【連載】インカレ直前特集『Re:START』【第5回】 吉田圭汰主将

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  連載ラストを飾るのは、インカレでは期待されながらも力を発揮しきれずにいる吉田圭汰主将(スポ4=北海道・北海学園札幌)。今年は自身の大学ラストレース、そして早大スキー部主将として臨む最後の大会となる。競技生活の集大成となる今年にかける意気込みを伺った。

※この取材は2018年11月14日に行われたものです。

「新たなチームとして『Re:START』」

ラストイヤーでの飛躍を誓う

――まずは主将として、今年のチームはどのようなカラーを持ったチームですか

 去年はインカレ(全日本スキー選手権)で優勝したんですけど、その主な得点源が卒業された4年生が多くて、今年の4年生は特に男子で得点を取れた選手が少なかったので、王者ではあるんですが今年のスローガンにもなっているように『Re:Start』して新たなチームとしてのスタートを掲げています。やはりそう言ったところでみんながチャレンジャーという気持ちが強いのではないかと思っています。

――そのスローガンはどのように決まったのでしょうか

 毎年スローガンは4年生で決めているんですけど、やはりさっきも言ったように新たな強いワセダを作っていこうということで『Re:Start』に決めました。

――吉田選手が主将に選ばれた理由をご自身ではどのように考えていますか

 実際なぜ自分になったかというのはわからないんですが、毎年卒業される4年生と監督が話し合って決めるので、本当になぜ僕なのかなって感じです(笑)

――来季の主将になることはいつ聞いたのでしょうか

 昨年のインカレの時に、監督からボソッと「来年はお前だからな」って言われてそれで初めて知りました。それでいきなりですね、僕ですか?!みたいな(笑)

――どちらかというとビックリした面が強かったですか

 そうですね。

――実際に主将になってみて、その役割の難しさなどは感じますか

 今まで人の上に立ってまとめる立場になったことがなかったので具体的にどういうことをしたらいいのかということはまだ明確にわかっていなくて手探りの状態なんですけど、主将になって自分の中で一番変わったことはみんなの前で練習するようになったということです。今までは頑張って練習しているところを誰かに見られるのがあまり好きじゃなくて見ていないところで1人で努力していきたいというタイプだったんですけど、敢えてみんなの見えるところで練習することでみんなの刺激にもなればいいと思って変えています。また、自分自身も他の人の練習から学べる部分もあると思っています。やはりそうやって言葉ではなく姿で引っ張っていければと思って練習してきました。

――今まではそういうタイプでは無かったのですか

 どちらかというと人に努力しているところをあまり見られたくなかったですね。

――それを今年からは変えたのですね

 今までになかった新たな発見もあったので良かったと思います。

――新体制が始まるにあたってどのようなチームにしたいという考えがありましたか

 まず一番はじめに言ったのが、当たり前のことではあるんですけど礼儀や挨拶というのはきっちりできるようにしよう、ということは言ってきました。周りからの目も変わってくるだろうし、自分たちだけではなく周りの人からも応援されるチームになろうという意図でやっています。毎週日曜には朝、清掃をしているんですけど近隣の方からも声をかけて頂けるようにもなりましたし、そういうところの積み重ねが大切なのではないかと思います。

――変化はありましたか

 夏にはOB訪問に行かせていただいて、そこで昨年度のインカレの報告などをさせていただいたんですけどそういった繋がりも増えてきたと思っています。

――夏合宿に関してはいかがでしたか

 本当に今年はすごく充実していましたね。1日目に398段の階段ダッシュの練習があって追い込んでからの登山ということで精神的にも肉体的にも大変なところはあったんですけど、その中で全員が無事登頂できたのでチームにとってもアルペンの部門にとっても良かったと思います。

――毎年夏合宿で登山はされるのですか

 そうですね、ですが僕が入学してからは富士山の登山というのは初めてでした。今までは長野の白馬などだったので。

――富士山には吉田主将ご自身で決めたのですか

 それは僕ですね(笑)僕自身北海道出身で就職も北海道で考えているのでこっちにいるのも少なくなっていて何かしておきたいと思ったのが1つと、やはり日本一高い山でその分過酷なのでそこで登頂できたらみんなにとって大きな自信になるのではないかなと思って決めました。かなり達成感はあったと思います。

――今年から新たなコーチもチームに加わりました

 そうですね、今までは夏場にずっと見てくれるコーチがいなくて、そこに新たにコーチが加わってくれたので、夏は自分たちで練習を考えてやっているんですけどやはりそういったところで自分たちには気づかない部分であったり違う視点でトレーニングを指導してくださるので、そういう面で非常にプラスになっています。

――大会の時が主なのでしょうか

 いえ、普段の練習から来てくださるのでありがたいですね。

――安心感という面も大きな影響がありますか

 主要な大会にも来てくださるので安心感はありますね。

「勝ちにこだわりたい」

――今年の調子はいかがですか

 正直調子は実際に滑ってみないとわからない部分はあると思うんですけど肉体的には去年から3キロくらいの増量ができていて筋力が上がっていて、かつ体重が増えている中でも持久的な動きもいい感じできているので、それが競技にうまく繋がってくれればと思います。

――競技は今年で最後になるのでしょうか

 教員として生徒を指導しながらではあるんですけど、その中で続けられる範囲で自分も競技を続けられればと思っています。

――一戦でなくとも競技は続けられるんですね

 そうですね、でも大学4年間というか学生生活の一区切りとして考えているので、勝ちにこだわりたいというか貪欲に競技をできたらいいかなと思います。

――今季一番照準を合わせている大会はありますか

 それはやはり主将という立場なのでインカレですかね。インカレを一番に考えているんですけど、個人的にはどの大会でもいいので最後に日本一を獲りたいというのは強く考えています。

――今季はインカレを目指してやっていくということでしょうか

 アルペンは3種目あるので種目にこだわらず、やはりインカレに照準を合わせていきたいと思います。

――その3種目で得意な種目はありますか

 今までの競技やってきた感じだとスーパーG(スーパー大回転)ですかね。

――やはりそれぞれで求められるものは変わってきますか

 もちろんそれぞれ求められるスキルは変わってくるんですけど根本的な基礎の部分というのは変わらないと思っています。

――大学の4年間はどのような4年間でしたか

 情けなかったですね。スポーツ推薦で入学させていただいた立場なのに過去3年間インカレで得点できていなくて、大学に貢献できていないので、まずは本当に今年インカレで得点してチームに貢献したいと思っています。正直、下級生の頃はそこまでインカレを強く意識することはなかったんですが学年が上がるにつれてよりインカレに対する思いは強くなってきました。

――印象に残っている大会はありますか

 やはり去年のインカレです。卒業される4年生から「次はお前らの番だぞ」っていうことを言われて責任感であったり、ワセダを背負うというその言葉の重みを感じました。

――いつからスキーをされていますか

 スキー場に初めて行ったのは、流石にその時は滑ってはいないと思うんですけど1歳ぐらいの時でしたね。父親に抱っこされながら滑ったのはそれぐらい小さい時からでした。実際に乗り始めたのは3歳ぐらいの時だったと思います。あんまり覚えてないですけど(笑)

――それ以来ずっとスキーをされているのですか

 そうですね、初めはスキー場に行くのはチョコあんぱんがスキー場に置いてあってそれが食べたいがために行っていました(笑)家の近くにスキー場があって父親がスキーをやっていたので環境的にスキーという競技が一番身近だったのかもしれないです。

――競技中に心がけていることはありますか

 今は平常心です。昔は良い成績を出そうという思いが強すぎて欲が強すぎる中で競技をやっていましたが、やはり目標が高すぎることもあって中々目標が達成できず、そうして自分を見つめ直して行く中で、もちろん根底には勝ちたい気持ちはあるんですけどそれが強過ぎると自分の本来の力を発揮しきれないこともあると思うようになりました。やはりその気持ちの面がすごく難しいですね。

――やはり大学入学から思うような結果を出すことができなかったためでしょうか

 そうですね、やはり思い描いていたような結果が残せていなかったのでそういうところもあります。

――早大に入学して良かったと感じることはありますか

 やはり強い選手と一緒に練習ができるということです。他の種目にも日本を代表するような選手が沢山いるのでそういう選手からも自分の競技に吸収できる部分は多いですし、刺激をもらうことができるというところは良かったと思います。やはり後は、より競技に集中できる環境が揃っているところとすごく良いと思います。

――ご自身の強みはどこでしょうか

 最後まで諦めない気持ちと勝ちたいという貪欲さですかね。強みでもあるけどそこが邪魔してるんじゃないかなと感じる部分でもあります。

――最後にインカレへの意気込みをお願いします

 みんなは周りからのプレッシャーとかはあると思うんですけどそれを重荷に感じないで、自分の持っている力を出し切って最後去年みたいにみんなが笑って終われるような大会にしたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 斉藤俊幸)

主将としての矜持が感じられました

◆吉田圭汰(よしだ・けいた)

1996(平8)年12月23日生まれ。170センチ。北海道・北海学園高出身。スポーツ科学部4年。