ユニオンドリームチャレンジカップ2014の初日。ワセダは第2戦で桃山学院大と対戦した。試合の主導権を握られてしまった前半27分、CKからDF金澤拓真(スポ3=横浜F・マリノスユース)が押し込みなんとか先制に成功する。後半になって徐々に自分たちのペースをつかみ始めたワセダであったが59分にミスから失点してしまう。それでも追いついた相手が再び勢いづく中で試合終了間際、72分にFW上形洋介(スポ4=東京・早実)の劇的なゴールで勝利をおさめた。
MF近藤洋史主将(スポ4=名古屋グランパスU-18)など主力を数人欠いたワセダは前半、相手の巧みなパス回しに翻弄されてしまう。ワセダは中盤でボールを奪われ、そこから出される正確な縦パスをDFラインの裏に通されるなど何度もピンチを迎えてしまう。攻撃に関してもなかなか糸口を見出せずに相手の守備陣を崩せずにいた。迎えた27分、CKからFW山内寛史(商2=東京・国学院久我山)がニアサイドにボールを蹴りこむと、これをDF金澤拓真(スポ3=横浜F・マリノスユース)が頭で合わせ先制に成功する。その後も相手のペースで試合が進むがなんとか1点を守り切り前半を折り返した。
プレーと声でチームを引っ張った金澤
後半になると相手選手の運動量が落ちはじめ、ワセダが徐々に自分たちのペースを掴みだす。51分にはMF近藤貴司(教4=三菱養和SCユース)が右サイドから中央にドリブルで切り込みシュートを放つも相手GKに弾かれてしまい、そのこぼれ球にFW山内寛史が反応しシュートをするが惜しくもポストに阻まれる。流れは完全にワセダにあった。しかし59分に自分たちの安易な連携ミスから失点してしまう。これに勢いづいた相手は再びパスをつなぎながらゴール前へと攻め込んでくる。守備陣を中心に相手の猛攻をしのぎながらゴールを目指すが、果敢にプレスをかけてくる相手に対応できずにいた。だが迎えた試合終了間際の72分、DF平澤俊輔(スポ2=JFAアカデミー福島)が最終ラインから放ったロングボールを前線で受けたFW上形洋介が、DFにブロックされかけたところを粘ってシュートしゴールネットを揺らす。この劇的な1点で勝ち越したワセダがそのまま試合を終わらせた。
劇的ゴールを決めた上形
「攻守の切り替えが相手より遅かった」(上形)と言うように、勝ったもののまだまだ課題の残る結果となったようだ。総理大臣杯全日本大学トーナメントの出場権を逃したワセダにとって何としてでも優勝を手に入れたい今大会。最後まで諦めない姿勢が生み出したきょうのゴールが、なんらかのきっかけとなりワセダの躍進につながることを期待している。
(記事 橘高安津子、写真 栗田麻里奈)
スターティングメンバ―
ユニオンカップ第2試合 | ||||
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早大 | 2 | 1-0 1-1 |
1 | 桃山学院 |
【得点者】(早)27金澤、71上形 (桃)58OG |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | ◎1 | 松澤香輝 | スポ4 | 千葉・流通経大柏 |
DF | 13 | 西山航平 | スポ3 | 浦和レッズユース |
DF | 3 | 田中進之介 | スポ4 | 湘南ベルマーレユース |
DF | 4 | 金澤拓真 | スポ3 | 横浜F・マリノスユース |
DF | 12 | 八角大智 | 社3 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 18 | 平澤俊輔 | スポ2 | JFAアカデミー福島 |
MF | 15 | 秋山陽介 | スポ1 | 千葉・流通経大柏 |
MF | 7 | 近藤貴司 | 教4 | 三菱養和SCユース |
MF | 25 | 小長谷勇太 | 人2 | 静岡・清水東 |
FW | 14 | 山内寛史 | 商2 | 東京・国学院久我山 |
FW | 11 | 上形洋介 | スポ4 | 東京・早実 |
◎はゲームキャプテン 監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実) |
コメント
GK松澤香輝副将(スポ4=千葉・流通経大柏)
――きょうの試合全体を振り返ってみていかがですか
勝てたことは良かったですが、あの失点はいらなかったと思いますし、2点目をとれるチャンスがあったものの、そこをリードしているときにとれなかったので、まだまだチームとして攻守の面で課題があると思います。
――主将としての出場となりましたが、いつもと違う意気込みで臨まれたのですか
もちろんチームの代表としともそうですし、主将としてもチームを勝たせなければならない責任というものは感じながら臨んだので、勝てたことは良かったですが、まだまだ洋史(MF近藤洋史主将、スポ4=名古屋グランパスユース)が出てたとき以上にチームをいい方向に進めさせてはないと思うので、その洋史がいない中でももっともっとチームを前進させられるようにいきたいと思いました。
――相手の印象はいかがでしたか
7番の背が高い選手を起点に攻撃をしてきたので、その選手を何とかおさえたいなと思っていたのですが、マンツーマンで起点もつくられて、そのFWにも仕事をされて、まだまだ個の能力の高い選手に対して、仕事をさせない力をつけていかなければならないと思いました。
――きょうの失点については
ボールに対して後ろの準備がどうだったかと言われると、良くはなかったからこそ失点したと思いますし、ああいった失点を減らしていかなければならないと感じました。前半にも1本のスルーパスで危ない場面をつくられてましたし、そういったシーンというのを減らさなければ、失点は減らないと思うので、そこは改善していきたいなと思います。
――最近のチームの状況の中で、合宿の成果はみられていますか
合宿では予測からの1歩目ということをテーマとしてきましたが、いまは新しい課題に取り組んでいて、守備のところがまだまだ良くなくて、逆サイドの選手の情報察知であったり、逆サイドから起点をつくられてしまうケースがあるので、そういったところをしっかりと逆サイドの選手をどれだけそれ以外の選手がコーチングなどで動かせるかなど、守備の課題というのがまだまだ出ているので、新しいことというかチームとして攻撃に厚みを加えることであったり、失ったあとの切り替えであったりそういったところは良くなってきているので、守備の課題を改善できるようにしていきたいと思います。
――あしたからも連戦が続きますが、意気込みをお願いします
この大会に臨むにあたって、優勝を目指しているので、まずはあしたの試合2試合とも勝って、予選リーグ突破できるように1試合1試合大事に戦っていきたいと思います。
上形洋介(スポ4=東京・早実)
――きょうは合宿後初めての公式戦ということで、練習試合の結果なども含めてきょうの勝利はどのようなものですか
合宿から帰ってきてから練習試合であまり良い結果が出せていなかったので、きょう勝てたことは良かったと思っていますけど、まだまだ課題もたくさん見つかったので改善していけるようにしたいと思います。
――終了間際には素晴らしいゴールを決めましたがご自身で振り返っていかがですか
きょう試合を通して自分自身ミスが多かったり繊細さを欠いてしまっていた部分があったので、これからも苦しい時間が続いていくと思うんですけど、その中で自分がタメを作ってあげないといけないと思うので、もっと向き合いたいと思いました。でも最後に点を取れたことが唯一の救いですね。
――後半の失点後なにか気持ちを切り替えるために意識したことはありますか
試合通して自分たちは決して悪い流れというわけではなかったので、やろうとしていることもきちんとできていたので、失点にいちいち落ち込むことなく全員がポジティブな気持ちでいられたのでよかったと思います。
――きょうの試合で見つかった課題などはありますか
攻守の切り替えがきちんとできていなかったということがあって、どのチームもプレッシャーと球際のところはみんな切り替えますし、でもワセダは全員が切り替えて次のプレーに備えるというところが強みなので、そこがまた少し欠けてきている部分があるのでもう一度意識してやっていきたいです。
――今大会の目標と今後に向けての意気込みをお願いします
まずはきょうみたいに勝負が懸ったところで点を決められる選手になりたいですし、あとは個人的にも課題としてあげている、苦しい状況のときに自分のところでマイボールにする力であったり、周りを助けることができるようにしたいと思います。そこのあたりをこのフェスティバル中に意識してやっていきたいです。
DF金澤拓真(スポ3=横浜F・マリノスユース)
――劇的な試合となりましたが振り返って
遠征前に守備のところがチームとして課題になっていて、そこに対してみんなで意識して取り組んだ中で改善する兆しっていうのは見えたんですけど、それが前向きに高い位置でボールを奪って攻撃につなげるっていうのができたかと言われればそうではないですし、自分たちが目指す守備のかたちからいい攻撃につなげるっていうのをより強く意識させられました。また攻撃陣も決め切れず一つのロングボールから失点してしまう守備陣ということで、攻守において大きな課題が残ったのでそこを修正したいと思います。
――前半から相手に押し込まれる時間帯が長かったですが振り返って
なかなかプレッシャーを掛ける位置が低くなってしまい、奪ってもファーストプレーで相手に取られてしまうシーンが多かったので、もっと高い位置を保って攻撃を仕掛けるべきでしたし、一つ一つのプレーで相手を外していけばもっと自由に攻撃ができたので、そういうところへの修正力がまだまだ自分たちには足りないと痛感しました。
――ただ苦しい時間帯の中でセットプレーから先制できたのは大きかったですが振り返って
拮抗(きっこう)すればするほどセットプレーっていうのは重要視してますし、それで1点取れたのは自信になります。守備でもここ数試合セットプレーでやられてないっていうのは大きな強みだと思うので、セットプレーが勝敗を左右していくってところで大きな勝利のファクターと感じてます。
――後半はサイドを中心に相手を押し込みましたが入りの手応えは
ヒロ(FW山内寛史、商2=東京・国学院久我山)だったり小長谷(MF小長谷勇太、人3=静岡・清水東)、途中交代の堀田(MF堀田稜、商3=浦和レッズユース)や貴司くん(MF近藤貴司、教4=三菱養和SCユース)が前から積極的にプレスを掛けてくれたおかげで、必然的に相手陣地でプレーする時間も長くなりましたし相手を押し込めたと思うので、そういったところを前半の立ち上がりからどんな相手にも表現していかなくちゃいけないと思いました。
――失点の場面を振り返って
中盤からロングボール一本だったので、守備陣の中での連携不足だったと思うんですけど、少し修正を加えれば大丈夫だと思うので夜のミーティングなどで話して修正したいと思います。マツくん(GK松澤香輝副将、スポ4=千葉・流通経大柏)も攻めの姿勢でいった上でのあのシーンなので、あんまりネガティブに捉えてはないです。
――追いつかれた後終了間際に得点あたりに、負けが込んでいた時期のチームに比べてメンタル面で成長が見られますがご自身はいかがですか
チームとしてもメンタル面の弱さが課題として挙げられていて、普段の練習の中から自分たちの負荷を掛けて追い込んで勝敗にこだわってやってたので、そういった意味では夏の間取り組んでいたことの成果だと思います。自分たちの取り組みは間違ってないと思うので、あした以降に結果として残せられたらいいと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
優勝目指してここに来てるので、あした2連勝して1位で通過してトーナメントでも勝ち上がっていけるようにしたいです。
FW山内寛史(商2=東京・国学院久我山)
――試合を終えて全体の感想をお願いします。
相手が回してくる中で自分たちが徐々にラインが下がってしまって高い位置で奪えなかったので、いい攻撃とか奪ってから切り替え早く次の二次攻撃、三次攻撃というところではまだまだ課題の残る試合だったと思います
――相手のパスワークに押し込まれていた前半を振り返っていかがですか。
やっぱりボランチに一枚多くいたのでそこをセンターバックが押し出してみるか、FWが後ろ引いてみるかというところでハーフタイムに共通意識をもってやれたので、前半でその修正ができなかったのは課題だと思います。
――最後試合に勝ち切れたことに関して感想をお願いします。
勝ち切れたことはすごい大きかったと思いますし、最後までプレッシャーを掛け続けられたというところで、35分という短い間でみんないつもより出し切れたと思いますし、ただ失点する前の流れとしても相手の流れになっていたこともあったし、自分たちの脚が止まり始めてから相手のペースになっていって、結果失点してから取り返しにいくエネルギーを出したりとかだったので、自分もチャンスがありましたし2点目を早い段階で取れていればもっともっと楽な試合だったのかなと思います。
――この大会での目標や抱負をお願いします。
短い中で自分がどれだけ出し切れるかていうのはこの大会の前に自分の中で一つ決めていたことで、FWとして毎回前線から追うのもそうですし、その追い切った後にポストプレーだったり落ちて自分の長所といているプレーをしてからまた前線に、ゴール前に関わっていくていうところを個人の課題としてやっていって、チームとして優勝はもちろんですし、関東リーグ(関東大学リーグ戦)制覇という後期に向けてこの大会で成長しなければ優勝ていうのはないと思うので、個人とチーム両面において自分の長所と合わせてやっていけたらなと思います。