第5回はクロスカントリー部門の女子、祖父江凛(スポ4=長野・飯山)と佐々木美紗(スポ3=北海道・富良野)。クロスカントリー部門を引っ張るお2人に全日本学生選手権(インカレ)、そしてスキーに対する思いを伺った。
※この取材は2022年10月9日にZoomで行われたものです。なお祖父江選手は世界選手権出場のためインカレには出場されません。ご了承ください。
「真面目だと初対面では思っていた」(祖父江)
――お互いに紹介をお願いします
祖父江 美紗とは3年目になるんですが、入学した当初から頑張り屋さんだなという印象が私の中にはあります。クロスカントリースキーが私たちの専門種目で、美紗はそれ以外にもバイアスロンという違う競技にも取り組んでいて、そういう面でいろいろ活躍している姿を見て、同じ仲間が頑張っているから私たちも頑張ろうという刺激にもなっています。見習わなければならない部分があるといつも感じています。美紗はすごい乃木坂が好きで(笑)、ダンスをすごく上手に踊って、逆に私は全然ダンスを踊れないので、いつかレッスンしてほしいなといつも思ってます(笑)。
佐々木 凛さんはすごいスキーが本当に速いのを知っていて、自分は早大に入学したので、そこからずっと憧れです。頑張って追いつこうと思っても、やっぱり速いので追いつけないですが、ずっと尊敬できる先輩だと思っています。自分が1年生のころは同じ部屋で、練習以外でも一緒の時間を過ごすことが多かったので、とても良くしてもらってありがたいなと思ってます。凛さんは細いのにめっちゃ大食いで(笑)、めっちゃ食べるんですけどそれがすごいなって思います(笑)。
――祖父江選手は大食いなんですか
佐々木 めっちゃ食べます。想像の倍以上は食べると思います(笑)。
――お2人が初めて会ったのは佐々木選手が早大に入学したときですか
祖父江 そうだよね、見かけたりとかは…。
佐々木 大会で見たことはあるけど話したのは大学入ってからですね。
――最初の印象と今で違っていることはありますか
祖父江 私はもっとインテリ系で真面目だと初対面は思ってました(笑)。ちゃんとオンオフの切り替えがある子で、だからちょっと安心しました。スイッチが入りっぱなしなのかなと思っていたので。
佐々木 自分も凛さんは本当にめっちゃ真面目っていう感じだと思っていたので、こんなユーモア溢れる人だとは思っていませんでした(笑)。
――普段は練習や寮生活で交流はありますか
祖父江、佐々木 はい。
――仲はいいですか
祖父江 え、悪くはないよね(笑)。
佐々木 はい(笑)。
――オフの日はどんなことをされていますか
祖父江 オフの日ですか、寝てます。こもりたいタイプです。
佐々木 私は寝るか、授業をキツキツに入れて学校に行ってるかですかね。
祖父江 美紗はわりと(外に)出るよね、ちゃんと。
佐々木 外に出ますね。
祖父江 えらいと思う(笑)。
佐々木 あんまり引きこもらないタイプです。
――佐々木選手は授業をたくさんとっているんですか
佐々木 教職をとっていて、月曜日はオフだし(高田)馬場まで行こうかなと思って、行ってます。
――スキー部は教職をとっている方は多いですか
祖父江 多いよね、多くないのかな。
佐々木 最近はちょっと減少傾向に(笑)。
祖父江 そうだね(笑)。
――スキーを始めたきっかけは何ですか
祖父江 スキーを始めたきっかけは小学校1年生のときの担任の先生にすすめられてもらったことです。
――そこからずっとスキー1本ですか
祖父江 そうですね。
――初めからクロスカントリーをやられていましたか
祖父江 はい、そうですね。たまに他の種目もやったことがありますが、続かなくて最後まで続いたのがクロスカントリーでした。
――佐々木選手はいかがですか
佐々木 私は北海道出身で親が先生をやっているんですが、スキー部の顧問をしていて、それでクロカンを見てたのがきっかけで小学校1年生からスキーを始めました。
――早大を選んだ理由を教えてください
祖父江 いちばん大きな理由はずっと背中を追っていた先輩が早大に行っていたので、私も早大に入学しました。
――その先輩はどなたですか
祖父江 2年前に卒業した小林千佳(令2スポ卒=現長野日野自動車スキークラブ)さんです。出身が同じで、中学校は別ですがずっと一緒に練習していて、高校も一緒の高校で練習していました。ずっと憧れて追い続けてきた先輩だったので、私も行きたいなと思って早大を選びました。
――佐々木選手はいかがですか
佐々木 私はバイアスロンの先輩で前田沙理(平25スポ卒=現自衛隊体育学校)さんという今年(2022年)オリンピックに出場された方と地元も一緒で、バイアスロンに転向したという点も一緒でずっと尊敬していたので、同じ道に行きたいなと思って決めました。
――スキー部の好きなところやいいなと思うところはありますか
祖父江 早大スキー部はインカレにある種目からない種目まで、いろいろな種目の選手たちがいるので、自分の種目だけでなくいろいろな人から刺激をもらえるのがいいところだなと思います。あとみんな全員に対して尊敬できる点があるのがすごくいいと思います。
佐々木 自分もアルペンやジャンプなどいろいろな部門から刺激をもらえるのはすごくいいと思っています。みんな一生懸命練習しているので私も頑張ろう、もっと練習しなきゃとか、そう思える環境があると思います。それこそオンオフが結構はっきりしているので、騒げるときは騒げるし、真面目にやるときは真面目にやることができるし、そこがいいところかなと思います。
「優勝できるように頑張りたい」(佐々木)
――昨シーズン全体の成績を振り返っていかがですか
祖父江 昨シーズンは自分の中でいちばん目標にしていたユニバーシアードが中止になってしまったことで、どうしようという迷いはありました。昨シーズンのいちばんのビッグイベントはオリンピックで、オリンピックの権利をユニバーシアードで獲得しようと思っていましたが、それがなくなってしまったので急遽全日本選手権に出場することになり、キツキツのスケジュールでした。最初はどうしようと思いましたが、自分の気持ちに正直になって挑戦したいという思いのままできたのでありがたかったなと思いました。結果も悔しい思いはありましたが、全体的には良かったシーズンなのかなと思います。また世界大会に行くチャンスを昨年はいただくことができ、世界の選手を感じることができて楽しかったのでその点では楽しいシーズンだったなと思っています。
佐々木 私はバイアスロンの試合に結構出場していて、クロスカントリーの試合にはあまり出ていないですが、数少ない大会ではあまり良かったなとは思えていないです。あまり言い訳にはしたくありませんが、夏に膝のけがをして練習が積めなかったことが原因だと思っています。そこをもっと練習できてたらなという後悔が残ったシーズンになってしまったかなと思います。
――夏はどのようなことに重点を置いて練習されてきましたか
祖父江 今年(2022年)の夏はスピード練習の質を上げることを重点的に取り組んできました。回数を少しずつ減らしてでも質を求めるようにしていて、自分のやりたいゾーンの心拍数やフォームがしっかり安定するように意識して取り組んできました。昨年よりスピード練習の回数は少なくなっているときもあったと思いますが、その分速い選手にお願いしたり、自分でビデオを見返したりしてスピード練習につなげるように意識していました。
佐々木 私はとにかく練習量を増やそうという気持ちでやっていました。練習量を増やしつつも質は落とさないように心がけていました。
――現在の調子はいかがですか
祖父江 例えば明日からシーズンインしていいかと言われたら「大丈夫です」と言える状態では全然ないです。あとぴったり1カ月でシーズンインになります。そこまでにやることはまだあるなと感じています。
――昨年の今頃と比べるといかがですか
祖父江 昨年の今頃と比べるといいと信じてます(笑)。
――佐々木選手はいかがですか
佐々木 私も昨年の夏よりは走ることができるな、感覚はいいなと感じています。今年の夏、ずっと目標にしてきたサマーバイアスロン日本選手権が先日ありました。そこで結構いい結果が出たので昨年と比べても悪くはないのかなと今感じています。
――ご自身の競技における強みは何ですか
祖父江 私の強みは…、多分最初からスピードを出せるところだと思います。その強みを活かした走りができるようにいつも意識しています。
佐々木 私の強みは…、スプリント、前半の走りかなと思います。凛さんは最初から飛ばして、そのままスピードを維持できるんですが、私は後半のことを考えずに先に飛ばして後半失速するタイプです。最初からスピードを出していけるという点は強みなのかなと思います。後半の失速という課題が改善できれば、もっといい結果になるんじゃないかなと思うので、前半の走りは強みかなと思います。
――その課題の改善のために強化している練習はありますか
佐々木 自分の心拍数で170くらいのところで練習するスピード練習があります。その練習が長い時間スピードを出す練習なので、後半で失速しないように最初から同じペースで走り続けられるようには意識しています。
――インカレ会場の印象はありますか
祖父江 鹿角はタイムも速くてスピードコースだなという印象があります。最初で遅れると取り戻せない部分があると思うので、遅れずにスピードを出していくことが大事かなと思います。
佐々木 私はあまり鹿角のコースを滑ったことがありませんが、スピードコースという印象が強いです。凛さんが言ったように最初で出遅れたら、あとで取り返せないのかなと思います。
――インカレの目標や意気込みをお願いします
祖父江 私は最後になると思うので、個人では今までの練習の成果が発揮できるように、自分の持ち味を活かした試合展開ができるように練習をしていきたいなと思っています。団体戦では昨年リレーには人数が足りなくて出場できなかったので、しっかり優勝を狙っていきたいです。総合でも他の部門と力を合わせて、自分たちの競技だけでなくて他の部門と高めあいながら、優勝に向かっていけたらなと思います。
――最後の集大成となると思いますが、いかがですか
祖父江 最近はコロナで無観客が続いていたのですが、最後くらいは両親にも見に来てもらいたいので、無観客にならないように祈ってます。
――佐々木選手はいかがですか
佐々木 私は個人種目で入賞、10位以内に入って女子団体優勝に貢献できたらいいなと思います。リレーは昨年出場できなかったので、今年は日大に勝って優勝できるように頑張りたいなと思います。
――最後に色紙に文字を書くとしたらどんな言葉を書きますか
祖父江 私は2年前の卒業生の方から色紙を頂いて、そこに書いてあった1文字が「挑」という字でした。まだ私の競技人生も終わってないですし、これからシーズンが始まって、最後まで挑戦者という気持ちは忘れたくないし、いろいろなことに、絶対無理だなということにも諦めずにチャレンジしていきたいなと思っています。それは引退して社会人として働くうえでも大事になってくるかなと思うので、「挑」という字を選びました。
佐々木 最近自分の中で思っているのが、「塵も積もれば山となる」という言葉です。オフシーズンに一気に練習しようとしてきて頑張ったけど続かないことがちょっとあったので、それよりは毎日コツコツ続けた方が身になるんじゃないかなと実感したので、シーズンに入ってからも1つ1つ解決して自分の課題をクリアしていけたらいい結果につながるんじゃないかなと思います。
――ありがとうございました!
(取材 堀内まさみ、永留琴子 編集 堀内まさみ)
◆祖父江凛(そぶえ・りん)
長野・飯山高出身。スポーツ科学部4年。すてきな笑顔が印象的な祖父江選手。9月に初めてSaucy Dogのライブに行ったそうです。インカレには出場されませんが、世界選手権に出場されます。世界選手権もインカレと合わせてぜひご覧ください!
◆佐々木美紗(ささき・みさ)
北海道・富良野高出身。スポーツ科学部3年。ハマっていることはナンプレ。祖父江選手によると、ダンスが「すごく上手」だそうです。対談中の穏やかな様子と試合での滑りのギャップに注目です!