第1回はチームの注目選手として選ばれた、山崎大翔(スポ2=富山・南砺平)、竹内一(スポ1=北海道・札幌第一)。スキー部に入部しまだまだ大きな成長を見せる下級生のお2人に、普段の生活やスキーに対する思いを伺った。
※この取材は2022年10月6日にZoomで行われたものです。
お互いについて
――お互いに紹介をお願いします
山崎 一(はじめ)は一緒にゲームをやることが多いのと、めちゃくちゃカラオケがうまいです。あくまで自分の印象なんですが、女性にモテそうだなと思います。
竹内 大翔さんも言っていたようにゲームを一緒にやってます。大翔さんは体に悪いものが大好きです(笑)。食べ物は特にです。ハンバーガーとか二郎とかをいつも食べてるイメージです。でもいつも同じ部門の先輩と仲良くしているので、いいなと思います。
――部門が異なると練習では全く会わないですか
山崎 そうですね、日曜日の午前中の部門まとめてやる全体練習以外では、基本的に一緒に練習することはあまりないですね。
――練習以外の寮生活で交流があるということなんですね
竹内 そうですね、結構遊びに連れていってもらってます。
――オフの日はどのように過ごされていますか
山崎 基本的にはゲームと、外食に行くことが多いです。カラオケとかにも行きます。
竹内 オフの日はスキー部の寮で4年生も一緒に生活していて、たくさんご飯に連れて行ってくださるのでそこが結構楽しいです。部車があるので4年生が運転してくださって、結構な頻度でご飯に連れて行ってもらっています。寮周辺でできることは限られてくるので、ご飯に食べに行ったりカラオケに行ったりですね。
――スキーを始めたきっかけは何ですか
山崎 両親がスキーをやっていて、その影響がいちばん大きいかなと思います。大会に出始めたのは小学2年生からです。小学生の頃はスキーと一緒にスポーツクライミングをやっていました。中学生からはスキー1本です。
――ずっとクロスカントリースキーをやられていますか
山崎 はい、そうです。
――竹内選手はいかがですか
竹内 出身が北海道の田舎の方で近くに、歩いてすぐのところにスキー場があって、そういう雪に触れる機会が多かったです。そもそもできるスポーツがバドミントンと野球とスキーくらいしかなくて、父がスキー関係の仕事をしていたこともありスキーを始めました。
――スキーを始められてからずっとスキー1本ですか
竹内 10年くらいストリートダンスをやっていて、バドミントンもちょっとだけやっていました。本当に田舎ですることがなくて。スケートボードも4年くらいやっていました。
――初めからアルペンスキーをやられていましたか
竹内 そうですね、スキーはずっとアルペンスキーをやっています。
――星野誉貴主将(スポ4=群馬・利根商)が登場
「俺しかおらんやろ」(山崎)
――今回の対談はチーム内の注目選手のお2人ということですが、それを聞いていかがですか
山崎 正直「俺しかおらんやろ」と(笑)。でも注目選手で言うなら思い返してみると他にも結構いるので、その中で選ばれたというのは学年の忖度が入ったかなとは思いますが(笑)、そんな感じです。
竹内 僕は真逆ですね。「僕なんだ」みたいな感じで、今はけがしてしまっていてトレーニングもあまり思うようにはできていなくて、正直同期の中でも競技成績で言えばそんなに上じゃない、むしろいちばん下くらいです。やっぱりこういう取材に注目選手として選んでもらったからには、今年のインカレに間に合うように体の調整をしてそれに見合った成績を出せればなと思います。
――昨シーズン全体的に振り返ってどのようなシーズンでしたか
山崎 自分はスポーツ推薦というかたちで入学しましたが、競技成績で言うと全然、高校時代は同期と比べると競技成績を全然出してきていなかったので練習についていくのも必死で、ほとんどついて行けていない状態でした。夏のローラースキーの大会で本当に成績が悪く、下から数えて何人目というレベルで、入る大学間違えたかなという感じでした。その状態のままでシーズンインして、シーズン初戦もあまり思うような結果も出ず、そこで今大学院に行かれた先輩やチームメイトに励ましてもらうようなことがありました。年始1発目の大会で思ってもみなかったような結果、昨年の世界ジュニア(スキージュニア世界選手権)にぎりぎり行けないくらいの成績、世界ジュニアの選考にかかってくるくらいの成績では走ることができたというので、そこから勢いづいて学生の大会やシニアも混ざった大会で少しずつ成績が出るようになって、シーズン後半の全日本選手権で6番で入賞できたのが自分の中で大きかったです。
竹内 昨シーズンは高校最後のシーズンで、僕の出身校では上下関係が厳しいところで自分はキャプテンを務めていましたが、チームをまとめるということですごく苦労していました。それプラス夏は先々シーズンからの課題も分かっていたので、その課題の改善にひたすら取り組んでいました。それでもシーズン前半は思うような滑りができなくて成績も出ず、秋ごろには早稲田大学に入学することが決まっていましたが、自分の中で(早稲田は)強豪で世界レベルの選手が多い大学なので、このまま入学していいんだろうかという気持ちを持ちながらシーズン通して戦っていました。全道高校、インターハイ(全国高等学校総合体育大会)の北海道予選で失敗をしてしまってインターハイに行くことはできましたが、下位通過でインターハイに出場することになってしまいました。アルペンスキーはスタート順がすごく大事で、インターハイを勝つ気でいましたが全道の順位を見て「優勝できるかな」という思いを抱きながら出場しました。運がいいことに当日ラッセルという前日に積雪が多いときにスタートが早い人だと降った雪の上を滑るのであまりタイムが出なくなってしまいます。後半の選手になるにつれて徐々に雪がはけていって下の固い雪が出てきてタイムが出るという、あまりないんですがそういうレースになり、自分は70番スタートで後ろの方のスタートで運も良くインターハイで3番をとることができて、早稲田大学に入学する前に少し箔がついたかなとは思いました。高校最後に何とか最低限の結果を残せたいいシーズンだったかなと思います。
――今夏はどのようなことに重点を置かれていましたか
山崎 自分はずっと課題としてある他の選手と比べて筋力が劣っているというか、パワーが劣っていてレースの雪質やコンディション次第で勝ちが安定しないようなところが多くて、昨年も調子の良かったレースだけ上位に食い込んで、それ以外のレースだとたいしたことのない結果というのが多かったです。競技成績のパフォーマンスを安定させるという面でもパワーを重点的に鍛えてきました。
――夏の練習の成果がうまく発揮できた場面はありましたか
山崎 夏のローラースキーの大会で成績を残すことができました。昨年は本当に下から数えた方が早かったですが、今年は自分では上出来の結果で走ることができたので、成長を感じることができました。昨年のレースの動画と見比べると体が太くなっているっていうので、ちゃんと筋力がついているなと目でも確認できました。
――竹内選手はいかがですか
竹内 5月の頭くらいからけがが続いて思うようなトレーニングができていなかったので、まずはとにかく治療に専念するというかたちでやっていました。現在もまだ完全には治っていなくて、今シーズンどうなるかまだわからないので、不安がありますが、トレーニングよりも治療に専念しています。できるのが体幹や軽い有酸素運動とか、そういうことくらいなので、今自分にできることをやっています。
――お2人が早大に入学したきっかけを教えてください
山崎 きっかけは地元の先輩、広瀬崚(スポ4=富山・雄山)さんや山下陽暉(令2スポ卒=現自衛隊体育学校)さんが小学校からずっと一緒で、ずっと憧れていてその先輩が早大に入学したから自分も、というかたちで「早大に行きたいな」と思ってスキーをやっていました。高校の時の部の顧問の先生が早大のスキー部の卒業生ということもあり、いろいろ縁があって入学しました。
竹内 自分は出身高校が北海道の札幌第一高校で、一高から早大に進学している先輩が多くて、自分も小学生、中学生くらいからずっと高校と大学はここに行きたいという思いが強かったです。先輩方の姿や練習に対する姿勢を見て、「早大に行きたいな」という思いが強かったというのもあります。あとは中学、高校と勉強も頑張っていたので、進学するなら学業の面でもレベルの高いところに行きたかったという思いもありました。
――スキー部の好きなところはありますか
山崎 先輩方が接しやすいです。自分は人と話すのがあまり得意ではないですが、昨年から同じセクションの先輩方が仲良くしてくださり、今年は他のセクションの先輩とも仲良くさせてもらっています。先輩方が分け隔てなく接してくれるところかなと思います。
竹内 大翔さんが言われたように先輩方がみんな優しくて、本当に魅力だと思います。あとはトレーニングに対して変態が多いんですよ(笑)。特に今山崎さんと一緒にいる主将。
星野 あ、俺?
竹内 はい(笑)。本当に気持ち悪いくらいトレーニングが大好きです。ここ最近で言うと先輩方と9月末にSaucy Dogのライブに行ってきて、「何時に行きますか」っていう話をしていたんですが、誉貴さんが「俺ちょっとその前にトレーニングしないといけないから…」と言ってて、それは分かるんですが、朝5時半発で60キロ走ってました。本当に変態なんですよ。60キロですよ。
星野 60キロだね。スキー部の記録というか先輩方が過去に15キロのコースを1日で3周したというのがあって、じゃあ4周してから卒業しようと思って、決行日がその日になっちゃいました。やりました。
竹内 僕からしたら本当にいい意味で頭がおかしいというか、本当に誉貴さんだけじゃないんですが、周りの自分に対するストイックさからいい刺激をもらっているので、そういうところが早大のスキー部のすごいところだと思います。
――尊敬する先輩はいらっしゃいますか
山崎 尊敬する先輩はたくさんいらっしゃるんですが、やっぱり誉貴さんは尊敬しています。練習内容もそうですが、練習に対する姿勢などがスキーの関係者の方や他のチームの指導者の方も誉貴さんの頑張っているところを見て、他のチームでも誉貴さんのことを応援していることが多いです。自分はあまり真面目に練習をこなすタイプじゃないというのと、この髪型を見てもらえれば分かると思うんですけど(笑)、あまり人受けが良くないのでそういうところは憧れますね。
竹内 早大に入学してから尊敬する先輩はたくさんいすぎるくらいいらっしゃって、本当に1人に選べない…選ばないとだめですよね。やっぱり誉貴さんは本当に人としても選手としても尊敬できますし、
星野 言わせてないですからね(笑)!
竹内 いやもう全然、本当に本当に思ってます!
山崎 言っとけって(笑)。
星野 言わせてないです。
竹内 本当に人としても主将としても選手としても、尊敬できる人です。僕はアルペン部門ですが、けがする前やけがした後にもできることだけですが、トレーニングに誘ってくれたり、ご飯に誘ってくれたり遊びに誘ってくれたりしてくださって、違うセクションの後輩にもすごく優しく接していただいているので、誉貴さんは尊敬しています。同じ部門の4年生の石島裕一郎(スポ4=北海道・札幌第一)さんも本当に尊敬しています。裕一郎さんは僕と同じ高校の出身で、札幌第一高校の出身です。同じ高校の後輩ということもあって、高校で学年は被っていませんでしたが良くしてもらって、かわいがってもらっています。面倒見がとてもいい先輩です。自分はけがをしていますが、アルペン部門は2、3年生の男子がいなくて、来年から自分がチーフでトレーニングのメニューを考えないといけないので、トレーニングに対してのやり方もたくさん教えてもらうことが多かったです。裕一郎さんは本当に真面目で授業も熱心に取り組んでいるし、筋肉博士と言いますか筋肉にすごく詳しくて解剖学のテストで教えてもらって、授業の面でも手伝ってくれることがすごく多いです。本当に面倒見の良い先輩という感じです。4年生のみなさんとは1年しか一緒にいられなかったですが、今年卒業してしまうのが本当に寂しいなという感じです。
――ご自身の競技における強みは何だと思われますか
山崎 自分は他の選手と違って、最初から最後まで体が動くというのは自分の中で強みかなと思います。10キロのレースになると後半ばててスピードが落ちてくる選手がほとんどですが、そこをきちんと10キロ最初から最後までほぼマックスのスピードで走り続けることができるというのは大きいかなと思います。体が小さいこととパワーがないこともあって、1人で体を動かすので調子に左右されやすい面はあります。メンタル的に、自分の中でメンタルのコントロールがうまい方かなと思います。
竹内 フィジカルの強さには自信があります。今はけがをしてしまっていてランのメニューもウエイトも全然できていなくて、ちょっと心配ですが、昨シーズンまでは多分僕の高校が日本でいちばんトレーニングしているので、トレーニングには自信があります。結構クレイジーなコースというか斜度がすごく急だったり、地形がうねっていたり、斜面変化が多かったりという、そういうコースが得意です。例えば今年のインカレの会場になっている鹿角市の花輪スキー場も自分は得意としているコースなのでそういった急だったり、難しかったり、他の人がびびっちゃうようなコースに対してがんがん攻めていくことができるというのは自分の強みだと思います。
「三冠を阻止」(山崎)
――竹内選手のお話で出ましたが、全日本学生選手権(インカレ)会場の印象はありますか
星野 嫌い(笑)。
山崎 自分は中学3年生の時と高校1年生の時に滑ったことがあり、昨年も滑りましたが、昨年まで鹿角のコースが苦手で成績が出たためしがなかったです。昨年の国体(国民体育大会)とインカレがそのコースで、どちらもそこそこ成績が出たので、あまり好きではないですが、得意ではあるのかなと思います。
――竹内選手は先ほど話されていたように得意ですか
竹内 そうですね、昨年FIS(国際スキー連盟)レースが鹿角市でありました。そのレースをきっかけに結構調子が上がったというか、自分のスタイルではないですがいい点でもあり悪い点でもあるというところが、昨年まではいまいち攻めきることができませんでした。それが花輪(スキー場)のFISレースに出たときからどんなコースでも攻める姿勢というのが分かってきた気がして、実際結果も良かったので花輪のコースは好きですね。
――インカレの意気込みや目標をお願いします
山崎 世界選手権に出場しない限りは多分出場できると思いますが、昨年はリレー(4×7.5キロリレー)で本当に足の差で負けているので、絶対に負けないことと、個人でも誉貴さんや他の早大の選手たちが「三冠」と言っているので、どれか1つ(自分が)取って三冠を阻止しようかなと思っています。
竹内 自分はとにかくけがを治してフィジカルも全然間に合わないので、とにかく頑張ってインカレに向けて体を作って自分のコンディションを良くして、できる滑りをするというのが1番です。やっぱりこの状況で勝てるほど甘くないというのは分かっているので、とにかくまず出場して、来年からはアルペン部門で自分が1番上なので早大の総合優勝に貢献できるような滑りをして、来年につなげたいと思います。
――最後に、色紙に言葉を書くとしたらどんな言葉を書きますか
竹内 大翔さん、ありますか。
山崎 これボケた方がいいですか(笑)。どうしよ…。じゃあ「他力本願」にします。他人の力だけで頑張ろうという話ではなくて、人の力なしに自分の力だけだと競技はできないじゃないですか。お金のことだったり、道具のことだったりとか。そういうところで人の力を借りて競技をやっていることを忘れないためにも、感謝の気持ちを忘れないためにも「他力本願」にします。
竹内 感謝でいいやん、それは(笑)。
星野 いやー何がいいかね。
竹内 僕は好きな言葉で「人事を尽くして天命を待つ」という言葉にします。
――好きな理由はありますか
竹内 好きな理由ですか。開き直っている感じがいいなと思います。自分はこれだけやったから後はどうにかなるだろうという精神が好きです。準備すれば後はなるようになるというのが、自分に合っている感じがして、どうなるか分からないけど自分にできることを頑張ったらいいというスタンスが好きです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 堀内まさみ)
◆山崎大翔(やまざき・だいと)
富山・南砺平高出身。スポーツ科学部2年。クロスカントリー部門。ハマっていることは取材当時、発売から約1カ月だった「スプラトゥーン3」。竹内選手も一緒にやることが多いそうです!
◆竹内一(たけうち・はじめ)
北海道・札幌第一高出身。スポーツ科学部1年。アルペン部門。ハマっていることはカラオケ。山崎選手からは「めっちゃうまい」、星野誉貴主将(スポ4=群馬・利根商)からは「曲の守備範囲が広い」と大好評です!