産能大とのPK戦までもつれた死闘を辛勝 全国大会出場をかけてインカレ王者・明大との試合へ

ア式蹴球男子
試合結果

「アミノバイタル®」カップ2024 第13回関東大学サッカートーナメント大会

2024年6月19日(水)3回戦 vs産業能率大学
15:00 Kickoff @RKUフットボールフィールドA面

試合結果

チーム 前半 後半 延長前半 延長後半 PK 合計
早大 1 0 0 0 7 1
産能大 1 0 0 0 6 1

得点者

前半

4分 相手

26分 西凜誓

 夏に開催される総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント(総理大臣杯)の出場権をかけた「アミノバイタル®」カップ2024 第13回関東大学サッカートーナメント大会(アミノ杯)が6月13日より開幕した。2年連続の総理大臣杯出場を目指すア式蹴球部(ア式)は3回戦からの登場となり初戦の相手は産能大となった。試合は開始直後にいきなり先制を許す難しい展開となる。その後は主導権をにぎったア式、26分に中央での崩しから最後はDF西凜誓(社2=名古屋グランパスU18)が冷静に決めて同点に追い付く。勝ち越しのチャンスも訪れたが決め切ることはできず前半を1ー1で折り返す。後半は立ち上がりからア式が決定機を作るもなかなか追加点を奪えない。試合終盤は攻め込まれる展開となるもGK海本慶太朗(スポ2=大宮アルディージャU18)を中心とした粘り強い守備でしのぎ、スコア変わらず試合は延長戦に突入する。延長戦も両者得点を奪えず試合はPK戦へ。10人目までもつれる激闘の末に最後はDF石井玲於奈(商3=FC東京U18)がPKを沈めて勝利、全国大会出場をかけた4回戦に駒を進めた。

豊富な運動量を見せた成定

 前半、立ち上がりにいきなり試合が動く。相手キーパーのキックから始まった攻撃で、ペナルティーエリアの外でボールを受けた相手が反転してシュートを打つとゴール左隅に吸い込まれ先制を許す。失点後はア式がボールをにぎって立て直す。15分にはMF成定真生也副将(スポ4=神奈川・日大藤沢)がクロスを合わせるも枠の上に外れてしまう。さらに23分にもMF谷村峻(スポ3=FC東京U18)がミドルシュートを放つがこれも惜しくも枠を捉えることができず。それでも26分、敵陣でボールを持つと右からのボールをMF本保奏希(スポ3=JFAアカデミー福島U18)、FW駒沢直哉副将(スポ4=ツエーゲン金沢U18)がワンタッチで横に流す。最後は成定が左にラストパスを送ると西が冷静にシュートを放ち同点に追い付く。前半のうちに逆転したいア式は攻勢を強めるも決定機を決め切ることはできず、1ー1で前半を折り返す。

途中出場で相手陣に積極的な侵入を見せた久米

 後半は立ち上がりから主導権をにぎったア式がゴール前に迫ることを試みたがなかなか決定機には繋がらない。64分、67分とクロスにMF東廉(スポ4=清水エスパルスユース)が頭で合わせたが相手の攻守に阻まれて得点することができない。79分には相手に左サイドを突破されてシュートを打たれるもポストに直撃、間一髪でピンチをしのぐ。終了間際のコーナーキックのピンチも集中した守備で守り切り追加点を許さず。試合は1ー1のまま延長戦に突入した。

 延長戦では途中出場となったMF久米遥太(政経1=東京・早実)やMF高橋作和(法2=東京・国学院久我山)を中心にゴールへ迫る。延長前半は相手に押し込まれながらもシュートが正面を突くなど、相手が決定機を逃す展開で難を逃れる。延長後半には高橋のシュートが惜しくも枠を外れるなど、決定機を決め切ることができない。最終盤には海本のビッグセーブも飛び出して失点を許さず。延長戦の20分間は両チーム共にチャンスを作りながらも決定的な場面で仕事ができず、同点のままPK戦に突入する。先に追い込まれたのはア式だったが、決められたら負けという局面で相手がPKを失敗。その後10人目まで続いたPK戦、最後は石井がPKを決めてPK戦を7ー6で制し、4回戦進出を決めた。

PK戦に勝利して喜ぶチーム

 トーナメントの初戦特有の難しさで苦戦を強いられることになったア式、得点の形はいくつも作れていただけに決めるところを決め切ることができれば大きく展開を変えることができただろう。それでもまずは次に駒を進めたことがこの試合最大の収穫だ。全国大会進出をかけた4回戦の相手は現在1部リーグ無敗で首位、昨年のインカレ王者・明大との試合となった。今の大学サッカー界で最強格のチームの一つといっても過言ではないだろう。それでも「同じ大学生、負ける相手ではない」と兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)。延長戦を戦い抜き、そこからの中2日という難しいコンディションでの試合となるが、ア式らしいサッカーで全国行きの切符をつかみ取ることを期待したい。

(記事 和田昇也、写真 髙田凜太郎、西村侑也)

メンバー情報

早稲田大学 メンバー

スタメン

ポジション 選手名 背番号
GK 海本慶太朗(スポ2=大宮アルディージャU18) 21
DF 佐々木奈琉(社3=新潟・帝京長岡) 2
DF 増田健昇(スポ3=横浜FCユース) 3
DF 西凜誓(社2=名古屋グランパスU18) 12
DF 石井玲於奈(商3=FC東京U18) 19
MF 谷村峻(スポ3=FC東京U18) 6
MF 伊勢航(社4=ガンバ大阪ユース) 7
MF 東廉(スポ4=清水エスパルスユース) 8
MF 本保奏希(スポ3=JFAアカデミー福島U18) 11
MF 成定真生也(スポ4=神奈川・日大藤沢) 20
FW 駒沢直哉(スポ4=ツエーゲン金沢U18) 9

【監督】兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)

サブ

ポジション 選手名 背番号
GK 北村公平(文構4=神奈川・桐光学園) 16
DF 石川真丸(スポ4=名古屋グランパスU18) 5
DF 林奏太朗(スポ1=サガン鳥栖U18) 22
MF 森田大智(スポ3=熊本・大津) 14
MF 松尾倫太郎(人4=千葉・八千代) 15
MF 久米遥太(政経1=東京・早実) 28
MF 高橋作和(法2=東京・国学院久我山) 32
MF 山田皓生(社2=群馬・前橋育英) 33
FW 瀧澤暖(スポ3=北海道コンサドーレ札幌U18) 23

交代出場

選手名 背番号 交代時間 交代相手
石川真丸 5 58分 成定真生也
松尾倫太郎 15 69分 東廉
高橋作和 32 80分 本保奏希
久米遥太 28 82分 佐々木奈琉

試合後インタビュー

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)
ーー試合全体振り返っていかがでしたか
 開始直後の3分に健昇(増田、スポ3=横浜FCユース)が滑ってしまっての失点ではありましたけど、勝てるチームになるためにチームとしてはイレギュラーにも対応できるようにしないといけないです。失点後は相手のプレスのかけ方含めて全員がしっかり理解した中で、 相手が特に何もできない状況を自分たちから作り出せたのは、チームがリーグ戦から成長しているなと感じる場面でした。ゴールシーンも完璧に崩してたので、そこに関しては良かったなと思いますけど、結局その後たくさんチャンスを作りながらも、最後のシュートが決められないところ。特にエリア内から決められないのは、このチーム最大の課題かなと思っているので、(攻撃の形)作りを含めたところは全体的に良くなったり、最後の局面でゴールの枠内に入れさせないシュートブロックの本数もちゃんと増えてきてるので、そういうところではいい積み上げはできてるのかなっても思いながらも、自分たちがずっと課題としてるゴール前の最後の決めきるところというのは、まだ課題が残ったかなとは思いますね。

ーー後半や延長後半の終わり側にピンチを作られる時間が続きましたが原因はどこにあったと考えていますか
 攻め急ぎと、奪ったボールを自分たちからミスで手放してしまったので、あそこで落ち着かせられるような人が中に何人いるかはすごく大事な要素だと思うので、そこ(自分たちでボールを落ち着かせる)をできてる時間とまだできてない時間がありました。前半悪かった時間帯は奪った後保持に入っていて、良くなってくるときは奪った後すぐ縦につけて、自分たちから前進しようという意思をちゃんと見せてましたね。悪い時間帯に奪ったあとすぐボールを離しちゃう、イージーミスしちゃうところが課題としてあるのかなと思います。しっかりと明日ミーティングして、次の明治戦に向かいたいなと思いますね。

ーー中2日での明治戦になりますが、次に向けての意気込みをお願いします
 誰が出てもいい状態をずっと作り上げてるつもりなので、疲労がどのぐらいかを見ながら、それでも多分このメンバー得意だと思うので、 いい競争をしながら明治1部で1位のチームなので、今の自分たちがどこまでやれる含めて、でも同じ大学生で全然負ける相手じゃないと思ってるので、しっかりと自信持って堂々とプレーして、しっかり勝ちにいきたいなと思います。


海本慶太朗(スポ2=大宮アルディージャU18)
ーー試合振り返っていかがでしたか
 見ての通りなかなか難しいゲームだなって思いました。セカンド(ボールの)ところは回収できていたので、いい展開で進められている時間は多かったですけど、最後決めきるところだったり、前半開始早々失点したところだったりあったので、かなり難しいゲームでした。

ーー試合終盤にはビッグセーブもありました。試合全体振り返ってご自身のパフォーマンスはいかがでしたか
 いつも通り。普通みたいな感じですね。練習でやってきてることが試合にそのまま出てるみたいな感じなので、それほど自分の中でビッグセーブした感覚はないんですけど。 これが当たり前になるように、これからもっとやっていきたいです。

ーーPK戦で意識したことはありましたか
 楽しもうとしか考えてなくて、自分が一番楽しんでる時が一番止めれるし、結果的にPK1本も止めずに勝てましたけど、そこも楽しめたからなのかなというのと、最後は自分がすごい持ってるなって思いました。

ーー中2日で明大との試合になります、次に向けての意気込みをお願いします
 絶対にタフなゲームになるし、絶対に難しいゲームになると思うので、しっかりと今日出てた選手も出てない選手も次勝てるように準備していきたいです。


西凜誓(社2=名古屋グランパスU18)
ーー今日の試合全体を振り返っていかがですか
 アミノバイタルカップはトーナメント戦で初戦がすごく難しいというのはわかっていて、その中でやっぱり産能大相手で3週間前ぐらいにリーグ戦でやった相手で、お互い多分手の内も知っている中でのプレーで難しくなるとは試合の前から思っていたんですけど、そんな中でやっぱり入りの部分で少し緩さが出て失点してしまって、でもそこから自分たちの中で切り替えて、やることを変えずにうまく修正できたので、そこから自分自身ゴールも決められましたし、延長戦まで行ってPK戦で勝つというタフなゲームになりましたけど、ほんとに勝ち切れたことが一番よかったなというふうに思います。

ーーゲームが始まって早々に失点しましたが、チームとしてどのように切り替えましたか
 まあ本当に早い時間帯だったので、自分たちの中でもやることを変えずに、切り替えてやり続ければまだまだ時間もあるし、絶対自分たちはゴール決められるというふうに中でも話が出ましたし、自信はあったので、本当に慌てることなく落ち着いてプレーしようというふうには、中で全員に共有していました。

ーー自身の得点シーンの振り返っていかがでしたか
 自分自身の強みとして、やっぱりゴールに関わるという部分があるので、そういった意味で、練習の中からずっとゴール前に入っていくということは意識していましたし、その中でうまく真生也くん(成定真生也副将、スポ4=神奈川・日大藤沢)からスルーパスが来たので。 で、試合前に小澤コーチから相手のキーパーがちょっと予測してファーに動くというのを教えてもらっていたので、そこでちょっと自分の中でそれを思い出して、ファーに蹴るふりしてニアにシュートを打てば入るのかなというふうに思って、思い切ってシュートを打ったら、本当にその通り入ったのでよかったです。

ーーチームとして最後まで追加点が取れませんでしたが、そこに対していかがですか
 本当に何度も何度もチャンスがあった中で決め切れなかったという部分で、やっぱり決めきれなかったからこそPKまで行くという苦しいゲームになってしまったと思うので、そこを決めきるかどうかで上に行けるかどうかも変わってきますし、本当に練習の中から決め切るという部分にこだわっていかないと、ああやって練習でできなければ試合でできないと思うので、そういった意味では、練習から本当にシュート1つだったりにもう1回こだわって取り組んでいかないといけないなというふうには思います。
ーー土曜日は明治との試合になりますが、意気込みをお願いします
 本当に楽しみでしかないですし、大学サッカーリーグの中でも一番強いと思っていますし、実際に1部でずっと勝ち続けて1位を走っているチームなんで、そういったチームに自分たちがどれだけできるかという通用する部分を確かめる場でもありますし、ただ、そういったチャレンジャー精神を持ちながらも、絶対に負けないという気持ちで、本当にまずは目の前の相手に負けないという部分で、全員がやれば必然といい方向に向かっていくと思いますし、自分たちが今シーズンずっと新チームが始まってから積み上げてきたものを出し続ければ絶対に勝てなくない相手だと思うので、そういった意味で自信を持って、中2日しかないですけど、いい準備していけたらいいと思います。