後期リーグ戦展望

　ついに９月５日、関東大学リーグ戦（リーグ戦）後期が開幕する。夏を越えてどのチームもより完成度を高めてくることが予想される中、前期を４位と上位で折り返したワセダも、後期はよりいっそう厳しい戦いを強いられることになるだろう。優勝を目指すワセダにとって、これからはまさしく『勝負の秋』。真価が問われるシーズンになりそうだ。

　 高い位置からの連動したプレスと、ボールを奪ってから素早く相手ゴールに迫るショートカウンターこそ、古賀聡監督（平４教卒＝東京・早実）率いるワセダのサッカーである。とりわけその古賀サッカーを色濃く体現するのが、ＦＷ山内寛史（商３＝東京・国学院久我山）だ。圧倒的な運動量を誇り、献身的な守備や球際の強さを武器に最前線で体を張ってきた。同じポジションでコンビを組むＦＷ宮本拓弥（スポ４＝千葉・流通経大柏）との関係性も良く、この２人が前期からの課題である「追加点」を克服するカギを握るだろう。さらに、この夏強化を目指した「縦への推進力」という点では、ＭＦ堀田稜（商４＝浦和レッズユース）とＭＦ田中太郎（商４＝静岡・藤枝東）の両翼はもちろん、攻撃のスイッチを入れるパスを放つＭＦ小林大地（スポ３＝千葉・流通経大柏）にも注目だ。

天皇杯東京都予選では４試合連続ゴールを決めた山内

　ワセダのスタイルに欠かせない、組織的かつ堅固な守備を支えるのはセンターバックを担うＤＦ金澤拓真主将（スポ４＝横浜Ｆ・マリノスユース）とＤＦ奥山政幸副将（スポ４＝名古屋グランパスＵ－１８）だ。的確な指示と優れた危機察知能力を強みに鉄壁の最終ラインを形成し、前期の失点数は１１でリーグ３位。その守備力はリーグ屈指と言えるだろう。しかし一方で、天皇杯東京都予選の決勝（ＦＣ町田ゼルビア戦、●１－２）でも見られたように、セットプレーがウィークポイントなのも事実。マークの技術も含め、より安定性を向上させることが後期を勝ち抜くために必要となるはずだ。

強い指示でチームを引っ張る金澤主将

　最初の山場になるのは、開幕戦である専大戦、明大戦、さらには前期に大敗を喫した中大戦の３連戦だ。その中でも初戦が、今後の流れをつくる大事な一戦となるだろう。専大はこれまで４年間勝利が無い相性の悪い相手ではあるが、ここで勝ち点３を積み重ねられれば大きな波を生むことは間違いない。そして前期に見せ付けたエンジイレブンの爆発力を再び発揮できれば、連勝につながるはずだ。１９年ぶりの関東王者へ――。いざ、決戦の時。

（記事　佐藤凌輔、写真　高柳龍太郎、松本理沙）