インディペンデンスリーグ(Iリーグ)第2節の相手は強豪・専大。お互い譲れない一戦となったこの試合、前半だけで6ゴールが生まれる乱打戦となる。一時は2点をリードしたワセダだが後半のファーストプレーで失点するとその後は防戦一方に。立て続けにゴールを許すと、終わってみれば3-7の大敗。リーグ戦初勝利を逃すと同時に、地力の差を見せつけられる苦い敗戦となった。
前節に引き続き先発に多くのルーキーが名を連ねたワセダ。相手はア式蹴球部がここ4年間勝ちのない専大だけにきょうこそは勝とうと勢いよく襲い掛かる。両チームが球際で激しく体をぶつけ合う緊迫した展開。ピッチには張りつめた空気が漂う。最初にその均衡を破ったのはワセダだった。前半19分、細かなパス交換からFW岡田優希(スポ1=川崎フロンターレU-18)が右サイドを突破するとそのままPA内にカットイン。左足で丁寧に流し込み、待望の先制点をチームにもたらす。その2分後には岡田の絶妙なスルーパスに反応したFW直江健太郎(商1=東京・早実)がネットを揺らし追加点。「あの時間帯に追加点が奪えたということに関しては自分の中での成長」と直江が語るように、2トップを形成した1年生コンビがゴールという目に見える結果で先発起用に応えた。しかし、それで黙る専大ではない。3-1で迎えた前半39分、ワセダは左サイドで簡単に突破を許し1点差に迫られるとアディショナルタイムには直接FKを叩き込まれる。リードを一気に失い肩を落とす選手たちは厳しい表情のままハーフタイムを迎えた。
1得点1アシストで結果を残した岡田
立て直しを図りたいワセダであったが後半最初のプレーでいきなり失点。同点に追い付こうと攻めに出るも、肝心のパスがつながらない。失点の焦りから自分たちで流れを悪くするエンジイレブン。前半の良い時間帯に見せていた連携は影を潜め、相手に脅威を与えることができない。対する専大はAチーム同様に質の高いプレーでゴールに迫る。その差は歴然だった――。正確かつ無駄のない攻めに苦しみ、後半だけでまさかの4失点。相手の流れを立ち切ろうと途中出場のMF小長谷勇太(人科4=静岡・清水東)が体を張ったプレーでチームを鼓舞するも反撃に転じることなく試合は終了。専大のカベをまたしても越えることはできなかった。
先発フル出場した直江が攻撃の中心となった
「若さが出てしまった」。DF日高裕介(スポ4=横河武蔵野FCユース)の言葉が全てだろう。立て続けに失点をした後の反応がこの試合の勝敗を分けたと言っても過言ではない。集中を切らすことなく自ら流れを取り戻した専大からピッチに立ったルーキーたちは多くのことを学んだはずだ。この経験をいかに生かしていくか。若き新芽のこれからの成長に期待をしよう。
(記事 桝田大暉、写真 渡部歩美)
スターティングメンバ―
Iリーグ第2節 | ||||
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早大U-22 | 3 | 3-3 0-4 |
7 | 専大U-22 |
【得点者】(早)19岡田 21直江 35石川(専)33新村 39川森 45白井 46、60佐藤 82、87久保田 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 小島亨介 | スポ1 | 名古屋グランパスU-18 |
DF | 2 | 小笠原学 | 社1 | 青森山田 |
DF | 4 | 日高裕介 | スポ4 | 横河武蔵野FCユース |
DF | 3 | 山本有一 | 人科4 | 神奈川・桐蔭学園 |
DF | 5 | 下島健 | 先理3 | 広島国泰寺 |
MF | 7 | 渋谷勇太郎 | 社3 | 神奈川・桐蔭学園 |
MF | 10 | 安田壱成 | スポ2 | ベガルタ仙台ユース |
MF | 8 | 秋葉遼太 | 文1 | 東京・駒場 |
MF | 14 | 石川大貴 | スポ2 | 名古屋グランパスU-18 |
FW | 11 | 直江健太郎 | 商1 | 東京・早実 |
FW | 9 | 岡田優希 | スポ1 | 川崎フロンターレU-18 |
MF | →71分 | 小長谷勇太 | 人科4 | 静岡・清水東 |
監督は竹谷昂祐(平26スポ卒=ガンバ大阪ユース) |
コメント
DF日高裕介(スポ4=横河武蔵野FCユース)
――Aチームを含め、ア式蹴球部が4年間勝てていない専大との対戦ということで、試合前に話したことはありましたか
関東大学リーグ戦(リーグ戦)がようやく2連勝できた中で、BチームであるIリーグも勢いづくために勝利を目指そうということでした。結果として大敗していまったので、流れに乗れなかったのは残念です。
――前半は同点とはいえ、ワセダもリズム良く攻撃できている印象でしたが
前半は前の方でボールを奪えて、ショートカウンターから仕掛けられていたのが3得点のきっかけになったと思います。一方で3失点したことに関しては、相手にショートカウンターを取られ失点してしまいました。そこの部分が今回の改善すべき点かなと思います。
――1年生が多く出場され、若さ、アグレッシブさの出ている試合でしたが
前半は若さというのも含め、勢い良く攻撃ができたので3点取れたのだと思います。逆に後半の開始早々に失点した際、全員が落ち込んでしまった部分があったと思います。失点した後でも、まだ時間は多くあった中でどうやって1点を取り返すエネルギーに変えていけるかというところでマイナスの若さが出てしまったのかなと思います。
――大量失点ということで、ゴールに直結するようなパスを断ち切れなかったことについて
ボールを持っている相手に対して、どれだけファーストディフェンダーで規制をかけられていたかというとあまりかけられていませんでした。また蹴られるときにディフェンスラインの選手がフォワードに対して好きにアクションを起こされていたというのが、前に直結するようなボールが出されていた原因なのかなと思います。
――全体的にボールを持ってからパスする相手を探している印象でしたが
専大の守備の仕方的にボールサイドで3人くらいに囲まれてしまうシーンがあり、そこで仲間のサポートがあってもパスを出せない状況というのが多くありました。そういうところでボールを奪われてしまっていたので、囲まれそうになったらすぐにボールを出してテンポを作るというところをもっと意識していきたいです。
――後半の最後の失点前に、ディフェンス陣に対し強く声を掛けている場面がありましたが、そこの連携や意識の共有について
センターバックの選手からボランチの選手にマークを受け渡していたのですが、ゴール前だったのでセンターバックとしてゴールを守るべきだと思いました。そこは自分が受け渡すなら、しっかり受け渡すべきだし、最後のところは体を投げ出してでも失点を止められた部分なので、そこはコミュニケーションを取ってほしいということで言いました。
――攻守の切り替えについてはいかがでしたか
奪われ方が悪いと、どれだけ攻守の切り替えを早めようとしても、ボールに行けない部分があると思います。そういった部分でなかなかうまくできませんでした。そんな中でも前半に得点が続いていたという部分に関しては、前からボールを奪えて相手の陣地でサッカーができていたと思うので、そういう部分では攻守の切り替えをできていたと思います。そういった部分は次にもつなげていきたいです。
――4年生ということで、IリーグからAチームへの意識について
4年生になったからにはこのIリーグの舞台で自分自身が活躍して、相手にも圧倒して勝たないとリーグ戦やAチーム出場にはつながらないと思います。このIリーグの公式戦でチームを勝たせることはもちろん、自分自身の成長のために強い意識でやっていきたいと思います。
――Iリーグのことし1年の目標は
全国優勝を目指してやっています。
DF山本有一(人科4=神奈川・桐蔭学園)
――きょうの試合を振り返って
前が頑張ってくれている中で、自分を含めて後ろの選手が相手の選手の攻撃を止めることができずに7失点してしまったのでそこに敗因があるかなと思います。
――Aチームでも白星を手にできない専大との対戦でしたがどのような点に意識を強く持ちましたか
最近チームで課題であるボールを奪うという点をトレーニングでやってきたのでそこを出そうと思ったのですが、なかなか奪えずに相手の技術力に丸め込まれてしまいました。実際回されたというよりも、もっと簡単な一対一のところで取られてしまったことが7失点につながったと思うのですが、やってきたことをできなかったことは一つ問題として挙げられます。
――ことし4年生ですが、Aチームへの意識というのは
シーズンの始めはAチームにいたのですが、落ちてCチームにまで下がったこともあっていまIリーグに出ていますが個人としてAチームに上がって関東リーグ(関東大学リーグ戦)に出るということはもちろん意識してプレーはしていますが、一個一個のトレーニング、試合に集中してできる限りのパフォーマンスを発揮したいです。4年生として、きょうの試合では責任を背負うことができなかったと思っています。
――スタメンとして1年生が多い中、どのようにチームを支えていこうと思っていますか
それこそ、前節の初戦はボランチ一枚1年生でガチガチに緊張していたのでどんどんチャレンジさせてあげようという声かけをやっていきたいと考えていた中で、きょうは逆に自分が失点多くなってしまって、支えるというよりも逆に助けられてしまってというところが多かったので今後は逆の立場として、サポートしていけるようなパフォーマンス発揮しなければいけないと感じています。
――きょうの試合では大量失点をしてしまいましたが
自分たちが積み重ねてきたサッカーをなかなか表現できなかったというのは悔しいですね。
――次節に向けての意気込みをお願いします
これだけ失点して負けて、トップチームはやっと2連勝して、それこそこれから優勝争いに加わろうとしている中でIリーグが勢いを止めていてはいけないので結果、内容共に圧倒して次節勝てるようにもっとトレーニングに励んでいきたいと思います。
FW岡田優希(スポ1=川崎フロンターレU-18)
――ワセダが4年間勝ちがない専大が相手ということで試合前どのような話をしましたか
トップチームが(関東大学リーグ戦で)慶大と明大に勝ってくれていて(慶大戦◯1-0、明大戦◯2-1)、自分たちのIリーグも一戦の重みは変わらないという確認をしてからきょうの試合に臨みました。
――今節の先発出場を伝えられた際の心境をお聞かせください
自分としてはFWでどの時間帯にどんなかたちで出ても点を取るという目標は変わらないので、そこに関しての違いはあまり気にせずにやっていました。
――きょうは1得点1アシストで結果を出すことができました
そうですね、結果を一つ残したという意味では良かったですけど、きょうの内容ならもっともっと結果を残すことができたと思います。自分がボールに触る回数も含めてチャンスになる回数をもっともっと増やさなきゃいけないなと思ってます。
――前半から一転、無得点に終わった後半を振り返っていかがですか
チャンス自体はあったと思うんですけどそこで決め切れず、その後に失点しました。決め切るか決め切らないかは普段から練習しながらもその場になってみないとわからないと思います。チャンスを増やせば決め切る数も増えると思うので、後半はそこが足りなかったと思います。
――2トップを組んだ直江選手(FW直江健太郎、商1=東京・早実)とのプレーはいかがでしたか
2月に初めて来たときから直江とは組む回数が多かったんですけど、直江は空中戦が強くポストプレーで体を張ったプレーがあります。自分はその周りを動きながらドリブルやパスで抜け出したり、ボールを受けたりと流れの中でのプレーを常に心掛けてます。
――相手の攻撃の印象はいかがでしたか
やっぱり専大はトップチームと同じ攻撃をしているのがすごいと思います。きょうの失点は相手に崩されて決められた点がほとんどで、専大の攻撃をワセダが止められなかったです。専大の攻撃は良いなと、質が高いなと思いました。特にサイドの崩しではトップチームと同じような動きをこのIリーグでもできていたので、その点が専大の強みであり、参考にしなければいけないと思います。
――ユース時代とア式蹴球部の違いはいかがでしょうか
それを聞かれると、ほぼ180度違いますね。川崎フロンターレではトップチームからつなぐサッカーを意識していてユースもそういう意識でやっていましたが、ここではつなぐ意識よりはノーリスクのプレー選択となります。そうすると必然的にFWに浮いたボールがくることが多いので、そこに慣れるのに今は苦労しています。自分が今までやってきたことを、時間はかかるかもしれないですが、良いところは出しつつ悪いところは改善して自分が先頭に立ってやっていかなければと思ってます。
――ご自身の得意としているプレーはなんですか
これといったプレーを武器だと思ったことはないですが、点を取ったりチャンスを作りだすのが自分の武器かなと。自分はスピードがあるわけでもフィジカルが強いわけでもないですが、相手との駆け引きで点を取ったりチャンスを作るのが武器だと思っています。そういうことができるのはワセダの中にもいないと思います。ワセダのFWはフィジカルが強くてスピードがある選手かなと思いますが、それだけで勝てるわけではないので、相手を操って駆け引きの中で勝つことをいつもアピールしてやっています。
――これからに向けてどのような目標立てをしていきますか
きょうのように1点だけでなく、2点3点と得点するのが自分のぶれない指標というか、サッカーをやる上で絶対に変わらないものです。それを達成するためには自分自身がもっと変わらなければいけないです。そういった意味で点を取るための手段を考えるのは変わらないです。
FW直江健太郎(商1=東京・早実)
――まず初めに、前節を経てどういった思いできょうの試合に臨まれましたか
前節はチームとして前半の入りが良くなくて先に失点してしまって、前半のうちに追い付くことができましたが、後半チームに勢いが持てずにそのまま引き分けで終わってしまったというのがあったなかで、今節はまず先に点を取るということを意識して臨みました。
――2トップの一角としてゴールできたことについて
結果からみればもっと点を取らなければいけないと思いますが、あの時間帯に追加点が奪えたということに関しては自分の中での成長だと思いますし、少ないチャンスを得点につなげられたことに関しても自分の中では収穫だと思っています。
――前半3点をとって良い流れだったと思いますが、そこから追い付かれてしまいチームとしてはどんな雰囲気だったでしょうか
やっぱり最後のFKでの失点があったかなかったかで、後半の入りが大きく変わってしまったというのは感じています。あの失点がなければ、自分たちが一歩リードした状態で試合を進められたと思いますが、そこで不用意なファールがあって、そのプレーがその時点でのチームの流れを全て表していると思います。そこでファールをするかしないかで試合が決まったといっても過言ではないと思います。ハーフタイムにはそれぞれの意見をぶつけ合いながら話をしましたが、それでもどこか焦りというのが皆の中であって、それを払拭できないまま試合に入ってしまったのが良くなかったかなと思っています。
――ハーフタイムにコーチはどんなことをおっしゃっていましたか
特にはなかったですが、試合が始まってすぐにコーチのほうからセンターバックに向けて、攻守において先手を取られているということを言われて、それを45分間で改善できなかったことに関してセンターバック二枚がどう(攻守を)促していくかという話はありました。
――高校サッカーとの違いについて感じることはありましたか
半年前まで高校サッカーをしてきて、圧倒的に違うのはフィジカルやスピード。多少技術があっても、それをフィジカルや体の当たりでつぶされてしまったりというのが最初はあってかなり戸惑いました。それでもそのスピード感に少しずつ慣れていく中で、自分の技術をどう出していくかというのを考えながらオフシーズンはプレーしていて、シーズンに入ってAチームとBチームを行ったり来たりしていましたが、スピードに関してはAチームとBチームはかなり差があってAチームに行かなければ体感できないものはありますが、フィジカルコンタクトの面に関してはそんなに差異はないと思うので、その点に関してはAチームでもBチームでも常に厳しい状況の中でできるというのは高校のときにはなかったと感じています。
――自分の持ち味はどんなところだと思いますか
バイタルエリアで味方の選手が前を向いたときの裏への抜け出しであったり、あとは今節はなかったんですが前節はミドルを一本打って、入らなかったんですが遠くからでもゴールを狙えるというのが自分の持ち味だと思っています。
――次節に向けてアピールをお願いします
今日はスタメンで出て90分通してのプレーができましたし、また得点というかたちでも結果を残せましたが、チームとしては勝てていないというのが現状なので、また一週間自分のプレーであったり自分だけでなく周りの状況というのをしっかり見て、週末にはAチームの関東リーグ(関東大学リーグ戦)がありますがそれと同時に公式戦という面に関して同じ重みのあるIリーグに対してBチーム一丸となってやっていけたらなというふうに思っています。