全国大会の舞台で実現した早慶戦に2ー1で勝利 準々決勝は強豪・筑波大との対戦に

ア式蹴球男子
試合結果

第48回 総理大臣杯 全日本大学トーナメント

2024年9月6日(金) 14:00 Kickoff vs 慶応大学 @セイホクパーク石巻フットボール場

試合結果

チーム 前半 後半 合計
早稲田大学 1 1 2
慶応大学 1 0 1

得点者

前半

4分 相手

41分 西凜誓

後半

74分 駒沢直哉

 総理大臣杯全日本大学トーナメント(総理大臣杯)の初戦で環太大に5―0で勝利し2回戦へ駒を進めたア式蹴球部(ア式)。2回戦の相手は宿敵・慶大、8月25日に行われたばかりの早慶クラシコで対戦をしており、その試合は4―0で勝利している。

 シーズンを通して課題としている立ち上がり。「アップから相手に上回られていた」と兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)。嫌な予感はいきなり的中してしまう。4分、敵陣でのボールロストから相手にゴール前まで侵入されると、相手の左サイドからのクロスを頭で合わせられていきなり先制点を許す。すぐに追い付きたいア式は18分にMF東廉(スポ4=清水エスパルスユース)、23分にMF山市秀翔(スポ3=神奈川・桐光学園)がシュートを放つが、いずれも枠を捉えることができない。33分にはMF森田大智(スポ3=熊本・大津)がゴール前まで侵入するもシュートはキーパーに阻まれてしまう。悪い流れを断ち切るべくア式は前半のうちにエース・FW駒沢直哉副将(スポ4=ツエーゲン金沢U18)を投入する。徐々に相手ゴールへ迫っていたア式は41分、山市のクロスに対して相手のクリアが短くなったところをDF西凜誓(社2=名古屋グランパスU18)がワンタッチで流し込み、前半のうちに同点に追い付きハーフタイムを迎える。

同点弾を決めて喜ぶ西(中)

 ハーフタイムには兵藤監督からのゲキも飛び、迎えた勝負の後半。46分、西のクロスを森田が体を張ってボールに合わせたがわずかに枠を捉えることができない。52分には相手のコーナーキックを頭で合わせられたが、駒沢が体を張りなんとかクリア。追加点を許さない。お互い得点を奪えない中迎えた74分、相手のパスを駒沢がカットするとキーパーの位置を見てロングシュートを放つ。シュートはキーパーの頭を超えてゴールイン、早慶クラシコMVPのゴールでついに逆転に成功する。その後はDF石川真丸(スポ4=名古屋グランパスU18)、DF増田健昇(スポ3=横浜FCユース)と守備陣を投入して試合を締めにかかったア式。中1日という難しいコンディションから疲れも見えたが、最後まで走り切り1点を死守。2ー1で早慶戦2連勝、総理大臣杯準々決勝に駒を進めた。

逆転弾に喜ぶ駒沢(左)と神橋

 誰一人として納得できる内容ではなかっただろう。それでも絶対に負けてはいけない相手から勝利をつかみベスト8進出を決めた。準々決勝の相手は強豪・筑波大。日本屈指の難敵だが、チームが目標としている日本一に向けては倒さなければいけない相手だ。中2日での試合、最大限の準備をしてベスト4へ進んでほしい。

(記事、写真 和田昇也)

メンバー情報

早稲田大学 メンバー

スタメン

ポジション 選手名 背番号
GK ヒル袈依廉(スポ4=鹿児島城西) 1
DF 佐々木奈琉(社3=新潟・帝京長岡) 2
DF 神橋良汰(スポ4=川崎フロンターレU18) 4
DF 西凜誓(社2=名古屋グランパスU18) 12
DF 石井玲於奈(商3=FC東京U18) 19
MF 谷村峻(スポ3=FC東京U18) 6
MF 東廉(スポ4=清水エスパルスユース) 8
MF 山市秀翔(スポ3=神奈川・桐光学園) 10
MF 森田大智(スポ3=熊本・大津) 14
MF 光田脩人(スポ4=名古屋グランパスU18) 17
FW 松尾倫太郎(人4=千葉・八千代) 15

【監督】兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)

サブ

ポジション 選手名 背番号
GK 海本慶太朗(スポ2=大宮アルディージャU18) 16
DF 増田健昇(スポ3=横浜FCユース) 3
DF 石川真丸(スポ4=名古屋グランパスU18) 5
DF 笹木大史(商3=東京・早大学院) 13
DF 佐久間真寛(商3=静岡・藤枝東) 25
MF 高橋作和(法2=東京・国学院久我山) 24
MF 柏木陽良(スポ2=鹿島アントラーズユース) 28
MF 森山絢太(スポ4=兵庫・三田学園) 30
FW 駒沢直哉(スポ4=ツエーゲン金沢U18) 9

交代出場

選手名 背番号 交代時間 交代相手
駒沢直哉 9 34分 東廉
柏木陽良 28 67分 森田大智
石川真丸 5 78分 松尾倫太郎
増田健昇 3 85分 光田脩人
高橋作和 24 95分 佐々木奈琉

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)
ーー中1日での試合となりました。昨日はどのような準備をしましたか
 コンディショニングがメインで、出てない選手含めてモチベーションの維持をやりました。

ーー試合振り返っていかがですか
 多分選手たちの中では隙を作ってなかったという認識だったと思うんですけど、僕らが見てる中ではアップのところから含めて隙はあったと思います。試合に入る前もロッカーでこれじゃあやられるよと伝えました。アップのところのモチベーション含めて向こうの方が上回ってたので、緩さだったりここで切り替えていかないとやられるぞっていうところで、その通りになってしまいました。もうハーフタイムでどうこうするより、飲水タイムで変えないと間に合わないと思ったので、ちょっと厳しめに伝えました。まだまだ自分たちでやれてるだろうという認識が甘いので、ちょっとそこはこちらからしっかりと基準を提示しながら、自分たちがまだまだ足りないというとこだったりを伝えていかなければいけないなと思います。いい試合をしてる時は全員がハードワークしながらも、チームがやるべきことはしっかりと遂行できています。その中で今日は準備の遅さがあまりにもでたのかなとは思います。後半とか特にボールをもっと動かせるシーンがあったのに、楽してただ前進しようというところで、シンプルにロングボール入れてました。繋ぐことがあるから相手は食いついてロングボールも有効になるという中で、自分たちがやるべきことの整理、位置や状況含めて球が走んないというとこもありますけど、このぐらいのレベルで蹴るしかないのであれば、当然上のレベルではできないと思ってますし、ピッチ状況含めての環境に適応するのがいい選手の条件だと思うので、そういう部分ではあまりにひどい試合だったなと思います。

ーー中2日での筑波大戦となります
 もう今日の入りしたら20分で試合が終わってしまうので、そういう部分はしっかりと学生にも伝えてますし、もっと甘さを取りながら、相手のことをしっかりと分析して、次に備えるしかないかなと思います。ただ、僕らはチャレンジャーなので、筑波相手にしっかりと自分たちがやるべきことをやって、勝つために準備をしたいなと思います。

 

駒沢直哉副将(スポ4=ツエーゲン金沢U18)
ーービハインドの中での投入になりましたが、どういうこと意識して試合に入りましたか
 前半途中からというちょっとイレギュラーな形だったんですけど、守備の切り替えの部分が、相手の方が早くて自分たちのサッカーができてないっていうところで、自分が入って前で危険になることで、チームにリズム取り戻して自分たちのサッカーができるようにというのを意識して入りました。

ーーそれらを踏まえて、前半はどう振り返りますか
 相手のラインが高くて、背後のランニングは有効だなというのを見ながら感じてました。背後の動き出しをうまく出せて、それで押し込む時間が自分が入った後にできました。その時間帯にいい形で凜誓(西、社2=名古屋グランパスU18)が決めてくれて。前半入りは良くなかったけど、しっかり1点取り返して戻れたっていうのはよかったなと思います。

ーー後半、結果的に逆転に成功しましたがどう振り返りますか
 ハーフタイム、監督から言われた言葉はほんとにその通りだなって思いました。それでも試合中は、終わったことは仕方ないので、自分が流れを変えていこうと思いながら後半に入りました。

ーー2週間前も同じ相手とやった中で、今日の試合ではどういう違いを感じましたか
 芝の感じだったり、連戦というところもあって、ちょっと自分たちが思うようなサッカーはこの前の試合から比べるとできなかったというところはありますけど、慶応は絶対負けられない相手だし、自分たちは日本一目指す中で絶対勝たないといけない試合という中で、違いになくそうと入りましたけど、ちょっと違っただけで、こうやって試合内容か変わってしまったっていうのは自分たちの弱さだなと感じました。

ーー準々決勝は筑波大との対戦になります
 筑波は去年関東リーグ優勝していて、今年もずっと1部の上位にいるチームで相手に不足はないと思います。ただ、日本一取るにはどのチームが来ても勝つだけですし、そこは2日ありますし、楽しみにしていきたいなと思います。

 

谷村峻(スポ3=FC東京U18)
ーー中1日での試合でしたが、コンディションの部分はいかがですか
 中1日で自分も前の試合90分出たことで多少疲労はあったんですけど、絶対勝たなきゃいけない試合だったので、疲労はありながらも自分が出せる力は出せたかなと思います。

ーーどのようなことを意識して試合入りましたか
 2週間前、早慶戦で4ー0で勝ったんですけど、勝ったからって油断しないことはチーム全体で意識してたんですけど、前半の最初に失点してしまったところで、自分たちは油断してなかったつもりでも自然と体が油断してしまったってこともあったので、そこは今日の大きな反省かなと思います。

ーー逆転勝利をできた要因はどこにあると考えますか
 1点取られた後に自分含めチーム全体として引き締めたといののもありますけど、ハーフタイムで監督からゲキを飛ばされたところですかね。でもやっぱそう監督にゲキを飛ばされてやるんじゃなくて、最初から自分たちで入りのところからしっかりやっていかなきゃいけないなと思いますし、最終的に逆転できたのは自分たちがしっかり走って、切り替えも球際もやれた結果かなと思うので、そこは良かったと思います。

ーー次は中2日での筑波戦になりますが、どういう準備をしていきたいですか
 今まで中1日だったので、休めることはしっかり休めます。ただ、筑波は関東でもトップを争う、強いチームなので、そこに向けて明日、明後日の練習含めてうまく分析しながら自分たちでやっていけたらいいかなと思います。

西凜誓(社2=名古屋グランパスU18)
ーー課題の立ち上がりで失点を許しましたが、立ち上がり含めて前半はどう振り返りますか
 自分たちの甘さが出てしまったと思います。自分たちが思ってる以上に体にも疲労が来てたのかなという風には感じました。本来であればもう一回アップの部分で出し切るぐらいじゃないと、試合に入れなかったのかなという風に思います。

ーー2試合連続ゴールとなりましたが、ゴールシーンを振り返っていかがですか
 自分の中で、ゴール前に入っていけば、こぼれてくるなという風には思ってますし、必ずチャンスが来ると信じてるので。そこに対してボールが自分のところまで転がってきて、ほんとに枠に入れることだけを意識して、ふかさないように打った結果、うまく相手の間を通ってゴール決めることができたので、チームを救うゴールを取れて良かったです。

ーー逆転できた要因はどこにあると考えますか
 飲水タイムで監督に火をつけられて、本当に球際だったり、切り替えだったりの原則のところが出せたのが1番かなっていう風に思います。気持ちの面でも絶対に負けたくないっていう思いが最後は結果につながったのかなっていう風に思います。

ーー準々決勝は中2日での筑波大戦となります
 筑波大学は、昨年も関東リーグで優勝してますし、とても力があるチームっていうのはわかってるので、チャレンジャー精神で試合の入りから、今日の試合のような過ちは犯さないようにしっかりやっていきたいと思います。中2日あるんで、本当にしっかり休んでいい準備ができたらなと思います。