今季こそタイトルを獲得しようと、リベンジに燃えるイレブン。その先頭に立ち、チームを引っ張るのはDF金澤拓真主将と(スポ4=横浜F・マリノスユース)、DF奥山政幸副将(スポ4=名古屋グランパスU-18)の2人だ。より結果が求められることしを、どう戦い抜いていくのか。思い描くヴィジョンとラストイヤーへの思いを伺った。
※この取材は4月1日に行われたものです。なお、記事中の学年は新年度のものです。
チームを引っ張る立場として
ア式だけに留まらず、全日本大学選抜でも活躍を見せる奥山副将
――きょうの午前の練習はいかがでしたか
金澤 きつかったです(笑)。
――練習内容はどういうものですか
金澤 練習メニューについては年間を通して大きな変化はありません。その変化の無い練習の中でも意識することはチームとしても個人としてもあると思います。練習については特別なことというより日々の積み重ねだと思います。
――練習試合を重ねているということで、新体制での手応えはいかがですか
金澤 2月中は不安が多かった期間だと思います。ただ、3月の中旬にあった島原遠征(第7回大学サッカーフェスティバルin島原)や、早関定期戦(●2-3)を通じてチームとしての完成度や方向性が見えるものになったと思います。試合を通じて少しずつですが自分たちがオフシーズンに取り組んできたものの成果が出てきたかなと思っています。
奥山 自分自身このオフシーズンというのは全日本大学選抜での活動が多くて、チームに不在なことが多かったのですが、選抜から帰ってきてガラッと印象が変わりました。新しいワセダらしさ、いままでにはなかったアグレッシブな姿勢に磨きがかかったのかなと感じていて、やっていて非常にワクワクしますし、楽しいサッカーになっています。ポジションがセンターバックなので後ろから見ていてもきつそうだなとは思いますが、楽しいと思います。
――動きの面で運動量が上がったと言うのはありますか
金澤 そうですね。どんどん厚みを出していこう、前に関わっていく人数増やしていこうという意識でやっていたので、ボール放れば追い越していく選手の数も極端に増えたと思いますし、クロスに対して4、5人ペナルティエリアに入っている状況というのも多々あります。中盤より前の選手がサイドバックを含め、攻撃に関わる意識が出てきています。そういった意味では運動量はすごく増えたかなと。
――4年生が引退されて良い意味での影響というのはありますか
金澤 4年生が抜けたからというよりはいままでの反省を踏まえて、自分たちがどんな面で強みを出して、他のチームとの差別化をしてということの積み重ねの結果だと思います。メンバーが変わったからというより、このオフシーズンでの積み重ねや、意識して取り組んだところが成果として出てきた部分かなと思います。
――金澤選手は今季主将を務めますが、その際に監督や先輩方からな掛けられた言葉はありますか
金澤 いえ、特にそういったものはないです。役職を決めるにあたっても、基本的に自分たちの学年で話し合って決めた案を古賀聡監督(平4教卒= 東京・早実)に提示し、承認を得て決めました。就任するにあたって主将としてやって欲しいこと、意識して欲しいことというのは言われていません。もともと学年リーダーとしてある程度上に立つ立場としてやってきたので、そこの継続というか、そこで表現してきたものを学年からチームでという単位でやるだけかなと自分は思っています。
――奥山選手は副将を務めることになった際、掛けられた言葉はありますか
奥山 古賀監督は下級生の時から自分に多く言ってこなかったということもあり、ないですね。でも、きょねんの副将の松くん(GK松澤香輝、平27スポ卒=現J2ヴィッセル神戸)とかからは副将としての在り方というか、どういう覚悟でやっていたのかというのを聞きました。自分がチームを勝たせるだとか、自分が良いプレーすればチームにつながるだとかそういった考え方というのも話してもらって、そういったことはいまの自分に生きていると思います。自分自身もプレーでチームを引っ張らないといけないと思いますし、そういった意味できょねんの松くんの話というのはとても参考になりました。
――卒業、引退される前からそういった話は結構されていたのですか
奥山 そうですね。洋史くん(近藤洋史氏、平27スポ卒=名古屋グランパスUー18)とも同じ寮だったので話す機会が割と多かったですし、シーズンが終わりに近づくにつれて自分が副将になるなというのはある程度分かっていたので、それに向けて松くんがどういう働きかけをしているのかなというのを見るようにしたり、どういう行動をしているのか、どういう考えでやっているのかというのを見たり聞いたりして自分としての副将像というのを完成しているわけではないですが、確立できたかなとは思います。
――副将に就任することは以前から決まっていたのですか
奥山 そうですね、周りの雰囲気といいますか(笑)。
金澤 もともと政幸もリーダータイプなので、自分たちの代ではまとめる立場にあるのは自分か政幸かなという感じでやってきました。そういうこともあり自ずと自分が主将か副将かという流れ、雰囲気がありました。その自然の流れですね(笑)。
――前主将の近藤洋史氏からアドバイスなどはありましたか
金澤 結局カラーが違うので、同じようにどうやって引っ張っていくかと言っても、洋史君と自分とではまた全然違った風にアプローチをかけて引っ張っていっていると思います。参考にはなる部分があると思いますが、それぞれが積み重ねてきたリーダーシップ像を持っていると思うので、アドバイスなど具体的なものは無かったですね
――ご自身のカラーとはどういったものだと考えていますか
金澤 まあ暑苦しい感じかなとは思うのですが(笑)。周りも自分を頼っていますし、自分も周りに頼っていますし、頼らなければやっていけないなと思っています。自分は不器用な性格ですし、自分でうまく全てをコントロールして回せるような人間であるとも思っていないので、同学年であったり下の学年のリーダーであったりそういった人たちの力を借りながらうまくやっているのかなと思っています。周りをうまく引き込んで、共存し合いながらチームを引っ張っていくタイプかなと。
―主将に就任して日は浅いですが、責任感は芽生えたりしていますか―
金澤 どちらかというと主将になる前提で、なるために下級生の期間を過ごしてきました。そのためそれに対しての覚悟というか決意というか、もともとそういったものを持って1年生の時からこの部に関わってきたので、責任というのは自分の中で固めていました。そういうこともあり、主将になってからのギャップといったものはないですね。純粋に背負うものの大きさというのはありますが、自分が主将になって何か大きなものを感じたというよりは覚悟してきたものなので、そのものに対する抵抗やギャップ程度ですね。
――奥山選手は、主将を務めることになった金澤選手へどういった印象をお持ちですか
奥山 ずっと下級生の頃から自分たちの代は拓真に頼りっぱなしで、依存してる部分が大きかったです。現状もそうかもしれないですが、そうでなく個人個人が4年生、最上級としての自覚というのを持っていかなければならないと思います。逆に彼は責任感が強いタイプなので、色々と全部自分でと抱え込んでしまい悩んだ時期とかもあると思うし、そうなって欲しくないので、拓真がやりたいようにやってもらって、その辺の微調整とかを自分や周りでうまく補っていきたいです。全部拓真に押し付けるのではなく、自分も副将なので拓真とは別のかたちでチームを引っ張らないといけないと思います。学年としても少しでも拓真の負担を減らしていかないといけないかなとは思います。
――お二方の間で主将副将をめぐっての話し合いはありましたか
奥山 主将は拓真だと思っていたので。
金澤 最初の頃とか学年リーダーはどっちがやるかみたいな話したよね。
奥山 俺はそんなのいいよって言ってたね。
金澤 政幸は俺が俺がというようながっつきのある人でもなかったので
奥山 どうぞどうぞって言ってね(笑)
金澤 あざっす!ってね(笑)。
――主将副将が決定してから今後のチームについての話し合いはされましたか
金澤 2人で話し合うこともありますが、やっぱり学年でたくさんミーティングを行いました。1月のオフなんかはどういう方向性でどういうふうにチームをつくっていくかといったことをたくさん話し合いを重ねて固めてからシーズンに入りました。他にも役職はありますし、そういった各分野を通して1つの方向に持って行こうと、最終的な目標はもちろんサッカーで結果を出すことですし、それに向けて頑張っていこうよという話はしました。
――4年生同士で密に話し合う機会は増えているのですか
金澤 寮とかで話すよね
奥山 そうだね、寮に住んでいるというのは大きいですね
――4年生になって変わったなと思う選手はいますか
奥山 いる?
金澤 大きな変化だと・・・どうだかね。めっちゃ変わったというような人はいないですね。多分いないかな
奥山 いないね。
――4年生同士で話し合いをされるときの雰囲気と言うのはいかがですか
奥山 結構、ちゃんと構えて話し合うよね(笑)。
――4年生の代はやはり真面目なのですかね
奥山 でも、ふざける時は結構ふざけるよね(笑)。
金澤 宮本(FW宮本拓弥、スポ4=千葉・流通経大柏)とかがちゃちゃ入れてくるから、雰囲気一転しますね。
「ラストイヤーだからこそ出せる特別なエネルギー」(金澤主将)
ことしに懸ける熱い思いを語った金澤主将
――ここからは個人の話に移っていきたいのですが、奥山選手は全日本大学選抜でこのオフシーズン、スペインや韓国で試合をされていましたがいかがでしたか
奥山 まず、スペインは日本と比べてサッカーが生活の一部というか、サッカーをやっていないような人であっても観ることは当たり前で、習慣になっているのを感じました。バルセロナの試合をスタジアムで見ましたが、9万人近い人が入っていて雰囲気というのもサッカーを知っている感じでした。歓声が上がるタイミングとかが日本とは少し違うのかなと思いました。審判に対する罵声とかも・・・凄いなと思いました(笑)。サッカーをプレーした中では、スペインのサッカーは割とボールを持つというイメージが強かったのですが、バルセロナのBチームと試合をした時、そういう印象だからこそ球際の激しさや攻守の切り替えの早さというのがスペインの特徴の1つなのかなと思いました。ボールを回すということに長けているチームであってもサッカーをやっていく上での基本中の基本というか、ぶれてはいけないところはきちんとされているというのを感じました。タックルとかもすごく深くて激しかったですし、そこで一種のカルチャーショック、日本とのサッカーの違いを感じました。韓国では1試合だけだったのですが、韓国選抜と試合をしました。体格的に韓国の選手は自分たちよりもひと回りふた回りも大きくて、体格の差を感じました。前半は韓国のチームもボールをつないでくるプレーだったのですが、前半を1-0で日本が勝って折り返したら、FWに大きい選手を2枚くらい入れてきて、そこにボールを放り込まれてしまいました。そこで自分たちが受け身になってしまったというか、そういったところで勝てなくなって2失点してしまったと思うので体格は負けているのかなと感じます。ユニバは本大会も韓国でやるということで、1つのシミュレーションとしては自分たちのためになったのかなとは思います。結果は負けてしまい、日本代表として戦った中でその結果は悔しいですし、責任を感じています。勝ちたかったなというのが正直なところです。
――ユニバーシアードメンバー入りも期待されていますが、そのことについて
奥山 いままで全日本大学選抜の立ち上げから、長くメンバーに選んでいただきました。最終的な目標はユニバーシアードで金メダルを獲ることです。一応、その選抜の中でも副将というかたちでチームに関わらせていただいていることもあり、金メダルを獲ることが1つの使命だと感じています。今回のスペイン遠征や韓国での試合もお金が掛かる話であって、それが多くの方の支援によって成り立っているということ、自分たちにお金を投資してくれていることを考えると期待に応えなければと思いますし、その責任を果たしたいなと強く感じるようになりました。
――ユニバーシアードというと先日の代表戦でも室井成選手が出場していたと思いますが、奥山選手も刺激を受けますか
奥山 そうですね。もちろんチャンスがあれば上へは行きたいですし、上を見なくなったらサッカー選手として終わりだと思います。常に上だけを見て、そして上には上がいると思うので、自分自身ももっと高いレベルでプレーできる選手になりたいと思いますし、それがワセダとしてもチームにとってもプラスになるのかなと思います。
――一方で、金澤選手は関東選抜Aに選出されましたが、得られたことはありましたか
金澤 選抜の選手たちの特徴というか、それぞれの持っている強みというのは圧倒的なものはありましたが、それはそれでワセダの選手がチームとして大事にしている切り替えだったり、球上げだったり、運動量であったり、個々の持っている強みというのは間違いなく選抜選手に劣らないと思いました。それをどれだけチームと合わせながら表現できるかというところなのかなと。合宿が終わって選抜のチームから離れる際に関東選抜の神川明彦監督(現明大監督)にも、何故ワセダが選ばれる人数が少ないのかということを聞いたのですが、その時に言われたのは、チームとしての完成度や方向性が定まってはいると思うが、そこで個がどんな働きをしているかという色がすごく薄いと言われました。そういう事を言われて自分のコーチングであったり、純平(DF新井純平、スポ3=浦和レッズユース)のオーバーラップ、攻撃参加であったりそういった特徴が評価されて選ばれました。それ以外の選手を見たときにその個の特徴が見えてこないという話でした。自分が深く関わってみている選手たちなのでそういった個人の特徴をよくわかっていますし、強みも分かっていますが、それが対外的に見たときになかなか発揮されていないのが今のワセダの現状なのかなと思いました。そういったことはオフシーズンに自分からも伝えましたし、実際に神川監督もどれだけ個を強く出すのかというのをことしのテーマとしてやっているということでした。そういったものが今週末の公式戦という舞台で表現できたらなと思います。また他の人から見ても目に映るような結果になったら良いなとは思っています。
――島原遠征もありましたが、ワセダのAチームは3位という結果に終わりました。新体制になってチームの雰囲気はいかがですか
金澤 島原は先ほどお伝えしたように自分たちの強みというか自分たちの表現したいものが表現できた遠征だったと同時にカベも多く見つかった遠征でした。準決勝での鹿屋体大戦(●0-3)や、その後の早関定期戦など自分たちの強みが表現できた反面、弱みや課題も見えた遠征になったと思うので、そこをきっかけにまた一つ上に進めたのかなと思います。また、下級生が積極的にチームに関わってきてくれるようになりました。特に3年生が夜のミーティングの場でどんどん発言して自分の方向性を定めようとしてくれたり、それぞれの考えをどんどんチームに発信してくれたり、そういう姿勢が見られました。自分が下級生だったころを振り返ったときに、4年生が方向性を定めてどんどん推し進めてくれたのに対して自分たちはなかなかそういったところに力を注ぐことができませんでした。だから、そういった意味ではことしは下の学年のエネルギーなど、そういったものが見られるかなと思います。そういう部分がチームの前進へとつながってきたと思うので、それが結果につながればいいなと思います。昨年との違いとしてはそういった面があるかなと思います。
――スタートの時点から勢いが出てきているということですか
金澤 結構決意を固めて3年生もシーズンに入ってきてくれていたみたいなので。ことしは自分たちが背負うんだくらいの気持ちを持っていると口でも言ってくれていました。特にAチームにいる人間はピッチ内での行動でそれを示してくれているかなと思います。
――奥山選手はいかがですか
奥山 ・・・はい(笑)。
金澤 ごめんね、たくさん喋って(笑)。
奥山 ほとんど言われてしまったんですけど(笑)。
一同 (笑)。
奥山 でも本当に拓真が言ったように3年生の突き上げというか覚悟が決まっているなというのをすごく感じるプレーぶりが見られます。あと、プレー以外のピッチ外であっても責任感が出てきたなというのを強く感じています。でも逆にそこと比較するといまの4年生はどうなのかなというのを単純に感じますね。やっぱりワセダって割と4年生のチームだと思うので、そういう中でもっともっと4年生が輝くというか自分の色を出せるチームになっていければいいなと。4年と3年で競い合うような形で高めていければおのずと下の学年も俺らの背中を見て学んでくれるという部分もあるも思うので。現状は多分3年生の方がエネルギーがあるというか勢いを持っていると思うのでそこに負けずに4年がいかに力を出せるかというのが今後の課題かなと感じています。
――2年生以下の下級生とのコミュニケーションというのはいかがですか
金澤 自分はことしそういったところに力を注いでいきたいなと思っています。今まで4年生が全てを仕切って引っ張っていた面があったと思うので、実際にチームの成長やチームのエネルギーを考えたときにどうしても一人一人に頼らなければいけない部分はあると思うので、いかに下の学年が同じような熱量を持ってそこに力を注げるかというのが必要だと思っていました。なので、学年としてそういうところは引き出していこう、役職に就く人間もチームとしての一体感や個々人がエネルギーを発揮できるような関わり方を意識してやっていこうというふうにはしていたので、そういった意味では例年以上に2年生を含めてピッチ内以外でのエネルギーや関わりが増えたかなと思います。
――新入生の印象はいかがですか
金澤 すごく能力のある子たちです。カラーとしては少し静かかなと感じますね。淡々と自分のことをやるのですが、反面自分の中で留めている面はあるかなと思います。まあ、自分自身の印象ですが。そのためもっともっと周りに対して影響を及ぼせるようなエネルギーや発言が出てくるとよりチームにとってプラスになる子たちだと思うので、自分の中に留まらず、もっと外の人間を巻き込むくらいのものをやってくれたらすごく良い学年になるのではないかなと思います
――ピッチ内外で後輩に望むことはありますか
奥山 自由にと言ったら言い方が悪いかもしれませんが、好きなようにというかそこまで考え過ぎずにしてほしいですね。そういうところは4年がやるところだと思うので、自分の力を最大限に出してほしい、やりたいことをやってほしいというのはあります。まあ、最低限のことはやってほしいですけど、好きなようにやれる環境を俺らがつくれたらいいのかなというのはあります。
金澤 チームのことを考えるのは最悪4年がやればいいかなと自分も思っているので。例えばそういう微調整やコントロールという面ですね。なので、下級生は本当に自分が試合に出たいとか、上に行きたいとか、そういう野心的なものをピッチの内外で表現してくれればいいし、もしその方向性が間違ってしまったり逸れたりすることがあればそれを4年生が正してあげればいいだけで、個々人が思い描くようなものをどんどん表現していってほしいです。殻にこもらずに思っていることややりたいことがあるなら、それをどんどんやってくれれば、それがおのずとチームにとってプラスになるのかなと思うので、そういったものを包み隠さず表現できてくれればいいかなと思います。
――ことし戦っていく上で、チームとしてのスローガンやテーマはありますか
金澤 そう言っちゃうと、常に『WASEDA The 1st』ですよね(笑)。
――一番大きな軸ですよね
金澤 そうですね。自分の在籍している4年間は少なからずずっとそれをぶれない軸としてきたので。
――個人的に自分たちの代はこうしていこうというテーマなどはありますか
金澤 テーマか…、難しいな。
奥山 なんだろうね(笑)。
――はっきりしたものはなくても同じ方向を向いているという感じですかね
金澤 それに近い感じかな。明確なこれというものはないかもしれませんね。やっぱり、『WASEDA The 1st』ですよね(笑)。
――4年生にとってはこの1年がラストイヤーとなりますが、それに関して同期同士で話したりしますか
金澤 政幸が先ほども言ったようにラストイヤーだからこそ出せる特別なエネルギーもあると思います。実際にそれを一人一人が発揮して初めてチームとしてのスタートになるかなと思っているので、そういった意味では下級生の方がエネルギーがあるといういまの現状はまだまだ自分たちが目標としているところに到達できるような状態ではないです。いかに早い段階で一人一人がそこに対して本気になれるかというのが必要だと思っているので。そういった話し合いは実際に1月の時点で出ていたのですが、実際にいまの現状を振り返ればそこに対してやり切れていない人間は間違いなくいるので、そういった人間が変わって結果的に全員が変われるかが自分たちの目標達成につながるのでそういったところを追求していかなければならないなと思います。
「このオフシーズンで積み上げてきたものを発揮するしか自分たちには道はない 」(奥山副将)
――初戦は国士舘大ですが
金澤 あまり相手は意識していないです。常にそうなのですが、相手がどうこうで戦い方を変えたり何か考え方を変えたりはしないので。どういう相手であっても、どうやって自分たちの全てを出して勝利をつかむかということだけを考えてやっています。今まで2ヶ月間積み上げてきたものの成果が出る試合が初戦です。実際自分たちもそこに積み上げてきた自信というものはあるので、その積み重ねを証明できるような自分たちの取り組みが正しかったと言えるような内容や結果を求めて行きたいと思います。残りまだ数日あるのでもう一度そこでしっかりと準備してやっていきたいと思います。
――奥山選手はどういったことを意識して初戦に挑みたいですか
奥山 まだ開幕するという実感が湧かないというのが正直なところなのですが、拓真が言っていたように特別なことをするというわけじゃないと思います。このオフシーズンで積み上げてきたものを発揮するしか自分たちには道はないので。特別急に何かできるようになるわけでもないと思うし、自分たちもラストイヤーで1回も優勝を経験したことがないですし、専大に5連覇させるわけにもいかないですし。今までの歴代のOBの畑尾くん(DF畑尾大翔、平25スポ卒=現J1ヴァンフォーレ甲府)とかの代や上の代の人たちはみんな自分たちに期待してくれてるというのをすごく感じるので、その期待に応えたいなというのが自分の気持ちの中では一番強い部分ですかね。
――昨年のチームとの違いを見せるならここだという具体的なものはありますか
金澤 どうだろうね(笑)。
奥山 やってみてどうなるかっていうところがあるので(笑)。
――アグレッシブさという面では去年より強くなったのではないですか
金澤 そうですね。まず見ていただきたいのはそういう部分ですね。ボールを奪いに行くのと、ゴールに向かうという意味ではそこのアグレッシブさっていうのがチームとして積み重ねてきた視点の一つなので。そういった躍動感のあるサッカーができればいいかなと思っているので注目して見ていただきたいなと思います。あと速さを追求してきた中で個々人の強みっていうのを表現していきたいという話をずっとしてきました。いままではチームとしての強みをどれだけ表現できるかというところでしたが、そこにいる11人のそれぞれにどういう特徴があってどういうことを表現しているかというか、そういったところも見ていただければなと思います。
――奥山選手はいかがですか
奥山 まあ、そうですね・・・。躍動感、ですね(笑)。
金澤 一言で言うとね(笑)。
一同 (笑)。
――新しくチャレンジしていることはありますか
金澤 引き出しは増やしたいなと思っています。いままでそれこそ引いた相手をどうやって崩すかとかそういうのもあったので、ボール動かすのに慣れたり、単純にもう少し質の面でこだわったりしました。具体的に、というよりは、一人一人の個人としての質を上げることだったり、少しバランスをとってみたりとかそういうのもやってみたことはありましたね。実際にそれを試合でどういうふうに表現できるかは自分たちもやってみないと分からないですが、そういったことにオフシーズンは向き合って話し合いなどはしてきました。なので、もしそういったシーンが得点につながったりしたら、一つ自分たちの成果として証明できるところなのかなと思います。
――リーグ戦が開幕するにあたり監督からお言葉などをいただいたりしたのでしょうか
金澤 あったっけ?
奥山 まだないかな。
金澤 試合直前かもしれませんね。
奥山 言われるのは直前かな(笑)。
金澤 試合後にもう一度質問してもらえればきっと答えられます(笑)。
一同 (笑)。
――気になる大学や選手はいらっしゃいますか
金澤 自分は明大が気になります。全日本大学選抜に選ばれる選手がたくさんいますし。特に自分たちと同期の代は下級生のころからずっと公式戦に出てるような代なので、そういった意味では明大の力というかそういうものを感じます。実際に合同キャンプをしたり、関係性もありますので、明大に勝ちたい、明大を上回りたいという気持ちはありますね。だから明大との対戦を自分は楽しみにしています。あとはマリノスユースのときの同期たちとの対戦です。こいつっていうのはないですが、同期も何人かいるのでそういった選手との対戦を楽しみにしています。
奥山 僕も明大と専大はやっぱり気になります。多分ここ4年間で一番泣かされてきた相手、勝ち切れない相手だったのでそこを倒していくことがいままでのチームとは違うんだぞという証明になると思います。両チームとも個の強いチームで負けたくないですし、全日本大学選抜でやっているような選手も多くいます。だから、そういう選抜で会ったときに負けてたら悔しいというか、良い顔されたくないというか(笑)。やっぱりその2チームは関東大学リーグ戦(リーグ戦)を優勝するために越えなければいけないカベでもあると思うので、それは古賀監督からもチームを立ち上げるときに「この2チームを倒さなければ優勝はない」ということを言われたのでその2チームに関しては何が何でも勝ちたいですね。
――新チームとなり、新しいメンバーもチームに加わったと思いますが、ワセダ内でキーとなる選手は誰だと思いますか
金澤 すごい期待しているというか、自分が楽しみにしているのはFW小林大地(スポ3=千葉・流通経大柏)という選手です。いままでワセダに足りなかった部分を強みとして持っている選手なので。いま実際にトップチームにいて試合に出る可能性も高いですし、そういった選手が新たなアクセントとして力を発揮してくれるんじゃないかなと、新しい風を吹かせてくれるのではないかなと期待しています。だから彼の活躍は個人的に楽しみにしています。
奥山 自分も大地には期待しています。でも先に言われましたね(笑)。僕はボランチを一緒に組んでいる平澤(DF平澤俊輔、スポ3=JFAアカデミー福島)っていう選手です。すごくワセダらしい選手というか。
金澤 自分も迷ったからね、どっちにするか(笑)。
奥山 そうだね。いまこの二人が旬な感じだよね。そんな中でもやっぱり平澤は気が利くというか、攻撃でも守備でもいて欲しいところにいてくれるというか、運動量もすごく多いですし、本当に周りがよく見えているんだなと感じます。あとは、GKの後藤(GK後藤雅明、スポ3=東京・国学院久我山)と岸波(GK岸浪卓志、社3=東京・早実)ですね。今まで松くんがずっとやっていたポジションなのですが、いま二人ともワセダのゴールを守るためすごく努力していますし、本当に責任感も強い選手たちなのでそういった選手が初めて立つ関東のピッチでどういうプレーをしてくれるのかなというのはすごく楽しみな部分でもあります。
――平澤選手はきょねんと少しポジションが変わったと思いますが、印象はいかがですか
奥山 どうだろう…。ボランチが一番生き生きしてる(笑)。
一同 本人もボランチをやりたいみたいなので。もともと攻撃面も強みとして持った選手なので、彼の推進力や運動量だったり、基本的な技術の高さだったり、そういうのがすごくボランチのポジションでも発揮されているのかなと思います。楽しそうですよ(笑)。
――最後にリーグ戦に向けての目標や意気込みをお聞かせ下さい
金澤 チームとして絶対優勝しかないですし、19年ぶりのリーグ戦優勝を一番の目標として、そこに向かってやっていきたいなと思っています。個人的にはしっかり全試合出場してチームを引っ張りたいです。数字という面では守備者としてどの大学よりも最少失点で抑えたいという目標を持って1年間戦いたいと思っています。
奥山 優勝だけが自分たちに求められる結果だと思いますし、自分たち自身も一番優勝を欲していると思います。そのためにも一戦一戦勝たなければならないと思うので、まずは初戦に向けてしっかりと良い準備をしていきたいと思っています。個人的には拓真が言ったようにワセダの守備の強さを見せ、最少失点でシーズンを終えられたらいいなというのがあります。お互いCBを組む中で俺らがワセダの象徴じゃないですけど、それくらいのコンビになっていけたらいいなかなというふうに思っています。あとはリーグ戦で点を取ったことがないので(笑)。ことしこそ、取りたいと思います!
――ありがとうございました!
(取材・編集 高柳龍太郎、中澤奈々、松本理沙)
◆奥山政幸(おくやま・まさゆき)(※写真左)
1993(平5)年7月23日生まれ。身長173センチ、体重69キロ。名古屋グランパスU-18出身、スポーツ科学部4年。実はリーグ戦で得点を取ったことがないと語った奥山選手。「ことしは一皮むけます(笑)」と笑顔で答えてくださいました。守備はもちろん、積極的な攻撃参加にも注目してみてください!
◆金澤拓真(かなざわ・たくま)
1993(平5)年5月3日生まれ。身長173センチ、体重72キロ。横浜F・マリノスユース出身、スポーツ科学部4年。主将でありながら守備の要も担う金澤選手。期待も責任もすべてを自分の糧にして戦い抜こうという強い決意が感じられました。ことしのワセダをけん引するのは間違いなくこの男だ!