第5回には、アルペン競技の石島瑶子副将(スポ4=群馬・尾瀬)とクロスカントリー競技の佐藤葵(スポ4=秋田北鷹)の2人が登場する。今年はチーフとしてそれぞれの部門をまとめている2人。インカレへの思いだけではなく、4年間の振り返り、そして後輩へ残したいメッセージなどを伺った。
※この取材は11月8日に行われたものです。
「言動に責任を持って」(石島)
今年からアルペン部門のチーフに就いた石島。これまでは「自分さえよければいいと思っていた」のだが…
――昨シーズンの競技成績を振り返っていかがですか
佐藤 毎年シーズン初めは調子よくて。成績も出るのですが、やっぱりインカレとか中盤とかになってくると、ちょうどそこに合わせられないというか。大きな大会がそこにその時期に多くあるのですが、そこで合わせられないっていうのが私のずっと同じ課題なんですけど、去年もそうで。でもユニバーシアードだね、競技が私違う種目(バイアスロン)で出たんですけど、そこに出れたことが結構スキー人生の中で大きいというか、大きい経験をもらいました。成績どうこうもあるけど、人生にまた、ちょっと新しいものが加わったみたいな。いい経験ができたと思います。
石島 私は基本的にファーイーストカップというアジアで開催されているレース、シリーズ戦を転々としてて。昨シーズンは前半ちょっと良いレースができていて、着実にそのポイントっていうのを獲得できていたのですが、中盤くらいかな。調子が崩れ始めて。1回崩れると立て直すのにいつも時間がかかってしまって、そこが課題なんですけど。昨シーズンは結構ずるずる引っ張ってしまったなっていう印象があります。後半良いレースができなかったという感じですかね。私もユニバーシアードに出場できて、正直結果もレースの内容的にも全然良くはなかったのですが、今までそういう世界のレース、大きいレースには出たことなくて。初めての経験だったので、レースの雰囲気だったりとか、海外の選手と戦って同世代の人たちと戦えたのはすごくいい経験になったなと思います。
――インカレを振り返ってみていかがですか
佐藤 インカレは入賞もできなかったので、今年は全日本の人たちが抜けたインカレの大会になるので、入賞を確実にしたいし、優勝を狙っていきたいと思っています。(部屋が)暑いですね。
石島 インカレに関しては優勝することを目標にやっていたのですが、結果的にどっちも、何位だったかは忘れちゃったんですけど(大回転が8位、回転が2位)入賞止まりで、インカレの難しさを感じました。普段出てるレースとは雰囲気というか、レースの展開の仕方に関してはちょっと違う部分があるので、攻めきれなかったというか、優勝できなかったのでそこは反省しています。
――ユニバーシアードを振り返ってみていかがですか
佐藤 いかがでした?楽しかったよね。
石島 面白かったよね。
佐藤 楽しかったです。なんか。なんだろうね
。
石島 なんか、雰囲気というか。選手村だったりとか、警備とか、セキュリティとかもしっかりしてて、やっぱりJOC管轄下っていうのもあって、日本選手団としての、ね。
佐藤 わかる(笑)。なんて言うのか分からないけど(笑)
石島 そういうものとかもしっかりしてて、すごかったよね(笑)
佐藤 味わえた(笑)
――ことしのチームの雰囲気は
佐藤 なんだろなあ。
石島 どうなんだろ。部門違うとわからないところもあるよね。
――それぞれの部門で教えていただけますか
佐藤 クロカンは、女子も男子も5人5人で少人数なので、練習もやりやすいっていうのもあるし、普段も和気あいあいとしていますね。男女っていう部門の別れ方でもなく、男女でまとまってるというか、そういう部分は練習でもそうだし、普段の生活もまとまりがあると感じています。普通は4年生が、というより各学年には男女いるのですが、私たちの代って女子だけなんですよ。4年生が。だからそこは今までとはちょっと違う感じがあるのですが、後輩も後輩っぽくないみたいな。先輩として見てないみたいなことはあるから(笑)
石島 ちょっと~(笑)
佐藤 だから、逆にやりやすいっていうのはあります。
――いい意味で仲がいいということですね
佐藤 そうですそうです(笑)
――アルペンはいかがですか
石島 アルペンはクロカンと全然違って。特にシーズン中とかバラバラなんですよね。活動が。ワセダとして合宿とかもほとんど行っていない状況で、本当にインカレだけ集まって、みたいな感じなので。普段の練習もそんなにみんなでやる練習が多いわけではなくて、それぞれ自分の必要な練習を考えてやっていっているというかたちです。自分に足りないところを各自理解してやっていって、部門で練習するときはみんなで集まるようにして。だからってバラバラしているわけじゃなくて、切磋琢磨しあいながらできているので。まとまるときはちゃんとまとまって、そうじゃない時はそれぞれが必要なことをやってという感じです。
――お二人は今年部門チーフに就かれていますが、チーフ業はいかがですか
石島 私は今まで正直自分さえよければいいと思っていて(笑)
佐藤 (笑)
石島 インカレは確かにチーム戦ではあるのですが、それ以外は別にチームとしてとかはないので、特に人のことは気にしてなかったんですけど(笑)
佐藤 ひでーなそれ(笑)
一同 (笑)
石島 悪いところが出ちゃった(笑)。やっぱりチーフになって、練習メニューとか私が考えていたんですけど…。まとまって練習できる日や時間を私たちチーフが決めて、みんなに集まってもらってみんなで練習するのですが、みんなの時間をもらってなので、ちゃんとした練習メニューを考えなきゃいけないと思ったし、チーフという立場になると少なからず見られる立場だから、言動に責任をもって行動しないといけないなっていうのはすごい感じて。そこは気をつけながらやっていました。
佐藤 私はメニューをコーチの方からもらってやっているので、メニューの作成とかはあまりしていないんですけど。何だろな。別にまとめるっていうこともしてはいないし。むしろ後輩から意見をもらう、みたいなところはあって。私もどちらかというと集団行動は嫌いで。1人で動くほうが好きなんですけど、集団でやる意味を見いだせた感はあります。チーフになってから。さらに。
――集団でやる意味とは
佐藤 私たちはスピード系、きついメニューは一緒にやります。今まではスタートとか、トータルの練習が全部一緒だったのですが、今年はスピードだけを一緒にやっていて。だから、持久走とかは各自のスピードでっていうか、各自でやってスピードだけ集まってっていうかたちです。その方が個々の力を伸ばせるっていうか。そういう面ではいいと思っていて、スピードだけみんなで競い合ってやって、あとで持久走は自分のペースでやって、っていう感じで。
石島 アルペンでも女子と男子で分けてする練習と、一緒にする練習があって。走るとかきついメニュー、インターバルとかは男女一緒にやって、アジリティーとか動作の正確性とかスピードとか、細かい部分もちゃんと意識して質を求めていかないといけない練習は女子だけでやっています。練習の意図を伝えながらできるように工夫してやっていますね。あとは1人でもできる練習、ウエイトとかは持久力系、ランとか長い時間走る、そういうところに関しては各自に任せてやっていますね。あとは球技とかもよくやっているのですが、そういうのも1人ではできないので。1人ではできないことをチームでやって、1人でできることは各自でやってもらうって感じにしてます。
――アルペンの方々は、夏はどのような練習をされているのですか
石島 実践的な練習はほとんどできないので、本当にフィジカルの強化っていうかたちで。走ったり、サーキットとか。トレーニングのありとあらゆる種類をやるみたいな感じはあるんですけど。
佐藤 (笑)
石島 その中でも、ちょっとっていうか一応、競技に必要とされる動作だったり、体の使い方の意識みたいなものは陸上でできることもあるので。ただウエイトとか筋力トレーニングをするんじゃなくて、ちょっとスキーの動作を交えながらやってみたりとか。あとは、フォームチェックみたいなことはできるので、かたちを確認というか、動き、体の使い方の確認みたいなことはしています。実践的ではないですけど。冬にしかスキーに乗れない、っていうか雪がないとスキーに乗れないから、夏になるとみんなスキーのこと忘れがちなんですよね。陸トレ一生懸命してるけど、スキーについて考えてる時間ってすごい短いと考えていて、だからまあそういうことを取り入れることによってちょっとでも意識がスキーに向いたらいいなっていうのがあります。
時折笑顔も見られるなど、和やかな雰囲気のまま対談は進んでいった
――この夏、どのような練習に重点を置いてきましたか
佐藤 重点。んー、クロカンでってことですよね?
――ちなみに今、バイアスロンとクロカンではどちらに重点を置いているのですか
佐藤 クロカンです(笑)。(バイアスロンは)全然やっていないです。去年ユニバ(ユニバ―シアード)出た時くらい。何だろな。普通ですね。毎年やることは変わらないんですけど。今アルペンでも言ったのですが、スキーの動作を普段の練習で取り入れるというか。そこ(トレーニングルーム)にあるのですが、ローラースキーをやる前に、腹筋とか、普通の体幹とかでスキー動作を取り入れたりとか、ウエイトの後にスピードスケートの人とかがやっているスライドボードっていう横に滑るやつをやって、スキー動作をやったりとか。あとは普通に鏡で、フォームチェックをするっていうのをやったりしていますね。私的にはウエイトでスキー動作に取り入れているんですよ。
石島 初めて聞いた。
佐藤 スキーのイメージをする機会っていうのが結構多い気がします。今年は。
――石島選手はいかがですか
石島 私はすごく不器用なんですよ。体の使い方が下手くそだったので、体の使い方をうまくするような練習というか。例えば雪上に上がって、何かアドバイスをもらって、それをすぐ修正できるような、自由自在に操れるというか。そういうようにする練習っていうのは重点的に行ってきました。あとは、パワー系。自分の滑りにもっと爆発力が欲しかったので。まあウエイトとかも、最大筋力向上っていうかパワーを上げるためのメニューにしてやってきましたね。
――シーズンインはもうされていますか
石島 私は夏から雪上に上がっていて。今ちょうど遠征と遠征の合間って感じです。
佐藤 ランナー(クロスカントリー部門)は(11月)12日に出発して、そこからシーズンインして北海道にずっと遠征っていう感じですね。夏はフィンランドで(スキーに)乗りました。天然の雪ではないんですけど。
――計れる段階ではないかもしれませんが、ここまでの調子はいかがですか
石島 新しい滑りを身に着けるために夏からいろいろやってきて、夏終わりの時点ではそこに向けて徐々につかめてきたかなという感じだったのですが、秋の遠征でそれをものにできなかったっていうのがもうちょっとだったなって思っていて。秋の遠征でもけがとかをしてしまって。次雪上上がってから2週間くらい練習できるのかな。今度どうなるのかなっていう不安要素もあるのですが、そこでうまく修正して、良いかたちでレースに臨めたらいいかなと思います。
――どのようなけがをされたのですか
石島 ここ(右手)の骨が折れちゃって。折れた骨がずれてたので、手術しなきゃいけなくて。それで手術して、今プレートっ入っているんですけど、まだあんまり手が使えなくて。(生活面でも)不自由なんですけれど、みんなが助けてくれるので。優しい。
佐藤 付き添い的な感じです。もはや(笑)
石島 そんなことないですよ(笑)
佐藤 「いや、来るよね」みたいな。
石島 進んで声をかけてくれるので、助かっています(笑)
――お互い初めて知り合ったのはいつですか
石島 受験前?
佐藤 うん。受験前。
――いつくらいから仲良くなられたのですか
佐藤 えぇ(笑)。いつとかある?
石島 ない。
石島 競技が違うと全然合わないですね。
石島 会ってすぐではないけど。
佐藤 いつって言われるとわからない。
石島 ここまで喋るようになったのはやっぱり入学してからで。1年生で仕事とかもあるし、必然的に喋らなければいけない状況が。
佐藤 嫌々みたい(笑)
一同 (笑)
――話を戻します。佐藤選手はこれまでの調子はいかがですか
佐藤 大会はローラーぐらいしか今までやっていないので、なんとも言えないのですが、結構夏調子よかったら冬調子いいっていう私の勝手な理論があって。わかる?
石島 わかる。アルペンもある。
佐藤 夏調子いい人って冬も調子いいんですよ。他の人を見てもそうなんですけど。だから、私結構ローラーの大会調子よくて。『いけるんじゃないかな』と今年は思っています(笑)
石島 いいと思う(笑)
佐藤 メンタル面(ポジティブ思考)もあるんですけど。調子悪いって思ったレースも、意外と成績が出てたっていうのがあって。ちょっと自信にはなっているなとは思います。雪上乗った感覚もそれほど悪く中なかったというか。二週間くらいだったのですが、悪くなかったです。まあでも体調が優れないことが今年は結構多くて、風邪とかめっちゃひいてて、そこだけ気を付けたいなと思います。
――寒くて風邪をひくことはないのですか
石島 寒くて風邪をひくことはあんまりないかもしれないですね。慣れてるんでしょうね。多分。
佐藤 慣れてる?
石島 慣れてるでしょ。だってさ、冷静にマイナス10度とかめちゃめちゃ寒くない?
佐藤 確かに。
石島 中国とかめちゃめちゃ寒いんですよ。きょねんマイナス30度とかまでいって。本当に、めちゃくちゃ寒くて。慣れてるけどそんなんいったら寒いじゃないですか。そっからマイナス15度くらいのところに行くと、めちゃくちゃ暖かいです。みんなの感想がおかしくなりますね。『今日何度?』『マイナス18度らしいよ』『あぁ、だからあったかいのか』とか。
一同 (笑)
石島 感覚狂っているので。1回そこ(マイナス30度の世界に)行っちゃうと、もう無敵ですね。
――クロカンは動くので割と暖かいですよね
佐藤 そうですね。動いている時はバンバン汗かくので。
石島 (アルペンは)汗かかない。むしろ滑りながら「顔取れる!」って思いますね。ゴールしたら鼻がついているのを確認したりとか(笑)
――感覚がなくなるのですか
石島 はい。中国とかは顔にテーピングをまかないと凍傷になってしまうので、テーピングをバーッて貼って(試合に臨む)。ちょっとテーピングに隙間が空いていたらそこだけ凍傷になる。それくらい中国は危険なところです。
「まず入賞を確実に」(佐藤)
クロカンに専念している佐藤。インカレでは有終の美を飾りたいところだ
――今年のインカレの開催地である花輪スキー場の印象はいかがですか
佐藤 (佐藤に向かって)ホーム?
石島 ホームでもないんだよね。
石島 割と地元だよね?
佐藤 地元でもないんですけど、秋田の県大会とか国体予選とかは結構花輪なので、慣れているっちゃ慣れているし、滑りやすい。可もなく不可もなくっていう感じです(笑)。県外の人よりかは知り尽くしていると思うので、有利ではあるかなって思います。
――以前同じ質問をクロカンの対談の時にもさせていただいたのですが、山下陽暉選手(富山・南砺平)などはコースの特徴を「短い」とおっしゃていましたが
佐藤 コースが短いんですよ。だから、すぐ終わるのですが。普通に長野のコースとかと比べたら全然余裕だと思います。余裕っていうか、アップダウンはあるけど。でも何があるかわからないですよね。そうなると、誰でも滑れるコースだと思います。
石島 アルペンは、まず雪がよくないんですよね。今までよかったことが私はないんですよ。なかなか大変なことになることが多くて。そこの雪がどうなるかっていう不安はあります。秋田の選手とか滑り慣れている選手は強くて。斜面変化とか練習している選手としてない選手でタイムが変わってくるなという印象です。
――得意か苦手かでいうと
石島 苦手です。私は。特にGS(大回転)は(苦手)。スラローム(回転)はそんなに難しくはないのですが。難しくはないのですが、スラロームって何が起こるかわからない種目なんですよね。GSよりも。雪の状態でも変わってくるので、コースとしてはGSは結構難易度は高いですね。
――去年の対談では、石島選手は『インカレの雰囲気が苦手』だという話をされていましたが
石島 チームで戦う経験っていうのがないんですよね。インカレ以外で。いきなりチームってなった時に、変に責任感(が芽生える)っていうか。勝手に思っちゃうだけなんですけど。やっぱり、ゴールしなくちゃいけないっていうのが1番大きくて。普段のレースは思い切って攻めていけるんですよね。別にゴールできなくても自分だけのせいで自分だけの結果なので。でもインカレってなると、ゴールしないっていうのは1番チームに迷惑をかけるので。(そうなると)申し訳ないっていう気持ちを勝手に持ってしまって、攻めきれないですね。ゴールを第1に滑り降りちゃうっていうのがあって、結果的に遅いっていう悪循環になります。私は1年の時に優勝できたのですが、その時はやっぱり先輩たちの層が厚くて、安心感があったので自分が攻めていけたのですが、どんどん自分が上になってくるにつれて、『自分頑張んなくちゃいけないな』って勝手に思っちゃうことで、より思い切ったレースができないっていうのはありますね。
――クロカンはインカレだと応援部の応援なども聞こえてくるとは思いますが
佐藤 聞こえます。誰喋っているなとか。見えてはいないのですが、声で『ここに誰がいたな』とかわかります(笑)。私は良く聞いています。
――クロカンからしたらインカレの独特な雰囲気はいかがですか
佐藤 チームっていう雰囲気が強いですね。1番ランナーが点を取らなきゃっていう責任感はあります。
――インカレの目標を教えて下さい
佐藤 個人種目入賞と、リレー優勝です。去年とおととしは個人優勝という目標を立ててやっていたのですが、入賞もできない時点で優勝と言っても(しょうがない)って思ったので、入賞に目標を下げて、優勝を目指した入賞ということで。弱気みたいになってるけど(笑)
石島 いいじゃん優勝で(笑)
佐藤 高すぎてもよくないと思って。今年はまず入賞を確実に目指す、っていうことでやっています。リレーも優勝しないと優勝しないと気持ちが悪いので、頑張りたいと思います。
石島 私は、GSとスラローム両方優勝を目指してやりたいなって思います。優勝して格好よく去りたい。大学を。
佐藤 かっこいい~。
――まだインカレなどの大会を残した状態ではありますが、早大で過ごした4年間はいかがでしたか
佐藤 あっという間でしたね。1年ごとに早いなって思います。もうここまで来ちゃったっていう思いが大きいですけど。スキー部としては、1年目で結果を出せて、2、3年目であんまり成績が出なかったので、今年こそはっていう思いがあって。(そう思うには)インカレが1番の理由ではあるんですけど。1年目で入賞したのに、2年目で入賞できなかった、3年目も2年目と同じ成績だったんですよね。だから今年こそはっていうのが1番です。シーズン通してっていうのもあるのですが、学生としても最後だし、クロカンをやるのも最後なので、今までずっとやってきたクロカンの集大成をここで出したいなっていうのがあります。4年間あっという間だったけど、ここで得たもの、スキー部もそうだし、大学の学生生活で得たものが大きいので、これを全部最後のシーズンに出せたらいいなと思います。
――『得たもの』とは
佐藤 早稲田のスキー部っていうもの、存在が大きいですね。漠然としていますけど、ここに入れたっていうのが自分の人生の中で大きいと思うので、それを誇りにしてこれからも(頑張っていく)。これからバイアスロンにいくのですが、そこで早稲田のスキー部っていう存在を示せたらなって思います。
――1番の財産が『早稲田のスキー部』そのものということですね
佐藤 そうですね。
石島 そんなかっこいいこと言えるかなあ(笑)
――石島選手は4年間を振り返ってみていかがですか
石島 葵と一緒ですけど、あっという間すぎて。何ならもう1回2年生くらいからやり直したいっていう。
佐藤 1年目とかは嫌なの?
石島 掃除とかが面倒くさい(笑)
一同 (笑)
石島 そう思うくらいあっという間だったし、すごく充実していたなって思います。高校も部員が3人くらいで、初めてこんなに大きいチームに所属したという感じで、最初は本当に新鮮だったし、『チームって何』って思っていたけど、『チームってこういう感じなのか』って思ったし、いいなって部分もあったので、そこは大学に入って新たな発見だったなと思います。
――早大で得た『財産』はありますか
石島 大学生活では、やっぱりスポーツ系の勉強をしたいって思って早稲田を選んで。対して勉強をしていないって言われたら終わりだけど(笑)、勉強してみて、やっぱり自分の興味があることだったから面白かったし、そこで学んだことが直接競技に生かせる内容ばかりだから、すぐ自分の練習だったり競技生活に取り入れられたのは良かったと思います。あとはこういう環境、ランナーってすごくストイックなんですよね。練習量とかもそうだし、取り組み方とかもすごいので、そういう人たちが周りにいる(環境)。ここで生活していたら誰が練習しているなとかすぐわかるので、『自分もやらないとな』って思うし、種目は違うけどいい刺激になっています。勉強の面でも環境の面でも自分の競技への向き合い方がいい方向へと変わったので、それが(早大で得た)財産ですね(笑)
――今後はどのようにされるのですか
佐藤 競技を続けるのですが、種目が違って。バイアスロンに専念します。
――競技生活を続けていく上で、最終的な目標っていうのはありますか
佐藤 その競技にした理由がオリンピックっていう目標があって(転向した)。クロカンじゃ無理っていうのも自分の仲ではあって。バイアスロンでならいけるって思っていくので、オリンピックを目指して頑張っていきたいというのもあります。
石島 私もオリンピック出場が目標なので、それに向けて頑張って環境を整えて、やっていきたいと思います。
――4年間この早大で過ごしてきて、後輩に伝えたいことはありますか
佐藤 4年間あっという間っていうのは先輩方からも受け継がれてきたというか、「あっという間だぞ」って言われてきて、1年の時とか『そうでもないでしょ』とか思ってて。でも4年目にきて本当にあっという間だったなっていうのがあって。もう後輩にも言っているのですが、多分分かっていないんですよ。だからスキーだけじゃなくて、学生としての楽しみ方っていうか、そういうのもあるんだよっていうのを伝えたいし、スキー部だけじゃなくて他の競技の人もいっぱいいるじゃないですか。その違う部の人から学ぶことも私は多くて。いっぱい友達作って、オンとオフというか、学生として楽しんでっていうのを伝えたいですね。スキー頑張れよっていうのもあるのですが。
石島 そうですね。やっぱり友達作りは大学でしかもうできないと思うので、本当にしたほうがいいと思っていて。っていうのも私めちゃくちゃ友達が少ないんですよ。全然他の種目の人とかとも友達になれなくて。てか友達できなくて。でも4年になってから友達作ろうとしてもできないじゃないですか。
一同 (笑)
石島 だから、友達は作ったほうがいいなって。今後、卒業してからも(友達から)得られるものはあるって思うので。やっぱり早稲田の学生ってすごいじゃないですか。将来すごい人になる人もいっぱいいるだろうし、今もすごい人もいっぱいいるし、そういう人との出会いは大事にしたほうがいいと思っているので。私はすごく後悔しているので、本当に友達作りはしたほうがいいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 山田流之介、齊藤里和)
最後のインカレでは、貪欲に『頂』を狙います
◆石島 瑶子(いしじま・ようこ)(※写真左)
1997(平9)年8月15日生まれ。群馬・尾瀬高出身。163センチ。スポーツ科学部4年。最上級生というだけあって、発言に重みがあった石島選手。「早大で得たものは?」という質問に対して、『スキー部の環境』という答えを聞いたときは、思わず納得してしまいました。誰かが努力をしていると、それを見た他の人への刺激になる。スキー部の『強さ』の秘密が少し分かった気がします。成長するためには、成長できる環境に身を置くことが大切ですね!
◆佐藤 葵(さとう・あおい)(※写真右)
1997(平9)年7月30日生まれ。秋田北鷹高出身。155センチ。スポーツ科学部4年。遠征などで世界を転々としているスキー部の方々ですが、食べ物が良かった国を尋ねると、佐藤選手は「韓国。ビビンバがおいしかった」と答えてくれました。これに対して石島選手も「韓国は何でもおいしい」と同意。やはりビビンバは人気ですね。来年からはバイアスロンに専念するため、クロカンで勝負する最後の年となります。インカレでは、これまでの『全て』を出し切ったレースに期待です。