今年創設103年目を迎える早大スキー部。早大スキー部は数々の五輪日本代表を輩出してきた、日本が誇る名門スキー部である。今年の2月に行われた北京冬季五輪でも、現役・OBともに多くの選手が活躍した。スキー部の出場する大会は秋から冬にかけて行われるが、オフシーズンである夏にはどのような練習が行われているのだろうか。強豪スキー部・クロスカントリー部門の夏季練習を取材した。
※この取材は7月23日に行われたものです。
フリー走法で滑る星野
肌を刺すような日差しが照りつける中、スキー部クロスカントリー部門の練習が所沢キャンパスで行われていた。現在、スキー部は解散期間中。それぞれが所沢や地元で練習を重ねている。朝9時すぎから行われていた練習は、アスファルト上を走ることのできるローラースキーを使用した持久走と、スピードを出すショートダッシュ。夏場は雪上での練習を積むことができない中、それぞれが試合を意識しながら質の高い練習を行っていた。スキー競技において、夏は地盤固めの時期。フォームの定着、体力の向上などを図っているという。冬につなげることを意識しながら、各自が練習を進めた。
雪上を意識しながら練習をする広瀬
坂を下る祖父江
現在、スキー部クロスカントリー部門に所属している部員は14名。例年より人数が多い中、それぞれが意識を高くもち、練習を重ねていた。試合のない夏はスキー部にとって、鍛錬期。試合が多く行われる冬に向けて、スキー部は一丸となって練習に励んでいく。
左から星野、祖父江、広瀬
(記事 堀内まさみ、写真 槌田花)
練習終了後コメント
星野誉貴主将(スポ4=群馬・利根商)
――練習メニューを教えてください
ローラースキーというスキーに似たような、アスファルトの上でやるトレーニングを行いました。陸上競技で言うジョグのようなペースで2時間走って、流しという10秒程度のショートダッシュを普段は20本やって、神経系のトレーニングを入れつつフォームを固めるという練習を基本的には行っています。種目に関してはクラシカルとフリー走法の2つがあり、今日はフリー走法を行いました。これはノルディックコンバインドと一緒の種目なので、わりと馴染みのある競技かなと思います。
――練習日の流れを教えてください
部は解散期間に入っているので、各自の練習になっています。9時過ぎくらいから練習をしています。集合期間は火、木、土、日曜日にクロスカントリー部門で練習をまとまって行っています。持久走やペース走、スピード練習を行っています。
――夏、この時期に意識していることは何ですか
春先にフォームを固めて、それをスピードに移行していくという時期になっています。春はしっかり基礎固めをして、夏は暑くて長い時間の練習がなかなかできないので、集中してスピードの質を高くしてパフォーマンスの向上を図っています。
――夏はスピードを出していく時期という感じですか
そうですね、スピードを出していく鍛錬期のような感じです。ローラースキーの大きな大会が2回あるので、そこに向けて並行して行っていくかたちになります。あくまでも冬がメインなので、ローラースキーで出し切るというよりかは、いかに(冬に)つなげて出せるかという方に意識をおいて、部としてはやっています。
――今日の練習で意識していたことは何ですか
基本的にいつも考えていることは一緒で、フォームの定着を第1に考えています。その中で細かいところ、例えば足首の角度や腹筋の使い方などを照らし合わせながら、練習しています。今日の目的としては全体的に意識していくというかたちをとりました。
広瀬崚(スポ4=富山・雄山)
――今日の練習の流れを教えてください
星野と同じようにゆっくり走って、ダッシュ系の練習でスピードを出していくかたちでした。
――夏、この時期に意識していることは何ですか
雪の上にはなかなか乗れる季節ではないので、こうやってアスファルト上でトレーニングというかたちにはなっていますが、こういう練習でも雪の上に乗っているということを意識しています。感覚は少し変わってしまいますが、この練習がどれだけ冬につなげられるかということは意識しています。
――夏は例年どういう段階ですか
冬の前半は雪上でトレーニングをして、後半はレースがあり、春先は少し休んで、今はここから秋にかけて少しずつ練習強度を上げていく段階です。秋にしっかり追い込んで、冬に向かうという感じです。
――普段の練習で意識していたことはありますか
普段はフォームのことや、試合でしっかり実力出せるように、練習からしっかり追い込み、試合を意識して自分を身体的にも精神的にも追い込むようなことを意識しています。今日はかっこよく撮ってもらおうということを意識していました(笑)。
――広瀬さんから見てクロスカントリー部門はどういう雰囲気ですか
今年は1年生も入って来てくれて、人数が例年に比べて多いのですが、その中でもしっかりやっていると思います。それぞれが大学のトップくらいだったら狙える位置にいると思うので、ここから冬まで高めあっていけたらなと思っています。
祖父江凛(スポ4=長野・飯山)
――夏の間の練習はどのように行われていますか
ローラースキーとランニングで、基礎的な体力をつけています。あとはウエートトレーニング、筋力トレーニングなど、夏は本当に地盤をつくることがメインで、その上で冬につながるようなこういうローラースキーでのスピードを上げたインターバルトレーニングや、最大スピードを出す練習などをメインにやっています。
――冬の練習への移行はいつ頃からですか
雪上はだいたい11月くらいからですね。11月上旬から雪上合宿に入るという感じです。
――雪上での練習はどれくらいの頻度で行っていますか
ほぼ毎日ですね。シーズンも短く、短期集中というかたちで試合も結構つまったりしているので、ほぼ毎日(雪上に)乗るという感じですね。
――先ほど夏は基礎体力をつけると仰っていましたが、それ以外に意識していることはありますか
私が個人的に意識しているのは、常に冬場の試合を想定した練習をすることです。ローラースキーも冬の試合と近いかたちで、こういう実践的な練習は夏でも積める部分はあるので、そういうところは海外の選手とかと比べると、夏に雪上に乗れないというのはデメリットではあると思いますが、逆に言えばこういう練習でもスピードトレーニングや実践的な練習ができるのはメリットでもあると思っています。そこをプラスにとらえながら練習することを意識しています。
――今日の練習中に課題としてもっていたものは何ですか
今日はスキーの蹴りと同じようにすることを意識していました。やっぱりこのローラースキーだと、ちょっと専門的にはなってしまいますが、どういうふうに蹴っても進んで行けちゃう部分があって。雪の上だとこんなアスファルトみたいに固くないので、ちゃんとしたタイミングで蹴らなければならないというのがあるので、そういうところは意識しています。
――ご自身の強みはどこだと考えていらっしゃいますか
私の強みですか(笑)。強みは、前半からスピードを出して走れるというところだと思っているので、最初の積極性ですね。逆に守りに入ってしまうと、試合の結果は悪くなるので常に攻めた試合ができるように、その自分の長所を殺さないようにしています。
――チームの雰囲気はいかがですか
スキー部全体の雰囲気としては、全セクションがありますが、自分たちのセクションだけじゃなくて他のセクションの人とも、例えば「今日練習でこんなことやるんだよね」とか話をして、「そうなの、頑張って」みたいな感じです。そうやって声をかけながら、部門を超えて高め合っていけるいいチームだなと思っています。私個人としては、今年はそうした声の掛け合いが多いなと感じています。最上級生になって、いろんな人とより話しやすくなったっていうのもあると思いますが、その声のかけやすさっていうのを感じています。自分たちの部門に関しては、やっぱりレベルの高い選手が1年生にも入ってきて、私の同期2人もレベルが高いです。本当にあの2人はすごくて、私1人では見られないようなところを見てくれるので、そういうふうにいろんな人に対して尊敬の目を持てる、というところがいいなと思っています。たぶん全員が全員のことをそう見ている部分があると思うので、練習に対しても積極性が出てきます。前向きになりながらも謙虚な部分があったりして、すごいいいな、と思うことが多いです。みんな個人もそうですけど団体での好成績を目標にしているところがあるので、このチームの雰囲気は生きてくるんじゃないかなと思っています。
――最後に、今年の目標をお願いします
私個人としては、今年が引退となるので…、インカレは実はまだ出たことがなくて、今年はもう出ると決めているので、しっかり練習してインカレでチームに貢献したいなと思います。あとは全日本選手権で優勝したこともないので、優勝してから競技を終えると決めているので、全日本選手権で優勝することです。団体戦、リレーもあるのでそこでの優勝も目標にして頑張りたいと思います。