1年生で唯一のアルペン部門所属・津野尾広大(スポ1=長野・白馬)と、早大スキー部に一般受験から入学したフリースタイル部門の中澤葵(スポ1=新潟・長岡)。お2人にスキーをはじめたきっかけや学校生活などさまざまなお話を伺った。
※この取材は8月5日に行われたものです。
「基礎に忠実に滑ることができる」(中澤)
――お互いに紹介をお願いします
津野尾 中澤さんはスキーの種目としてモーグルをやっています。好きな食べ物を言う時には餃子と答えているらしいです。それ以上のことは、よく分からないです(笑)。
――これから仲良くなるということですよね
津野尾 そういうことです(笑)。
中澤 広大はスキーはアルペンをしていて、優しいけどはっきり言う時ははっきり言うメリハリがあります。
――お互いに初めて会ったのはいつですか
中澤 入学する前、入学式の前に。
津野尾 スキー部の寮で会ったと思います。1年生の集まりがあったので、その時に顔合わせしたと思います。
――初めて会った時の印象は覚えていますか
津野尾 僕は1人推薦じゃなくて勉強で入ってきた人がいると聞いていたので、すごく頭がいいんだろうなと思っていました。
中澤 男子は4人ですごく少なかったので、会った時の印象で言うとその中でいちばん背が低かったと思います。
――その時の印象と今で違っていることはありますか
津野尾 頭がいいのに、見てるとちょっと抜けていて人間味溢れる人だなと今は思います。
中澤 さっき言ったことと同じになってしまいますが、優しいけど言う時はズバッと言うことができます。多分自分では自覚がないと思いますが、周りから見たら気づかなかったことを意外とズバッと言っている感じです。
――スキー以外の特技はありますか
津野尾 小学生までスケートをやっていたので、スピードスケートをちょっと滑ることができます。僕がやっていたのはローラーの方のスピードスケートで、氷の上で滑っている時期にはもうスキーをやっていたので、夏のローラースケートみたいな、それを本格的にやっていました。
中澤 今はもうやっていなくて、最近もあまりやっていないですが、強いて言うならピアノをやっていたので、弾くことができます。結構クラシックばかり弾いていました。
――今はどんな練習をされていますか
中澤 私は今地元に帰ってきています。高校の時に膝の手術をしたんですけど、入っていた釘を抜く手術を(8月)2日にしたばかりなので、最近は全然トレーニングできていなくて、リハビリからという感じです。
津野尾 今は免許合宿中で、静岡に泊まっています。周りに本当に何もなくて、走るところぐらいしかないんですよね。ちょっとインターバルをやってみたり、長い距離走ってみたり、自重で筋トレしてみたりくらいしかできなくて、地元に帰ったら自転車とかもやると思います。
――スキーや今の種目を始めたきっかけを教えてください
津野尾 僕は兄と姉がいるんですが、その2人がスキーをやっていたのでそれに乗っかって僕も始めたら結果が出たので続けています。
――何歳くらいから始められましたか
津野尾 多分スキーを始めたのが3歳で、その前から親に背負ってもらってスキー場を滑る画を見てはいたらしいです。競技は3歳から始めたっていうことはないんでしょうけど、それなりに早くはやっていたと思います。種目は最初からアルペンスキーです。
――中澤さんはいかがですか
中澤 競技を始めたきっかけは知り合いの方がコーチで、その方に誘われて小学4年生くらいの時にスキー場に行ったことです。地元が新潟の湯沢という雪がいっぱい降るところだったので、お母さんにすごく小さい頃からたくさんスキーに連れて行ってもらっていました。スキーはもともと好きだったので、知り合いの方に誘われた競技を始めました。
――競技面での自分の強みやアピールポイントはありますか
津野尾 僕はアルペンスキーをやっていて、アルペンスキーは縦に縦に滑って切った方が速くなります。板を縦に落としていく方がスキーは速いので、その恐怖心なく思い切って滑っていくことができる、そういう能力があると思います。
中澤 小さい時に基礎をコーチにたくさん教えてもらった経験があってすごく叩き込まれたので、しっかりと規律を守って滑ろうという気持ちがあり、その部分はしっかりしているんじゃないかなと思います。その分難しいバーンでも基礎に忠実に滑ることができるところが、持ち味かなと思います。
――モーグルの競技中のエア(空中でのジャンプ)に対して恐怖心はありますか
中澤 怖い時もありますが、慣れれば怖くないです。
「スキーのことを考える時間が多くなった」(津野尾)
――ここまでの大学生活を振り返っていかがですか
津野尾 僕は意外と思っていたよりも自分の時間が多いというか、1人で練習しなきゃいけないことが多いと感じています。高校の時は週6で全体で練習していたので、メニューは全部決まっていましたが、大学に入ってから練習は週3であとは自分で考えなきゃいけないので、メニューなどを考えてスキーのことを考える時間が多くなった気がします。
中澤 私は毎日充実しすぎて、4カ月過ぎるのがすごく早く感じています。もう一瞬で毎日が過ぎててという4カ月でした。私の場合は今まで受験勉強をしていたので、1日が長くてしょうがなかったんですけど、毎日仕事があったりトレーニングをしたり、同期と遊びに行ったり、いろいろな経験ができてすごく充実した4カ月が過ごせたかなと思います。
――練習の強度などはいかがですか
中澤 私は圧倒的に練習量が増えています。高校の時はスキー部がなかったので、部活にも入らず自分で練習していました。高校1年生の春にケガをしてしまったので、そこからあんまり追い込んで練習することができなくて、高校はリハビリと受験勉強でほとんど終わってしまいました。大学に入って圧倒的に練習量も増えましたし、内容も先生に教えていただきながら自分で組み立てるだけじゃなくて、いろいろな方にアドバイスをいただきながらいいものにできているかなと思います。
津野尾 僕は高校の時に比べたら強度も頻度もすごく下がっています。もともとヘルニアだったんですけど、冬の最後にそれがひどくなってしまって、手術をしてから学校に通うことになりました。ほんとうに強度も頻度も上げることができなくて、直近の1カ月くらいでやっと頻度も強度も上げてきました。それまでは強度というよりは、体の使い方や強度を上げてもいいようにどうするかということをやっていました。
――続いて早大を選んだ理由やきっかけはありますか
津野尾 自分はスポーツのことに関して勉強するなら興味を持ってできると思い、早稲田はスキーでも強くてたくさんOBの方がいらっしゃったり、これから入ってくる選手たちも強い子たちがいっぱいいたりするので、そこで高められたらと思い入学しました。
中澤 私はいくつかあるんですけど、まず高校入学前から早稲田に行きたいと思っていました。その時もスキーをやっていたので、早稲田に行ったらスキーやりたいなと思っていて、その時からの目標でした。あとは早稲田に行けば勉強もスポーツも両立できるかな、勉強もいい内容で学べるかなと考えていました。今はもう卒業された昨年の4年生に先輩がいて、その先輩は1年生で引退されたたんですが、高3の時にいろいろ話を聞いてここを受けようと決めました。
――その先輩はどなたですか
中澤 元野(里音、令5スポ卒)さんです。モーグルだったので、里音さんに電話でいろいろ聞かせてもらっていました。あと里音さんの1個上の代で先輩がいらっしゃって、モーグルで何人か早稲田にいらっしゃったので、行きたいなと思っていました。
――入学する前から知っている先輩はいらっしゃいましたか
津野尾 僕は同じ高校出身の鎌倉春音(スポ2=長野・白馬)さんがいらっしゃったので、いろいろ聞きながら受験をクリアして入学しました。
――中澤さんは高校時代に、どのように競技と受験勉強を両立されていましたか
中澤 昨年はほとんど競技の方はやっていませんでした。高校1年生の春にケガをして、2年生はリハビリで競技ができなくて、高校3年生では復帰しようと思えばできましたが、受験があるとなると(競技では)高校生活でケガをして成績を残せていないことを考え、勉強して入るためにずっと勉強していました。高校は受験対策をしっかり応援してくれる学校だったので、それに乗っかって頑張っていました。
――尊敬する選手はいらっしゃいますか
津野尾 僕はブルガリアのアルバート・ポポフ選手です。アルペンスキーは身長が高い方が有利なんですけど、僕はさっき言われた通り身長が低くてまあまあ不利なんですよね。僕と同じくらいの身長の海外選手がW杯で入賞していたり、活躍していたりするので僕も負けていられないなというか僕でもそこまでいける可能性があると思わせてくれた選手なので、尊敬していますし今は1番の目標です。
中澤 私はもう引退された上村愛子選手(フリースタイル・モーグル、五輪5大会連続入賞)です。(五輪では)メダルには届きませんでしたが、滑りをいろいろと研究して、滑りにも流行りというのがあるんですけど、流行りを研究して自分で変え、自分の滑りを貫き通す部分もありました。エア、ジャンプの方も難しい技にチャレンジしていく姿というのが目標です。
――今シーズンの目標をお願いします
津野尾 僕は大学に所属しているので、まずはインカレ(全日本学生選手権)の優勝を目標にやっていこうと思っています。さらに上の目標として全日本(選手権)入賞や優勝という目標を叶えていけたらなと思っています。
中澤 私は今年の冬が復帰戦になるので、まずは同じケガをしないようにしっかりとトレーニングをして絶対にケガをしないことと、実戦で前の滑り、元の滑りに近づけていって、結果も残せるようにしていきたいなと思います。
――最後に色紙に何か書くとしたらどんな言葉を書きますか
中澤 私は「今を生きる」です。今のこの時間に、今やっていることに集中するということです。
津野尾 「吐くまでやりきる」 です。理由としては高校の時に教わっていた先生がすごくストイックな方で、1人で練習をやる時でも吐けるという特技を持っているらしくて、そのくらい僕もストイックにできたらなと思い、その名言にします。
――ありがとうございました!
(取材・編集 堀内まさみ)
◆津野尾広大(つのお・こうだい)
長野・白馬高出身。スポーツ科学部1年。アルペンスキー部門。2022年度全国高等学校スキー大会男子回転3位。取材当時は免許合宿中だった津野尾選手。ハマっていることはロードバイクだそうです。ロードバイクと夏のトレーニングでパワーアップした津野尾選手の滑りに期待が高まります!
◆中澤葵(なかざわ・あおい)
新潟・長岡高出身。スポーツ科学部1年。フリースタイル部門(モーグル)。好きなアーティストは3代目J Soul Brothers、スキー以外の特技はピアノという音楽好きの中澤選手。スキー以外にも多才な中澤選手の活躍に注目です!