インディペンデンスリーグ第2節、東海大戦が早大東伏見グラウンドで行われた。試合は序盤にいきなり先制を許し出鼻をくじかれる。その後FW堂本大輝(スポ4=兵庫・三田学園)のゴールで同点に追いつくも、逆転弾が決まらない。後半もチャンスをつくるも決め切れず焦りが見え始めたが、後半ロスタイムにMF山下翔平(商4=ヴィッセル神戸ユース)が豪快にネットを揺らし勝負あり。格下相手に辛くも勝ち点3を獲得するかたちとなった。
試合のイニシアチブを握ったのはアウェーの東海大だった。開始5分、中盤でのパスミスからいきなりGKとの1対1に持ち込まれる。ここは相手のシュートミスに助けられるもその5分後にもスルーパスを通されると、これを決められいきなり1点のビハインドを背負う。出鼻をくじかれたワセダは中盤でのパスミスなどもあり攻撃が単発に。それでも23分、MF渋谷勇太郎(社2=神奈川・桐蔭学園)が左に大きく展開すると、クロスに堂本が頭で押し込み同点に追いつく。この1点で流れを引き寄せたいところだったが、その後もミスが絡み相手ゴールに迫れない。逆に39分にはまたもPA前でボールを奪われ危険なシュートを打たれてしまうなど、手応えをつかめないままハーフタイムを迎えた。
攻撃の起点となるパスを供給し続けた鈴木準
「立ち上がりからエネルギーを出していこう」(竹谷昂佑コーチ、平26スポ卒=ガンバ大阪ユース)との言葉通り、後半は積極的なプレーをみせる。DF鈴木準弥(スポ1=清水エスパルスユース)を中心に相手の裏のスペースを積極的に狙い続けると、59分にはMF臼倉宏(文構1=東京・暁星)がシュートを打つなど徐々に相手ゴールに迫る。その後もサイドからのクロスを有効に使い相手を押し込むワセダ。だがこの日は決定力を欠き、なかなか勝ち越し点が奪えない。65分には堂本のシュートの跳ね返りから波状攻撃を仕掛けると、FW西本八博(スポ2=岐阜・多治見北)のヘディングもGKのセーブに合う。このまま引き分けか――。そんな空気が流れ始めた後半ロスタイム、待望の瞬間が訪れた。最終ラインからのフィードを受けた堂本がゴール前にグラウンダーのクロスを送ると、これを山下がシュート。一度はGKに止められるも、跳ね返りを豪快に突き刺し土壇場で勝ち点3をものにした。
決勝点を決め仲間に祝福される山下
劇的なかたちで勝利を手にした今節。しかし納得の表情を浮かべる選手はイレブンの中にはいない。「勝っただけという感じ」(山下)と振り返る通り、内容でも相手を圧倒することができなかった。試合後には竹谷コーチから厳しい言葉も出るなどまだまだ課題は山積みだ。特に攻撃においてチャンスの数に対してゴールが少ないのも気掛かりである。関東大学リーグ戦のピッチで戦うため、攻守においてさらなるレベルアップが求められる。
(記事、写真 増山祐史)
スターティングメンバ―
Iリーグ第2節 | ||||
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早大 | 2 | 1-1 1-0 |
1 | 東海大 |
【得点者】(早)23堂本、91山下 (東)10山内 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 斉藤康平 | 法2 | 静岡・清水東 |
DF | 2 | 山本有一 | 人3 | 神奈川・桐蔭学園 |
DF | 3 | 鈴木準弥 | スポ1 | 清水エスパルスユース |
DF | 4 | 日高裕介 | スポ3 | 横河武蔵野FCユース |
DF | 5 | 鈴木崇文 | 文構2 | 東京・早実 |
MF | 6 | 渋谷勇太郎 | 社2 | 神奈川・桐蔭学園 |
MF | 7 | 山下翔平 | 商4 | 神戸U-18 |
MF | 8 | 臼倉宏 | 文構1 | 東京・暁星 |
MF | 9 | 柳沢拓弥 | 社1 | 清水エスパルスユース |
FW | 10 | 堂本大輝 | スポ4 | 兵庫・三田学園 |
FW | 11 | 武颯 | スポ1 | 横浜F・マリノスユース |
FW | →60分 | 西本八博 | スポ2 | 岐阜・多治見北 |
監督は竹谷昂祐(平26スポ卒=ガンバ大阪ユース) |
コメント
竹谷昂佑コーチ(平26スポ卒=ガンバ大阪ユース)
――試合を振り返って
立ち上がりのところで相手の直結した攻撃に対してうちが後手に回ってしまって、対応する前に失点してしまいました。そういうところがチームとして課題かなと思います。後半もチームとしてチャンスがたくさんあったのにも関わらず、2点しか決め切れなかったのも課題かなと感じます。
――ハーフタイムでの修正点は
後半立ち上がりからエネルギーを出していこうっていうのと、相手の裏(のスペース)が弱いと感じていたので、それに対してボールを送る側と受けての選手がタイミングを合わして攻撃していこうと話してました。
――試合終了後は厳しい言葉をミーティングで並べてましたが
Iリーグの全ての試合に言えることだと思うんですけど、Iリーグに出てる選手はIリーグに出るために練習しているのではなくて、関東リーグ(関東大学リーグ戦)に出るためにやってるので、ここで勝つことが最終目標とはき違えていました。やっぱり関東リーグに出なくちゃいけない選手がいますし、そういうところを厳しく言わせてもらいました。
MF山下翔平(商4=ヴィッセル神戸ユース)
――辛くも勝ち点3を得ましたが振り返って
自分たちは相手を圧倒しないとAチームに上がれないとやってる中で、まだまだな結果だと思います。
――セカンドを拾えず中盤で押されてましたが
立ち上がりから自分たちがエネルギーを出してやっていこうと言ってた中で、相手のエネルギーにのまれて押し込まれてしまって、相手に合わせるかたちになってしまったのが反省点です。
――同点に追いついた後のプレーに関してはいかがですか
自分たちがやってきたことを出せれば相手を圧倒できるという自信もありますし、同点に追いついた後はある程度はやれてたと思います。後半相手が(強度が)落ちてきたってのもありますけど、自分たちの強みを出せてたと思います。
――後半点が欲しい中でもゴールが遠かったですが、その時間帯にどういったプレーを心掛けましたか。
自分自身は味方を元気づけるっていうのを意識してやってるので、ゴールを奪って勝つであったり、相手からボールを奪ってチームに元気を与えていこうとやってました。
――決勝点を奪いましたがあの場面を振り返って
一つ目で決めないといけないなと思いますけど、最後気持ちが乗ったというか、思い切って打ったら入ったという感じです。
――試合終了のホイッスルの後少し浮かない表情をしてましたが、そういった心境だったんでしょうか
勝ちはしましたけど、勝っただけという感じで。まだまだ自分たちの弱さとかが出てしまったので、まだまだ積み重ねていかないといけないなと感じました。
――次節に向けての意気込みをお願いします
立ち上がりから自分たちの強さを泥くさく出していけるように、トレーニングからやっていきたいなと思います。
DF鈴木準弥(スポ1=清水エスパルスユース)
――Iリーグ初出場となりましたがいかがでしたか
そんなに緊張はしませんでした。ミスはありましたけど、余裕をもってプレーできたと思います。
――最終ラインからいいボールを前線に供給するプレーが印象的でした
自分の強みというか好きなプレーがキックだったりなので、ワセダの速いサッカーに自分の強みをうまく合わせていくように意識してました。
――逆サイドにわたった時にボールを要求するシーンがありましたが連携の面ではいかがでしょうか
センターバック同士のパスでも、ワセダは速さを生かしたパスを意識してます。まずは一回前線の選手に当てるんですけど、それが無理だった時にもう一回速く展開しなくちゃいけないんですが、その場面で自分も含めて考える時間をかけてしまったので、そこでしっかり速さを出していきたいと思います。
――守備の面ではいかがでしたか。
ワンタッチで動かしてくる攻撃で、7番(梶田航平)、10番(山内健史)が縦関係になって突きにくくなった時に、自分たちセンターバックとボランチのどっちがいくのかが曖昧になってしまいました。ただそんなに怖さはなかったです。
――試合終了後は厳しいミーティングがありましたが
この相手にチャンスがありながらも決め切れず、結局は接戦をいうかたちになってしまって、もっと自分たちが積み上げてきたものを出せれば点も取れて相手を圧倒できたと思うので、ワセダの強みを前後半の入りとかから最後まで続けられるようにしたいです。
――ことしはルーキーイヤーとなりますが、今季、さらには4年間への目標をお願いします
一年だからといって遠慮することなくどんどん自分の強みを出し、速くAチームに上がって関東大学リーグ戦に絡んでいきたいですし、今後4年間で自分が出場した時に余裕をもってプレーできるようにして、さらにはその先のプロに向けてもやれるようにしたいです。