないですが、そういう意気込みをBチームがもって早慶サッカー定期戦に臨まなければいけないと思います。

MF安田壱成(スポ2=ベガルタ仙台ユース)

――まず、率直な感想をお聞かせください

やはり早慶戦ということだったので勝ちたいという思いがあったんですが、大差で負けてしまったので残念というが一番です。

――具体的にどのような気持ちでこの早慶戦に臨まれましたか

早慶サッカー定期戦前の「早慶戦」ということだったのでその弾みにしたかったのですが、立ち上がりから押し込まれてしまい、自分たちのサッカーができなかったです。

――アウェイということもあり厳しい判定も多くありましたがそこでの難しさについてはどうでしたか

いや、それは関係なかったです。

――前半に退場者が出てしまい、人数が減ってしまった影響もあったと思いますがその点についてはどう考えていらっしゃいますか

そこから何ができるかだと思います。しかし自分たちでもっと改善できた部分がありましたが、そこも改善できずズルズル悪い流れが続いてしまったので、そこで誰がリーダーシップをとってやれるかが大事だと思うので、そこを見つめ直していかなければならないと思います。

――人数が減った影響もあり、攻守のバランスが難しかったかと思います。中盤でプレーしていた安田選手はどう感じられましたか

後ろにかかる人数が少なくなった分ボールを回されてしまい、空いたスペースに流されて決められたので、自分としてはもっとハードワークしていかなければならなかったと思います。

――人数が減った影響もありながら、後半に多くのチャンスを作ることができ、実際得点を決めることができました。この点についてはどうお考えですか

前半にもっと点を決めることができれば良かったのですが、最後の10分であれだけのエネルギーが出せたということは、自分たちの力はこれぐらいあるということなので、最初から出していかなければいけないと思います。

――最後に、7月1日の早慶サッカー定期戦への思いをお願いします

ピッチに立つことは難しいかもしれないですが、他の部分でサポートして、ケイオーに勝ちたいと思います。

DF熊本雄太(スポ2=東福岡)

――きょうの試合の感想を率直にお聞かせください

PKでやられて、後半も1人少なくなってずっと相手のペースになったんですけど、そこから自分たちのペースに持ち込めず、1人少ないのを理由にして自分たちの持ち味が出せなかったと感じました。

――きょうは早慶戦でしたが、どのようなお気持ちで試合に望まれましたか

7月1日(水)にある本番の早慶サッカー定期戦でトップチームが勝つために、自分たちは試合に関われないので少しでもトップチームの試合に弾みをつけられるようにここで全員で勝とうと言っていたので結果的に負けてしまって残念です。

――きょうはアウェイで、判定も多少厳しめな部分もあったと思いますが難しさはありましたか

いつもだとIリーグでは応援は無いんですけど、相手チームでも応援がある方が自分たちはモチベーションが上がるので、その面で不利はありませんでした。判定に関しては、何も思わないと言ったら嘘になるんですけど、文句は言えないです。

――数的不利になった後は、具体的にチームにはどのような影響がありましたか

人数が少なくなり1点差で負けていたんですけど、守備から入るのではなく攻撃的にいこうということで後半から3バックにしました。そこから相手が攻撃のときの背後を見てきて、自分たちの間のスペースをつかれてしまいました。1人少ない分、1人1人の運動量が多くなって、最終的に走り切れなくて失点してしまったと思います。

――一方で攻撃では、数的不利のなかチャンスを作れていたと思いますが

負けている状況だったのでどんどん前から行こうという意識でやっていました。1人少ない状況だったんですけど、ワセダらしさは出せたのかなと思います。

――Iリーグ初スタメンを飾られたお気持ちは

初スタメンで早慶戦ということで絶対に勝とうと思っていたんですけど、自分としてもここで良いプレーをしてAチームに上がることを目標にやっていたんですけど、負けてしまったので残念です。

――最後に7月1日(水)の早慶サッカー定期戦に向けての思いをお聞かせ下さい

直接試合に関わることはできませんが、ピッチ外の部分でもケイオーに勝って、少しでもピッチの選手を後押しできたらなと思います。

MF臼倉宏(文構2=東京・暁星)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

悔しいの一言です。

――きょうは早慶戦ということで特別な気持ちもあったのでは

水曜日に早慶サッカー定期戦が控えていることもありましたし、ワセダにいる以上は絶対に勝ちたいという気持ちで臨んだのですが、こういう結果になってしまいました。

――前半のチームとしての出来についてはいかがですか

相手の雰囲気にのまれてしまったというのが率直な感想です。自分たちのペースでサッカーが出来ませんでした。

前半には厳しい判定もいくつかあったと思うのですが

審判に文句を言っても仕方がないのはわかっているのですが、そういう意味でもアウェイだったなと感じています。

――1人少ない10人での戦いとなった後半についてはいかがですか

10人になって、DFを3人にすることにしたので、自分はサイドハーフとして、運動量でディフェンスをカバーすることを考えてプレーしました。

――1人少なくなった後運動量の他に、特に何を意識してプレーしましたか

逆境に対してなおさら気持ちを強く持たなければと思いましたし、とにかく走ってチームのためにということを意識しました。

――10人になりはしたものの、押し込む時間帯もあったように思えるのですが

そうですね、点差が離れていても1点でも取れれば何か変わるかもと思っていたので、まずは1点という気持ちでプレーしました。

――水曜日には早慶サッカー定期戦もありますが、それも踏まえて今後の目標をお願いします

ケガもあって今季はまだIリーグの試合にあまり出場できていないですし、関東大学リーグ戦のメンバーにもまだ選ばれていないので、これからもっとチームに関わっていきたいです。定期戦のメンバー入りもまだ諦めていないので、そのチャンスも伺っていきたいと思います。

DF渋谷勇太郎(社3=神奈川・桐蔭学園)

――率直にいまの気持ちをお聞かせください

ケイオーとの戦いということで、きょうは絶対に勝ちたかったのですが負けてしまってとても悔しいです。

――早慶戦は特別な一戦だと思いますが、どのような気持ちでこの試合を迎えましたか

伝統ある一戦ですし、7月1日に早慶サッカー定期戦を控えてる中で何がなんでも勝ちたい一戦でした。Iリーグもまだ一勝しかできていない状態でどうしても勝利が欲しかったので、負けてしまっていまはとても悔しいです。

――アウェイで難しい試合だったと思いますが、いかがですか

慶大のアウェイは毎年厳しい戦いになるというのは分かっていたことです。その中でも特に前半受け身になりすぎてしまって、自分たちから前に行く意識というのがなくなってしまったので、そこが反省すべきとこだと思います。

――後半、人数的に不利になってしまいましたが、何かその影響はありましたか

多少はありましたけど、実際、後半になってからのほうがチャンスを作ることができてみんなでゴールを奪いにいこうという意識は生まれたと思います。ただ、それが前半から出せなかったというのが反省点です。

――攻撃に関して何か意識したことはありますか

今日はボランチだったのでが、どんどん縦パスを入れて、スイッチを入れようと思ったのですが、相手がしっかり守ってくる中でリズムを出すことができてなかったと思います。

――人数不利になった後の攻守のバランスはどう意識しましたか

1人少なくなったのですが、それでも引くのではなく、前から吹っ掛けてボールを持ったときにはしっかり力を出して、ゴールを奪いにいこう、というのはみんなで共有しました。

――最後に7月1日(水)の早慶サッカー定期戦への意気込みをお願いします

きょう負けてしまった分、本当に定期戦ではチーム一丸となって勝利を目指して頑張りたいと思います。