インディペンデンスリーグ(Iリーグ)開幕から勝ちがないワセダ。第3節では東国大を対戦相手に迎えた。1戦を勝ち取るべく臨んだ試合は、前半から1年生2トップを中心に3得点を奪うことに成功。後半開始直後にも追加点を決めるなど、試合は順調に進むかに思われた。しかし66分に失点を許すと一転、ペースが落ち始める。それでもFW直江健太郎(商1=東京・早実)がハットトリックを達成するなど、大量5得点でリーグ初白星を飾った。
前半、最初にシュートチャンスが巡ってきたのはワセダであった。11分にMF石川大貴(スポ2=名古屋グランパスU-18)の左サイドからのクロスを、直江が頭で合わせる。見事にゴールネットを揺らし先制点を獲得すると、一気に流れを引き寄せた。23分には相手のバックパスを断ち切った直江からのお膳立てを、FW岡田優希(スポ1=川崎フロンターレU-18)が落ち着いて流し込む。続く25分にはMF安田壱成(スポ2=ベガルタ仙台ユース)からのロングフィードに反応したMF秋葉遼太(文1=東京・駒場)のアシストで、再び直江が得点。少ない好機を確実にものにし、好調な滑り出しで大きく相手を引き離した。守備陣においては、ピンチを迎えることなく堅実なプレーで守り切り、3-0で前半を折り返す。
対人守備での強さを見せた小笠原
後半は開始から動いた。48分、右サイドで岡田が相手の守備網を切り裂き、豪快なシュートでゴールを捉える。攻撃陣の活躍で、ワセダの勢いが続くかと思われた。しかし66分、パスミスからカウンターを許すとGK小島亨介(スポ1=名古屋グランパスU-18)との1対2の劣勢を作り出してしまう。小島が懸命に飛び出すも一歩間に合わず失点を許すと、そこから相手のペースに持ち込まれる展開に。79分にはディフェンス陣の裏に短いパスを通されると、再びゴールを献上。前節(対専大戦、●3-7)同様、後半での詰めの甘さが浮き彫りとなり、チームは悪い雰囲気に包まれた。しかし試合終了間際、直江が右サイドをドリブル突破しシュート。この日ハットトリックとなる得点を挙げ、試合終了の笛を迎えた。結果は5-2。待ちに待ったリーグ戦初勝利をつかんだ。
秋葉は3試合連続出場で中盤を支えた
前後半ともに立ち上がりから積極的にゴールに向かい、得点を量産した今節。この得点力は今後につながる好材料といえるだろう。一方で、「後半の厳しい時間帯における攻防がこれからのカギ」と直江が語るように、終盤になるにつれて失われるディフェンスの集中力や連携にはまだ改善の余地がある。とはいえ大きな一勝を手にしたワセダ。この一勝から得たものを糧に、実りある1年にすべく成長することが期待される。
(記事 中澤奈々、写真 渡部歩美)
スターティングメンバ―
Iリーグ第3節 | ||||
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早大U-22 | 5 | 3-0 2-2 |
2 | 東国大U-22A |
【得点者】(早)11、25、88直江 23、48岡田(東国)66渡邊 79池添 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 小島亨介 | スポ1 | 名古屋グランパスU-18 |
DF | 2 | 小笠原学 | 社1 | 青森山田 |
DF | 4 | 日高裕介 | スポ4 | 横河武蔵野FCユース |
DF | 3 | 山本有一 | 人科4 | 神奈川・桐蔭学園 |
DF | 5 | 鈴木崇文 | 文構3 | 東京・早実 |
MF | 7 | 渋谷勇太郎 | 社3 | 神奈川・桐蔭学園 |
MF | →74分 | 高岡大翼 | 社1 | 広島皆実 |
MF | 10 | 安田壱成 | スポ2 | ベガルタ仙台ユース |
MF | 8 | 秋葉遼太 | 文1 | 東京・駒場 |
DF | →56分 | 斉藤央 | 人科3 | 神奈川・桐蔭学園 |
MF | 14 | 石川大貴 | スポ2 | 名古屋グランパスU-18 |
MF | →68分 | 小長谷勇太 | 人科4 | 静岡・清水東 |
FW | 11 | 直江健太郎 | 商1 | 東京・早実 |
FW | 9 | 岡田優希 | スポ1 | 川崎フロンターレU-18 |
監督は竹谷昂祐(平26スポ卒=ガンバ大阪ユース) |
コメント
FW直江健太郎(商1=東京・早実)
――リーグ戦初勝利おめでとうございます。3得点1アシストということで、お気持ちはいかかですか
ありがとうございます。自分自身のゴールというのももちろんそうですが、まずは二試合勝てていない中でやっと勝利できたということが一番うれしいです。その中で自分もゴールを取れたので、良い試合だったと思います。
――リスタートの時の前への意識が強かったように感じましたが、なにか意識していましたか
前節の専大戦(●3-7)では攻守において先手を取られることが多くて、オンザボールはもちろんそうですが、オフのところでどれだけ相手の先手を取れるかというのがかなりキーポイントになってくるなというのが自分の中で前節を振り返ったときにあった点だったので、その点をきょうは意識していました。
――同じ2トップの岡田選手(FW岡田優希、スポ1=川崎フロンターレU-18)との連携はいかがでしたか
3月からAチームやBチームに行ったり来たりしている中で、ずっと岡田とはやってきていて、最初は自分が自分がというのがお互い強くてあまりうまくいかないときもありましたが、最近はお互いの動きを見たり声を聞いたりして理解し合いながらプレーできているなというのは感じています。
――後半は特に中盤まで下がっての守備というのが目立ちましたが、どんなことを意識していましたか
前節は前半に3失点、後半に4失点して自分たちのペースが落ちてきた中で失点を喫してしまったことに自分でも責任を感じていて、最終ラインまで戻っての守備はなかなか難しいですけど、少しでも自陣に戻って後ろの選手がボールを奪いやすい状況をつくるというのも自分の役割だと思っているので、試合の中盤あたりから厳しい時間ではありましたが、その中で意識を絶やさずに守備もおろそかにしなかった点は前節に比べて自分の中では成長したのかなと思っています。
――後半に2失点しましたが、終盤に1点を返せたことで雰囲気は良くなったのではないでしょうか
あの時間に1点を取るか取らないかで、それが自分のゴールであってもそうでなくてもやっぱりあの時間に取れることはある意味底力なのかなと感じます。そこで決定機を外して失点してしまったら、今日の勝利も危ういのかなと思います。Aチームはかなり僅差での試合が続いていて、その中でも後半の厳しい時間帯に得点したり逆に相手に得点を許さないという終盤の攻防というのが、これからのシーズンでカギになってくるのかなと思っているので、自分自身が点を決められたというのはもちろん嬉しいですけど、自分のその1点がチームに勢いを取り戻させたことが良かったかなと思います。
――次節まで時間がありますが、どのような部分を高めていきたいですか
まずは今自分が出ているIリーグというのはBチームのリーグで、その上のJrリーグ、そして一番上の関東リーグ(関東大学リーグ戦)に出られるようにというのが個人としての目標ですが、チームとしての目標はどのカテゴリーのリーグにおいても勝利をつかむことなので、自分がAチームにいようがBチームにいようがその目標というのは失わずに、またBチームは公式戦が少し時間が空きますが、その中でも次の試合に向けてきょうの勝利というのを意識しながら全員で高めていければいいなと思います。
MF秋葉遼太(文1=東京・駒場)
――きょうの試合が初勝利となりましたが
先週すごく大敗してたので、勝ちたいという思いが強くて結果を残せたので素直にうれしいです。
――秋葉選手はここ3試合全てで出場となっていますが手応えはいかがですか
まだまだ守備の部分や、攻撃の時間帯に自分自身が消えてしまうことが多いのですがきょうはアシスト一回できたのと、シュートにも行けたのでよかったです。
――3点目のアシストシーンを振り返って
壱成くん(MF安田壱成、スポ2=ベガルタ仙台ユース)からいいボールが来て、相手に取られそうになったのですがここはチャンスと思って思いっきり行ってそれがアシストになったのでよかったです。
――ゴールへの意識は
もちろんありますが、まだ取れていないので取りに行きたいです。
――2トップの選手との連携というのはいかがですか
やりたいこととかもわかってきて、動き出しを見て自分がパスを出すことで何本か良いシーンをつくり出せたので、これからも精度を高めていきたいです。
――自身のプレーの持ち味とは
自分は、縦にゴリゴリドリブルすることが持ち味なのですがまだあまり出せていないので、これからたくさんドリブルしてクロス、というシーンをつくっていきたいです。
――4年間の目標は何ですか
すごいレベルの高い中で毎日成長していき、Aチームにも貢献していきたいです。
――中断期間を経ますが、次節への意気込みをお願いします
IリーグはAチームに上がるための試合でもあるので、チームとして勝つことは当たり前でその中で個人でアピールするところはしていかないとだめなので、そこを意識していきたいです。
DF小笠原学(社1=青森山田)
――率直にいまの感想をお願いします
チームは前節専大に大敗して(●3-7)、一週間この試合に勝つために課題に取り組んだ結果が出て良かったです。個人的にはまだ全然だったので、一からやり直していきたいです。
――体負けせずしっかりと競り勝っていた対人守備に関してはいかがですか
自分は体が小さい分大学生は体が強く、体の入れ方だったりタイミングを自分なりの課題としてやっているのでこれからもその課題に向き合っていきたいです。
――対人守備での間合いの取り方に関してはどのように意識されていますか
あまりに間合いが広いと相手はなんでもできてしまうので、怖がらずにできるだけ間合いを詰めることを意識してやっています。
――サイドバックとして攻撃参加をどのように考えていますかきょうは全然攻撃参加できなかったんですけど、普段から自分の持ち味は攻撃参加だと思っているのでそのタイミングを常に意識しています。
――後半にはオーバーラップからのクロスでチャンスを演出していました
サイドハーフとの関係性から自分が抜け出せたので、後は中を見てクロスを上げるだけでした。
――前節同様に失点から悪い流れになってしまいましたが
専大戦では失点の後に落ちてしまってそのままズルズルといってしまったということが試合前に課題として挙がったので、たとえ失点しても前を向いてやっていこうという話をしました。きょうも2失点しましたが守備陣で声を掛け合っていたことが良かったと思います。
――これでリーグ戦初勝利となりました
3節目にしてやっと勝利することができたのは良かったです。Iリーグ優勝というのはもちろんですが、個人の目標はやっぱり関東リーグ(関東大学リーグ戦)出場なので、そこに出るためにIリーグで活躍することを意識しています。
――Aチーム入りに向けてどのような意識で試合に臨まれていますか
やっぱりIリーグの舞台で相手を圧倒できなかったらリーグ戦でも通用しないと思うので、Iリーグから常に相手を上回ることを意識してやっています。
――ご自身のストロングポイントはなんでしょうか
やっぱり自分の持ち味は攻撃参加です。上がることは誰でもできるので、上がった後に決定的な仕事をできるよう常に意識しています。
――今季の抱負をお願いします
やっぱり関東大学リーグ戦に出て活躍したいというのが一番です。