ここ2戦勝ち星がないワセダ。Aチームが早慶サッカー定期戦で勝利した勢いで、拓大を相手に勝ち点3を目指した。しかし35分にセカンドボールを拾われ先制を許してしまう厳しい展開に。優勝に向け白星を求めて前に出るワセダは84分、ついに同点に追いつく。途中出場のDF熊本雄太(スポ1=東福岡)がセンターサークル付近から放った放物線がゴールに吸い込まれた。だが劇的な同点弾からわずか5分、終了間際に勝ち越し弾を許し万事休す。インディペンデンスリーグ(Iリーグ)優勝に向け痛い敗戦となった。
試合開始から積極的に攻勢に出るも、最後に決め切れない場面が続く。17分にはFW小林大地(スポ2=千葉・流通経大柏)が左足でシュートを打つも、相手GKに弾かれた。またDF樫尾和明(スポ2=名古屋グランパスU-18)が右サイドのFKから上げたクロスにMF中谷幸葉(スポ4=千葉・八千代)が頭で合わせたが、ゴール左に外れてしまう。31分には相手GKのミスキックを奪った小林がゴールを狙ったが、これも決め切ることができず。逆に35分にハーフライン付近でこぼれ球を拾われると、素早い攻撃から失点。ワセダは失点時、前線とDFラインに開きがあり、一瞬の隙を突かれてしまった。攻めに転じた前半だったが、ビハインドを背負って終えることとなる。
サイド攻撃に厚みをもたせた飯泉
ハーフタイムに気合を入れ直したワセダはさらに前掛かりにゴールを狙う。46分、CKのチャンスを得るとDF永井あとむ(スポ4=FC東京U―18)が頭で合わせた。しかしボールはバーに嫌われ、さらに永井の前に跳ね返って来たボールも決め切れず。その後も中谷やMF今来俊介(商1=神奈川・桐光学園)らを中心に攻撃を展開していくが、ゴールだけが足りない状況が続いてしまう。だが同点弾は思わぬ形から生まれた。84分、途中出場の熊本が相手のゴールキックを足元に収めると、前に出ていたGKを確認し素早くシュート。ボールはきれいな弾道でゴール右隅へ決まった。劇的な同点弾で一気にペースを上げ、とにかく前に出るワセダ。しかし待っていたのは悪夢だった。CKからカウンターを喰らうと、一気に数的不利の大ピンチを招く。最後はGK中村大志(法3=東京・早大学院)との1対1を制した拓大が勝ち越しに成功。優勝を狙うエンジイレブンにとっては痛すぎる黒星となった。
フル出場を果たした牟田
この敗戦でグループリーグ突破には、次節以降の試合ですべて勝利することが絶対条件となるだろう。ミーティングでは「これがいまの実力」という声も聞かれた。この試合では相手の2倍となる19本ものシュートを放っていながら得点はわずかに1。特にゴール前でのシュート精度と工夫には改善が必須だ。Iリーグに出場する選手たちが目指すのはあくまで関東大学リーグ戦や全日本大学選手権での活躍。「目の前の試合に自分自身の力でチームを勝たせたいですし、それができれば上のチームにも上がっていける」(MF海野洋介、社4=千葉・流通経大柏)。残り4試合で勝利し、決勝リーグに進出することこそ選手の成長につながる。そしてその経験が必ずやワセダをさらに強いチームにするはずだ。
(記事 佐藤裕樹、写真 伊藤なつ実)
スターティングメンバ―
Iリーグ第8節 | ||||
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早大 | 1 | 0-1 1-1 |
2 | 拓大 |
【得点者】(早)84熊本 (拓)35土屋、89柳下 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 中村大志 | 法3 | 東京・早大学院 |
DF | 2 | 樫尾和明 | スポ2 | 名古屋グランパスU-18 |
DF | →66分 | 熊本雄太 | スポ1 | 東福岡 |
DF | 3 | 永井あとむ | スポ4 | FC東京U-18 |
DF | 4 | 恩田雄基 | スポ3 | 埼玉・西武台 |
DF | 5 | 飯泉涼矢 | スポ1 | 三菱養和SCユース |
MF | 6 | 海野洋介 | 社4 | 千葉・流通経大柏 |
MF | →79分 | 仲谷将樹 | 社1 | 石川・星稜 |
MF | 7 | 須藤駿介 | スポ1 | 静岡学園 |
MF | →59分 | 鈴木裕也 | スポ1 | 埼玉・武南 |
MF | 8 | 今来俊介 | 商1 | 神奈川・桐光学園 |
MF | 9 | 中谷幸葉 | スポ4 | 千葉・八千代 |
FW | 10 | 小林大地 | スポ2 | 千葉・流通経大柏 |
FW | →71分 | 堂本大輝 | スポ4 | 兵庫・三田 |
FW | 11 | 牟田翼 | 基理3 | 佐賀・鹿島 |
監督は竹谷昂祐(平26スポ卒=ガンバ大阪ユース) |
現在の勝ち点【15】5勝1分2敗
コメント
MF海野洋介(社4=千葉・流通経大柏)
――きょうの試合はどのような意気込みで臨まれましたか
いつもと変わらず絶対に勝たなければいけないという思いで臨みました。チームとしても、個人としても力を見せつけなければいけないと思いでやりました。
――難しい試合展開になってしまいましたが、試合を振り返っていかがですか
相手はボールを保持していましたが、それどうこうではなく、自分たちが前からボールを奪いに行くところが前半はあまりうまくできなかったです。後半は自分たちが良くなったのか、相手が悪くなったのか分かりませんが、比較的相手のピッチでプレーできたと思います。
――攻撃の回数は早大の方が多かったですがいかがですか
課題は決め切るところだと思います。個人の力と言ってはあいまいになってしまいますが、結局最後は個人の能力が一人一人大切になってきます。
――海野選手自身のプレーはいかがでしたか
途中交代もしてしまいましたし、中盤の1対1ではがされてしまったり、攻めた後にしっかり戻り切ることができませんでした。そういった課題にしっかり向き合っていきたいです。チームを自分自身が勝たせられない状況が続いています。Iリーグ(インディペンデンスリーグ)には関東学院大戦(●1-3)から出場していて、慶大戦(△2-2)では点を決めはしましたが、最後自分が外して勝てませんでした。そういった部分でもまだまだだめです。
――今後の目標を教えてください
チームを自分の力で勝たせたいというのが率直な思いです。目の前の試合に自分自身の力でチームを勝たせたいです。それが目標ですし、それができれば上のチームにも上がっていけると思います。
DF永井あとむ(スポ4=FC東京U―18)
――1―2という結果についてはどう受け止めていますか
先週、慶大(△2-2)と引き分けて決勝リーグに上がるためにはこれから何が何でも勝たないといけないとチームで話していたのですが、結局1―2で負けてしまってこれが自分たちの実力なんだと感じています。
――試合後のミーティングではどのような話がありましたか
自分たちの実力がこれだと全員が認識して、また来週、再来週と試合は続くので磨きをかけてレベルアップしていくしかないと話していました。
――4年生として意識していたことはありますか
マツ(GK松澤香輝副将、スポ4=千葉・流通経大柏)が前から4年生がチームを引っ張っていかないといけないと言ってくれていて、自分もその通りだと思っています。こういう拮抗(きっこう)した試合で決めるのは4年生でなければならないですし、そういうところをマツから言われたので、4年としてというか、最後自分がチームを引っ張っていかなきゃいけないと改めて思わされました。
――試合内容を振り返っていかがですか
自分たちが積み上げてきた切り替えの部分であったり、前からプレッシャーをかけて能動的にボールを奪ったりするという部分では良くできていたところもあったと思います。ですがやはり相手がうまくボールを回してきた中で自分たちがディフェンスの部分でやりたいことができないことがあったので、まだまだ改善していく部分は多いと思います。
――2失点してしまった要因は具体的にどういったところでしょうか
1失点目は自分のクリアミスというか、軽率な判断からボールを奪われて失点してしまったので、こういう雨でぬれたピッチでやらなければいけないプレーは考えないといけないと思いました。2失点目はCKからカウンターを受けてしまうというかたちになりましたが、DF陣が攻撃に行っている時の後ろのリスク管理をもう少しやっていかなければこういう拮抗(きっこう)した試合では隙も生まれてしまって失点につながってしまうと感じました。
――DF陣の連携はいかがでしたか
後半の途中まで恩田(DF恩田雄基、スポ3=埼玉・西武台)と一緒にCBをやっていたのですが、ラインを押し上げて高く保ってコンパクトにしていくという部分は今週ずっと練習でやってきたのでできていたかなとは思います。でも相手が足元でつないできて少し押し下げられたところでもう一回前に出ていくという部分がディフェンスラインとしてはできていなかったと思います。悪くはなかったのですが改善していくべき課題は見えたと思います。
――相手の11番(MF土屋冬威)と15番(FW板垣翔太)の選手がうまい印象でしたが、対戦してみていかがでしたか
前半は15番の選手に対して動き出しや駆け引きで後手を踏んでしまっていて全部足元に入ってしまいました。11番の選手はスピードがあって足元もうまかったのですが、そういう選手はワセダのトップのメンバーにいますし、そういう面でもチームの中にいいライバルがいると思うので個人の部分でも磨きをかけていければなと思いました。
――後半途中から右サイドバックに移りましたがプレーの面で意識していたことやそれまでと変えた点などはありますか
0―1という場面で右サイドバックになったということで、できるだけ前線に絡んでいって攻撃に関わっていくということを意識していました。ですが結局点を取って1―1になったところでチームとして前がかりになり過ぎたかなと自分は思っていて、そこはサイドバックであったら考えてプレーできると思いますし、自分はそういうところをうまく判断していくべきだったと思います。
――また来週には試合がありますが、そこに向けて意気込みをお願いします。
これからIリーグは残り4試合ありますが全部勝たないと決勝リーグには行けないと思うので本当に勝つことだけを意識して、さらに自分たちのチームとしての課題であったり強みというところに磨きをかけていけるようにまた1週間やっていきたいと思います。
DF飯泉涼矢(スポ1=三菱養和SCユース)
――厳しい結果となってしまいました
まだ優勝を逃したわけではないですけど、厳しい敗戦になったとうのが率直な印象です。
――サイドバックでの出場でしたが何か意識したことは
積極的な攻撃参加をして、攻撃に厚みをもたせたり、切り替えの部分をチームで練習してたのでそこを意識しました。
――ドリブルで積極的な上がりをみせる場面もありましたが攻撃面の手応えは
サイドバックだったのでもっとセンタリングとかで攻撃に関われたらよかったんですけど、仕掛け過ぎて取られてしまう場面もあったので、そこは修正したいと思います。
――一方守備面では相手の速い攻撃に対しての対応は
サイドバックで試合に出ることがあんまり無かったので、真ん中と外でやるのは違いますし前半はいまいちだったんですけど、後半は仲間と修正できたので良かったと思います。
――サイドバックで出場した経緯は
サイドバックはちょいちょいやってたんですけど、基本的にIリーグはボランチで出てました。でも、海くん(MF海野洋介、社4=千葉・流通経大柏)と須藤(MF須藤駿介、スポ1=静岡学園)がAチームから落ちてきたので、それでサイドバックに代わりました。
――倍近くのシュートを放つも1得点に終わりました
形にこだわりすぎてシュートまでいけてなかったのと、質が伴ってなかったので、修正しないと次も同じだと思います。
――試合後は悔しそうな表情を見せてました
Bでコーチやってる竹谷コーチ(竹谷昂祐、平26スポ卒=ガンバ大阪ユース)が個人的に好きで、一年生も結構慕ってるんですけど、自分も優勝したいしコーチを優勝させてあげたかったので。きょう勝たないと優勝がきつくなるので、悔しくてああなってしまいました。
――まだ優勝の可能性が残されてます、次戦への意気込みを
得点力不足で悩んでいるので、しっかりそこを修正して、あと今後強いチームとの対戦が控えてるのでそこに向けていい準備をしていきたいです。