一年の集大成。男子は総合優勝、女子は総合2位で大会を終える

スキー

 ついに最終日を迎えた全日本学生選手権(インカレ)。総合優勝を目指す男子は、クロスカントリー4×7.5キロリレーで優勝こそ逃したものの、総合順位で追ってくる日大から逃げ切り総合3連覇を果たした。一方、最終種目での奇跡の逆転優勝を目指した女子はクロスカントリー3×5キロリレーで、その差を詰めることができず、総合2位で大会を終えることとなった。男女ともに昨年の主力を担い多くのポイントを獲得した前4年生が卒業してから、『新たな強い早大』を目指すべく『Re:START』を図ったこの一年。王者としてのプレッシャーを背負いながらも吉田圭汰主将(スポ4=北海道・北海学園札幌)を軸とした4年生を中心に、昨年までとは異なる新たなカラーのチームをつくりあげた。選手層の厚い他大に対し苦戦の予想された今年のインカレであったが、そんな戦前の予想を覆し、この一年の集大成を男子は総合優勝、女子は総合2位という結果で示した。

★優勝は来年にお預けに

1走、4年の山口(中央左)から2走、1年の宮崎(中央右)へのリレー

 クロスカントリー男子リレーは雪が降る中でのスタートとなった。昨年に引き続き1走を任された山口敦史(スポ4=石川・鶴来)は、「最後までしっかり食らいつけた」と振り返るように、粘りの滑りで5位に食い込むことに成功。2走の宮崎にバトンタッチした。そしてその宮崎遼周(スポ1=新潟・小出)も1年生とは思えないような素晴らしいパフォーマンスを見せる。前日の10キロクラシカルでは見事5位入賞を果たした宮崎だが、この日も調子の良さを感じさせるような安定した滑りを披露し、順位を2位まで押し上げた。3走の岡村慧胤(スポ2=長野・白馬)も区間4位でこらえ3位でバトンを渡すものの、この時点で1位東洋大との時間差は14.2秒。追い抜くのは難しい差ではあった。それでも懸命にアンカーの山下陽暉(スポ2=富山・南砺平)はストックを動かし続けた。この1年間、同じランナー部門としてずっと一緒にやってきた仲間たちの想いが詰まったバトンを受けたのだ。何としても1位で帰ってきたかった。しかし、結果は無念の2位。ただ、去年の主力である4年生2人が抜けたことにより、厳しいレース展開になることが予想された中での2位だ。「僕で離れたら勝てないという状況だった」という山口の発言からも読み取れるように、それぞれが責任をもって自分の役割を全うした。思い描いていた順位には届かなかったかもしれない。しかし、観るものを熱くさせる、応援するものを感動させるレースを展開した4人の戦士には、最大級の賛辞を贈るべきであろう。

(記事、写真 山田流之介)

★女子リレーも惜しくも及ばず

ゴール後、抱き合う3人

 総合1位の日大とは8ポイント差で迎えた最終種目、女子クロスカントリー3×5キロリレー。総合優勝への一縷の望みにかけ、前日のミーティングでは一戸剛監督(平11人卒=青森・弘前工)から「失敗してもいいというくらいの思い切った気持ちでいこう」と送り出された。第1走は一昨年のリレー優勝を経験している酒井結衣(スポ3=北海道・富良野)。「日大は2、3走に速い選手がいるので差をつけないと」と積極的なレースを展開する。2位と約10秒の差をつけ、第2走の渡邉祐佳(スポ4=長野・飯山)へと繋いだ。しかし、連戦が続き、さらにこのインカレでも4日間で3本目のレースとなる疲労が渡邉を苦しめた。加えて、後ろから追ってくるのは今年度、国体成年女子5キロで準優勝の日大、土屋。何とか逃げ切りたい渡邉だったが、そのプレッシャーからか本来の走りができず逆転を許してしまう。最後、早大の夢を託されたのは第3走、小林千佳(スポ2=長野・飯山)。渡邉からタッチでリレーされると勢いよくスタートした。必死に前を追ったが、勢いに乗る日大との差は中々縮まらない。そのままトップでゴールした日大の54秒後、2番目にフィニッシュラインに到達した小林は、迎えた酒井、渡邉のもとへ駆け寄ると泣き崩れた。限りなく可能性の低くなっていた女子総合優勝に本気で挑戦した3人の気持ちの表れだった。「挑戦した結果の失敗は必ず成長へと繋がる」(一戸監督)。インカレの借りはきっと、来年のインカレで返してくれるだろう。

(記事、写真 斉藤俊幸)

最後はチーム全員が笑顔で大会を終えた

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結果

▽男子総合順位

1位 早大 107点

2位 日大 99点

3位 東海大 60点

4位 明大 58点

▽クロスカントリー男子4×7.5キロリレー

2位 早大 1時間23分52秒1
1走(クラシカル) 山口敦史(スポ4=石川・鶴来) 21分08秒1

2走(クラシカル) 宮崎遼周(スポ1=新潟・小出) 22分22秒6

3走(フリー) 岡村慧胤(スポ2=長野・白馬) 20分33秒8

4走(フリー) 山下陽暉(スポ2=富山・南砺平) 19分47秒6

▽女子総合順位

1位 日大 98点

2位 早大 88点

3位 日体大 58点

4位 東海大 45点

▽クロスカントリー女子3×5キロリレー

2位 早大 46分11秒9 
1走(クラシカル) 酒井結衣(スポ3=北海道・富良野) 16分26秒6

2走(フリー) 渡邉祐佳(スポ4=長野・飯山) 15分02秒1

3走(フリー) 小林千佳(スポ2=長野・飯山) 14分43秒2

コメント

一戸剛監督(平11人卒=青森・弘前工)

――男子は総合優勝、女子は総合2位で大会を終えました。監督としての今の気持ちを教えてください

やはり今は悔しい気持ちの方が大きいですね。リレーで最終種目勝ちたかったというのが本音ですけど、それでも男子は総合優勝、女子も普通にいけば優勝できたと思うんですが色んな方面で上手くいかなくて、でもその中でも2位という成績を収められました。来年また強い1年生が入ってきて、今の1、2、3年生がかなり成長してきているので来年はまたアベック優勝が取れると信じているので、そこへまたやっていこうという気持ちになっています。

――難しいと言われていた中での男子総合優勝の勝因は何だと考えていますか

アルペンが上手くいけば、最後のリレー勝負までもつれこまなくてもどうにかなりそうかなとは考えていたんですが、予想以上にアルペンが入賞できてポイントがしっかり取れたので、もともとうちはノルディック、クロスカントリーは計算できる選手が揃っていたので。逆に女子は(優勝が)固いかなと思っていて男子は(優勝が)難しいかなと思っていたので、もちろんみんな気持ちは緩んではいなかったと思うんですけどもう少し慎重にやれたら良かったのかなと思うところはあります。

――今大会のMVPを挙げるとしたら誰でしょうか

私が思うのはクロスカントリーの岡村くん(慧胤、スポ2=長野・白馬)と宮崎くん(遼周、スポ1=新潟・小出)ですね。去年岡村くんはこのインカレでポイントが取れなくて悔しくて一番泣いたんです。その一年後30キロフリーで5位に入賞して、かなり成長した姿を見せてくれてポイントを取ってくれたので彼にMVPをあげたいと思います。宮崎くんは1年生で力はあるんですけど、ずっと調子が悪くて。最後の最後、昨日の10キロクラシカルで来年につながる成績を出してくれました。来年に向けて期待を感じさせてくれた2人なので強いて言うのであればこの2人にMVPをあげたいですね。でも本音は出てない選手も含めてインカレは全員で戦って早稲田としての成績だと思っているので全員にMVPあげたいですね。

――今日のリレーはどのような言葉で送り出しましたか

とにかく頑張れとしか言いようがなかったですし、男女優勝を目指していてそれで2位なのでかなり悔しいと思うんですけど、それにお疲れ様と言ってあげたいです。途中から雪が降ってきて想定外のコンディションになったところが今回東洋大に負けた要因でもあるので、そこは少し運が味方しなかったのかなと感じるところもあります。

――今年のチームは監督の目から見てどのようなチームでしたか

今年は4年生が少ないのと、パラリンピックの選手やモーグルの選手がいて4年全員でまとめ上げるという部分では最後まで難しい部分はあったんですけどこのインカレでまとまれた感じにもなりましたし、毎年そうなんですけどここのインカレで最後に笑顔で終われればいいと思っているのでチームとしてはまだまだのところもあるかもしれないですけど、成長を感じさせてくれるチームでしたね。『Re:START』ということでチームとして新たなスタートを切ろうということでやってきたのでその意味では新たなスタートを切れたんじゃないかなと思います。主将を務めた吉田(圭汰、スポ4=北海道・北海学園札幌)は去年の4年生を始め、チームのみんなから慕われてて主将になったんですけどきちんとチームをまとめる力がある思います。ただしその場があまりなかったというか、就職活動や試験などでそういう場を設けることが難しかった中でも、こういうインカレや全体の中で大きな声を出してやってくれていたので彼なりにすごく色々なことを感じながらやっているのを(自分も)感じていました。この経験が彼の今後の人生にかならず生きてくると思うので良い経験をした4年生の1年間だったと思いますね。本当に良くやってくれました。

――来年のインカレに向けてはいかがですか

来年は上手くいけば、というか男女総合優勝しないと、2020年9月に100周年記念があるのでその時に王者として迎えたいと思っているので、先週たちにも何度もこれから言っていこうと思うんですけど、是が非でも100周年の時に男女共に大学日本一で迎えるために必ず万全の体制でインカレを迎えて、男女優勝、そして個人戦も出来るだけ取りたいと思っているので明日からまたその準備をしていきたいと思います。

酒井結衣(スポ3=北海道・富良野)

――リレーはどのような思いで臨まれましたか

日大が一番のライバルだったので、とにかくそこに勝とうという思いだけでした。

――1走として2位に10秒差をつけてリレーしました

日大の2、3走で速い選手がいるというのはわかっていたので本当であればもう10秒くらい差をつけたかったんですけど、それが思ったよりも差がつけられなくて納得のいく走りではなかったです。

――2位という結果についてはいかがですか

優勝を狙っていた中での2位なのですごく悔しいです。

――今年のインカレを振り返ってください

私個人的にはクラシカルで3番に入って年間の目標にしていた表彰台っていうのを達成できたんですけど、いざ表彰台に乗ってみると1位の選手と8秒間も差があるということで嬉しさよりも悔しさのほうを感じました。来年への新たな目標のできた大会だったと思います。

山口敦史(スポ4=石川・鶴来)

――今の気持ちを聞かせてください

正直悔しいです。この1年間優勝を目指して頑張ってきたので、リレーだけの結果を見れば、とても悔しいです。

――去年に引き続き1走目を任されましたが、どのような気持ちでこのレースに臨んだのでしょうか

去年は僕がミスして、遅れて帰ってきたんですが、その失敗があったので、今年また1走をさせてもらえるチャンスがやってきたので、まあ去年のリベンジというか、今年勝つには僕で離れたら勝てないという状況だったので、勝つにはついていくしかないと思って、必死に食らいついていこうという気持ちで臨みました。

――今日のレースを振り返ってみていかがですか

走っていて、自分の調子はいいということが分かっていたので、最後までしっかり集団で走っていけばいけるなと思っていたので、最後までしっかり食らいつけたというのは自分としては良かったかなと思います。

――これが最後のインカレのレースとなったと思いますが、4年間を振り返ってみていかがですか

僕個人では4年間全種目に出たんですけど、1つも入賞ができずポイントが取れてなくて、今年も個人は調子が悪くて点取れなくて、4年間を通してみると少し自分が思ったような成績ではなかったんですけど、2年生の時からリレーに出させてもらって、しっかりリレーメンバーの一員として走れたというのは、早稲田に来てよかったなと思っています。