ユニオンドリームチャレンジカップ2014、2日目。初戦で産能大に敗戦(●2―3産能大)したワセダは、第2試合、中京大と対戦した。試合は序盤から相手ペースで進む。耐え凌ぎ続けるワセダは失点こそしないが、得点を奪うことができない。終盤、流れをつかみ最後の猛攻を仕掛けるものの、0―0のスコアレスドローで試合を終えた。
対戦相手の中京大は昨年の総理大臣杯全日本大学トーナメントで涙をのんだ因縁の相手。雪辱を果たすべく臨んだワセダであったが、開始3分、相手の豪快なミドルシュートを皮切りに、立ち上がりは中京大ペースとなる。その後もセカンドボールを支配されポゼッションを上げられない苦しい展開の中、7分、DF平澤俊輔(スポ2=JFAアカデミー福島)のバックパスを自陣PA内でカットされ、あわや先制のピンチを迎える。しかし、相手が放ったシュートはポストの右へ。運を味方につけこのピンチを凌ぐが、その後もカウンターで2対3の状況をつくられるなど、劣勢を覆すことができない。攻めては15分、ボランチのMF佐藤飛天(スポ2=清水エスパルスユース)、MF近藤貴司(教4=三菱養和SCユース)とつないだボールに右サイドに走り込んだDF西山航平(スポ3=浦和レッズユース)が反応するも、シュートは力なくGKの正面へ。前半、ワセダが放った枠内シュートはこの1本に留まり、0―0で試合を折り返した。
最後までゴールにカギをかけた松澤副将
主導権を握りたい後半であったが、開始早々にピンチを迎える。CKから立て続けにフリーでシュートを打たれるも、これをGK松澤香輝副将(スポ4=千葉・流通経大柏)が体を張ったセーブで凌ぎ、ゴールラインを割らせない。前半は決定的なチャンスをつくることができなかったオフェンスだが、53分、第1試合にも先発出場したMF堀田稜(商3=浦和レッズユース)が投入されると、ディフェンス陣の奮闘に応えるように怒涛(どとう)の攻撃を仕掛け始める。64分、堀田の左サイドからのクロスボールのこぼれ球を近藤貴がつなぎ、佐藤に狙い澄ました縦パス。ボールを受けた佐藤が左サイドに展開し、ここに走り込んだ堀田がダイレクトシュートを放つが、ボールは惜しくもクロスバーを越え決定機を逃す。その直後、相手CKからカウンターを仕掛けたが、FW上形洋介(スポ4=東京・早実)のラストパスはゴールラインを割り、フィニッシュまで持ち込むことができない。終盤になってようやく攻撃のリズムをつかみだしたワセダ。しかし状況を打開する1点が遠い。後半ロスタイム、PA内で平澤が倒されPKのチャンスかと思われたが、審判の笛は無情にも鳴らず。0―0のスコアレスドローで試合を終えた。
パスの潤滑油となった佐藤
この引き分けによってグループリーグの最終成績は2位となったが、まだ優勝の可能性は残されている。あすからはトーナメント形式の順位決定戦に臨む。「いかに相手が整う前に攻められるか」(近藤貴)。ワセダらしい能動的な守備からの連動した攻撃が勝利のカギとなる。きょう浮き彫りになった課題を修正し、次戦こそ白星を期待したいところだ。
(記事 巌千咲、写真 辛嶋寛文)
スターティングメンバ―
ユニオンカップ第4試合 | ||||
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早大 | 0 | 0-0 0-0 |
0 | 中京大 |
【得点者】 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | ◎1 | 松澤香輝 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
DF | 13 | 西山航平 | スポ3 | 浦和レッズユース |
DF | →45 | 永井あとむ | スポ4 | FC東京U-18 |
DF | 3 | 田中進之介 | スポ4 | 湘南ベルマーレユース |
DF | 4 | 金澤拓真 | スポ3 | 横浜F・マリノスユース |
DF | 18 | 平澤俊輔 | スポ2 | JFAアカデミー福島 |
MF | 15 | 秋山陽介 | スポ1 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 17 | 佐藤飛天 | スポ2 | 清水エスパルスユース |
MF | 7 | 近藤貴司 | 教4 | 三菱養和SCユース |
MF | 25 | 小長谷勇太 | 人2 | 静岡・清水東 |
MF | →51 | 堀田稜 | 商3 | 浦和レッズユース |
FW | 14 | 山内寛史 | 商2 | 東京・国学院久我山 |
FW | 11 | 上形洋介 | スポ4 | 東京・早実 |
◎はゲームキャプテン 監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
コメント
GK松澤香輝副将(スポ4=千葉・流通経大柏)
――きょうの試合結果についての感想をお願いします
久しぶりに無失点に抑えることができたのは良かったのですが、勝ち切れなかったのは非常に残念です。
――得点がとれなかった要因は何ですか
奪ってからの速さを出した攻撃の質が低いうえ、ゴール前で確実に決め切る力が足りなかったと思います。
――攻められるシーンが目立ちましたが、その原因は何ですか
相手はポゼッションのうまいチームで、そういった状況の中で少しずつ隙が生まれてしまいました。プレッシャーを掛けることはできたのですが、なかなかボールを奪い切ることができず、サイドからチャンスをつくられ、中盤でフリーな選手ができてしまったことが相手に攻められた原因だと思います。
――チームに足りなかったことや、次の試合まで改善していきたいことは
ありますか
守備においては個人の力でボールを奪い切る力や、攻撃においては決定的な場面でしっかりと決め切る力を一人一人がつけていかなければならないと思います。
――シュートを止めるシーンが何度もありましたが、ご自身のプレーを評価してみていかがですか
きのう自分のミスから失点していたので、きょうの試合で取り返すという気持ちで臨みました。その中でチームを救って無失点に抑えることができたので、そういった意味では良かったのではないかなと思います。
――個人的な反省点はありますか
CKでクロスに対して自分が出ていったのに触れられなかったり、後ろから的確なコーチングをしてDFを動かすことがまだまだできていないのでそこが反省点です。
――次の試合に向けて意気込みをお願いします
この大会は本気で優勝を目指してやっていますし、その中で日々成長していかなければいけないので、プレッシャーのかかる試合に勝って多くのものを得られるように頑張りたいと思います。
MF近藤貴司(教4=三菱養和SCユース)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
守備の部分ではチームとして手応えを感じる部分もありましたが、結果的に勝つことができなかったので悔しいです。
――相手に攻め込まれる時間帯はどんなことを意識しましたか
ボールを奪った後に速く攻めなければ相手にブロックを作られてしまうので、どこにスペースが空いてるのか考えていました。
――積極的なドリブルで仕掛けるシーンもありましたがご自身のプレーはいかがでしたか
自分がドリブルで前に運ぶことでチームとして助かる部分もあると思います。その中で一度、山内(FW寛史=東京・国学院久我山)と良い関係からチャンスをつくれたんですが、自分のミスでシュートまでいけなかったのでそこは悔やんでいるシーンです。
――チームとして点が取れなかった原因をどのようにとらえていますか
後半は何度か早いタイミングで攻撃ができていたと思いますが、やはり相手にブロックを作られると厳しいと思っています。いかに相手が整う前に攻められるかっていうところで、うまくいかずに点を決められなかったと思っています。
――改善点としては具体的にいかがですか
守備のところから攻撃に移る際の一本目のパスであったり、奪い切れそうになって前に出ていこうとしてる中で相手にわたってしまって攻撃に転じられない場面が多々あったので、守備から攻撃に転じる早さを出す際のところを改善していきたいです。
――最後に今大会の目標と関東大学リーグ戦までの課題を教えてください
今大会はもちろん優勝だけを目指してやっているので、全員でタイトルを勝ち取りたいです。関東大学リーグ戦に向けて、もう一度守備の部分と向き合っていますが、例年後期になると攻撃のところでも課題が出ていてしまうので、攻守両面高められるようにやっていきたいです。
DF田中進之介(スポ4=湘南ベルマーレユース)
――引き分けという結果について、率直な感想は
グループリーグを首位通過するためにも、勝利が必要でした。そのため、引き分けはチームが欲していた結果ではありませんでした。
序盤から押し込まれる展開が続いていましたが、ディフェンスとしてどんなことを意識していましたか
ボールを奪った後、うまく攻撃につなげることができなかったために、相手に押し込まれたと考えています。そのなかで、相手に良いところから良い状態でシュートを打たせないために、ファーストディフェンダーの決定、そのカバーを徹底することを意識しました。
相手の選手がシュートシーンでがフリーになっている場面が多々ありましたが、それについては振り返っていかがですか
自分達の目指す守備ができなかったために、決定的な仕事をする選手がフリーになってしまったと考えています。
一対一の場面では、スピードのある相手と当たることが多かったですが、一対一の場面での反省点や収穫はありますか
きょうの試合を無失点で終えられたことが収穫だと思います。反省点は、個の力でゴールを守る、ボールを奪うというところでよりチームに貢献しなければならないと感じました。
右SBがDF西山航平(スポ3=浦和レッズユース)選手からDF永井あとむ(スポ4=FC東京U-18)選手に代わりましたが、連携はいかがでしたか
よかったと思います。選手が変わったからと言って、チーム力が弱まるようでは関東制覇できないと全体で共有して、夏のトレーニングを重ねてきました。その一つの成果だと思います。
あすに向けて、チーム全体としてプラスの要素はありましたか
チームで確認してきたことがかたちになり始めてきたところがあります。しかし、いまの成長率では関東制覇はできないので、個人、チームとして成長していきたいです。
きょうの試合のチームとしての課題を挙げるとしたらどこですか
奪ったボールを攻撃につなげられないことが課題でした。自分自身もインターセプトから攻撃の起点になることでそのことに貢献しようとしているのですが、きょうの試合ではうまくいきませんでした。
あすに向けて意気込みをお願いします
WASEDA THE 1stを掲げている以上、優勝しか目指していません。そのために、目の前の1試合を全力で取り組みたいと思います。
DF金澤拓真(スポ3=横浜F・マリノスユース)
――試合を終えて全体の感想をお願いします
相手の攻撃の質や守備での帰陣の速さといった点や上位トーナメントが懸ったプレッシャーのある試合という点で、公式戦に近いリアリティのある試合だったと思います。
――無失点ながら相手の攻撃に苦しんだ守備を振り返っていかがですか
一番怖い裏のスペースを使われることは少なかった中でもDFとボランチの中間やバイタルエリアで前を向かれる回数が非常に多かったと思います。そういったエリアで自由にさせてしまったことが苦戦を強いられた要因だと思います。
――ボールを奪った後、パスミスなどで攻撃につなげられず再びボールを失う場面が多く見られました。その点を振り返っていかがですか
守備でコンパクトにしているため、奪ったときには味方も相手も近い距離にいる状況が多い中で、前後の深さや左右の幅をサポートの選手がポジションをとること、奪った選手が広く、深く見ることや前にボールを押し進めることなどが必要だと思います
――この大会での目標と抱負をお願いします。
.チームとしての目標は優勝です。その目標を達成するために自分自身、無失点試合にこだわってやっていきたいです。
MF佐藤飛天(スポ2=清水エスパルスユース)
――試合を振り返って
相手にボールを回される場面が多くて、高い位置でボールを奪うことができませんでした。ディフェンスラインや中盤でボールを奪っていた場面もあったのですが、それをうまく前線につなげられなくて、すぐにボールを失って自分たちで苦しくしてしまったゲームでした。
――MF秋山陽介(スポ1=千葉・流通経大柏)選手と組んだボランチでしたがいかがでしたか
陽介に限らずどの人とやっても二人のポジショニングや位置関係、距離感を意識してやってました。
――前半から相手に押し込まれた要因は
ボールを奪う回数も多くなかったですし、奪ったボールを前線につなげず、またすぐにボールを失ってしまって守備に回る時間がとても多かったからだと思います。
――ミドルシュートを打たれる場面が多かったですが振り返って
.ゴール前で陽介や自分が押し下げられてミドルレンジが空いてしまい、そこを使われてしまいました。もっとポジション修正が必要でした。
――パスを受けては散らす動きが多かったですが、個人のプレーの手応えは
.まだまだパスミスも多いですし、守備、攻撃両面で課題が多くあります。攻守両面でもっと力をつけないといけないなと思いました。
――後半に向けた修正点は
.前半は自分が出たスペースを使われることが多かったので、そこを使われないよう改善しようとしました。ポジショニングと相手へのプレッシャーの行き方の修正です。
――無得点でしたが攻撃面での課題は
.サイドバックやボランチが攻撃参加して厚みのある攻撃をしなければいけないなと思いました。決定的な場面はそんなにありませんでしたが、そこで決め切れるかどうかが勝負だと思います。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
.勝ちしか許されない試合が続くので、価値にこだわって戦います。自分の課題と向き合ってチャレンジしていきます。
DF平澤俊輔(スポ2=JFAアカデミー福島)
――スコアレスドローに終わりましたが内容を振り返っていかがですか
きのう挙がった課題を全員で共有し、その課題に対してチャレンジしていくという姿勢で臨んだ試合でした。その中で守備面での背後への動きや背後へのボールやギャップに入った時の対応という課題は少しずつですが改善されてきていると思います。ただ攻撃に関しては全然かたちになっていないですし、決定機になっても決め切れていないのでもっと課題意識を持って取り組まないといけないと感じた試合でした。
――序盤から猛攻を許してしまった要因は何でしょうか
ボールを動かしてくる相手に対してオンとオフを決め続けるという課題が続いてる中で、この課題は少しずつ改善してきてはいるのですが、ボールを奪った後に攻撃につなげることができなかったので、相手に優位を与えてしまったと思います。
――枠内シュートが少ないようでしたが、攻撃面に関してはどう感じていますか
攻撃に関しては、奪った後にボール保持者だけでなく周りのプレーヤーの関係性がうまくいっていないからなかなか攻撃につながらないと思いました。ポジション関係なく関わって後ろからでも押し上げていかないと攻撃に厚みが加わらないと思いました。
――個人としてはケガから復帰して初の大会となりますが調子はいかがですか
合宿からいい状態というのは続いていると個人的には思っているので、日々自分に起こる課題に向き合って、さらに成長して後期開幕を迎えられるようにしていきたいです。
――ここまでで夏合宿の成果は現れていますか
夏合宿では走り切ったり、相手に走り勝つためのメニューが多く組み込まれていました。この大会中、その成果というものは自分自身現れていると思います。後半相手の足が止まった中で押し込めていると思いますし、相手より走れていると思います。ただ、それを勝利に結び付けなくてはならないと思うので、もっと勝つために走るというのを惜しみなくやっていきたいです。
――あしたの試合へ向けての意気込みをお願いします
この大会は優勝するために来たので、日々の課題にチャレンジして、次の試合も勝てるようにいい準備していきたいと思います。
FW山内寛史(商2=東京・国学院久我山)
――0-0という結果についてはどう捉えていますか
FWとしていま遠征でまだ1得点も奪えていないというのは明らかな課題なので、0-0という結果は自分の責任が大きいと思っています。
――FWとして無得点に終わってしまったことについてはどう思いますか
きょうの試合ではチャンスらしいチャンスをつくり出せなかったのも得点を奪えなかった要因の一つだと思います。奪ったボールを簡単に失ったり、速さを出したカウンターができていませんでした。
――チームの守備に関しては0点に抑えたという結果からみていかがですか
無得点試合が最近なかったので、その点に関してはよかったと思います。
――この試合で新たに見つかった課題はありますか
ボランチをケアしつつ、いつボールを奪いにいくかが新たな課題です。
――今後に向けての意気込みをお願いします
自分でも得点を取りチームを優勝へと前進させたいです。