今回お話を伺ったのは、守備陣として後方からチームを支え続けるGK松澤香輝(スポ4=千葉。流通経大柏)とDF田中進之介(スポ4=湘南ベルマーレユース)。最高学年となることし、ワセダを引っ張るお2人に、前期のことからプライベートのことまで語っていただきました。
※この取材は6月17日に行われたものです。
悔いの残る今季
互いの印象について語る松澤副将(右)と田中進
――まず、お2人での対談と聞いてどのように感じましたか
松澤 完全に守備のやつだなと。
田中進 堅い話になるなと。
松澤 いや堅いですね。お互いに気まずいですね。
田中進 なかなか。
松澤 あんまり仲よくないね。いやどうだろ。
――昨年全日本大学選手権(インカレ)で悔しい思いをして臨んだ今季の関東大学リーグ戦(リーグ戦)だと思いますが、どのような意気込みで臨まれましたか
松澤 関東リーグで優勝を目指していた中で、優勝できずに2位で終わってしまって、インカレもああいったかたちで負けて、昨年はタイトルをひとつも取ることができずに不甲斐ないシーズンに終わってしまったので、ぼく自身は1番の目標である関東リーグ優勝を絶対に達成したいと思っていましたし、自分自身のプレーに対しても満足がいかなかったので、ことしは自分がチームを引っ張るという気持ちを持って、シーズンをスタートさせました。
田中進 自分は3試合に出させてもらいましたがインカレで負けて、自分の力不足を感じた中で、今シーズン始まるという中で、自分としては数字にこだわってチームを勝利やタイトルに導ければと思って意気込んでいました。
――前期リーグ戦を振り返ってみていかがですか
松澤 専大と試合をする前までは失点が6ということで、最少失点ということをこだわってやってきたのですが、最終的には専大戦で3失点をして、結果的に9失点とリーグで12チーム中3位という結果に終わってしまったので、その目標を達成することはできませんでした。最後に専大に負けてしまって、首位に立つこともできなかったので、3位という順位にはいますけど、自分たちの目標からしたら決して満足のいくものではなかったと思います。
田中進 失点ということを考えたときに、勝った試合でもいらない失点というものがまだまだあって、そういう隙が存在することが前期を振り返って、自分たちのチームの弱さや、3位に甘んじている結果かなと思っています。振り返ったときに、なかなか得点が思うように入っていないということは課題だと思っていますし、きょねんからの改善された点というところでは、セットプレーからの失点は少なくなったことはひとつ良かった点かなと思っています。
――リーグ失点3位ということですが、それを改善するためにはどのようなことをしていこうと思っていますか
松澤 一瞬の隙にやられている失点やサイドからのクロスからの失点が多いので、そのかたちからの失点を無くしていきたいですし、トレーニングのところから隙をなくしていかなければ、試合でそういった隙を突かれて失点してしまうと思うので、トレーニングの環境が大事だと思います。トレーニングでそういった緊張感を自分たちでつくり出して隙をなくすということが、失点を減らしていく上で1番重要なことかなと思います。
田中進 隙をなくすということと、自分はチャレンジすることだったり、相手のボールを奪いにいく姿勢が重要だと思っていて、自分たちは守備から入ろうとやっているですが引いたら絶対に守れないと思っていますし、絶対相手のボールを相手の陣地で奪えば、ゴール前で守備をすることなんてないと思っているので、そういった点でもっともっとアグレッシブな守備をする必要があるのかなと思っています。
――DF陣には下級生が多くいる中、最高学年としてどのようなことを意識してプレーされていますか
松澤 僕はGKとして最後はどういったかたちでも、しっかりと自分が守るということを意識して取り組んでいますし、守備の選手も頑張っていますけど時にはシュートを打たれてしまうシーンもあると思うので、そういったところで自分が救うことができれば、チームとしてもう一回しっかり守備をしようという気持ちになりますし、そこでやられてしまってはチームとして崩れてしまうということがあると思うので、どんな時でも自分がしっかりと守るというところを特に意識してやっています。
田中進 若いですけどみんなひとりひとり自立していると思っていて、本当に頼れる仲間だと思っています。その中で、自分が多くの人としゃべって、その4人が一体となれるようにどうすればいいのかなと試合の中で考えてやっています。自分が引っ張るとかではなくて全員が自然体でどうすれば最大の力を発揮できるのかなと試合中に考えていて、その中で声掛けだったりサポートだったりということをしています。
――DF陣最高学年として後輩の成長を感じることはありますか
松澤 もともと最初にサイドバックとして出ていたのは2年生の選手でしたし、ことしからスタートで出るような選手だったのですが、その中でも純平(DF新井純平、スポ2=浦和レッズユース)に関してはチームを引っ張ろうという意識を持って取り組んでいますし、まだまだ足りないところはあるとは思いますけど、そういった姿勢を持って取り組んでいて、あいつ自身すごく変わったなと思いますし、試合に出て責任を感じてプレーをしていると思います。他の選手もスタメンで出ているということを意識して、自分が引っ張っていかなければいけないと感じていますし、それがプレーに表れていると思うので、DFの選手は見ていて全員成長しているなと感じます。
田中進 自分もチーム全体として結果は伴ってはいないですが、成長していると感じていて、自分も学年が上だからとかではなく、奥山(DF奥山政幸=スポ3・名古屋グランパスU―18)、金澤(DF金澤拓真、スポ3=横浜F・マリノスユース)にだけは絶対に負けたくないとライバル視しているので、あまり上からの評価ということはできないです。
――前季を終えて、個人そしてチームとして何か収穫できたものはありますか
松澤 しんのからの先ほどの話にも合ったように、昨年はリスタートからの失点が多いという課題があったので、それに対してはいままで以上にチームとしても個人としても向き合ってやっていると思いますし、スローインからの流れで失点することはリーグ戦でもあったのですが、CKだったりFKだったり、そういったところからの失点というものがなくなっているので、それはトレーニングのところから全員が練習で意識してやっています。そういったところが実際にリーグ戦でその失点があまりないことにつながっていると思うので、そこはチームとして良くやっている部分だと思います。
田中進 あともうひとつ収穫をあげるならば、ひとりひとりが自立しているのかなと思います。昨年だったらのぞみくん(池西希、平26スポ卒)であったり、航平くん(中田航平、平26スポ卒)であったりと中盤の真ん中に存在感があるリーダーがいて、そのリーダーの指揮のもとチームとして守備をしていたのですが、いまのチームはひとりひとりが考えてその決断をみんなが信頼して動いていると感じるので、そういったところで個々の能力がついていると思います。
――前期リーグ戦を振り返ってみて、印象に残った試合はどの試合ですか
松澤 個人として、ぼくは1―0で勝った筑波大戦が印象に残っている試合です。昨年だったらああいった最後の時間帯で追いつかれて、勝ち点3を逃してしまうようなことが多かったですけど、無失点で勝てたことはよかったですし、今シーズン最後は自分が守ると意識した中で、残り10分の攻防を自分の力で勝たせることができたというように思える試合だったので、あの試合は個人としても印象に残っている試合です。
田中進 自分が印象に残っているのは開幕戦の東京国際大戦で、相手が1部に慣れてはいなかったのですが、その中で相手の福島(福島遼)という選手と自分が対峙して、その選手を抑えることができて、そのスタートが良かったからこそ今シーズンここまでそれなりのプレーができていると思っているので、そこのスタートダッシュをきれたということが、今シーズンの自分の中でいい材料になっているのかなと思います。
――前期のお互いのプレーの印象はいかがですか
田中進 自分は頼もしいなと思ってます。目立たないところでビッグセーブをしたり、例えば桐蔭横浜大戦(△0-0)で立ち上がり結構カウンターをくらって危ないシーンがあったのですが、何事もなかったかのようにとめて、自分としてはすごくピンチでざわつくようなピンチだったのですが、それを難なく止める姿で、チームに負のオーラだったり、やられたというイメージを残さずにやっているところが、本当にすごいと思います。筑波大戦ではビッグプレーをして、チームに勢いを与えられるという点では、本当に悪い流れを断ち切るという意味でも本当に頼もしい存在が後ろにいるので自信を持ってプレーをしています。
松澤 各チームに能力の高いFWがいる中で、競り合いの部分で特に空中戦に関して負けているシーンはほとんど見ないですし、昨年でいえば競り合いで負けてボールが後ろにいったり自分自身背後へのボールの対応が難しくて、そこから失点が多かったのですが、今シーズンに関してはしんの(田中進之介)が空中戦で競り勝って、ボールがあまり後ろにいかないので、自分自身予測しやすいというか、プレーしていても狙いが定まりやすいですし、実際にしんのと政幸(奥山政幸)のセンターバックの2人の関係がいいということもあるので、連係ミスというのがシーズン中1度もなくて、非常に守りやすいな、一緒にプレーしていて安定しているな、と感じていました。空中戦だったり、特にキーマンの選 手を潰すという意識は感じますし、そういうところを見て頼もしいなと感じます。
――お互いのプレーに点数をつけてください
松澤 そこは厳しくいこう。いまは褒めたけど。厳しくいこうか!
田中進 いいよ!
松澤 65点。空中戦の部分とかそういった部分では、強みを発揮している分、フィードのところでもっと正確に、アシストするくらいのフィードをもっと蹴れるようにならなければいけないと思いますし、アミノバイタルカップの国士舘大戦でしんのが拓真とセンターバックを組んだときに、いままで政幸としんのでバランスをうまく取れていたからいいかたちで守れていたと思いますけど、拓真としんのが組んだ時にしんのの強みを発揮できなくて、4年としてリーダーシップをとることができなかったので、そういったところが65点という点数になった理由です。
田中進 そうですね。じゃあ厳しめに70点くらいで。それは結果を求めた中で、リーグ最少失点できていないですし、松澤(松澤香輝)が今シーズン誓ったプロになるということに対してもまだまだ本人も分かっていることだと思いますが、足りていないので、ここで点数をあげても何も面白くないと思うので、7割くらいじゃないかと思って70点です。
松澤その通りです。
――田中選手にお聞きしたいのですが、今季は開幕からスタメンでの出場が続いていますが、きょねんと比べて意識などは変わりましたか
田中進 意識としては毎日を100%でプレーすることの難しさということを感じています。自分は控えの選手で週末だったりトップチームが試合している中で、それを観戦して体が休まるタイミングがあったんですけど、毎週末体を酷使する試合があって、GWだったりには連戦があって、その中で自分のパフォーマンスを落とさずに、100%維持するということを今シーズン心掛けていました。
――先ほど松澤選手から空中戦の話が出たと思うのですが、目標で「空中戦で9割勝利する」ということを挙げられていましたが、いまのところどうですか
田中進 そうですね。まあ、まあ納得いくとは思うのですが、ただ勝っていたら欲が出てきて、次はその勝ったボールを味方につなげようとかしたり、相手がファウル気味で来ていたら、それを繰り返しでイエローを出させたりやってやろうという欲が出てきたので、まだまだ自分の中で納得だったり満足するレベルではないです。
――ヘディングからの得点も生まれたと思いますが、攻撃面に関してはいかがですか
田中進 自分は、今シーズンはトップチームで春の早関定期戦(○3-1)でゴールを決めたり、リーグ戦の国士舘大戦(○3-1)でゴールを決めたりと自分自身がゴールを決めればチームは楽になると思っているので、そこの点に関しても自分の得意な空中戦ですし、チームにエネルギーを与えたいと思っているのですが、なかなかうまくいかない中で、後ろの方からセットプレーを決めろというげきが飛んでくるので(笑)。それだけプレッシャーがかかって感じてやっています。
――松澤選手にお聞きしたいのですが、いまと高校時代と比べて変化したことは何ですか
松澤 キックです。これだけは絶対に言えます。もう高校時代はハーフウエーラインを越えなかったので。それくらいキック力がなかったので、大学ではその課題と向き合って、1年目からずっとやっていましたし、いまではそのキックを強みとしているので、メンタルでの成長ももちろんありますけど、キックのところが自分の中で変わったというか成長した部分だと思います。
――将来に向けて足りない部分は何ですか
松澤 全てです。全て足りないです。ここ1番で力を発揮できるメンタリティをいうか、いい選手というのは大一番で力を発揮できる選手だと思うので、プロになる選手というのはそういう選手だと思いますし、そういった意味では専大戦でああいったパフォーマンスだったので、自分自身がそういった力を発揮する実力やメンタリティが1番自分に足りないと思います。
――お2人にお聞きしたいのですが、アミノバイタル7位に終わりましたが、この結果に関してはいかがですか
田中進 いやもう本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。多くの人が自分たちのことを期待してくれている中で、それに応えられなかったことに申し訳なさを感じていますし、チームの代表としてプレーをさせてもらった選手が結果を残せないということで、チームの仲間に本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
松澤 多くの人の期待を背負っている中で総理大臣杯(総理杯)の本選に出られないことだったり、7位という結果に終わってしまったことだったり、結果に対しては本当に申し訳なさというか自分たちの実力のなさを痛感した大会でした。その中でも政幸だったり洋史(MF近藤洋史主将=スポ4・名古屋グランパスU―18)が出場停止が出た中で、メンバーが変わって同じ力を発揮できることはできなかったですし、そういった主軸の選手が抜けたことでチームの力が落ちてしまうというところは、今のチームの課題だと思うので、多くの課題を突き付けられた大会だったと思います。
――これから勝利し続けていくために、チームをどのように変えていきたいですか
松澤 まずは4年生がチームを引っ張れる、それが当たり前だと思いますし、それができなければ絶対に勝てないと思います。強いチームは絶対にいい4年生がいると思いますし、苦しいときに最上級生が結果を残すことができれば下の選手もそういったときについてくると思うので、チームとしてやらなければいけないこと変わらなければいけないこといっぱいありますけど、まず本当に4年生がもっと成長しなければいけないと思います。
田中進 そうですね。これから自分たちは力がないので、その力を付けるために何が必要なのかを考えて、自分は本当にどれだけ成長できるのかにかかっているのかなと。自分にプレッシャーをかける面でもそうですし、そういったところに取り組もうと思っています。チームとしてはもっと高いところでボールを奪って攻撃をつなげなければゴールにはつながらないと自分自身感じているので、そういったところを自分のプレーでも指示であったり、そういったところを変えて、後期だったり夏に「ワセダ変わったよね」と言われるように頑張っていきたいです。
微妙な関係?な2人
松澤のキックは常に攻撃の起点となってきた
――話題を変えて、お2人は普段から仲が良いのですか
田中進 きょうの1限とか2人で仲良くペアストレッチしました。
松澤 そうです。ストレッチ実習っていうスポ科でペアストレッチを中心にする授業があるんですけど、毎回一緒にやっています。ペアストレッチしています。
田中進 際どい関係です。
――普段は一緒に遊ぶことはありますか
松澤 しんのと遊んだことはないですね。
田中進 いやー何か遊び方が分からないんですよね。
松澤 そもそもしんのと遊ぶという考えを持ったことがない。多分しんのはおれと遊べないと思う。絶対合わないもん。
田中進 俺は結構はしゃいでいたい人で、まつはあんまりそういうわーわーしているのが好きじゃない人で、そのオフで何を求めているかといったときに、利害関係が一致しないというか。
松澤 一言でいうと、あんまり仲良くないんじゃないですか。
田中進 仲悪いって言葉は・・・。
松澤 分かる!なんか仲いいとかそういうのじゃないかもしれない。
田中進 世界観が違うと思います。
松澤 しんのの読書しているところとかを見ると、おれしんの合わないわとか思いますし、しんのは世界が上に・・・。
田中進 上じゃねえよ(笑)。
松澤 しんのはめっちゃ頭いいんですよ。おれめっちゃ頭悪いから話とか考えとかは伝わらないですね。遊ぶことないよね。絶対出てこない。誰か呼ぼうかなとかいうときも、しんの絶対最後の方にくるもん。おれ貴司(MF近藤貴司、教4=三菱養和SCユース)とか上形(FW上形洋介、スポ4=東京・早実)とかそこらへんなんですけど、しんのは…。
田中進 あと寮生と寮生じゃないといった括りがあるので。
松澤 寮生を誘いづらいんですよね。寮生は寮外生を誘いづらいし。寮生だとだいたいその人の行動パターンとかが分かるじゃないですか。寮外生ってオフ何してるか分からないとか、そういうこともあって、しんのとは遊ばないですね。
――最近のマイブームはありますか
田中進 マイブームというか最近就職活動が終わったので、ちょっとだけ時間ができるようになったので、ipodに入れたい曲リストをひたすらTSUTAYAで借りるという。
松澤 クラブミュージックね!
田中進 エレクトロダンスミュージックというジャンルが好きなので。
松澤 なんだそれ。クラバーだ完全に。
田中進 夜遊びしてるんじゃなくて、試合前のテンションをいかに上げれるかを追求したときに、何を聞くかというときに、そういったジャンルを。最前線にいれるように生活を心がけています。
松澤 もう分からないですよ。まずクラブ行かないし。
田中進 俺も行ってないよ!
松澤 まず音楽でこれが好きとかないから、洋楽とか…絶対話合わないと思うし。
田中進 そうなんですよ。
松澤 俺のマイブームは・・・きょねん言ったからつまんないよな。
田中進 あれじゃないの。
松澤 ・・・ランチ。
田中進 ランチ!?
松澤 知らないでしょ?おれがこういうことをしていること。最近焼肉ランチをマイブームにしているんですけど、焼肉おいしいお店とかだとディナーだと少し高いんですよ。それを安い値段にするってことを考えたら、ランチ行けばいいんですよ。だから夜は高いお店のランチを狙っています。
田中進 あとなんだろ。
松澤 ネットショッピングとかはきょねん言ったしなー。都内の焼肉ランチを探すというのがマイブームです。
――ア式蹴球部の中で流行っていることはありますか
田中進 自分の好きな曲を後輩に教えて、後輩がそっち系の音楽に興味を持ち始めたんですよ。あと流行り・・・お休みが最近なくて、みんなサッカーのことしか考えていないので、流行りないんですよね。
松澤 いやないですね。しんのの言う通りプライベートな時間がない。流行り・・・ないです。
――最近面白いことはありましたか
松澤 いやー。
田中進 これ試されているよ。
松澤 ふわっとレベルが高いことを・・・あ!これ言って面白くなかったら悔しい。アミノバイタルの2回戦(○0-0、PK5-4)でPKで勝ったときに、僕が1本目止めてあと全員ワセダの選手が決めて、勝ったじゃないですか。おれ2年前にアミノバイタルカップ決勝で、最後PKを止めて決めて勝ったときに、あまりにもうれしすぎてみんながおれに抱き着こうとした瞬間に、走って逃げたんです。それがあってか東京国際大戦のPK。最後しんのが決めて勝った瞬間におれ止めたから自分のところに来ると思って、今回は絶対に走るのをやめようと思って。みんな絶対に飛び込んでくるんだろうなと思っていたら、しんのが決めた瞬間におれの前横切ってスタンドの方にみんな行きだして。おーいって呼んでいたんですけど、結局後から来たの3人だけ。
田中進 人望じゃん、それは。
松澤 いや、今回は絶対に来ると思って、決めた瞬間うわーって埋もれるのをイメージしていたら、みんな横切っておれのこと1回チラ見して横切って。普通に。後から来たのは3人だけ。
田中進 いや、うれしくて無我夢中になったときに誰のところに行きたいかといったら最後にPKを決めた俺で、止めたまつではなかったという。
松澤 見てこの写真。しかもボールボーイ、おれのこと見てるからね。めっちゃ恥ずかしいからね。普通にしんのが悪いからね。
田中進 違うよ。おれは早スポの1面飾ると思って、めっちゃガッツポーズしてて、カメラの前に。
松澤 これは酷いわ。
――私生活でお互いに良いところや直してほしいところはありますか
松澤 きょう電車が一緒だったんですよ。こいつ寝ピクやばいっす。半端ないっす(笑)。
田中進 あ、あれね(笑)。
松澤 いままでの寝ピクランキングで相当上位に食い込んでくるぐらいでしたね。寝ピクでいいポジションが取れなかったのかわからないですけど、急に起きて座席の端に移動して安定したポジション探していました。是非みんなに見てほしい(笑)。
田中進 いや、たぶんあれはなかなか見れないよ(笑)。自分の寝ピクがやばいというのは多方面から苦情が来てるんですよね。
松澤 別に直してほしいとかじゃないですけどね(笑)。疲れてるなーと思って見てました。
田中進 直してほしいところは、俺がテンション上がっている時にマツはそれを端から冷めた目で見ているんですよ。
松澤 温度差が酷いんですよね。しんのが試合前とかみんなと一緒にいてテンションが上がっている時に、「ごめん、ちょっとうるさい」って言うのはけっこうありますね。これでしんのは一瞬で収まります。
田中進 俺は結構そういった節があるんですけど、先輩からもそういういじりをされて、それがガチなのかそうじゃないのかわからないんですよね。
松澤 これはまだお互いの信頼関係が築けてないからなんでしょうね(笑)。
田中進 こいつ顔怖いじゃないですか。そういうこと言われると結構ずっしり来るんですよね、こっちはふざけたいのに。一回どこまで松澤とふざけられるのか知りたいんですけど。合わないですねほんとに(笑)。
松澤 仲良くなろう企画とかやってもうまくいかないんじゃないですかね、一生(笑)。育ちが違いますもん。こいつは真面目に生きてきて、僕は底辺な感じなので。
田中進 そういうのも向こうがカベつくってるじゃないですか。心を開いてくれないから行きづらいんですよね。僕は全体に楽しさを広めたいのに、こいつが止めてくるんです(笑)。
――部内で誰と仲がいいですか
田中進 僕は誰とでもすぐに仲良くなれるというか、場の雰囲気で楽しくなれるんで特に誰、というのはないんですけど、寮で海野(MF洋介、社4=千葉・流通経大柏)と同じ部屋に住んでいるので、多分一番一緒にいてふざけ合っていると思います。
松澤 海野はしんのいじり大好きなんで、海野がしんののことを大好きなんだろうな、というのはわかりますね。俺は誰なんですかね(笑)。貴司ですかね。飯も普通に行けますし、貴司ですね。
最後の大舞台へ
今季全試合にフル出場を果たしている田中進
――ついにラストイヤーの早慶戦を迎えますが、早慶戦の印象は
松澤 勝てば天国負ければ地獄、ですね。1年のときは負けを経験して2、3年では勝ちましたけど、それは勝ったチームと負けたチームの差がすごく激しくて、1年に一回の大きな試合ですし、そこまでの準備の期間の重要さを感じますし、プレッシャ-を感じるゲームだと思います。
田中進 懸っているものの大きさが他とは違うと思います。早慶両校の伝統であったりいままで築きあげてきたものが互いにある中で、新たな歴史をつくるのが選手であって、それを支えてくれる多くの人も関わっていますし、そういう面でただの試合ではないという印象です。
――ことしから会場が変わりますが
松澤 どんな雰囲気の早慶戦になるのか僕自身も楽しみにしていますし、等々力陸上競技場(等々力)でまた違った景色を味わうというか、ならではの雰囲気を楽しみたいと思います。等々力でやる初めての年になるので、そこでの第一回目の勝者になりたいと思います。
田中 自分はユースでプレーしていたんですけど国立競技場(国立)への憧れは強くて、何度か国立でプレーする機会はあったんですけど、自分自身は出場機会をつかむことができなかったので、等々力開催の早慶戦ではなにか伝説を残したいと企んでいます。
――慶大の印象は
松澤 勝ちにこだわるチームだと思います。チームとしてまとまりがある印象ですね。
田中進 きょねんに比べてチームとしての完成度が高いですし、結果に対するこだわりも強い印象です。前期の関東リーグ戦を終えて失点も少ないですし、いままでの慶大とことしの慶大はどこか違うのかなと思っています。
――そういった相手にどのような戦いをしていきたいですか
松澤 自分たちの強みをいかに出して戦えるかだと思います。最大限のプレーができるようにしたいと思います。
田中進 慶大に対して小細工は通用しないと思っているので、自分たちが今までやってきたことを信じて、それを選手が表現すれば見ている人も楽しいと思いますし、自分たちも楽しんでプレーできると思うので、今までやってきたことを正直にやりたいと思います。
――相手の要注意人物を挙げるとしたら誰ですか
田中進 宮地(元貴)というFWが嫌ですね。目立ちたがり屋なところがあるんですよ。ゴールパフォーマンスを考えてみたりそういうところが自分と似ていて、第一回の等々力で目立とうとしているので、目立つのは自分一人でいいかなと思います。そういう面で要注意ですね。
松澤 僕は増田選手(湧介、)ですね。彼は1年目からスタメンで出ていてチームの絶対的な中心選手だと思うので、慶大はあいつの出来にかかっていると思いますし、その選手に点を決められたくないと思います。FWではないですけど決めたらチームが流れに乗ると思うので。
――ワセダのMVP候補は
松澤 それは自分でしょ。取りたいもん。
田中進 いやー、田中進之介だと思います。
松澤 いままでは点を取った人がMVPというのがありがちだったんですけど、この前のリーグ戦でGKでもベストヒーローになれるという自信がつきましたし、自分がめちゃくちゃ止めれば誰かが点を取ったとしてもMVPになれるんじゃないかと思うので、MVPにはなってみたいですね。
田中進 本当にマツには申し訳ないですけど、自分がセンターバックで出ればシュートもあまり飛んでこないと思うし活躍しないと思うんですよ。
松澤 (笑)。
田中進 自分がヘディングでゴールを決めて、MVPもらいます。MVPに関してはみんなギラギラしてますけどね。
――勝つために、どんなことが必要だと思いますか
田中進 必要なことは、自分たちがやってきたことをしっかりと出せるかだと思います。古賀監督(古賀聡、平4教卒=東京・早実)のもと、チームでやっていることは間違っていないとみんな信じていますし、それに対して取り組みはまだまだ足りないですけど、一所懸命やってきたので、自分はそれを出し切ることができれば絶対に勝つことができると思いますし、いつもの自分たちの力を出せるかがカギだと思います。
松澤 自分たちの強みを出すというのはもちろんですけど、慶大だけには絶対に負けないという強い気持ちがあれば体も動くと思うので、最後は気持ちだと思います。
――ご自身の注目して欲しいプレーと一緒に、意気込みをお願いします
松澤 キーパーからのフィードと最後に体を張って守るところに注目して欲しいです。
田中進 自分もゴールを守るというところで、攻撃のチャンスを止めたいと思います。意気込みとしては、慶大が攻めれば観客は湧くと思うんですけど、それを全部ため息に変えたいと思います。
――最後に、サポーターの方に一言お願いします
松澤 今シーズンはなかなかチームとして満足のいく結果を出せていないですし、応援してくださっている方々の期待に応えられていないので、早慶戦で必ず勝って歓喜の瞬間を一緒に迎えたいと思います。
田中進 ことしはなかなか期待してもらっている結果を出せていないんですけど、この試合では一試合で全てが決まると思うので、日頃の応援を力に変えてみんなで最高の瞬間を迎えられる様にしたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 巖千咲、栗田麻里奈)
早慶サッカーに向けての意気込みを書いていただきました
◆田中進之介(たなか・しんのすけ)(※写真左)
1992年(平4)5月25日生まれ。183センチ、79キロ。神奈川・希望ヶ丘高出身。前所属・湘南ベルマーレユース。スポーツ科学部4年。丁寧に質問に答えてくださった田中進選手。インタビュー後、サイン色紙に誰よりも時間をかけて真剣に書いていたのは、ご自身と同じ名前のクレヨンしんちゃんのイラスト!とてもユーモアのある方でした。
◆松澤香輝(まつざわ・こうき)
1992(平4)年4月3日生まれ。182センチ、80キロ。千葉・流通経大柏高出身。スポーツ科学部4年。明るい人柄で、この日の対談を盛り上げてくださいました。ピッチ上では闘志溢れるプレーを見せる松澤選手の趣味は、「ランチ巡り」だそう。オフの日は意外にも静かに過ごすことが多いそうです!