終盤に追いつかれ、優勝に向けて暗雲

ア式蹴球男子

 豪雨の影響で順延となり、平日開催となった関東大学リーグ戦(リーグ戦)第17節。対する順大はリーグ開幕戦で敗れており(●0-1)、リベンジを誓う相手だ。試合は前半で早大が2点を先制するも、後半には逆に2ゴールを許してしまう。2-2の引き分けで勝ち点1に留まり、リーグ優勝に向けて暗雲が立ち込める結果となった。

見事なミドルシュートを決めた近藤洋

 立ち上がりはボールが行きかう落ち着かない展開になるも、除々にセカンドボールを回収する早大が攻勢を強めていく。順大のサイドハーフの緩い守備で「サイドで数的有利を作れる」(DF三竿雄斗、スポ4=東京ヴェルディユース)状況を生かし、早大が連続得点を決める。37分、左サイドでMF近藤洋史(スポ3=名古屋グランパスU-18)がボールを受けるも、順大はファーストディフェンダーが決まらずプレッシャーがかからない。フリーの状態から、FW榎本大希(スポ4=横浜F・マリノスユース)にピンポイントのパスを出すのは造作もなかった。ヘディングで合わせたボールは相手DFが蹴り出そうとするも、コースが変わりゴールに吸い込まれる。オウンゴールという形で早大が先制点を挙げた。39分にはカウンターの流れからFW宮本拓弥(スポ2=流通経済大付属柏)がバイタルエリア付近まで持ち込み、相手DFを引き付けて横パスを送る。またもフリーになった近藤洋はカットインして、迷わず右足を一閃。観衆も感嘆の声をあげる強烈なミドルシュートが突き刺さり、2-0とリードを広げて前半を折り返した。

 危なげなく戦ってきた45分間。しかし55分に順大が背番号10のMF井村雄大をピッチに送り込み攻撃的な布陣にシフトすると、様相は全く別の物になっていく。サイドに位置していたMF天野純(順大)もトップ下に移り、人もボールも動く華麗なパスサッカーへと変貌を遂げた順大に完全に主導権を握られてしまう。63分には自陣深くでボールを回す相手に対して複数の選手が後方からプレッシングをかけにいくも、パスワークでいなされて前線にボールを運ばれる。空いたDFラインの裏を突かれ、GKとの1対1を冷静に沈められて失点を喫した。その後も連動したプレスはかからず、なおもボールを自在に回される早大。自陣に釘付けにされ、相手の攻撃を受け続ける厳しい状況になっていく。何とかリードを保ったまま終盤を迎えるが、現実は非情だった。ワンツーを駆使して中央を切り崩されてペナルティエリア内に進入を許し、決定的なシュートを打たれる。GK阿部雄太(人4=千葉・渋谷教育学園幕張)が必死のセービングを見せるも、順大の1トップ原田開にこぼれ球を押し込まれて同点に追いつかれてしまう。勝ち点3をつかむべく何とか反撃を試みるが、近藤洋が88分に放ったゴール至近距離でのシュートはGKの正面をつく。3点目を挙げられないまま、タイムアップを告げる笛はむなしくも鳴り響いた。

宮本。前を向いてのドリブルでチャンスを作った

 後期リーグ戦は8試合で17失点と失点の連鎖は止まらない。加えて残り5試合で首位専大と勝ち点10差がつき、リーグ優勝には絶望的な数字が突きつけられた。次節は残留に向けてかつてない意気込みで戦うであろう、慶大と伝統の一戦を迎える。チーム状態が下降線の一途を辿る中で復調の兆しをつかむことができるか。「自分たちが5連勝したら何が起こるか分からない」(MF中田航平主将、スポ4=横浜F・マリノスユース)。奇跡を起こすべく、まずは宿敵を全力で打ち砕く。

(記事 松坂和之進、写真 芦川葉子)

関東大学リーグ戦第17節
早大 2 2-0
0-2
2 順大
【得点者】(早)37OG、39近藤洋 (流)67長谷川竜、83原田
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 1 阿部雄太 人4 千葉・渋谷教育学園幕張
DF 26 西山航平 スポ2 浦和レッズユース
DF 2 奥山政幸 スポ2 名古屋グランパスU-18
DF 3 金沢拓真 スポ2 横浜F・マリノスユース
DF 6 三竿雄斗 スポ4 東京ヴェルディユース
MF ◎4 中田航平 スポ4 横浜F・マリノスユース
MF →86分 石川拓 スポ4 神奈川・日本大学高
MF 5 池西希 スポ4 浦和レッズユース
MF 7 近藤貴司 教3 三菱養和SCユース
MF 8 近藤洋史 スポ3 名古屋グランパスU-18
FW 25 宮本拓弥 スポ2 千葉・流通経大柏
FW 10 榎本大希 スポ4 横浜F・マリノスユース
◎はゲームキャプテン
監督は古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 勝 分 負 得点 失点 得失差
1 専大 41 17 13 2 2 45 19 26
2 早大 31 17 9 4 4 27 23 4
3 筑波 26 16 7 5 4 30 21 9
4 明大 26 17 7 5 5 28 23 5
5 国士大 26 17 8 2 7 28 25 3
6 中大 25 17 7 4 6 30 21 9
7 桐蔭横浜大 23 17 7 2 8 25 32 -7
8 流通経済大 21 17 5 6 6 17 24 -7
9 順大 19 17 5 4 8 30 28 2
10 日体大 17 17 4 5 8 21 28 -7
11 東洋大 13 17 3 4 10 24 37 -13
12 慶大 13 16 4 1 11 20 44 -24
※第17節終了時
※上位5校は全日本大学選手権の出場権獲得
※6位は北信越大学リーグ2位のチームとプレーオフ
※流通経大は総理大臣杯で優勝で全日本大学選手権の出場権を得たため、6位以内の場合下位チームが繰り上げ
※下位2校は関東大学リーグ戦2部リーグに自動降格
コメント

MF中田航平主将(スポ4=横浜F・マリノスユース)

――きょうの試合は2点のリードを追い付かれての引き分けとなりました。振り返って

筑波大戦を振り返った時にラインや守備の位置がすごい後ろからだったので、この1週間は前からというのを意識しました。それを積み重ねてきた結果、前半は守備の切り替えの早さが上手くはまって2点とれたんですけど、後半では筑波大戦のように前からいけなくて、全体としてプレッシャーが下がってしまって、それで押し込まれて相手の時間が長いところで2失点してしまって。自分たちの強みを振り返った時に前からいかなきゃ結果は出ないということが前半と後半を見れば分かると思うので、もう1回そこをやらなきゃいけないなと思います。

――前半はワセダペースで2得点を奪えましたが、いかがでしたか

2点とれたのは良かったんですけど、3点だったり4点とれるチャンスはあったので、もっと上手くやって出来るだけリードすれば、相手の戦う意欲も少し落ちますから、もっととれるところはとっていかないとというのが正直な感想ですし、相手が強くなったらチャンスもそんなに無いと思うので、全てのチャンスで決めるくらいチームの攻撃力を上げてかなければならないと思います。

――後半は相手のフォーメーション変更から流れが代わり、パスを回される時間が続きましたが、いかがでしたか

相手が4-1-4-1になって中盤の2シャドーの所に僕と希(MF池西、スポ4=浦和レッズユース)がついて、1トップにセンターバック2人がついて、アンカーが余ってしまう形になって、上手くボールを拾われる状況が続いて…。やっぱり相手のフォーメーション関係なく、予測や後ろからの声の促しによってもっと前からっていうことは出来たと思うので、チームとして相手の変化に対応しなければこの先も勝てないですし、対応力というのがまだまだ弱いなと思いました。

――相手の時間帯に守り切れないというのが続いていますが、いかがですか

相手が攻めてきた所で押し込まれて下がった後に取りにいくからこそ自分たちに隙が出来てしまうので、どこでボールを奪うのか、いくべき所といかない所や力の使い所がまだまだ個人の能力として低いと思います。なのでチームとしていく所はいく、いかない所はいかないというのをもっとはっきりしてやらないと押し込まれた中で少しのズレで失点してしまいますから、もっと能力を高めなきゃいけないなと思います。

――リーグ戦としては残り5試合となりました

優勝の確率は本当に低くなった中で、でもまだ可能性は0ではないので、そこに向かって自分たちは5連勝したら何が起こるか分からないですし、まずは次の慶大戦で勝たなきゃ意味がないので、次の試合だけを見て、まず勝利で勝ち点3を目指してやっていきたいです。

――次の慶大戦は中田主将にとって最後の早慶戦となりますが、それに向けて

慶大もリーグ戦ですごい苦しい状況だと思いますけど、徐々に自分たちの力を取り戻しつつある中で、自分たちは前期や早慶サッカーで戦った強さが無いというのが逆に危ないと思うので、残り数日の中でどれだけ自分たちを高められるかが勝てるかどうかにかかってくると思いますし、やっぱり慶大にはなんとしても、どんな試合であっても勝たなきゃいけないのが自分たちの責任ですから、いままでと何も変わらないですけど、いつも以上に気合いを入れてやりたいです。

DF三竿雄斗副将(スポ4=東京ヴェルディユース)

――「2-0は危険なスコア」という格言をそのまま表すかのような試合になってしまいました

前半は良い形でやれていたと思います。ただ後半は立ち上がりから前半と同じようなサッカーができずに相手に主導権を握られて、タッチが細かくてうまい選手が何人かいて良いようにやられてしまって、結果的に2失点に繋がってしまいました。自分たちも守備のレベルをあげないといけないと思いますし、攻撃のアイデアという点では相手に見習う点もありました。引き分けという結果は本当に残念ですけど、切り替えてやっていくしかないと思います。

――主導権を握られてしまった要因はどのように考えていますか

サイドにボールが寄ったときに相手が3人、4人とボールに絡んでくる中で、良い距離感でテクニックのある選手に細かく繋がれて、ボールの取りどころが中途半端になってしまったのが原因だと思います。あのようなスタイルのチームは自分たちのリズムでボールに触れて、ポゼッションができると乗ってきます。そういう相手に対して全て100パーセントの力でいくのではなく、逆にチームとして狙い所を定めて奪おうとする工夫が足りなかったと感じています。

――2つの失点シーンをそれぞれ振り返って

まだ分析したビデオを見ないと分からないところもありますが、1失点目は逆サイドの自分がもっと良いポジションを取っていれば問題はなかったかもしれないですけど、同サイドであんな簡単にやられてしまったのは課題です。行くところと行かないところの判断だったり、やらなきゃいけないプレーとやってはいけないプレーの判断を間違えてしまった結果、本当にもったいない失点をしてしまいました。2失点目も中盤のパスワークで崩されて良い形でシュートを打たれて、自分もこぼれ球の部分は意識していたんですけど、相手の11番(原田開)のほうが一枚上手で。昨季は最後の最後のところで守れていたんですけど、今季はちょっとしたチャンスでやられてしまう印象があって悔しいですね。

――攻撃面では3点目を取りきれなかったのも課題の一つにはなると思いますが

前半のあれぐらいのパフォーマンスしか出せていなかった相手に対して、結局のところ1点目はオウンゴールですし、2点目は洋史(MF近藤、スポ3=名古屋グランパスU-18)の個人技でのゴールです。その他に良い形ができていたかと言われればそうではないと思います。相手のウィングのポジションにいた二人が前線に残っていて、サイドで数的有利を作れるのにそれでも中央ばかりを使おうとしてしまっていて。攻撃のところでボール保持者が自分のやりたいようなプレーだけではなくて、相手のポジションとか相手の状況に合わせたようなパスやドリブルを選択していれば、数的有利も生まれてもっとチャンスも作れたと思います。特に自分と洋史のサイドは、もう一つ洋史にボールが入っていれば2対1の数的有利で崩せそうな場面も多くありました。早い段階で1点、2点、3点と決めていければ相手のリズムも崩れていくと思うので、当然ディフェンスの課題は重く受け止めないといけないですけど、やはり攻守両面で質を上げていかないといけないと強く感じています。

――きょうの試合で首位専大とは残り5試合で勝ち点10差。3位筑波大もすぐ後ろに迫っています。現実的に非常に厳しい状況に追い込まれた中、「優勝」に向けてぶれずに戦っていく意識でしょうか

凄く状況は厳しいですけど、残り5試合全て勝つという目標はチームとしてしっかりと掲げています。優勝はどうこうというよりも、勝利を信じて応援してくれる人たちのためにも目の前の試合に勝ちたいという思いがあります。下を向かずに前だけを向いてやっていくしかないと思うので、次からとにかく5連勝を達成できるように準備していきたいです。

――5連勝を達成するために、最初に立ちはだかるのは慶大です。意気込みをお願いします

昨季も全勝してますし、今季もいまのところ全勝です。2年続けて全て勝てたと言えるように、しっかり良いトレーニングをして絶対に勝ちたいと思います。

MF池西希(スポ4=浦和レッズユース)

――きょうの試合を振り返って

きょうは勝てた試合で勝てなかったので最悪です。

――前半の方はボールが落ち着かない時間帯が続いたがいかがでしたか

落ち着かないなかでもしっかり自分たちらしく戦ってたのでよかったと思いますし、後半しっかり相手に向かっていけなかったのが敗因だと思うので、そういう意味では前半しっかり戦えたのはよかったです。

――良い時間帯で2点奪いましたが振り返って

しっかりと自分たちらしい早い攻撃でスムーズに攻めて2点取れたので評価できますし、次の慶大戦でも実践できるようにトレーニングしていきたいです。

――後半相手が4-1-4-1に変えてきてからボールが奪えなくなりましたが守備面での課題は

そういうのは分かってたんですけど、それに自分たちが個人としてもチームとしても対応できなくなって下がってしまって、そこから切り替えが悪くなり攻撃でも前にいけず押し込まれたのが失点の原因だと思います。

――後期は後半に押し込まれ失点するシーンが増えていますが改善点は何だと思いますか

大きな原因は無いと思うんですけど、相手が後半にパワー出してきたときにプレスが上手くはまらずどうしても押し込まれてしまうのが原因かなと思います。まあ自分たちも前半やられたあとの後半の強さというのはあるんですけど、相手が逆の状態で攻勢を強めてきたときに自分たちがチームとして統一した対処をできればなとは思います。

――次節は累積で出場停止ですがチームメートに対してどういったメッセージを伝えていきたいですか

出れなくてもチームの一員であるのは変わらないですし、来週慶大に勝てるようにチームに対してやれることを練習から出していくだけです。チームが勝てればそれでいいので。個人的には試合に出れないというのは、自分のコンディションを上げれるということなので、それはもうプラスにとらえてやっていきたいです。イエローもらうってことはチームに迷惑かけてるってことですけど、次の試合でしっかり結果が残せるようにy調整するだけです。

MF近藤洋史(スポ3=名古屋グランパスU-18)

――今節の相手は順大でしたが、ハードワークが武器のワセダが押されているような印象がありました

スカウティング通り前に蹴ってきてセカンドボールをいくって言う感じでしたが、前半はうまくいけたのですが、後半相手のポジションチェンジもあり少し間を突いてくるようなサッカーを相手がしてきた時に、こっちとして全然対応できなくなってしまったところが追いつかれてしまった原因だと思います。

――自陣でのプレーを強いられる時間帯が続いたと思います

後半ずっと押し込まれている中でやっている選手たちがそういう状況でどういうプレーをしたらいいのかとか、どう相手の勢いから自分たちのペースに戻すのかといった自立した自分の意志というのが中で弱くて、相手に押し込まれてずっとそのペースになってしまったので、そこはもっと中で変えていかなければいけないと思います。

――前半の得点については理想的な形だったのでしょうか

あの形は自分がずっと練習してきた形だったので、それを試合の場で出せたということは自分にとってもすごく大きなことで、本当に練習すれば試合できょうみたいにああいうシュートが出せると思うので、これからももっともっと練習して、ああいう形で決められるように頑張っていきたいです。

――後半2失点となった原因は

前半は相手がドタバタしていて、相手のボールになっても前に簡単に蹴ってきたのであまりこっちの脅威になることはありませんでしたが、後半からはボールを落ち着かせられる天野選手がサイドから真ん中に入ってきて、そこでボールも収まるのでチームとして相手のCBや奪った後に前半では慌てて蹴っていたところを少し落ち着いて間を見ながらつないできたということが後半からの相手の変化で、それに対してワセダはうまく対応できなかったというところだと思います。

――今節から見えたチームの課題は相手への対応という部分でしょうか

簡単に蹴ってくる相手に対して守るのはすごく簡単なんですけど、間を突いてきたりとか空いているスペースを見ているを見てくる相手に対して自分たちはどこを守らなきゃいけないのか、今自分がボールに行った方がいいのかそれとも引いたほうがいいのか、個人の判断ですがもっと周りを見ていくとかそういう判断の能力がトレーニングしているところですがまだまだ試合で通用するレベルではないなと思いました。

――総理大臣杯から無失点で抑える試合が無いことについて

チームとして守るということもですが個人としても守れないなというのが強く感じています。危機察知や個人の守備能力という部分をもっともっと上げていかないと、関東リーグも質の高い攻撃をしてくる相手ばかりなので、結局そこができてないから守れないんだと思っています。

――失点を止められない現状では、得点力を上げていかなければいけないというところでしょうか

きょうも自分が点を取れたということもありますが、自分は守備もやりますが攻撃のところに強みを出していかないといけないと思っているので、きょうのようにどんどん仕掛けていって得点だったりアシストだったりをできるようにしていきたいと思います。

――今節引き分けたことで首位の専大との差がさらに開きました

優勝するためには勝つしかないですし、勝てないというのは今の自分たちの実力ですし、今節の結果で折れること無くトレーニングから見つめ直して個人で高めていって、まずは次の試合を勝てるように頑張っていきたいです。

――次節も含め、リーグは残り5試合となりました。意気込みをお願いします

もう残り全て勝つことしか優勝の望みは残されていないと思いますし、自分自身も残り5試合やる中でもっともっと成長していきたいと思っているので、まずは次節の慶大戦に絶対勝って、チームとしても勢いに乗れるように、自分自身も高めていきたいと思っています。